久しぶりの赤岩滝は食事計画の失敗で完全なしゃりバテ。その後、生き返って帰りはランニングで。

2015年5月28日(木) 菖蒲ヶ浜~千手ヶ浜~赤岩滝~西ノ湖~熊窪~高山~龍頭滝
天候:薄曇り

2年前の2013年3月におこなった左膝前十字靱帯の再建手術からの復帰がかなり長引いてこれまで激しい運動ができなかったが、昨年からリハビリ代わりに軽い山歩きができるようになった。今年は手術前と同じように長距離やアップダウンの激しい山歩きができるまでに回復したのは管理人にとって大きな喜びとなっている。

これまで幾度かのケガと手術を経験しその都度、これで管理人の山歩き人生もお終いかと思うことがあったが人間の回復力とはすごいもので、おかげでこの歳に至って手術前と同等の脚力を取り戻している。
そこでせっかく回復した今の脚力を衰えさせてはならないと決意してかなり激しい山行を繰り返しているが、なんとか20キロ程度の山歩きができるようになったことを我ながら驚いている次第だ。

IMG_3838このブログを読んでくれているお客さんから昨日、電話をいただいた。
ブログを読むとかなり激しく動き回っているようですが大丈夫ですか、と。
管理人を気遣うとてもありがたい電話だと思ったのだがよく聞くと、6月に申し込んでいるハイキングでそんな厳しい場所に連れて行かれては困る、という実はそんな心配の電話だったのである(^^)
はい、もちろんお客さんをガイドするときはブログに書いてあるような場所には行きませんのでご安心ください、と答えておいたがこのブログはそれほどお客さんを不安にさせてしまうようなことが書いてあるのだろうか?(爆)

まっ、それはともかく、かなり厳しい場所に行くときは管理人ひとりか、あるいは信頼できる常連さんと一緒のときだけなので一見のお客さんは心配はいらない。
管理人が経営するペンションのツアーはお客さんの脚力や要望に応じたツアーをおこなっていることを、ここであらためて強調しておきます(^^)

さて、このところ管理人の山行は霧降や鳴虫山、宇都宮の古賀志山といった個性的な低山ばかりで、かつてあれほど足繁く通っていた奥日光とはご無沙汰している。そろそろご挨拶に行かなければ罰があたりそうだ。
で、どこへ行けばいいかと考えるとご無沙汰というところでは2011年を最後に途絶えている、赤岩滝しか思いつかない。しかし、距離が短すぎる。へとへとになるまで歩きたい管理人は地図を眺めながらあれこれ考えを巡らせ、ようやく答えを見つけた。いつもならバスで近くに行ってしまうから物足りないので、バスに乗らずに始めから歩けばいいのだ。
そうすれば20キロという距離になるので満足できるはずだ。そうだ、そうしよう。

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中禅寺湖を1周する際の起点となる菖蒲ヶ浜をスタートする。
目標は千手ヶ浜まで1時間を切ること。


IMG_3799ほんの少しの間、林間を歩くがやがて中禅寺湖を眺めながら歩けるようになる。


IMG_3795アカヤシオ、トウゴクミツバツツジ、シロヤシオと続いた湖畔の最後はヤマツツジだ。


IMG_3798赤岩手前の階段はこんなに狭い。どうぞ参考に(^^)


IMG_3801湖畔のきれいな砂浜。水の透明度も高い。


IMG_3810中央、遠くに見える浜がクリンソウの群落で有名な千手ヶ浜。
まずあそこを目指す。


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千手ヶ浜と高山に分岐する熊窪。
帰りはここからが悲劇でして、、、


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写真を撮りながらも55分で千手ヶ浜に到着したので4キロ/時で歩いたことになる。
遠くに霞んで見えるのは男体山。桟橋は遊覧船の発着場でクリンソウが見ごろになると臨時船がここまでやってくる。数百人という客を乗せて。
そのクリンソウ、5月だというのにすでに咲き始めたとの情報があるが、今日は先を急ぐのでパスする。


IMG_3815長距離を歩くつもりで荷物も軽くした。ザックは20リットル、中味はコンビニで買ったパンと行動食、水1リットルにスポドリが2本。それと雨具と保温着だ。
忘れてはならないのがサンダルとポール2本。これの必要性は後ほど説明する。


IMG_3821湖畔に沿って少し進んだら道標にしたがって西ノ湖へと向かう。
直進するとクリンソウの群落地、伊藤家がある。


IMG_3822マルバダケブキの群落をぬって、、、


IMG_3823静かな千手ヶ原を歩いて、、、


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西ノ湖入口の吊り橋に着いた。西ノ湖へはこの橋を渡るが帰りに寄ることにしよう。
橋を左に見て遊歩道をバス停に向かってさらに10分ほど歩く。


IMG_3828バス停まで10分というところを左に入るとカラマツの人工林が続く林道だ。ここも静か。
この道はカラマツの伐採に今でも使われている。
いつもはそのバス停まで赤沼から低公害バスで来ることにしているが、そうすると歩く距離が短い。


IMG_3840足元を見るとシロバナノヘビイチゴが満開だ。実は真っ赤になる。


IMG_3838ミヤマザクラも見ごろを迎えている。他のサクラは下向きに咲くのにミヤマザクラは葉の上に咲く。
花が小さくて目立たないので空を飛ぶ昆虫に見つけられやすいよう、視認性を良くするための生活の知恵なのであろう。


IMG_3850林道はここでお終いになりこれから柳沢川を渡って対岸に出る。滝に到達するまでこの川を4・5回、渡らなければならない。


IMG_3851橋など架かっていないので渡りやすそうな場所を探して堰堤際まで来た。ここが良さそうだ。
携行したサンダルとポールは水量が多い場合に備えて持ってきている。が、なんとか靴のままで渡れそうだ。
岩伝いに渡るのでポールは身体を安定させるために使う。


IMG_3852川を渡るとしっかりした道がついているのでそのまま川に沿って進んでいく。


IMG_3856いままで川に沿って歩いてきたがその川は2本の沢が合わさったもので、ここが合流点。
さあ、どっちへ行けばいいか、それは地図を丹念に眺めればわかる。
ここで二度目の渡渉をするが、滝に行くまで渡渉はぜんぶで5回する。


IMG_38634回目の渡渉が終わると滝が見えてくる。


IMG_3880最後の渡渉は別にしなくてもかまわないが、した方が滝の眺めがいい。


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赤岩滝に到着。5回目の渡渉をした場所からの眺め。
落差90メートルもあってこれは華厳滝に匹敵する大きさだ。
滝壺に至るまで4つの段差がありその都度、流れの形が変わる。
最上部の流れをよく眺めるとお坊さんが水行をしているのがわかる。
えっ、見えないって?
では拡大してみましょう。


IMG_3875ほら、見えるでしょ?
何人ものお坊さんが水行をしているのが(^^)


IMG_3878滝壺に泡の集まりが、、、
雨が少なく水温も高いため、多量のプランクトンが発生しているらしい。
いつもならこの水を湧かして珈琲を飲むところだが臭いも強く、飲むには適さない。


IMG_3883滝を後に次の目標地、西ノ湖へ向かうことにする。同じ道だが往路とは違った趣がある。


IMG_3886ここまで降りると沢ではなく、川と呼ぶ。この場所は滑床が美しい。


IMG_38871番目の渡渉の場所まで戻ってきた。おそらく堰堤を工事した際の名残であろう、橋が架かっていたらしい。
堰堤は昭和48年完成とあるから以後40年間、朽ちるに任せているようだ。が、こんな光景、管理人はたまらなく好きだなぁ。


IMG_3890朝歩いてきた林道に戻りこれから西ノ湖へ。


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林道は本線と合流し左へ行けばバス停に、右が目指す西ノ湖。


IMG_3902新緑のカラマツ林を10分ほど歩くと朝、通過した吊り橋に出るので渡る。


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西ノ湖の眺めがもっとも美しい場所がここ。
水がだいぶ後退しているが渇水期に比べればいい方だ。
西ノ湖は水の流入がないので雨が降らないと水はどんどん後退し、やがては全体の1/10くらいになってしまうことがある。


IMG_3937対岸の西ヶ浜。あの綿帽子のような木はズミでしょう。


IMG_3940西ノ湖を後に千手ヶ浜に向かって歩く。ここはミズナラの広葉樹林で千手ヶ原という、とても美しい林間だ。


IMG_3945おっ、エゾハルゼミの抜け殻。
体長3センチほどの小さなセミだが、いっせいに鳴くと人の話が聞こえないほどの大音響となる。


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千手ヶ浜は朝と違って波が高い。
波の上を漂っているのはオシドリだろうか?


IMG_3953疲れはまだ出ていないので4キロ/時ペースで歩ける。


IMG_3956ギンリョウソウ発見。別名、幽霊茸と呼ばれている腐生植物。


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高山への分岐、熊窪。GPSは出発してから20.7キロを記録している。
湖に沿って歩けば出発点の菖蒲ヶ浜だが時間もまだ充分あることだし、このまま帰るにはもったいない。
計画を変更して高山に登ることにしよう。


IMG_3975この分岐点のミヤマザクラも満開。


ヤマクワガタヤマクワガタ


IMG_3980高山は熊窪から一気に登れるわけではなく、高山峠までゆるやかな上りが続いた後、峠から急登する。


IMG_3988峠に至る前に小さな沢がある。手を入れると冷たい。数口、飲んでみた。


IMG_3993空が見える辺りが峠なのだがこの辺りから足がもつれるようになり、意志に反して突然、スピードダウン。
赤岩滝でパンを1ヶ半、食べただけなのでエネルギーが尽き所謂、しゃりバテになったようだ。
「本日午後、中禅寺湖で空腹により動けなくなっている老ハイカーが発見され病院に収容したが命に別状なし」。などというニュースになってはまずいが、このまま歩けばどうなるか、やってみることに。


IMG_4020遠目ではまだ咲き誇っているかに見えたトウゴクミツバツツジだが、近くまで来るとほとんど枯れる寸前。
足のもつれはますます酷くなる一方だ。
2・3歩進んでは立ち止まりの繰り返し。
息が上がるというわけではなく、足がまったく動かないのだ。
早く山頂に着いてエネルギーを補給したい(別に山頂でなくてもいいのですが)。


IMG_4002こんな場所に鎖なんかあったっけ?
しゃりバテは思考にも大きく影響している。
そういえば朝はグラノーラ50グラムに牛乳200ミリという粗食だったから、昼食と合わせてもカロリーが決定的に少なかったのだ。


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つっ、着いた~。
しゃりバテは限界を超えいまにもぶっ倒れそうだ。
山頂にある倒木にへたり込んでしまった。


IMG_4026残りのパンで600キロカロリー、行動食で180キロカロリー、計約800キロカロリーを胃に詰め込む。
ただし、食べたものがエネルギーに転換されるには時間がかかるので、ストレッチなどをしながら20分ほど待つ。


IMG_4034落ち着いたところで下山スタート。
アズマシャクナゲはほぼ終わりだ。


IMG_4037いいトレッキングコースだ。
しゃりバテは治まり、ここからは軽い走りを加えることにした。身体というのは現金なものだなぁ(^^)


IMG_4040下山口となる龍頭滝上の手前にはバイケイソウに混じってハルカラマツがかなり多くある。


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しゃりバテの症状は完全に治まりここまでほとんど走って下山した。
写真の鉄扉はシカが侵入しないようにするためのもの。


IMG_4054国道を渡って滝の流れに沿った階段を滝まで下る。


IMG_4055龍頭滝よりも標高が高い中禅寺湖畔や高山では咲き終わっているトウゴクミツバツツジがここでは見ごろを迎えている。
ここの地形と気候の特殊性にあらためて感心する。


IMG_406316:20
朝、同じ場所をスタートして8時間10分。
24.6キロを無事に歩き通してゴール。
中禅寺湖1周と距離は同じながら標高差が大きい今日のコースを、ほぼ同じ時間で歩けたのはケガの回復がより進んでいると見てよさそうだ。


登山のように自分の体重の他に数キログラム(ときには10キロ以上)の荷物を背負って上昇、下降を繰り返す場合、消費されるエネルギーは3000Kcal以上と計算されるから山行中の食事は家で食べる以上に気遣う必要がある。太るのはイヤ、などといったことは山では考えず空腹を感じたら少しでも、なんでもいいから食べる、それが疲労から逃れる術である。

管理人の経験では動きが激しければ激しいほど食欲が落ちる。したがって、一度に食べられるのはせいぜい、おにぎり1ヶと菓子パン1ヶくらいなので、時間を空けずに小まめに食べる方が消化吸収にも体力維持にもいい。おにぎり1ヶと菓子パン1ヶをエネルギー量に換算すると500~600Kcalと少ないので、これを4~5回、繰り返すことでようやく必要なエネルギーが得られることになる。

距離の長い山行だったり高低差の大きい山行で消費エネルギーが3000Kcalとすれば、おにぎり5ヶと菓子パンが5ヶ必要になる計算だ。
管理人が今回、用意したのは約400Kcalの菓子パン3ヶと1ヶ180Kcalの行動食が10ヶ、計3000Kcalである。これをすべて食べ尽くしてようやく、消費するエネルギーを補えることになるわけだが実際はどうだったのか。

写真の説明に書いたとおり、朝食はわずか300Kcal採っただけで歩き始め、赤岩滝で600Kcal食べ、その後は何も食べずに高山へ向かった。しゃりバテは山頂間近で症状が出始め山頂に辿り着いたときにはそのままへたり込むほどになっていたから、相当酷い状態であったことが理解できる。
歩き始めて高山山頂まで22.7キロメートル、7時間を日常生活でいえば1食分に相当する900Kcalで歩いたことになるのでこれでは致し方ない。
もちろん、前夜の食事で採ったエネルギーが残っていたから900Kcalと少ない量でこれだけ歩けたわけだが、今日の推定消費エネルギーの3000Kcalにはほど遠い量といえる。

ではなぜあえて、900Kcalしか摂取せずに歩き通そうとしたかといえば、高山は予定外の行動であったからだ。当初の予定とおり、高山へは向かわず朝と同じルートでスタート地点に戻れば900Kcalの食事でもしゃりバテを起こさずに済んだはずだ。
ではなぜ、900Kcalでは不足したのかそれを解明してみる。

中禅寺湖を周回するルートの熊窪が高山への分岐になる。
熊窪からスタート地点の菖蒲ヶ浜まで湖畔沿いに歩けば距離は3.8キロメートル。標高差80メートルだからほぼ平坦だ。
対して熊窪から高山を経て菖蒲ヶ浜に行くには距離5.3キロメートル、標高差400メートルをクリアしなくてはならない。この差は大きい。実際に歩いてみると違いがよくわかる。
したがって、予定を変更しようと考えた時点でこの違いを考慮して、エネルギーを補給しなくてはならなかった。それを怠った結果がしゃりバテとなったわけである。

熊窪に至る前に西ノ湖に立ち寄り、20分ほど休憩しているのでそのさいに食べればよかったのだが、その時点ではまだ高山への計画変更は予定していなかった。高山へ行くと決めたのは熊窪に着いて、帰宅するにはまだ時間が充分にあったのと、疲れも感じていなかったからだ。
それが過信となったのは間違いない。すなわち、予定のルートを変更(距離1.5キロ延長と、標高差を80Mから400Mへ)したにもかかわらず、食事計画は修正しないまま山行を続行させてしまったわけだ。
入念な事前計画こそ厳しい山行を成功するカギであると謳う管理人にとって、計画変更を想定していなかったことによるミスと言える。

それともうひとつ、管理人は10数年の登山経験でまだしゃりバテを経験していない。計画は計画とおりに遂行することを第一と考えているので、食事計画を変更する事態に直面した経験がない。それが今回のような大きな変更に対応できなかった原因になったのではないかと考え、これまでおこなってきた事前計画システムを改善しなくてはならないと感じた。

改善策として、
大前提は朝食で採るカロリー量だ。歩き始める前の最初のエネルギー補給として炭水化物を多く含む米飯は必須だ。ご飯一膳と納豆、それに生卵があれば500Kcalは採れる。シリアルと牛乳の組合せよりも山には適している。
管理人がおこなっている事前計画では目安となるポイントを設けて、ポイント間の距離と時間を表にしている。そこに食事を採るポイントを書き込もう。
そして、ポイントの要所要所に行動食で200Kcal程度、採るタイミングも入れよう。
現地で急遽、計画変更が生じた場合は予定の行動と比較してその軽重によって、その場でエネルギーを補給することにしよう。

それにしても、、、
あれだけ足がもつれ、前進するのさえ苦労したのに高山山頂で残りのパンと行動食を食べただけで元気を盛り返し、龍頭滝への下りを走り通せたのはいま思えば笑ってしまうほどだ。人間の身体とはそれほど合理的にできているのかと思い知らされた次第だ(^^)

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