古賀志山で見る花たち(2021/03/31)

2021年3月31日(水) 晴れ(黄砂)

今日見た花(順不同)
ヒカゲツツジ、アカヤシオ、カタクリ、エイザンスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ、キクザキイチゲ、トウゴクミツバツツジ(つぼみ)、ヤマツツジ(つぼみ/画像なし)

花はおろか木々の葉も出ておらず春にはほど遠い日光を抜けだし、春爛漫の古賀志山で花の探索を始めて、今日で今月3回目となった。

カタクリが満開となりアカヤシオも咲き出し、古賀志山は週替わりで次々と花が咲き出している。
管理人が住む日光霧降高原の麓から湯元へ行くのと変わらぬ時間で花が咲き乱れる地へ行けるのだから、そりゃぁ日光をさて置いても古賀志山へ行くのが人の気持ちというものだ。

アカヤシオは先週、咲き始めたばかりだ。ヒカゲツツジはまだ固い蕾だった。
今日はその2つを同じ場所で見られる二枚岩と班根石山(はんねいしやま、通称ごーごーきゅー)に行くことにした。
両者とも間違いなく咲いているはずだ。

バリエーションルートをすべて歩き回るために日参した5・6年前と違って現在は、花の探索を主目的に歩き回るスタイルに変わったが、管理人の古賀志山フリークに変りはない。

メモ
・歩行距離:10.8キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間24分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:939メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

古賀志山への起点となる宇都宮市森林公園は桜が咲き誇っていた。
毎年見られる光景ではあるが、見飽きることはなく一年一年が新鮮に感じる。
古賀志山へ行くにはこの右に並行する道を進んでいくのだが管理人はあえてその道から外れて桜の下を歩くようにしている。


先ず、二枚岩に行く。
林道脇にキクザキイチゲが咲いていた(ひどいピンボケ)。
二枚岩へのルートは中尾根を途中で北に下りていくのが一般的だが、管理人は手っ取り早く細野林道を北に向かって歩き二枚岩の北登山口(※)から目指すようにしている。
岩場のアップダウンを苦労しながら歩くよりも林道を歩く方が楽だからね(笑)。
※北登山口という名は正式には定められていない。識別のために管理人が勝手にそう呼んでいるだけ。


北登山口という名称はないが、そこには「古賀志山を守ろう会」が設置した道標がある。


登山口から二枚岩へはこのルートが最短で、なおかつ歩きやすい。


おぉ、咲いてる!
北登山口からのルートは、二枚岩に着く前にヒカゲツツジとアカヤシオを見ることができる。
それがこのルートの良さである(後ほどその理由を説明)。


トウゴクミツバツツジは蕾を持った。
今週末から週明けには咲きそうだ。


二枚岩に到着。
珍しく誰もいない。
二枚岩というのは文字通り、2枚の板状の岩(とはいえ、とても巨大な)が並んでいることからこの名前が付いているのだが、岩の断面がピタッと一致していることからみて、はるか昔はひとつの岩だったのが歳月を経て割れてふたつになった、と管理人は乏しいながらそんな想像をしている。


アカヤシオもまさに咲いたばかりという、絶妙のタイミングだった。


ここはヒカゲツツジの多さもさることながらアカヤシオを一緒に楽しめるのがいい。
誰もいないのを幸いにヒカゲツツジとアカヤシオを十分堪能し、写真を数十枚撮り、班根石山へ向かうことにした。
歩き始めて間もなく中尾根から歩いて来た4人組、3人組、単独、4人組の登山者とすれ違った。
ちょうどいいタイミングで出発したものだ。
12人もが狭い二枚岩に集まれば花をゆっくり見ている余裕などない。
北登山口から登れば二枚岩に着く前にヒカゲツツジとアカヤシオを観ることができる。そうすれば二枚岩が混雑している時間に着いてもその前に花を堪能できるし、写真も存分に撮れる。
それが北登山口を利用する理由である。
それにしても今日の二枚岩は管理人が到着してからしばらくの間、誰ひとりなく幸運だった。


二枚岩から班根石山に向かうには2つのルートがある。
ひとつは一旦中尾根に出て中尾根の終わりまで行って北に折れて班根石山に達するルート、もうひとつは中尾根に出る前に西に折れるルートを行く方法だ。
管理人は後者にした。
前の週、中尾根の途中から班根石山に行くのに一旦沢へ下りてカタクリを探索したのだが、まだ早かったのか咲いているのは二輪だけだった。
そこは斜面に囲まれて日当たりが悪く、開花が遅いため1週間後の今日、再度観るつもりだったのだ。
期待を裏切られることはなかった。
ここは他のカタクリ群落地と違って細い沢が流れていて沢に沿って200メートルにわたり、群落でもなく、点在でもなく、実にいい感じで生育している。
自然の力による絶妙の配置だ。


カタクリは道に進出し、注意しながら歩かなければならないほどだ。
ここでは人が花の生育場所に踏み込んでしまうのと違って、花が人が歩く場所に進出している。
前回のブログにも書いたが古賀志山山域のカタクリ群は柵やロープで保護されているわけではない。それにもかかわらず毎年、多くのカタクリを観ることができるし盗掘の形跡もない。
大規模な群落ではないのでマスコミで紹介されることもないし観光がてらに訪れる人もいない。
このような環境を後世にまで残したいものだ。


タチツボスミレ


ツボスミレ
フモトスミレ


班根石山と弁天岩との分岐に到着。
ここを右へ班根石山へ行く。


班根石山は北東から西へかけての展望が良く、高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)と日光連山がよく見える、、、はずなのだが、空に雲ひとつないのに遠くの展望がまったく利かない。
そういえば昨夜の天気予報によると今日は黄砂が酷いらしい。
高原山に向けてカメラを構えてみたものの、モニターにも画像にも霞んで映っただけ。


気を取り直して周辺のアカヤシオとヒカゲツツジを楽しむことにした。
先週は咲き始まったばかりでパッとしなかったが、ほぼすべての樹が見事に咲いていた。


谷側に向かって急斜面を下っていくとそこにヒカゲツツジがある。
班根石山のヒカゲツツジは二枚岩と違って急峻な斜面と岩場に生育しているため、観るのは危険と隣り合わせだ。
一昨年はここで登山者が滑落して亡くなるという事故があった。


昼食にいい時間だったが班根石山は多くの人で賑わっていたので先ほどの分岐まで戻り、黄砂に霞んだ日光連山を眺めながらコンビニ弁当で昼食とした。
今日の目的であるヒカゲツツジとアカヤシオの探索は終わったのでこの後は気ままに歩くだけ。
とりあえず、鞍掛山に向かってみよう。
弁天岩を目の前にここを右(北)に折れる。


このルートはなんども歩いたことがあるが、新しい道標が立っているのを目にした。
設置日は2020年8月とあるから、管理人が最後に歩いたのはそれよりも前ということになる。
行き先は「石楠花沢」となっている。
石楠花沢とはこれまで聞いたことのない名称だけに興味をそそられた。
行き先を示す方向は荒れていて道標がなければこれが道であることなどわからないほどだ。
なんども歩いている管理人も気がつかなかったはずだ。
地図を見ると少し歩けば軽車道に出て、軽車道は二枚岩の北登山口に続いている。
ということは13時半ころには駐車場に着いてしまうことになる。
なにがなんでも早すぎるが、古賀志山の未踏ルートをすべて歩き尽くすことを目標にしている管理人としては初めて歩くルートは魅力的でもある。
よしっ、行ってみっか。


緩やかに下る荒れた道はここで分岐となった。
直進するのが正しいことが分かる(下りだから)が、左に分岐する道も管理人は歩いたことはないはずで、こちらも魅力的に思えた。
ここで直進したら1時間たらずで駐車場に着いてしまうので、バリエーションルートハンターの管理人としては、どこへ行くのかわからない左の道へ舵を取ってみた。
直進の道が下りなのに対して左の道は上に向かっているというのも興味をそそられる(笑)。
果たしてどこへ導かれるのでしょうね?


緩急織り交ぜた未踏のルートはどうやら班根石山と手岡峠(チョウカトウゲ)を結ぶルートの途中にある、ピーク540へ向かっているようだ。


そうか、ここへ出たか!
ピーク540だ。


これまでなんども通過したことのある分岐。
管理人未踏のルートはなかなか楽しめた。
今後このルートをどのように活用すればいいのか、課題としよう。

帰宅してGPSログを過去の記録に重ねて地図上に再現してみたところ、2018年4月にも歩いていることが判明した。
わずか3年前のことなのにそのときの記憶はなく、未踏ルートと思い込んで歩いてしまったらしい。
まっでも、新鮮な気持ちで歩けました(笑)。


ピーク540からの眺めはよく、アカヤシオ越しに日光連山が見える(黄砂で霞んでいたが)。


ここからあらためて手岡峠に向かうことにする。


ここは馬蹄形ルートへの分岐。
管理人が初めて馬蹄形ルートに挑戦したときはこの分岐を苦労の末に見つけた。
ブログになんども書いているが古賀志山(広義には古賀志山山域)には100本以上のバリエーションがあり、管理人はそれらすべてを歩き尽くすことを目標にして、今年で7年目を迎えた。
今では9割以上を歩いたと思うが、むやみやたらに歩いているわけではなく、目にした先人の踏跡が地図上のどこを通っているのかを確かめながら歩くようにしている。
そうすることで複雑怪奇な古賀志山の地形が理解できるようになるし、読図の勉強につながると思っているからだ。
この馬蹄形ルートへの分岐も地図を読んで発見したもので、そのときの喜びは鮮明に覚えている。
今では画像のように道標が設置されているが道標に頼って地図を読む努力を怠ってしまっては道迷い遭難はいつになってもなくなることはない。
そのいい例が12:34と12:40の画像のように、道標(12:34)があったので進んで行ったら道はその先で分岐(12:40)していて、そこには道標がない(※1)
その際、直進すればいいのか左へ行けばいいのかを判断するのに頼りになるのが地図だ。
今ではスマホの地図アプリが地理院地図の代わりを果たしてくれるが、それでも地図の読み方が分からなければお守りにもならない。古賀志山を歩く人は地図アプリを入れたスマホを携帯し、道標や分岐、特徴的な岩などを見つけたら立ち止まり、ここは地図上のどこなのか、この先はどこへ向かっているのか(※2)を確認するのがいい。
時間がかかるし地味な作業だがその積み重ねが読図力を向上し、古賀志山のみならずどの山に行っても通用する武器になる。

※1 上の例では下っている直進路が林道に行き着くことが明白だが、分岐の両方が下りだったり平坦だったり、分岐角が小さかったりすると道迷いが起こりやすい。
※2 一般的な登山道でそれが地図に記載されている場合は現在地さえ特定できればあとは地図通りに進めばいいのだが、古賀志山は地図に描かれていない道(バリエーション)の方が圧倒的に多いためなおさら、読図力が求められる。


手岡峠まで下りた。
ここを直進すると鞍掛山に行く。
しかし、その道程は遠い。
途中で行き倒れて週明けにならないと発見されないというのは困るので、ここは右へ、近道をしよう。すぐ、林道と出合うはずだ。
それに右への道はまだ歩いたことがないような気がする。


荒れ果てた道を歩いて行くと石を積んで構築した堰堤と出合った。
うむ、この堰堤には見覚えがある。
前はこの堰堤の向こうから来た覚えがあるので管理人未踏のルートではなかったようだ。


堰堤を乗り越えてアスファルトの林道をしばらく歩くと左に三角山への登山口がある。
山頂へは10数分で着くので登っておこう。


疲れた身体にこの登りは堪える。


と~ちょ~!
三角山は、三角を「おむすびの形」に例えて、地元の人から「おむすび山」と愛称で呼ばれている。
ただし、三角山もおむすび山も正式な呼び名ではなく、地元で昔から呼ばれているのは「大日向山=おおひなたやま」が正しい。と、登山口の道標に書いてある(笑)。
ここで本日二度目の昼食とし、帰路に着いた。
三角山へのルートは先ほど管理人が利用した南西のルートの他に北西ルートと北東ルートがある。
南西ルートと北西ルートは過去に何度か歩いているので、今日は未踏の北東ルートで下ってみることにした。


むむっ、岩場だ。
古いトラロープが下がっているがここから見る限り岩に足場が見当たらない。
こんなところで滑落したらいつ発見されるのか、そんな見通しなど立たないこと必至である。
せっかくの岩場からのお誘いだがここは丁重にお断りすべきであろう。
少し戻って桧林の急斜面を下りこのロープの下に出た。
その後がまた大変だった。
尾根は広く茫洋とし、踏跡もないため、GPSを頼りに尾根の背を探しながら歩くようにした。

なんとか無事に三角山を下山すると荒れた林道に合流した。
複雑に入り組んだ林道の、そこは初めて歩く林道だった。

※三角山北東ルートの存在は以前から知っていたが三角山に登る入口がまったくわからない。
実際、2016年5月にトライしたときは入口が見つからず、なんとか歩けそうな沢伝いに行って山頂直下でようやく尾根に乗れた(そもそも尾根がだだっ広くてつかみ所がない)。
今日、その北東ルートで下ってみると最後に林道と交わったのだがこれではわからないのは当然、そんな荒れた入口付近の状況であった。
次に登るときは今日のGPSの軌跡を基にすることができるので、入口はすぐ見つかるだろう。


その林道を少し行くと二手に分岐していたので左へ舵を切った。
もはや役目を終え、倒木があったり路肩が崩れている荒れ果てた林道を細野ダムへ向かって行く。


タチツボスミレ


エイザンスミレ


中尾根北登山道の入口にあるシラユキゲシ(だと思う)。


細野ダム脇の道から深緑色の水辺を眺める。


今朝ほど歩いた赤川ダムを見ながら駐車場へ向かう。


狭い範囲ながら工夫すれば往復、同じ道を歩かずに済むのが古賀志山のいいところだ。
また、駐車場から最高標高の古賀志山山頂まで、標高差わずか300数十メートルしかないのに地形の厳しさを体験でき、その厳しい地形ゆえに山の植物から湿原の植物まで楽しめるのは貴重としか言いようがない。
地元、日光に山はたくさんあるのに、こんな低山に足繁く通う管理人の気持ちを読者は理解できるだろうか?