宇都宮アルプス、7座制して白根山のモヤモヤを解消。

2015年12月22日(火) 天候:快晴、気温13度、距離:10.5キロ
中徳治郎登山口~兜山(372M)~黒戸山(412M)~高舘山(478M)~飯盛山(501M)~本山(562M)~男山(527M)~榛名山(524M)~宇都宮市冒険活動センター
※宇都宮アルプスというのは通称でガイドブックでは篠井富屋連峰と紹介されています。

明日から三日間、仕事で山歩きはできないし週が明ければ今年の最終週を迎えてなにかと忙しい。
一昨日の白根山はなんとなくスッキリせず、気持ちが晴れないままでいた。明日からの仕事を気持ちよくできるようにするためにも、今日は思いっきり歩いてへとへとに疲れてぐっすり眠りたい。いやその前に、思いっきり飲みたい(^^)

古賀志山は8日に行ったきりご無沙汰しているのでそろそろ行かなくてはと考えてみたのだが、せっかく低山歩きに徹した今年なので、低山歩きの幅を広げるためにも今日は古賀志山とは違う山を歩いてみたい、そんなことを考えていたら以前、栃木県にある山だけを紹介しているガイドブックに「宇都宮アルプス」などという、聞き慣れない名前が出ていたのを思いだした。
宇都宮アルプスは宇都宮市の篠井地区と富屋地区にまたがる低山の連なりを指し、最高峰が562メートルで古賀志山と20メートルしか違わない。古賀志山とイメージが重なり、なんとなく面白そう、そんな期待があった。

あらためてガイドブックを開いて説明を読むと、日光から宇都宮へ向かう国道119号線の近くに登山口があって、7座を縦走できるコースが紹介されている。う~ん、一度の山行で7つの頂に立てるなんて、ずいぶん贅沢で魅力的ではないか。しかも、里山なのに10キロも歩けるとは白根山のモヤモヤを解消するにはうってつけだ。
ただし、登山口と下山口とを別に設定すると、下山したら8キロの道のりをてくてく歩いて登山口まで戻らなくてはならない。5キロはバス便があるらしいが田舎のバスのことゆえ乗り遅れたら30分、待たなくてはならない。地図を眺めると登山口と下山口との標高差は40メートルほどだ。
よし、それならあの手でいこう!

車を2台使うのだ。登山口に1台、下山口に1台置き、その間を車で移動すれば8キロも歩かなくてすむ。


DSCF62562台の車のうち1台、PANGAEA(パンゲア)号を下山予定の宇都宮市冒険活動センター駐車場に置いて、登山口となる中徳治郎へはもう1台の車で向かう。
膝の手術後のリハビリ用に購入し、一時はよく使ったが最近は出番がなくなってしまった。こいつを頼りにしよう。

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林道らしきアスファルト道の待避場に車を駐めて歩き始めた。1座目の兜山の登山口を探す。
道路はここで分岐するが道標にある「黒戸山」は2座目の予定だ。
道標に兜山の表示がない。地図を見ながらこのまま道なりに歩くことにした。
ちなみに、地理院地図にある兜山はここより南となっているがガイドブックによればそれは兜山ではなく、「鬼山」だそうだ。鬼山を含めると8座になるが登山道は見つからなかった。

DSCF6084巨大な鉄塔と送電線の下をくぐったので地図の通り、歩いたことがわかった。

DSCF6085おっ、これが兜山の入口だ。

DSCF6087古賀志山を思い起こさせるような大きな岩が出てきた。ガイドブックには大岩と書かれている。

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1座目の兜山(372M)を制覇(^^)。展望はない。
地図を見ると山頂の北東300メートルに2座目の黒戸山が位置しているので藪を突破して直進しようかと思ったが、歩き始めてすぐ道間違いというのもイヤなのでここは正攻法で元来た道を戻ることにした。

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2座目の黒戸山(412M)はすんなり見つかった。
兜山からは道標のある分岐まで戻り指示にしたがって歩けばいい。

DSCF6102木立の間から男体山が望めるが冬枯れで見通しがいいからであろう。

DSCF61043座目の高舘山は少し距離があるが桧林の中のはっきりした道なので、歩きやすいし迷う心配もない。悪戯心さえ出さなければ。

DSCF6106道は尾根を西側へ5メートルほど外して、尾根の少し下についている。その尾根に乗ったらさぞ眺めがいいのでは、と思って道を外したところ藪に突入してしまった。密度の濃い藪なので脱出にも苦労させられる。

DSCF6110本コースから分岐して、間もなく山頂であることを思わせるような平坦な道。
冬枯れの自然林は明るくて快適ですね。

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3座目の高舘山(478M)。三等三角点がある。
山頂は広く、公園の広場のよう。
このコースで気がついたのは、7座のうち4座が本コースから分岐した袋小路にあることだ。
縦走の概念だと山頂を通り抜けて次の山へ向かうと思いがちだが、4座に関しては通り抜けるのではなく、本コースへとUターンする必要がある。
この山もここでUターンして本コースへ戻って次の山へと向かう。

DSCF6121ヤブコウジ ミヤマシキミの真っ赤な実が冬枯れの林の中で目立つ。

DSCF6130ヤマツツジがまだ花をつけてる。葉っぱもないのに懸命に生きながらえているな。

DSCF6133懸命に生きているのはヤマツツジだけではなかった。ミツバツツジまでも。

DSCF6136高舘山と飯盛山の中間に位置する青嵐峠にさしかかった。
道はふたつの山を結ぶ1本だけなので迷う心配はないのだが、もしもこれが古賀志山であれば峠で交差する道があって、道標さえないのでどちらへ行っていいのかわからず困る場合がある。

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峠を通り過ぎるとすぐ、アスファルトの分岐路に出た。飯盛山へ行くには分岐の叉の部分を入る。

DSCF6143イノシシにほっくり返された跡だ。古賀志山でもここでも、イノシシは多いらしい。
日光では農作物を作ってもシカやサルの餌になるだけだからと、作るのをやめてしまった生産者もいる。

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飯盛山の麓にさしかかってビックリ。
ものすごい傾斜だ。30度以上はある。地図で等高線を数えると山頂まで11本あるので短い距離ながら30度の傾斜を一気に高さ110メートルも上がるということだ。
幸い、ロープが張ってあるのでありがたく使わせてもらったが、それでも背中から後に引かれるほどだ。
ロープは作業用のトラロープではなく、クライミング用の8~9ミリ径のが使われている。メーター500円以上する高価なものだ。

DSCF6155途中に数カ所、落石注意の札がかかっている。プラスティックや金属板ではなく、杉板でできている。自然と一体化していて感じがいい。

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息を切らせながらやっと飯盛山(501M)に着いた。これで4座目だ。
標高は7座中、下から数えて4番目だが30度の傾斜を登り切ったという達成感がある。
中年のご夫婦が先着していた。聞くと冒険活動センターをスタートしたとのこと。管理人とは反対のルートでここに至ったようだ。
ランチタイムに割り込んでしまったが気さくなご夫婦で、ミカンをいただいた。

DSCF6161縦走もこれから後半、5座目の本山(もとやま)へ向かうことにする。
飯盛山の下りは上りほどではないが岩だらけの斜面で、それなりに傾斜もある。

DSCF6168飯盛山を下山するとT字路になる。これから向かう本山への道標は地面に置かれているが本山方面を示す方向に道がない。
地図で見るとここはコースが入り組んでいてとても複雑で実際にはT字路だが地図だと三叉路になっている。地図だと本山へは左折するようになっているがそちらはかなり荒れている。そこで道がハッキリしている右へと進んだ。

DSCF6170ほどなく別の道標が表れた。
「本」という字が見えたので本山であろう。
この道標がある場所も地図では道が複雑で、実際には三叉路。ここは素直に道標が示す道を進もう。

DSCF6175桧林を抜けると道は開けて岩場に出た。 嬉しい(^^)

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展望が一気に開けた。素晴らしい眺め。
これが本山(562M)。7座の中の最高峰である。
これまでの5座の中でもっとも展望がいい。

DSCF6186山頂からの眺めはパノラマで古賀志山から始まって錫ヶ岳や白根山、日光連山、高原山まで見渡せる。
写真は日光連山で左から男体山、大真名子山、小真名子山、女峰山、赤薙山。

DSCF6188北方に高原山が、、、

DSCF6192南西に古賀志山の荒々しい山並みが見える。故郷の山を眺めるような懐かしさを感じる。ヤッホー!!

DSCF6195本山も袋小路なのでUターンして本コースに戻って6座目の男山へと向かう。その後、榛名山へと向かうのだが両山とも、地理院地図に山名が描かれていないのでそれらしいピークを地図で探す必要がある。
この林の奥にふたつのピークが見えるが、右(北)が男山、左(南)が榛名山だろうと思う。

DSCF6201男山への道にもこんな岩場が。

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あった。6座目の男山(527M)だ。
ここも展望はないので早々に引き上げることにしたのだがどうしたわけか、本コースに戻らず、山頂の先に見える尾根を下ってしまった。
ここは袋小路ではないのだが元来た道を戻る必要があったのだ。
コンパスの針が別方向を示したのでUターンして再び山頂に戻って本コースに出た。

DSCF6207榛名山への道標を見つけ出し、最後の7座目へと向かう。

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榛名山(524M)。
これで7座目、今日、最後の山だ。
やったー、宇都宮アルプス7座を制覇!!、とささやかな喜びに浸る管理人であった(^^)
ここは温泉で有名な群馬県の榛名山と同じ山名だが、勧請したものなのだろうか、立派な社があるし霊験が書かれた立て札もある。

DSCF6220山頂から少し戻って「こどものもり」と書かれた古い道標にしたがって進む。
こどものもりとは自転車を置いた冒険活動センターのこと。

DSCF6221冒険活動センターへの下りは急傾斜だ。それに道がハッキリしない。
適当に下ると道らしき踏み跡が表れた。方角は西に向かっているので正しいはずだ。

DSCF6229眼下に建物が見えてきた。冒険活動センターは間もなくだろう。

DSCF6238冒険活動センターは広大な敷地を持つ。その中に写真の吊り橋、キャンプ場、研修センター、宿泊棟を備え主に小学生の野外授業に使われているようだ。

DSCF6244これはロッジ。中から子どもたちの声が聞こえてくる。

DSCF6251あまりにも広い冒険活動センターなので脱出するのに苦労したが、無事に正門を出ることができた。
ここの駐車場に我が愛車が置いてあるので登山口に置いてある車までひと走りすることに。

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歩き始めたのが遅かったので日没になった。
頭にヘッドランプを装着し、暗闇を照らしながら登山口へと向かった。

kash歩行距離10キロほどだがアップダウンが激しいのでそれなりに楽しめた。累積標高1000メートル超えの、変化に富んだ縦走路だ。
距離といい累積標高といい、一昨日登った白根山とほぼ同じ。里山ながら難易度レベルが白根山と同じというのは痛快と言うほかにない(^^)
知名度がないためか人が少ないのも魅力だ。

このコースの醍醐味は7座縦走にあるようだ。ただし、スタートとゴールを同じ場所に設定すると7座目を登頂後、戻りで同じ山を6座通過しなくてはならず、時間的に困難かもしれない。下山地点に自転車をデポし、下山したらスタート地点まで自転車で戻るという計画は正解だった。
この煩わしさを解消できれば日参したい山である。古賀志山に劣らない面白さがある。
2人以上のパーティーで車を2台用意できれば楽になる。

map地図でわかるように登山口と下山口はずいぶん離れている。
そのため上に書いたように自転車を利用したが、下山して疲れた身体で自転車を漕ぐのは堪えた。
人でさえすれ違い困難というほどの狭い歩道を、ガードレールや縁石にぶつかりそうになりながら走らなくてはならなず神経をすり減らした。

7座のうち、地理院地図に描かれていない山名が3座ある。南から兜山と男山、榛名山である。また、地図に描かれている兜山は実際には「鬼山」で、山名板のある兜山は鬼山の北に位置するピークだ。

この縦走路は道ははっきりしているし道標も多いのだが、ピークに達するのに本コースから外れる山が4座ある。山頂からUターンして本コースに戻らなくてはならないが、それを忘れると道間違いを起こす。男山から榛名山に向かうところを、間違って林道に降りる道を行ってしまった。

7座のうち、展望が良いのは本山だけで、他は樹林帯の中の山頂なので冬枯れのこの時期でさえ展望は得られなかった。コース上からの展望もない。古賀志山の展望とまで贅沢は言わないが、伐採しても差し支えのない木は手入れして、展望を良くすれば何度でも行きたくなる山だ。里に近いので夏は暑そうだが。

帰りに車を運転しながら、心は満足していた。久しぶりにたっぷり歩いた気がする。距離は10キロしかないがアップダウンが激しいので歩き甲斐があった。これで一昨日の白根山のモヤモヤもスッキリした。

奥日光に雪はまだ降らないし予報でも降る見込みはない。
これで年内のスノーシューは絶望的だしそればかりか、いつになったら雪が積もるのか、心配しながら年を越さなくてはならない。まぁ、10数年に一度あるかないかという自然現象なのでジタバタしても仕方がないのだが、冬の売り上げの8割がスノーシューツアーなので経営上、厳しくなるのは必至。支払いの督促が殺到するだろうなぁ(泣)。雪乞いをしなくては。