禁断の激藪を突破して帝釈山に直登、そして10回目の女峰山へ。

2016年7月20日  晴れのち曇り

野門沢林道ゲート(6:20)~布引滝展望台(7:12/7:20)~林道終点(7:37/7:40)~布引滝分岐(8:04/8:04)~帝釈北尾根分岐(8:31/8:35)~標高点1637~標高点1823~標高点1972~標高点2147(10:26)~帝釈山(12:40/12:43)~女峰山(13:18/13:45)~帝釈山(14:14/14:20)~富士見峠(15:11/15:16)~標高点1935~標高点1862~帝釈北尾根分岐(17:02)~布引滝分岐(17:16/17:20)~林道終点(17:30/17:40)~布引滝展望台(17:53/17:55)~林道ゲート(18:32)
※所要時間:12時間12分(休憩を含む)
※距離:20.1キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)

去る4日、女峰山へのルートとしてはかなりマイナーな、若子神社からの笹藪ルートで9回目の女峰山登頂を果たした。
地理院地図にも昭文社の「山と高原地図」にも道は描かれているが「山と高原地図」には、“笹多い”という注意書きがある。
距離が長い上に標高にして1700メートルも登らなくてはならないために利用者が少なく、それが原因でルート上に笹が繁茂して藪となったのだろうと思う。
まっ、でも、女峰山の山頂に向かっているすべてのルートを歩いてみたい管理人としては、笹藪ごときで怯んではいられないw
笹藪に大いに遊んでいただこうという寛大な気持ちになって今月4日にやってみたわけだ。
笹は深いところで胸の高さまであって大いに手こずったが、華やかなルートとして人気のある霧降ルートとは違った面白さを味わうことができ大いに満足した。結果はブログにしてあるのでご覧ください。
2016年7月4日のブログ

女峰山のルートはこれまで、裏男体の志津乗越に車を置いて歩き始めるというのがスタンダードだった。
しかし、数年前に駐車スペースが閉鎖されてしまい、現在は志津乗越5キロ手前の駐車場に置いて林道を歩いて登山口まで行かなくてはならなくなった。往復10キロ、2時間以上も余計にかかることになったため管理人は以来、女峰山のルートとして使わなくなった。登山口にたどりつくまで長い林道歩きを強いられるルートは楽しさが半減してしまう。
長い林道をてくてく歩いてやっと登山口、ということを考えれば女峰山へ登るのに志津乗越ルートはもっとも距離が長いといえる。女峰山ルートのスタンダードは一気に難易度高レベルへ昇格した(^^)

その影響もあるのか、交通の便のいい霧降ルートを利用する登山者が増えていることを実感する。天空回廊ができて荒れた登山道を歩かなくてよくなったこと、駐車場が整備されたこと、バス停が天空回廊のすぐ脇に移動したことなどが功を奏したのだと思う。もはやこのルートを利用しない手はない。
このブログにもなんどか書いているが他のルートに比べて眺めのいい稜線歩きが続き、快適なトレッキングが楽しめる。笹藪やこみ入った樹林帯の中を歩くことがない。まるで日本庭園の中を散策するようないい気分で歩ける。イワカガミやシャクナゲが咲く季節に特にお勧めしたいルートだ。雪解けが遅く冬が早いので歩く期間は限定されてしまうが、女峰山登山のスタンダードになりつつある。どうか一度、ご賞味ください。
ただし、それほど簡単なルートではない。時間もかかる。
往路で5.5時間、復路が4.5時間なので計10時間は覚悟する必要がある。とはいえ、亀のごとく歩みの遅い管理人の所要時間なので健脚の方であればそれぞれ1時間ずつ短縮可能であろうと思う。いちおう、参考値として紹介しておきたい。

他のルートでお勧めできるのは好みの問題もあると思うが、東照宮裏の行者堂を起点に標高差1700メートルをひたすら登り続けるロングルートというのがある。稚児ヶ墓から先、広大な笹原(藪ではない)はツツジの宝庫といわれるほどの大群落になっていて、5月はシロヤシオとヤマツツジに圧倒される。それに距離が18キロと長いので健康状態の確認にもなりそう(^^)
行者堂から登り始めて霧降に下りる(あるいはその反対)というのが最良の方法だが、マイカーだと車を取りに戻るという手間がかかる。
したがってこのルートを選択する場合、
1.マイカーを取りに戻る手間と交通費を惜しまないこと。
2.マイカーを2台用意して登山口と下山口にデポできること。当然だが複数人数での登山。
3.路線バスを利用する。ただし、時間的にとても厳しくなる。
といった条件がついてしまう。

例外的には、早朝、身内に登山口まで送ってもらい、歩き終えたら下山口まで迎えに来てもらう方法というのがあるが管理人は以前この方法で家人からひんしゅくを買ったことがあるから、夫婦仲のいいご夫婦に限るというのが条件w

以上で若子神社、志津乗越、霧降、行者堂を起点とする女峰山ルートをおおまかに紹介した。
もっとも無難なのは距離もほどほど、稜線からの眺めのいい霧降からピストンという手かな?
同じルートを往復することになるが変化に富んだコースなのでピストンなら2倍、楽しめる。

これらをやったらあとは栗山の野門(のかど)ルートが残る。
野門をスタートして富士見峠に出てそこから帝釈山を経て女峰山へ登るというかなり厄介なルートだ。野門から富士見峠まで見通しの効かない深い樹林帯の中をただひたすら9キロも歩き、その上で富士見峠から帝釈山を経て女峰山に達するのに、さらに2キロも歩くという苦行を伴うのでマニア向けといっていい。修行僧になったつもりで歩く覚悟が必要なほど大変なルートだ。

布引滝展望台から眺める女峰山と帝釈山

野門から歩き始めるルートをもうひとつ。
スタート地点は同じ野門だが富士見峠を経由せずに帝釈山に直登するという方法がある。
野門~富士見峠~帝釈山が直角三角形の2辺と考えれば帝釈山直登ルートは三角形の斜辺を歩くようなものなので、距離はずいぶん短縮できる。
しかし、、、だ。
このルートは藪が予想される。若子神社ルートで笹藪に泣いたのでできれば藪は避けたいところだが、愛しの女峰山へ登るためには致し方ない。
だが、事前の調べでは林道をショートカットしたりルートファインディングを必要としたりといった、山歩きの楽しさを味わえそうなのだ。
そのへんの経緯は7月17日のブログに詳しく書いておいたので参考に。
2016年7月17日のブログ

それにしても多彩なルートを持ち合わせてるな、女峰山は。
稜線歩きが好きな方から藪歩きが好きな方まで、さあ、あなたのお好きなルートで登ってらっしゃい。
でもそんなに簡単じゃないわよ、アタシを攻略するのは。そう言われているようだ。さすが母なる山、手厳しい(^^)

今日はその母なる山の懐に、ちょうど10回目の挑戦として野門から飛び込んでみよう。
心優しく迎えてくれるのかそれとも、厳しさにはじき返されてしまうのか、期待と不安は大きい。

上に書いたように今日予定しているルートは野門から富士見峠へ向かって南下して、途中で帝釈山の北尾根に乗り換えて山頂に達し、女峰山に行くというのが往路で、帰りは帝釈山から富士見峠に出て野門へ戻るというロングコースだ。
管理人が愛用しているフリーソフト「カシミール3D」で距離を試算したところ、約16キロと出た。
ただし、試算ではクネクネと曲がった道も直線としてとらえているので、実際には2割くらい多くなると考えている。所要時間はこれも試算だが休憩を含んで13時間。
いやはや、年甲斐もなくどうしてこんな厳しい山行を考えてしまったのだろう。後悔の念をいだきながらも気持ちを奮い立たせて歩き始めた。
実は昨日、近くの布引滝を見学がてら帝釈山北尾根を標高1800メートルまで登って感触を確かめておいた。

図の赤い線は事前に計画したものではなく、歩き終えた後のGPSの記録を地図に反映させたもの。
このルートに考えが至った経緯は2016年7月17日のブログを参照いただきたい。


川治温泉と川俣温泉を結んでいる県道23号線、野門橋を渡るとすぐ左に立派な門構えの道がある。
なぜここが家康と関係するのか、、、、それを管理人が書いたりするとボロが出るのでこちらを。


6:20
県道から外れて2キロほど走るとここから先、一般車は入れない。
工事車両のじゃまにならないように縁石左の草地に車を突っ込んで歩く支度を済ませた。
地図で見るとこの道は大きく蛇行を繰り返しながら南へ向かっているので、道路上を歩こうとすると大変な時間がかかることがわかる。
そこで事前に、3箇所ほどショートカットするルートを設定しておいた(上の地図)。


遮断機の脇を通り抜け、最初のショートカット地点に向かう。


ショートカットに失敗すると返って時間をくったりすることがあるため、到着地点を決めておき、そこへ間違いなく着けるように地図とコンパスを使って歩く。
1回目のショートカットは距離は短いながら傾斜は急だった。
ショートカットが終わると林道のガードレールの切れ目に出たので少し進む。地図にはすぐ先に林道を横切るようにして登山道がかかれているのだ。しかし、その場所には高さが2メートルほどの擁壁があり、上ることができない。
林道を設けるために斜面を削り、そこに擁壁を作ったことで登山道が寸断され、用をなさなくなってしまったようだ。

歩くつもりだった道がない、、、さあ困ったぞ。計画を修正しないと!!
当初予定していたルート


下図は現場で修正したルート
最初のショートカット(図のA)後、登山道が見つからないまま歩いていると林道の右手に階段が現れた(下の画像)。地図で現在地を確認するとここをショートカットできそうだ。
話が前後するが、図のBのようにショートカットすると鳥居と出合ったので、ここで再度、地図を見て図のCのショートカットをおこなった。
3つのショートカットの末に布引滝展望台に出ることができた。
これによって林道を歩く距離は大きく短縮されたはずだ。ただし、笹の急傾斜を登ったことで消費したエネルギー量は林道を歩くのと同じだったかもわからない(^^)


ショートカットする場所は濡れた落ち葉が堆積した急斜面なので、滑り止め効果と登攀力を増すためにチェーンスパイクが有効だ。


6:42
2回目のショートカットをした階段。
地図に描かれた登山道とは明らかに違う場所だが、人が歩くための階段であろうことに間違いない。
GPSで現在地を確かめ、コンパスをセットして斜面を登り始めた。
階段を昇った右のガレ場を登り、次に笹原をひたすら登っていく。


6:55
2回目のショートカットが終わると再び林道と合流。そこには丸太で組んだ鳥居と石の祠があった。
そうか先ほどの階段はここへ来るための昔の参道だったのだ。
しかしゆるやかに上っていく林道ができたことで急傾斜の参道は廃れ、誰も歩かなくなったようだ。
3回目のショートカットはこの鳥居の奥へと進んでいく。

上のチェーンスパイクの画像に写っている人物と鳥居のそばに写っている人物は今日、同行してくれることになった常連客のWさん。管理人が計画したところ、頼りない管理人のために助っ人として都内から駆けつけてくれた。


7:11
鳥居からのショートカット(図のC)を終えるとこんな構造物の真下に出た。
これが布引滝の展望台。擁壁がもっとも低くなった場所を探して道路の上に乗った。


お~、なかなかの展望ではないか。
はて、これから向かう帝釈山そして、女峰山はどれなんだろう?
どうやら写真中央の右、ピラミッドのように尖っているのが帝釈山らしい。女峰山はその左に見えるピークのうちのどれかなのだろう。
答えは冒頭の写真に。


3つのショートカットが終わると次は林道が尽きるところまで歩く。
管理人のこれまでの経験だと山の中の林道は斜面から落ちた岩が堆積していたり道が崩落していたりするが、ここはそれらはまったく見られない。そればかりでなく、一般車が通行するのになんら差し支えないほど整備されている。


7:36
林道を900メートルほど歩くと、休憩するのに十分な明るい広場に出た。
ここからいよいよ道標にしたがって山の中へと入っていく。

地図によると道は尾根上をまっすぐ南下するように描かれているが実際には急斜面を避け、ジグザグに登っている。


8:03
道はここで布引滝方面と富士見峠方面に分岐するので右へ直角に曲がる。
布引滝は19日に帝釈山の北尾根を見つけるために来た帰りに近くまで行ってみたが、最後に周りを直角の壁に阻まれてにっちもさっちもいかず、諦めて引き返した。


布引滝への分岐を富士見峠へと向かうとすぐ、木の祠と出合う。「山の神さま」という名板が立木に取り付けられている。


石は苔むして古道の雰囲気が漂ういい道だ。
道のすぐ左が一段高くなっているがこれが地図で見る尾根らしい。


左側の一段高くなったところに石の祠があり、中に石像が納められている。
よく見ると右手を直角に上げてなにかを持っているように見える。背中には炎のようなものを背負っているので不動明王なのかも?
ちなみに、地図によれば、ここが富士見峠と帝釈山の尾根を分ける分岐点になっていて、直進すると帝釈山の尾根に乗り、道の右にある沢を横切ると富士見峠に行くようだ。しかし、道は1本しかないためとりあえずこのまま尾根を直進して富士見峠と帝釈山の分岐を探すことにした。


8:31・・・画像A
石の祠から400メートルほど行くと太い木に赤いペンキのマークがある。
そして道の先はややガレていて沢のように見える。帝釈山へは尾根上を進むはずなので沢は通らない。ということはここが富士見峠と帝釈山との分岐に違いない。分岐は地図よりもずいぶん先にあった。
であれば帝釈山への尾根はここで向きを左へ変えているはずだ。左へ入る踏跡を探す。
ちなみに、赤いマーカーの立木はたくさんあるので当てにはできない。地図で探すのが基本。


8:35
ここが帝釈山北尾根の取り付き部分らしい。
シャクナゲの群落だが目を凝らすと判然とはしないが踏跡らしいのが見えた。
と、わざとらしい書き方をしているが実は昨日、下見でこの藪を突き抜け標高1800メートルまで確認済みなのだw


8:51
昨日は登山の定石通り尾根上を歩いたところ、びっしり埋まったシャクナゲに行く手を阻まれ、やむなく尾根から西へ少し下がってみたところ、そこはコメツガ林に変わり、歩き易いことがわかったので今日も同じ方法をとった。
歩き易いと書いたがシャクナゲの藪に比べてということであり、実際には倒木あり、落ちた木の枝あり、横に張り出したコメツガの枝ありでそれなりである。踏み跡は見えない。


9:02
標高1820メートル付近のコメツガ林の中に赤いテープがあった。
この尾根が帝釈山へのルートとして使われていることに間違いないことを確認した。
昨日はこのすぐ手前、標高1800メートルで引き返した。


9:09
コメツガ林はシラビソの林に変わった。
尾根は幅広くなり、ともすればどちらに向かっていいのかわからなくなる。
ほとんど見えない踏跡を探すのは諦めて、斜面の最も高い部分を見失わないように慎重に登っていった。


9:21
標高1880メートル付近。今度はコメツガとシラビソの混在林となった。密度が濃くなる。
幼樹は背丈が低いので、前進するのにじゃまをする。枝のすき間を縫ったり倒木を避けながら歩くので真っ直ぐ歩くことは困難だ。


9:36
はっきりした道があったので辿ったところ、こんなところに出てしまった。
シカ道だったのかそれとも、人の踏跡が崩落したのか、いずれにしてもこの先は行けそうもないので両手まで使って斜面を右へ上った。


9:58
標高2050メートル辺りに来ると尾根幅が広がったのでルートを外さないよう、標高点2147に向けてコンパスをセットする。
参考までに、管理人が手にしている地図は前述のカシミール3Dを使って緯度経度線、磁北線を含めて印刷したもので、より細かいところがわかるように縮尺は1/12500にしてある。


10:12
コメツガとシラビソの林は密となり、枝をかき分けながら木々の間を縫うようにして進む。


10:25
進路が南から東南東へ変わって前方に見えるのが帝釈山らしい。
この辺りが地図にある標高点2147だと思う。


10:41
標高2180メートル付近。
倒木がきれいに切断されているのを見つけた。
切断面は古く変色しているが昔はここにルートがあったことをうかがわせる。登山道だったのかあるいは、狩猟か炭焼きのための道だったのだろうか?


腐生植物のギンリョウソウ。
ここに来るまでギンリョウソウは数多く見たがこれほど密度の高いのは初めてだった。


コメツガの幼樹の新緑がとてもきれい。


11:13
コメツガとシラビソの林は途切れることがなく続いている。
すき間を見つけては枝の下をくぐって前に進んでいくがシャクナゲに比べれば苦痛ではない。


標高2250メートル付近。
ここまで来るとハクサンシャクナゲがまだ見られる。
藪には違いないがほっと一息つける瞬間。


11:40
シャクナゲは尾根上にしかないものと安心していたところ、尾根から一段下がったシラビソ林の中にびっしり。


おっ、ゴゼンタチバナだ。


11:58
標高2360メートル付近。ようやく帝釈山が見えた。
ただし、あそこへ達するためには目の前にびっしり茂っているコメツガとシラビソ、シャクナゲの群落を抜けなくてはならない。
踏跡はない。自分の足下さえよく見えないくらいの藪だ。人が通れるすき間もない。
枝で目を傷つけないように頭を下げ、両手を前に突きだして枝をかき分けながら進んで行くが身体が枝の上に乗ってしまうと足が地面に着かず浮いてしまう。時間ばかりくって先へ進まない。ここが一番の難所だった。
この藪を経験したらもう怖いものはない、そんな気持ちにさえなった(^^)


12:03
激藪は数分で終わった。だが、ずいぶん長い間、藪と格闘したように思えた。
藪を抜けると今度はザレ場となった。このザレ場は地理院地図に「砂れき地」記号として描かれている。
更新頻度の低い地理院地図に描かれているくらいだから、この数年の間にできたザレ場ではなく、十数年あるいは数十年前からこの状態にあるものと思う。
ここを横切って対岸の林の中に入るべきかそれとも、直登した方がいいのか迷ったが、斜度から判断して滑落の危険はないように思えたので上へと向かった。
慎重派のWさんは左に見える林の中へと消えていった。


ザレ場の正体は火山礫だ。
火山礫はその性質から軽く、不安定だ。
靴を載せると潜りまた、滑る。力が入らない。雪の斜面を登っていく要領で、靴のつま先を食い込ますようにして足場を作り、慎重に登っていく。


より安全な場所を選んで慎重に登っていくWさん。
自分で言うのもなんですが、その方が絶対、安全です。


12:30
ザレ場上部の藪を抜けると今度は高さ3メートルほどの岩が立ちはだかっている。
10メートル間隔の等高線だと予測が困難な岩場である。
17日のブログで紹介した「日光連山ひとり山歩き」作者の烏ヶ森の住人さんはここを右へ巻く道があると書いておられたが、ホールドとなる岩の突起がはっきりしているので越えられると判断した。
問題はこの岩の上部であった。
表面が白いのでてっきりそこも岩であろうと思ったのだが、とんでもない見誤りであった。白く見えたのは土の表面の地衣類であった。
さあ、どうしよう。ホールドとなるものがない。
視野を広げて見つめると、地衣類のすき間に太さ2センチほどの木の根が見える。3本ある。
最初の木の根を左手でつかんで身体を引き上げ、右足を50センチ上に移動すれば岩の突起に乗せることができる。次に左手を2本目の木の根に移して空いた木の根に左足を乗せる。そのようにイメージしながら登っていった。
すると間もなく草が生えた斜面だ。そこに枯れたハイマツの枝があった。根はしっかりしているのでつかんでも大丈夫そうだ。
そうやって登ったところが帝釈山のすぐ下だった。


Wさんも無事に岩をクリアした。


きっとこの上が山頂に違いない。


お~、やったぞ。
帝釈山の山名板を裏から見る。この位置から見るのは初めてだ。よく頑張った。


12:39
歩き始めて6時間13分。
ついに北尾根で帝釈山の山頂に達した。感動で言葉が出ない。Wさんも同じらしい。
Wさんに体調を聞くと悪いところはないようだ。では、次は予定通り女峰山だ。
休む時間もなく女峰山へと向かった。


帝釈山と女峰山を結んでいる稜線はわずかなアップダウンはあるが快適だ。
今日のルートのハイライト部分なのだが、深い霧で景色は見えない。


霧の中に専女山の山名板が見える。


コケモモ。
美しさに立ち止まって何枚も写真を撮った。


間もなく女峰山のはずだが霧に包まれて見えない。


コメツツジ


ミヤマダイコンソウ


最後の登りは岩場だ。
岩は脆いので足を乗せる場所に注意しながら登っていく。


13:18
数えて10回目の登頂を果たした。
母なる山、女峰山は今日も快く迎えてくれた。
2002年に初めてこの山頂に立ちそれから14年かかってようやく10回だが、この間、怪我による長いブランクがあったことを思えばよくぞ10回も登ったものだと我ながら感心する。
生涯であと何回登れるかわからないが、この素晴らしい女峰山とは末永くお付き合いしたい。


13:45
27分の休憩の後、帝釈山へと向かった。


タカネニガナ


14:14
再び帝釈山に戻ってきた。
ここからが帰りのルートになる。
富士見峠に向かって急降下していく。


富士見峠への樹林帯の下りはこれで4回目となる。
これまでの3回の記憶だとかなりの悪路という印象が残っていたが、4回目の今日はそれほど悪い道ではないという感じがして、我ながら驚いた。
当時はまだ未熟者で山道を歩き慣れていなかったためであろうと思う。それからいろんな道を経験したからだろうか、いまではごく普通の道のように思える。


15:04
大雨で水路が拡大し渡れなくなってしまったのか、溝に丸太が渡してある。


15:11
富士見峠は4差路になっていて南は志津乗越へ、西は小真名子山へ向かっている。
車を置いた野門へは道標を右、北へと進んでいく。
調べてみないとわからないが、昔は日光と福島県を結ぶ街道として利用されていたのではないか、そんな風情を感じさせてくれるいい峠だ。


管理人がこのルートを歩くのは初めてだが悪い道ではない。
地図では富士見峠からしばらくの間、道は九十九折となる。
厳しい山道でない限り、普通、登山道が九十九折にはならないはずなので、この道は工事用の林道として敷設されたものであろう。林道の用が済み、このように木が茂ったと考える。


15:26
標高2020メートル付近のガレ場を通過する。
前を行くのは相変わらずWさん。


Wさんからの提案で、最初のUターン部分から標高点1935までの間をショートカットすることになった。


ショートカットを終えて元の道に戻る。
木がうるさいが藪ではないので歩き易い。


標高1850メートル付近。
道は部分的に荒れていてわかりづらいところがある。


大雨が降ったときにはおそらく水路となるのであろう、道はガレていて滑りやすい。


17:18
朝、通過した布引滝と富士見峠との分岐点まで来ると霧が晴れて布引滝がはっきり見えるようになった。
落差120メートル。華厳滝よりも大きい。
実は昨日、下見のついでに布引滝に近づいてみたのだが、間近で見るためには崖をよじ登らなくてはならないらしい。次の課題として帰ってきた。


林道へ向かってゆるやかに下る。


17:29
林道を下に見る位置まで来た。これでもうなにも心配することはない。


17:45
林道終点部分から九十九折りへ向かう。
朝、時間を短縮するために林道を3回、ショートカットしたが、時間も遅くなり辺りは薄暗くなったのでショートカットは2回にとどめ、最後は林道を忠実に歩いて駐車地へ向かった。


18:32
距離は試算の16キロを少し上回って17.1キロ。所要時間は30分下回って12時間23分だった。
このGPSが示す距離はある速度を超えないと計測されない仕様らしいので、実際には20キロは歩いていると思う。


標高点2147から帝釈山の山頂まで、計画を大きく上回り2時間14分もかかってしまった。
激藪、ザレ場、岩場といった時間のかかる難所が続いたためだが、想定していたものの計画に甘さがあったようだ。
まあ、でも、結果だけを考えれば予定より20分遅れて出発した割に、ゴールは30分早かったので良しとしよう。ちょっと待て、その考えがいけないんだよ、山というものはw

17日のブログにも書いた通り、この山行を計画するにあたって次の2つのサイトを参考にさせていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
※「日光稜線紀行」、starionさんによる「野門~帝釈山北尾根~女峰山周回」・・・2006/07/02
※「日光連山ひとり山歩き」、烏ヶ森の住人さんによる「野門から北尾根経由で帝釈山」・・・2006/07/14

禁断の激藪を突破して帝釈山に直登、そして10回目の女峰山へ。」への4件のフィードバック

  1. 池田薮ノ右

    こんばんは。ブログ拝見して、物凄く嬉しくなりコメさせて頂きました。まさか、このルートやる方がいらっしゃるとは。
    実は、私も昨年10月にこのルートを歩いています。正確には、秋で日が短かったこともあり、女峰まで向かわずに帝釈山直登後、富士見峠〜野門に周回しましたが。
    帝釈山尾根取り付きから薮の中、ソロ行動だったので慎重にルートどりをしておりました。写真の赤のビニールテープ、目印に全部で3カ所だけ私が残したものです。多少なりお役に立てて良かったです。
    私はガレに出たところは右手の薮に回りこみました。また最後の大岩は左手から上がった気がします。
    いづれにせよ、歩った人にしか分からない充実感だと思います。お疲れ様でした。
    これからの山行も楽しみにしています。

    返信
    1. 亀歩き 投稿作成者

      池田薮ノ右さま
      こんばんは。
      私の帝釈山北尾根ルートのブログへのコメントを大変ありがとうございます。
      北尾根ルートの山行記録をネットで探しても少なく、不安をかかえたまま挑戦しました。
      あの赤テープを見て、どんな人がいつ歩いたのだろうかと想像しましたが、あれは池田薮ノ右さんが付けたのでしたか。
      ハンドルネームから察して藪歩きを得意とするように見受けられますが、いずれどこかでお目にかかれれば幸いと思います。
      藪山ではありませんが、私は年内に3県境にある黒岩山に行ってみようかと考えています。その節はブログでご報告しますのでご笑覧いただければありがたいと思います。

      返信
      1. 池田薮ノ右

        お返事大変ありがとうございます。
        奥鬼怒界隈は未開の尾根が未知数で、常に新鮮で奥深い所ですね。

        女峰の登攀が多いとのこと、志津、霧降などのメインルートもいいのですが、奥鬼怒からのディープなルート取りには魅了されますね。是非滝沢三等三角点、三界山からの直登尾根も歩いてみて下さい。

        黒岩山、鬼怒沼経由でなかなかのロングコースですね。私も今年5月に黒沢から薮尾根直登、黒沼田代から黒岩山に登頂し、3県境、孫兵衛山、引馬峠経由で夫婦渕に周回しました。かつてない位の激薮に難儀し、予定帰宅時間を大幅に過ぎた為、遭難騒ぎを起こしてしまいましたが、ルートどりに間違いなく、新たなルート開拓に十分満足いく山行でした。
        また3県境は標識もない樹林帯の中なので、緯度経度で見当つけるしかないのですが、それでも3県境に立っているという実感が噛み締められると思います。

        時間と体力勝負の山行、十分気をつけて楽しんできて下さい。ブログでの報告楽しみにしています。

        ※不精なのでブログは作成しておらず、山行をご紹介できませんが、FBにて気が向いた時だけ山行アップさせて頂いております。

        返信
        1. 亀歩き 投稿作成者

          池田薮ノ右さま
          遭難騒ぎになるなど、ずいぶん大変なところを歩かれているんですね。
          それも経験と自信に裏打ちされた山行なのだと思います。

          私は経験だけは長いのですが、体力が衰えていますので若い方の3割増しの時間がかかるようになりました。
          それだけに自分の体力に見合った綿密な計画が必要であると感じています。
          栃木、群馬、福島の県境周辺は宝の山ですね。私には未知の場所ですのでこれから開拓していきたいと思っています。

          返信

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