福島県境の分水嶺、帝釈山に立つ。快晴、大展望にうっとり。

2016年10月7日(金) 一日中晴れ

自宅(5:00)・・会津西街道・・会津田島・・檜枝岐・・馬坂林道・・馬坂峠(8:39/9:05)~帝釈山(9:40/10:20)~避難小屋(11:10/11:15)~湿原一周~避難小屋(11:45/12:15)~帝釈山(13:09/13:30)~馬坂峠(13:57)・・同じ道で自宅へ
※所要4時間52分のうち、休憩が1時間36分
※自宅から馬坂峠まで130キロ、3時間40分

昨日は快晴だったが台風の余波が残り風が強かった。
今日はその風も治まり、快晴無風の絶好の山日和となった。

山に登るのに安全と効率を考えると事前の情報収集が重要な意味を持つわけだが、8月25日と9月9日に鬼怒沼に行った際に、鬼怒沼の北東に日光市と群馬県、福島県という3つの県にまたがる山があることを知った。
これまで日光市と群馬県境にある山へはたびたび登っているが福島県境に注目したのはそれが初めてであった。
日光市と群馬県が接する距離は長いが福島県境も数十キロにおよぶ。それを追っていくと3県境の山である黒岩山(2163M)に始まり県境は北東へと向かっていき台倉高山(2067M)、帝釈山(2060M)、田代山(1926M)、安ヶ森山(1160M)、荒海山(1581M)、男鹿岳(1777M)で終わり、続いて那須塩原市と福島県境の山へと変わる。

ここで気づいたのは日光市と群馬県境にある山では帝釈山が日光最北部の2千メートル峰であることだった。いや、正確には帝釈山から先、那須塩原市の山を含めて帝釈山が2千メートル峰としては栃木県でもっとも北に位置することがわかった。
これは話のタネに是非、登っておかなくてはならない、そう考えて登ったのが先月15日であった・・・詳しいことはこちらに。

その後、福島県境の山に興味を持ち情報量が増えた。新たにわかったことは上に書いた県境は降った雨を太平洋と日本海に分ける分水嶺となっていることだ。

帝釈山に関しては、先月15日は栃木県北端の2千メートル峰としての興味から登り、今日は分水嶺にある山への興味として登ってみようと思う。視点が変わって面白いかもしれない。
登山口も変えてみた。
前回は田代山に近い猿倉峠、今日は帝釈山に近い馬坂峠にした。
猿倉峠と馬坂峠は直線距離で4キロに満たないがそこへ至る車でのアクセスには大きな違いがあって、馬坂峠へ行くには80キロも余計に走らなければならない。これが実に辛かった。


7:53
これから向かう帝釈山の登り口になる馬坂峠は、日光市栗山と福島県檜枝岐村を結ぶ馬坂林道の県境にある。
ただし、檜枝岐と馬坂峠間つまり、福島県側は通行できるが日光側の栗山と馬坂峠間が通行できない。この林道さえ通行できれば日光と檜枝岐は最短ルートで結ばれる。
通行できないとなれば方法はひとつ。
国道121号線、通称「会津西街道」を福島県に向かってひたすら走り、会津田島で国道352号線に乗り換えて檜枝岐に入るという大仕事をしなければならない。
画像は檜枝岐の街中を過ぎ、馬坂峠への分岐だがここまで自宅から116キロもあった。馬坂峠まで3時間はかかるだろうと朝5時に自宅を出発したのに時計はすでに7時53分を指している。ここからまだ30分かかる見込みだ。


分岐から3キロはアスファルト道路だったが間もなくオフロードに変わり、スピードがガクンと落ちた。
カーナビが表示する現在の標高は1030メートルほどだが馬坂峠は1800メートルに近い。800メートル近い標高差を車で一気に上ってしまうので、標高2080メートルの帝釈山へは歩いて1時間程度と見ておけばいい。


8:38
馬坂峠に到着。
オフロードが始まって37分もガタガタと車を揺らしながら走ったことになる。
カーナビの標高は1810メートルを示している。とんでもない方へ導いてしまうお馬鹿なカーナビなので当てにはできないが。


20台ほど駐まれる駐車場には先行車が1台のみ。これほど天気に恵まれているのに実にもったいないと思うが、やはり首都圏からのアクセスの悪さが原因となっているのであろう。
駐車場は砂利が敷かれ綺麗に整備されていて気持ちがいい。
駐車場の一角にある古民家風の建物はチップ制のトイレ。さすが檜枝岐と思わせる風情だ。


駐車場の左側(北)が帝釈山の登山口。
登山届け入れはなかった(記憶では)。


駐車場の右側(南)は台倉高山の登山口。
駐車場がある場所は帝釈山と台倉高山を結ぶ尾根の鞍部になっていて、栃木県と福島県の県境。つまり、駐車場そのものが分水嶺となっている。


日光の栗山へ向かう馬坂林道の日光側。
先月30日に日光側からここに来ることができないかと考え、途中まで来たが林道の遮断機が閉まっていたため諦めて戻る結果になった。


9:05
帝釈山を目指して歩き始めた。
好天に恵まれたこともあるが登山道は広く開放感がある。
今日はまず帝釈山を目指し、その後は田代山湿原を一周して帝釈山に戻って下山、すなわち始めから終わりまで中央分水嶺を歩くという計画。
距離にして片道4.3キロメートル、日本全体の分水嶺が6000キロだそうなので、その0.07パーセントを走破しようというわけなのである(笑)


全体がコメツガの樹林帯なので広葉樹は少ない。
その広葉樹が紅葉しているが数が少ないのと天候不順の影響なのか、色づきはイマイチに見える。


登山口から山頂までの距離は1キロに満たないがその分、傾斜はそれなり。
気温が20度を下回っていたので助けられた。


9:40
早くも山頂に到着。
歩き始めてわずか35分で2千メートル峰に立つ。
日光でもっとも低い2千メートル峰の赤薙山でさえ90分かかる。
展望は360度もあるし、こりゃぁいいわ!


山頂に立って登ってきた方向を眺める。
数本の木が視界を遮るが大展望だ。素晴らしいのひと言に尽きる。
ちなみに、ここが檜枝岐村と南会津町との境界線でなおかつ、日光市との境界であり、降った雨を太平洋と日本海に分ける分水嶺でもある。
この山名板を境として、帝釈山と書かれた側に降った雨は太平洋に向かって流れ、山名板の裏側に降った雨は日本海に向かって流れるその境目なのだ。なんとも壮大でロマンチックではないか。
そんなことを考えるだけでも山登りの楽しさが格段に増す。


山名板のすぐ脇に二等三角点の石柱がある。
山頂は東西に細長く通路になっているため多くの人が腰を下ろすことはできないが、南側に一段下がると大きな石を腰掛け代わりにして昼ご飯くらいは食べられる。


まだ誰もいないのをいいことに、時間をかけて景色をたっぷり拝むことにした。
南に日光連山が一望できる。距離約18キロメートル。う~ん、素晴らしい眺め。


上の景色をズームして山名をふってみた。
当然ながら男体山も白根山も見える。あまりにもワイドな視界なので一度のシャッターではカメラに収まらないだけ。


ほぼ真西には燧ヶ岳がそびえている。


帝釈山はあとでもう一度、立ち寄るので田代山へ向かう。


道は良く整備されていてとても歩きやすい。


田代山湿原の入口にある避難小屋(左)とトイレ(右)。
詳しいことは先月のブログに書いておいたので参照いただきたいが、ここのトイレの清潔さは群を抜いている→こちら


11:13
避難小屋からほんの数分で田代山湿原の西の分岐路に出る。
画像中央の木道から来てここで避難小屋と湿原を一周する木道とに分かれる。
木道は狭いため一方通行になっていてここから直進はできない。右へ進む。


これから湿原を一周するため木道を左回りに進んでいく。
ここからの眺めも素晴らしかった。


木道は気がつかないほど緩やかに下っている。
前方は開けていて実に雄大な眺めが楽しめる。


東の方向に左から前黒山、明神岳、高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)が見える。


湿原の東の分岐を避難小屋へ戻る方向に進むと弘法沼が見えてくる。
鬼怒沼のように池塘は多くなく弘法沼が唯一の池塘といえる。


11:30
田代山山頂に到着。
標高は1926メートル。山頂となっているが実際にはピークではなく、緩やかな斜面の途中を山頂と称しているようだ。


11:45
西の分岐路に戻った。


弘法大師像が収められている避難小屋。
内部の詳しい様子はこちらを。


管理人が到着したとき、南会津町からの委託で避難小屋とトイレの清掃をしているという男性2人と出会ったのでちょうどいいタイミングだと思い、厚かましくも話を聞いてみた。
清掃は週4・5日、おこなうそうだ。それで清潔なのがうなずけるがここへは一般の登山者と同じく、猿倉峠から歩いて来るそうだ。先月、管理人はてれてれ歩いて1時間50分ほどかかったが、まあ歩き慣れた人でも1時間半はかかるだろうからそれを週4・5日とは大変な労力だ。
個室は男女別(ただし、大の方は兼用)になっていて、見た目は普通の便器だが汚物はカートリッジに溜め、科学的(たぶん)に分解し、いっぱいになったらヘリで地上に降ろすらしい。これすべて南会津町の負担でおこなっているためトイレの利用はチップ制になっている。

男性2人は休憩を終えて下山していったが、腰にノコギリとナタを携えているのを見て、行き帰りに登山道の整備もしているのだろうと想像した。
余談だが、我が日光にハイキングコースは数多くあるが、山にトイレはひとつもない。
昭文社の山と高原地図・尾瀬を開くと、「トイレ」という文字があちこちに見える。
尾瀬国立公園と日光国立公園。両者、国が指定した自然公園なのにいったい、なにが違うんだろう?


チップは募金箱と書かれた透明な箱の中に入れる。
透明にしてあることで中に入っているチップが公開され、他の人もきちんと入れているのだということがわかり、それがチップを促す効果を高めているのかもしれない。
管理人、前回利用したときは持ち合わせがなかったので無賃利用してしまったが、今日は2回分、チップ箱に入れた。
ちなみに100円のご協力をとの表示があるが募金箱の中の金種は様々(笑)


トイレ脇の開放的な休憩スペースで昼食を終えてこれから今日、二度目の帝釈山へ向かう。


12:53
帝釈山へ30mと読める。
前回、これを見て疲れが吹き飛んだが、30メートル進んでも山頂に到着しなかったのでイタズラ書きかと思った。
2回目の今日、あらためて見るとmのあとにかすれてinとあった。なんだ30分のことだったのね(笑)


ハシゴがかかった大きな岩が2箇所、小さな岩は数多くある。


13:09
本日2度目の帝釈山山頂。
朝と同じくらいの時間をかけてじっくり眺めた。
燧ヶ岳の右に目をやると、なだらかで魅力的な稜線が見える。
日本百名山の会津駒ヶ岳(2133M)だ。


ズームしたのがこれ。
これまではるか遠方にあって敷居が高いという印象のある山だが、檜枝岐まで来てしまえば登山口から3時間で山頂だ。檜枝岐からなら楽に登れる。
ただねぇ、自宅から登山口まで車での長い移動時間を強いられるのだよ。総時間の半分を車の運転に費やされるから、日帰りで登ろうなどという気にはとてもなれない。
とはいえ、今日の帝釈山と田代山だって日帰りだから、あとちょっと頑張れば会津駒ヶ岳完全日帰りを達成できるかもわからない。帰りは居眠り運転必至だけど(笑)
もう少し情報を集めてみよう。


さあ、帰りの運転のこともあるので下山としよう。


このルートは木道や木の階段が多いので、雨で濡れていたりすると滑ること間違いなしだ。
乾燥していることを幸いに快調に飛ばす。


13:57
登山口が見えた。
下山は28分だった。



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