古賀志山で見る花たち(2019/04/16)

2019年4月16日(火) 晴れ

今日見た花
ヒカゲツツジ、アカヤシオ、トウゴクミツバツツジ、ヤマツツジ、エイザンスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ

古賀志山に咲く花の探訪は先月末から始まって13日までで、連続6回となった。
その間、他の山には見向きもせず、古賀志山一筋。
なんと健気な、と自分でも可笑しくなるが、このブログのタイトルになっているように管理人の地元、日光の山でさえ歩いていないくらい古賀志山(独立峰だから日光の山とは完全に切り離されている)を集中的に歩いている。

この理由として、日光の山は暦の春になって降った雪が分厚く積もっていて(想像)、年老いた管理人が歩くには危険があること、それとこちらの方が理由としては大きいが、古賀志山はいま花盛りでこれを逃したら来年まで待たなくてはならないということだ。

花、特に人目を惹くような大柄で色鮮やかな種類は標高の低い古賀志山だと3月から5月まで(日光だと5月から7月)と見ごろの期間は短い。
これを見逃すと一年間というもの、山歩きの楽しみの何割かが削がれることになってしまう。
花が咲く時期になると山に登山者がどっと繰り出すのも同じ理由によるものであろう。
それほどに山と花は人を魅了するベストな組合せなのである。

管理人は6回の間にシュンランにカタクリ、アカヤシオ、ヒカゲツツジといった花を目的に訪れた。
花は標高や日差し、土壌といった環境によって同じ種類でも咲く時期が微妙に違うから、場所を選べば2週間以上も同じ花を楽しむことができる。
7回目の今日はヒカゲツツジに的を絞り、「ゴーゴーキュー」に行くことにした。
「ゴーゴーキュー」は6回のうち、3回訪れているがいずれもヒカゲツツジの開花にはまだ早く、満開までなんども行くと覚悟を決めていた。
果たして今日は、、、、

「ゴーゴーキュー」へは南からと北から、そして東からというアプローチが一般的である。
その3つに枝道が加わると10数通りになって複雑怪奇。人と出会うと「どちらから?」、「こっちから」、「ヒカゲは咲いてた?」、「あんたは?」、「あっちから」、「ヤシオはどうだい?」、「おたくは?」、「そっちから。今年はカタクリがいいよぉ」といった会話になって知らない人には異次元の話に聞こえてくる。それでも地元の人にはちゃんと通じるからすごい。

今日、管理人は宇都宮市森林公園のすぐ脇から歩き始めることにした。
「ゴーゴーキュー」へは北北東から入ることになる。
なぜ南でもなく北でもなく東からでもなく、北北東から「ゴーゴーキュー」に行くことにしたかは、最後に詳しい理由を書いておいた。地図付きで。


桧と広葉樹が適度な割合で混在した明るい林間の道。
長倉山まで緩やかな上りが続いていていい雰囲気のまま歩ける。
古賀志山山域の中で管理人のお気に入りの道である。


シュンランがまだ形を残していた。


ヤマツツジ


エイザンスミレ


長倉山、標高356メートルのピークだが地理院地図に名前は描かれていない。
ここを北に向かうと林道を挟んで鞍掛山の登山口に出る。
管理人、今日はここを西へ向かい古賀志山北尾根を歩くことにした。


大きさ5ミリほどの小さなツボスミレ。


一旦、林道に降りてふたたび山に入る。
ここからが古賀志山北尾根。


ヤマツツジ


ここは以前、桧の林だったが伐採されて北側の眺めがいい。
右から鞍掛山(492m)、425mのピーク、シゲト山(470m)でこれらを結んでいるのが鞍掛尾根。長倉山を北へ進むと画像の尾根となる。


北尾根はこの先で終わって鞍掛尾根と交わる。


このルートもアカヤシオの宝庫で、随所で見られる。


鞍掛尾根の途中で南へ分かれ、三角山に来た。
470メートルのピークだがここもご多分にもれず地理院地図に記載はない。
三角山とは遠方から見て二等辺三角形になっていることから地元の人がつけた名前(だと思う)。
ちなみに同じ形だから「おむすび山」とも呼ばれているらしい。


展望はいい。
宇都宮市街地を通して筑波山が見える。


咲いたばかりのトウゴクミツバツツジ。


さて、いよいよ559北斜面の登山口に向かう。
三角山を南に下ると林道入山線と交わるのでここを左へ進む。


エイザンスミレ


タチツボスミレ


三角山から降りて林道を東へ向かって歩くと別の林道と出合う。
そこが559から派生している北斜面であろうことをあらかじめ調べておいた。
ところがこうして来てみると荒れていて奥を見通すことができない。斜面になっていることからかろうじてこれが559の北尾根であろうとわかる程度だ。
地面には落下した桧の小枝がびっしり。
入るのを躊躇ったがここは勇気を出して一歩踏み出すことに。
入りかけたところで後から声をかけられた。
「そんなところ誰も歩いたりしないけど、どこへ行くんだい?」、と地元の人のようだ。
「ここから559へ行けそうですが?」、「559へ行くんならこの林道の終わりまで行って山へ入った方がいいよ。でも行くんなら気をつけてな」。
どうやらこの尾根は地元の人でも歩くことがないらしい。
気になったのは林道の終わりからでも559に行けるという地元の人の話だ。
なるほど、そこに別の尾根があって559に行けそうだと地図で読める。
次回の課題としよう。


案じることはなかった。
少し歩くと藪は切れ、手入れの行き届いた桧が整然と並んだ斜面となった。
とはいえ実に広い斜面なのでつかみ所がない。
まっ、地図にある尾根には間違いないので上っていくことにした。
それにしてももの凄い傾斜だ。部分的は40度近くありそう。


はっきりした尾根となりどんどん高度を上げていく。
踏跡はない。


ここで大きな岩に阻まれた。
ここをどっちへ行けばいいか、しばし迷う。
岩を右へ巻こうとすれば20センチ幅のしかも沢に向かって斜めになっている足場しかない。おそらく滑落するであろう。
選んだのは岩を左へ巻くことだった。
ここから岩の左へ回り込み、急斜面を上るしか方法がないようだ。
とはいえ桧の枯れ葉が堆積していて足に力が入らないし、立木がないので身体を上に引き上げる方法が見つからない。こうなったらもっとも原始的かつ実用的な上り方、四つん這いを採用した。
両足はつま先だけを地面に当てて膝と両手を着き、匍匐の体勢でじりじりと這い上がっていった。他人にはお見せしたくない姿勢だ。


急斜面を這い上がるとそこはなんとなく見たことがあるような道になっていた。
そうだ、これは東から559へ行く道だ。
559北尾根はここで一般(でもないが)ルートと合流したわけだ。
これで未踏のバリエーションルートを1本、つぶしたことになる。


ヒカゲツツジと出会ってホッとする。


P559へ行くにはまだ岩を上がる。


また岩、、、


お~、ここにも。
前回は13日、つい3日前に来たばかり。
まだ蕾だったが見事に咲いてくれた。


アカヤシオ


アカヤシオに混じってヒカゲツツジが咲いているのだが色が地味(単独だととてもきれい)なので目立たない。


咲いたばかりのヒカゲツツジ。
アカヤシオは古賀志山全域で見ることができるが、ヒカゲツツジは成育している場所が限られている。


ここが「ゴーゴーキュー」、559メートルのピークである。
丸太で組んだベンチがあって地元の人の憩いの場となっている。
ほんの少し前まで珍しく若者のグループで賑わっていたが管理人と入れ違いに立ち去り、その後、地元の常連さん達(もちろんご年配)がやって来て再び賑やかに。
管理人、今日はここのヒカゲツツジを観る目的でやって来た。
たっぷり観賞したのでここで昼メシとし、次の目的地である二枚岩へ向かうことにする。


日光連山をバックにまだ見ごろのアカヤシオを。


北には高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)が見える。


二枚岩へのルートもいくつかあるが、途中まで先ほど559へ来るときに使ったルートと同じにした。
先ほどの559北尾根がこの先で交わっているのでその場所をしっかりと頭に入れるためだ。


ここはさっき通過したから559北尾根の入口はもう少し先だ。
これで逆ルートも大丈夫だと思う。


559北斜面への分岐を過ぎ、二枚岩へと進む。
この斜面を下りるとカタクリの小群落があり、そこから上りに転じる。


気持ちのいい尾根歩きの最後に二枚岩と森林公園駐車場との分岐がある。
まずは二枚岩へ行き、ここへ戻って森林公園駐車場へと向かうつもり。


二枚岩。
年配女性4人組とご夫婦の先着あり。


二枚岩のすぐ脇にあるトウゴクミツバツツジが見頃を迎えていた。
3日前はまだ蕾だった。


ここのヒカゲツツジは559よりも1週間ほど早く咲く。
そろそろ萎れる時期だが寒の戻りで結構長持ちしている。


先ほどの分岐まで戻りここから森林公園駐車場へ向かう。
このルートの存在は前から知っていたがアスファルトの林道歩きを強いられる上に距離も短いため敬遠していたのだ。いつでもいいやという気持ちがそうさせた。
とはいえ、バリエーションルートをすべて歩くという目標を持つ管理人、そうもいっていられない。559への未踏ルートを歩き終え、ヒカゲツツジを見終わって今日の予定を消化したのでいい機会となった。


途中での眺め。


桧が混み入ってきた。
林道が近い感じ。


林道に出た。
13日はこの林道から二枚岩を目指したところ、取り付き点(この画像の部分)を見落として林道の終点まで行って尾根に取りついた。取り付き点はこんなにわかりやすい場所にあったのね(笑)。


ここで別の林道と合流。
このまま歩いて行けば森林公園の駐車場に着く。


林道脇にはエイザンスミレがいっぱい。


駐車場に隣接する赤川ダム。
サクラが満開だった。


時間も早いことだし、この景色をたっぷり味わってから帰ろう。


赤川ダムでのんびりしたもののまだこんな時間。
これじゃ家に帰ってすぐビールというわけにもいかんな(笑)。


青線は前回13日の軌跡。赤線が今回。
「ゴーゴーキュー」とは古賀志山の北に位置する559メートルのピークのことで、地元の登山者の間で「ゴーゴーキュー」で通じるくらいよく知られている。広場になっていて展望がいい。
管理人は今日、三角山から林道(黒の細い実線)に降り、次にそこを取付点として559から張り出している尾根を上って「ゴーゴーキュー」に至った。
この尾根は初めて歩くルート(踏跡はない)であった。

昨年末、このブログをよく読んでくれているという男性が我が家を訪ねてくれて、しばし山の話をして分かれた。
男性は小山市(栃木県)在住のArさんで登山歴40年以上、BCスキーではかなり難易度の高い山を楽しんでいることが話から知れた。
登山もBCもほとんど単独行、古賀志山のことにも詳しいが、それを鼻にかける様子はまったくなく、いたって謙虚という印象をもった。
その後、メールで情報交換するうちに教えてもらったのが、上に書いたように林道から南南西に向かって559に至るルートだった。
管理人、古賀志山のバリエーションルートはこれまでずいぶん歩いたつもりだが、Arさん推奨のそれは未体験であり、管理人の気持ちをそそったのは言うまでもない。

問題は登り口へ行くまでのアプローチである。
もっとも簡単なのは駐車場から延びているアスファルトの林道を北上することだが、それではあまりにも単調だし面白みがない。花を探す目的もあるのでここは頭の使いどころだ。
できるだけ林道を歩かずに登り口まで行く方法はないかと考えたのが上の図(赤線)のルートである。これなら周回ルートになるしアカヤシオを見ることができるかも知れないという期待もあった。管理人にしてはいいルートを考えついたものだ。
ただし、二枚岩からの帰りは未踏ルートで林道に降りる必要上、赤川ダムへはアスファルトの林道歩きはやむを得ないと考えた。

古賀志山山域の花廻りも回数を重ね、お目当てとする花を十分楽しんだ。
他に見たいのはヒメイワカガミツクバキンモンソウだがそろそろ他の山に気持ちを切り替えたいとも思う。
GWが終わったらまず、残雪の会津駒ヶ岳だ。
花にはまだ早すぎるが会津駒ヶ岳の雪の稜線はとても美しい。
次はミズバショウ咲く尾瀨に行ってみたい。
ミズバショウを観る目的で尾瀬に行くなんて時間の無駄だし馬鹿らしいと思っていたが、一昨年、燧ヶ岳に上ったときに見たミズバショウは確かに人を魅了する美しさに溢れていた。今年はそれを観るだけの目的で尾瀬に行きたいと思っている。
その次は田代山と尾瀨のワタスゲだ。
広大な湿原を純白のワタスゲが埋め尽くす風景を、この目で見ることができるのが田代山や尾瀨なのだ。

日光の山とは疎遠になるばかりで、このブログのタイトル「春夏秋冬、日光を歩こう!」の運営者として心苦しく思っているのがいまの管理人の心境である。
いずれ「春夏秋冬、日光を歩こう!」改め、「春夏秋冬、ときどき日光を歩こう!」に改題する日が訪れるかも(笑)