古賀志山で見る花たち(2021/03/24)

2021年3月24日(水) 快晴

今日見た花(順不同)
カタクリ、アカヤシオ、エイザンスミレ(白花)、ヒナスミレ、タチツボスミレ、キクザキイチゲ、ヒサカキ、ショウジョウバカマ、ニリンソウ(つぼみ)、ヒカゲツツジ(つぼみ)

日光霧降高原の麓、標高820メートルに住んでいる管理人は、3月も終わりに近い今、家でデスクワークをしている限りほぼ一日中、石油ストーブで暖をとらなければ寒く、春とは縁遠い暮らしをしている。
山の雪解けは進んでいるが春のルーティンとしている女峰山に行くにはまだ2ヶ月待たなくてはならないし、他の山も雪解け水を含んであまり良いコンディションで歩けるとはいえない。
そこでこの時期、管理人は里へ下り、日光の山よりも2ヶ月早く春を迎える古賀志山の花の探索に全精力を傾けるようにしている。
なにしろ毎週のように咲き変わる花を見逃したら次の年まで待たなくてはならないわけで、その後悔は大きい。

今年は先週の18日が探索初日だった。
初回の探索日を決めるのはその前年、前々年というように過去の記録を調べ、それと今年の気候を照らし合わせて決める。
18日のお目当てはシュンランとショウジョウバカマだったが、シュンランは咲いたばかり、ショウジョウバカマは見頃もあれば蕾もあるといったちょうど良いタイミングだった。
こうなると次の予定は決めやすい。
5日から10日のインターバルで通うようにすれば古賀志山に咲く多くの花を観ることができる。

18日から6日を経た今日あたりはカタクリとアカヤシオが見頃を迎える頃合いだ。
それに天気は快晴の予報である。
カタクリは曇天だと花の開きが悪く見映えがしない。
今日をおいて観るタイミングはない、

これまで数十回と古賀志山を歩いて見つけたカタクリ生育地の中で、群落は5箇所(※)ある。
昨年、5箇所の群落地を一日で見て回れる効率的なルートを研究し、実行した。
今日は昨年のGPSログをスマホの地図アプリに入れて、同じ軌跡を辿る計画を組んだ。
それでもミス2回、ルートが複雑なのだよ古賀志山は。

※探せばもっとあるのかもわからないが、道沿いにある生育場所という意味。
※木柵やロープで保護されているわけではないが、良好な状態で保たれているのはハイカーの意識の高さではないかと思っている。これまで盗掘の跡も見たことがない。

・歩行距離:9.7キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間30分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1165メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

赤川ダムの堰堤から古賀志山を望む。
いい天気なのに全体が薄ぼんやりと見えるのは春霞のせい。
水辺右に見える薄いピンクの塊はこの公園のシンボルにもなっている大きな枝垂れ桜。
先週はまだ蕾だったがもう咲いたようにここからは見える。


赤川ダムに沿ってアスファルトの林道を進んで行くと道が分岐する。
古賀志山の登山口へはここを左に行くがカタクリの群落を目指すため管理人は右へ進んだ。


四阿の角を左へ。


いきなり急斜面に出くわすとそこは中尾根北登山道(※)。
この急斜面を上りきると道は緩やかになり、やがてカタクリが出現する。

という正式名があるわけではなく、中尾根の北にある道なので管理人は勝手にそう呼んでいる。


カタクリの前に白花のエイザンスミレが出迎えてくれた。


おやっ、ツクバキンモウソウ?
ここでは初めて観たぞ。


咲いたばかりと見えて実にきれいなカタクリだ。


中尾根北登山道のカタクリ群生地はこんな感じ。
この左斜面のトップが皆が恐れる中尾根の岩場である。


斜面には咲いたばかりのカタクリがびっしり。


写真を撮りながら時速1キロという、犬を散歩させるときよりも遅い速度で歩いてカタクリを堪能し終えると、登山道は中尾根に合流する。
これからここを右へ班根石山(はんねいしやま、通称559=ごーごーきゅう)へ向かうが、カタクリとは一旦別れて、次に観るべき花はアカヤシオということになる。


アカヤシオ登場。
桜の樹がない日光はアカヤシオの開花で春の訪れを知るという言い伝えがあるほど、アカヤシオは春を代表する花で、気持ちを晴れやかな気分にさせてくれる。


まだ蕾もたくさんつけていて向こう1週間くらい楽しめそうだ。


班根石山へは古賀志山から富士見峠を経て北上するのが一般的だが、カタクリを観てからだと中尾根ルートを歩くのが必須となる。
その中尾根ルートは途中、分岐して沢へ下り岩場を上がるルートがある。
その沢へ下りるとカタクリが点在する場所がある(管理人は群落地として数えていない)。
元々株数が少なく見映えはせず、この日は2株咲いているだけだった。


岩場で一気に標高を稼ぐ。


うへっ、見るに堪えないピンボケ。
まっ、一応記録として載せておこう。
班根石山近くにはヒカゲツツジが生育しているが蕾だけで咲いているのはなかった。
来週にはアカヤシオとヒカゲツツジが並んで咲いているのが見られるだろう。


道は細く花に見とれて足下を見ていないと崖下に転落、、、ということもあり得るルート。


班根石山に到着。
先着者が数名いたので山頂の写真は撮らず。


アカヤシオは班根石山の前後で多数見ることができる。
今がまさに旬。


班根石山から日光連山を拝む。
さてと、今日の昼飯はどこにしようか、、、
もう少し歩いてみよう。


ヒサカキ


ルートを10メートルほど外れて崖の上に立つと、日光連山をバックにした見応えのあるアカヤシオがある。


地元の人が伐採地と呼んでいる休憩ポイントまで来てコンビニ弁当を広げる。
真冬は冷たくて歯にしみるご飯ものだが、この季節は実に美味いと感じる。


日光連山を眺めながら時を過ごし、次のカタクリ群落地へ向かう。
伐採地と呼ばれてはいるが今では伐採後に植えられた桧の幼樹が成長し次の伐採、おそらく数十年後、を待っている。


成長過程にある桧を見ながら歩くと、中には幹が途中で曲がっているのが見つかる。
幼樹が植えられた数年前、古賀志山に異常な愛憎を持つ者によって幹の先端が折られるという犯罪が発生し、真っ直ぐ成長するのを阻害されてこのような痛ましい姿となった。


伐採地を過ぎ富士見峠まで下りてきた。
ここを直進するとすぐ古賀志山だが、今日はパスしてカタクリ廻りにもっとも効率的なルートを行くことにする。


富士見峠からカタクリの群落地に入ると咲き始まったばかりのミヤマシキミを見つけた。


今日、2箇所目のカタクリの群落。


カタクリは道ギリギリまで来ているため、踏んづけないように慎重に歩く。


2つめの群落地を見終えて、古賀志山と隣り合わせの東稜見晴台まできた。
ここは筑波山がよく見える場所だが春霞に隠れて今日は見ることができなかった。


次のカタクリ群落地へ向かうには岩場を下る。
ここは下り始めて3本目の鎖。
ルートはここで東稜と東南稜に分かれるので左へ折れて東稜ルートを進む。


東稜ルート脇の群落もまた見事だった。


斜面一面に広がるカタクリ。


キクザキイチゲまであった。


次はこんな荒れた道を歩いて、、、


4箇所目の群落地へ。


ニリンソウが蕾をつけていた。


ショウジョウバカマの小群落。
30数株あった。


ここにも白花のエイザンスミレ。


ヒナスミレ
葉っぱが細長く葉の基部が深く湾入していることから、始めはナガバノスミレサイシンだと思った(その前はスミレサイシンとしたがガイドブックによるとスミレサイシンは日本海側に、ナガバノスミレサイシンは太平洋側に生育するとあるので訂正)。
と、葉の形だけで決め打ちしてしまったが後日、別の角度から撮った画像を見ると「距」が、ガイドブックで説明されているように「丸く太く短い」ではなく、長いことがわかり、葉の形こそナガバノスミレサイシンと似ているが距が長いこと、葉に粗い毛があること、側弁基部に毛があることからヒナスミレが正しいように思える。
なお、管理人が参考にしている「古賀志山の花/随想社」にはナガバノスミレサイシンの掲載がないので、古賀志山にナガバノスミレサイシンは存在していないのかもしれない(2020/04/14)。


どこででも見られるタチツボスミレ。


群落地の斜面を上がると道はここで東稜ルートと出合うので突っ切る。


今日最後、5つめのカタクリ群落地まで来た。


ここは標高が他より低いためか咲き始まりも早く、雌しべが成長して受粉OKの状態となっている。


少し離れた場所にはショウジョウバカマの群落がある。
その数ざっと300ほど。
花の色が白っぽく、盛りは過ぎている。


芝山林道へ下りて今日のカタクリ群落地廻りは終わった。


朝、ダムの堰堤から眺めた枝垂れ桜を近くから見るためダム湖畔の道を歩いてここまで来た。


開花した花と蕾が半半だが、良い咲きっぷりだ。
あと1週間は見頃を保つであろう。