スノーシューの下見で赤薙山にチェーンスパイクで登る(雪はまだ中途半端)。

2017年1月10日(火) 晴れ、気温0~4度

一昨日8日の夕方から降り始めた雪は21時前には止んでしまったが、標高820メートルの我が家で5センチほど積もった。ただし、水分をたっぷり含んだ重たい雪だったことに加えて、気温は夜になっても下がらず、屋根の雪は早くも融け始めてボタボタと庇を叩く音が聞こえる始末だった。

本来なら今頃すでに管理人がガイドを務めるスノーシューツアーが賑わいを見せる時期だが、今年も昨年に続く暖冬少雪で、開催が大幅に遅れる見込みだ。
天気予報によれば11日に日本海側に寒気がやって来て、日本海側と北日本は寒気が通過するまでの間、かなりの降雪になるらしい。日光の山沿いは冬は日本海側の気象の影響を強く受けるため、日本海の上空に寒気が押し寄せるとそのおこぼれに預かり、雪が降る。
8日に降った雪が融ける前に11日から連続して雪が積もれば根雪になりスノーシューができるようになる、そんな期待をしている。

8日に降った雪は我が家の周辺ではすでに融けてなくなってしまったが、山ではどんな具合だろう。
取り急ぎ、近場の山、赤薙山に登って状況を確認することにした。
なお、タイトルに書いたように積雪量が中途半端な雪の降り始めはスノーシューだと木の根や段差に引っかかって危険だし、靴のままだと滑る。そんなときはチェーンスパイクが威力を発揮する。装着が簡単だから場面場面で着けたり外したりできるし、アイゼンほどではないがそこそこのグリップ力があるのでアイスバーンを除けば滑ることはない。なによりも軽いし薄いし柔らかいので、着けていることを意識せず違和感なく歩けるのがいい。
管理人はこれをオールシーズン活用している。→無雪期の使用例


霧降高原道路をキスゲ平に向けて走っていると赤薙山が次第に大きく迫ってくる。
ここは反対車線に待避所があって写真を撮るのに最適な場所。この先へ行くと今度は赤薙山が頭上にかぶさるほど巨大になる。女峰山への通過点に過ぎないマイナーな山だが、目の前にすると山の雄大さがわかる。


赤薙山や丸山そして女峰山登山の起点となるのが霧降高原キスゲ平。
今日、目指す赤薙山は標高2010メートルだが、この1445段の階段がもっとも厳しいかも(^^)


階段を登り始めるとすぐ、ニッコウキスゲなどの高山植物を楽しむための散策路と交わる。標高は1370メートル。
そこにピッケルを突き刺し、シャフトに付着した雪を見ると約20センチと予想外に深いことがわかった。


次は階段700段目の散策路。標高は1470メートル。
先ほどより深く、30センチくらい。


階段の700段目の避難小屋から振り返り関東平野を眺める。
遠方は霞んでいるが筑波山まで見渡せる。この標高でこれだけの展望が得られる場所は奥日光にはないからキスゲ平の環境がいかに優れているかが知れる。


階段の最上部に到達した。
ここの標高は1582メートルだから、麓と赤薙山との標高差670メートルのうち、240メートルを階段で稼いだことになる。残り430メートルは緩やかな稜線歩きと短いが急傾斜。赤薙山は冬でも比較的安全に登れるから冬山入門の山としていいのではないだろうか。


いいっすね~、この大パノラマ。
キスゲ平は麓からも関東平野がよく見えるが標高が上がるにつれて展望はさらに広がりを見せ、大パノラマとなる。
画像は北西に位置する高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)。高原山の左に那須連峰が見える。
奥日光だと2千メートル超えの山頂以外、展望を得るのは難しいが小丸山から赤薙山の稜線は2千メートルに満たないが最高なんである(^^)


お~、今日は富士山が見える。
同じ位置から南南西に180キロ。


標高1601メートルの小丸山に出た。
ここから女峰山(実際には帝釈山)まで実に長い稜線が続く。
ところで、いつもと雰囲気が違うなと思ったら山名板が新しくなっている。以前は「キスゲ平」となっていたが「小丸山」に変わった。だが、地理院地図にキスゲ平も小丸山も表記はないから、国には認知されていない名称だと思う。
強いて言えば昭文社・山と高原地図に記載されている小丸山を通称名とするのが妥当なところか。
整理すると、天空回廊のあるキスゲ平園地全体(元のスキー場)をキスゲ平、キスゲ平を抜けてこの山名板のある場所を小丸山、小丸山から赤薙山を経て女峰山へ続く稜線を赤薙-女峰稜線と呼んで区分けするとわかりやすいと思う。
蛇足ながら、山名板の下の「標高一六〇一米」という表記は非常にわかりづらい。そもそも漢数字を横に並べて書くか?、書くなら縦じゃないのか?


今日の管理人の出で立ちはチェーンスパイクにピッケルという、ハイキングにしては大袈裟だし、冬山登山にしては中途半端なもの(^^)
とはいえ管理人、チェーンスパイクはオールシーズン使っているし、ピッケルは冒頭の画像でわかるとおり積雪量を計るのに持参した。


このように雪面に突き刺し、潜った長さで積雪量を知ることができる。
ちなみにこのピッケルの全長は標準の65センチなのでこの場所だとおおよそ50センチの深さ。


焼石金剛。
山名板と雪に埋もれた小さな社がある。
実は焼石金剛という名前だが、ここにはおそらく噴火で飛んできたのであろう大小の石がごろごろしている。
昔の人は大きな石(岩)が夕陽で真っ赤に染まるのを見て、それを神として崇めたのではないかと思う。それともうひとつ、実はふと思ったのだが、雪がまだ浅い今日、この周囲だけ雪がまったくついていない部分がある。地熱が高くすぐに融けてしまうのだろうか。それもやはり神の力と信じられたのかもわからない。


焼石金剛を過ぎると右側に樹林帯、左側に深い谷に挟まれた細い尾根となる。
雪の量が増えると谷側に雪庇ができ非常に危険な尾根に変わる。雪庇を踏み抜くと樹木のない斜面を為す術もないまま300メートル滑り落ちる。
樹林帯のきわが安全ゾーンだ。


赤薙山に導く道標。
道標にしたがって進むと木の根が露出した樹林帯を緩やかに登っていく。わずかでもいいから距離を短縮したい場合は画像正面に向かって進む。雪は深くなるが危険があるというわけではない。


山頂直下はしばし急傾斜が続くがこの林を抜けると、、、


赤薙山に到着。
小丸山から休み休み歩いて1時間42分、焼石金剛から56分。
休み休みというのは、雪の吹き溜まりに入り込んでもがいたり、振り返って景色を眺めたりしたことを指す。無雪期に女峰山へ行くときなどはこんなに時間をかけると登頂前に陽が暮れてしまう。


赤薙山山頂からの眺めは鳥居をくぐったところの崖っぷちからのみ。
そこからだと女峰山と男体山がよく見える。


こちらは男体山。


山頂の空気が冷たくなってきたので早々に退散することにしたが、今日はよく晴れ渡り、いい空の色をしている。


下りでやせ尾根を上から見たところだが進行左側は樹林帯で右は中ノ沢へ落ちる斜面。なかなか怖い。


雪庇にピッケルを突き刺すとヘッドまで埋まる。深さは80センチはあるだろうか。
ピッケルの数十センチ沢側に地面はなく、雪が載っているだけ。


小丸山まで戻りあとは階段で駐車場まで下ってお終いとなる。


最上段から700段目を見おろしたところ。
気温が下がるとこの雪は凍りつき、間違いなく滑る。
これからの季節、階段を利用する方は十分ご注意のほどを。