まだ見応えのある雲竜瀑、そして雲竜渓谷の氷柱群(今年3回目)。

2019年3月5日(火) 快晴

今年の1月、例年ならスノーシューツアーで忙しくスノーシューのフィールド以外はどこも訪れることなどなかったのに、今年は暖冬少雪の予報通り日光は雪が降らず、ツアーが開幕できたのは2月になってからだった。
ではその間、暇をもて余していたのかと言えばそんなことはなく、時間をフィールドの下見に費やすことが多かった。今年は一体、どれほど下見を重ねたことか。
しかし、下見の結果、ゴーサインを出せるような状況であれば救われるというものだが、毎回のようにがっかりして帰ってくる始末で気持ちは腐っていた。
なにしろオフシーズンで観光客が見込まれない冬場は、スノーシューツアーは大切な売上げですもんね。

金庫の中は空っぽでも気持ちだけは幸福感で満たしたい。
よっし、ツアーで忙しい例年であれば行くことのできない雲竜瀑へ、今年こそ行こう!
行って「福」を呼び込むことにしよう、となんの根拠もない動機付けだが、雪のない日光連山を恨めしげに眺めながら日々を過ごすよりも健康的でいいだろう。

滝は雪の多い少ないにかかわらず、気温が下がれば凍ってくれるのがありがたい。
暖冬とはいえ山の夜はマイナス10度以下になる。少し凍りかければあとは時間が解決してくれるから、下見は一度やれば十分である。

雪は降らないが寒い日が続いた1月。満を持して行ってみたのが15日だった。そして1週間後の22日にも。この両日のブログに詳しく書いておいたが雲竜瀑へ行くのに、快適化を図ることを管理人は課題とした。
ウンザリするほど長い林道歩きをどうすれば回避できるのか、管理人の関心事はその一点に尽きる。
クネクネ曲がったアスファルトの上り坂を好んで歩きたいという人はおそらく少数派ではないだろうか。
管理人ももちろん、そんな歩きは遠慮したい。もっと快適に歩きたいと思っている。
だからその解決策を考える。それを1月のブログに書いたところだ。

ただし、課題が残った。
どうしても腑に落ちないことがあるのだ。
それを今日の雲竜瀑でもう一度、検証してみたかった。
もちろん凍っている雲竜瀑と巨大な氷柱を見学することも。

1月15日の雲竜瀑
1月22日の雲竜瀑

メモ
・歩行距離:14.5キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間44分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1268メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

稲荷川の左岸へ向かう工事用の林道。
この道はつづら折りをショートカットする道として1月に実踏済み。


稲荷川にかかる第10砂防堰堤からの眺め。
遠方に女峰山とは峰続きの山並みが昨日の雪で白い輝きを魅せている。
左の大きな山は前女峰(錫杖嶽)、右に見えるギザギザは赤薙山の南に位置する無名のピークや奥社跡。女峰山は前女峰に隠れ、赤薙山は無名峰に隠れてここからでは見えない。


日向ダムに到達。
これからあの堰堤の上に。


急斜面を上がりきると日向ダムに乗る。


日向ダムから進行方向を眺める。
先ほどの山並みのうち、前女峰がよりいっそう大きく見えるようになった。
ちなみに稲荷川(一級河川)と呼ばれるのはここまでで、これから先上流は雲竜渓谷と名称が変わる。


さてと、これから渡渉の連続である。
この辺りの沢の氷はすっかり解けて沢幅が広くなっている。
渡渉点を探すのが厳冬期よりも難しい。
クツの中を濡らす覚悟であれば沢のどこでも渡ればいいが、クツの中に水が侵入するのは真夏でも嫌なものだし、ここは慎重に渡ろう。
どうしても渡れないような状況になったときのために、長靴を持参したので問題はない。


およっ、なんと、氷柱がまだ解けずに残っているぞ。
これから先が楽しみ。


もちろん、解けて水が流れているのもある。
地面からしみ出た流れが気温の低下で少しずつ凍り、時間の経過にしたがって見事な氷柱になる。


ショートカットのルートもここまでで、この辺りで林道に乗らなければならない。
その前に流れの左岸から右岸に渡渉し、昨日の雪が積もった急斜面を上がる必要がある。
画像の人物は柏市に在住のKさんで、「白山ジオトレイル」など管理人には想像することさえできない過酷な山岳マラソンで多くの実績をもつ。
XCスキーの愛好家でもあり、日光とは馴染みが深い。
とはいえ、日光の奥地については管理人の方が馴染んでいることから、今日は管理人が道案内を努めることになった。


渡渉を終えて林道へ向かって急斜面を這い上る。
チェーンスパイクはまだ着けていないので足の置き場を慎重に選んで上ります。
なお、帰りは安全重視でここは通らず、林道を歩くことにしよう。


急斜面を這い上がって「洞門岩」の手前に出て、次のつづら折りのショートカットを目指す。


ここでもう一度、雲竜渓谷の河原に降りる。
ちなみにここにある「洞門岩」本体は現在、見ることはできない。
かなり前に崩落して今はその姿はない、と奥村隆志著「日光四十八滝を歩く」にある。


雲竜渓谷にあらたに建設中の砂防堰堤。
コンクリート製の堰堤の間に鉄パイプで櫓を組み、そこを水の通り道とする造りである。上流から流れてきた大きな岩や流木をここでくい止める役割がある。
冒頭で書いた課題とは、林道のつづら折りを回避するためここからショートカットしようというものである。過去二度、取り付き点が見つからず、今日で三度目の探索となった。
工事は冬の間、休むのと、堰堤が完成すればここに水が流れることになるから探索は今しかできない。


これがどうやら地図に描かれている尾根。
堰堤建設の必要上、尾根が削り取られ、そのため尾根に取り付く方法がなくなってしまったことがわかる。60度もあるこの削り取られた脆い斜面を上る気にはとてもじゃないが、なれない。
ふたつ目のつづら折り回避の方法は断たれたといえる。
これで過去二度にわたる探索での課題は解決した。
残念な方向へだが。


再び林道に戻ってつづら折りを歩くことにした。


ここから階段を降りて渓谷に入る。
これがノーマルルート。


厳冬期には沢の表面が氷に覆われるので渡渉は楽だが、さすがに3月ともなるとご覧の通り。
もっとも安全なポイントを選んで渡るようにする。
それが困難なことに備えて長靴を持参してきたが、今のところ出番はない。


「友知らず」に差しかかると両側から岩壁が迫り、まさしく氷のカーテン。渓谷美となる。


巨大氷柱はまだ健在だった。


氷柱の下部を見ると解けて落下した大きな氷魂が堆積している。
こんな塊にやられたら人間なんてひとたまりもないだろうな。
君子危うきに近寄らず、ですだ。


振り返って巨大氷柱を眺める。


根元からぷっつり折れた氷柱もあった。


雲竜瀑の全貌を見るポイントがこの辺り。
中央の筋状のが雲竜瀑だが凍っているためよくわからない。
時期をずらして訪れるとその荘厳な姿がよくわかると思う。


落差180メートルの雲竜瀑を見上げる。
ただし、ここまで近づくと上部は岩の陰に隠れて見えなくなる。


雪氷が解けて水量が増すと今日の渡渉で使った岩は水の下に隠れてしまい、渡渉は困難になる。
そのため、これからの季節に雲竜瀑を訪れる(そんな人いないと思うが)には長靴は必須と言える。それと長靴は雨の日に履く普通の長靴ではなく田植え作業用として販売している、足に密着する細身のがいい。
普通の長靴は足との間のすき間が大きく、すなわち空気が入り込むため浮力が生じて水の中で転倒する恐れがあるのだ。


長靴といえども苔の生えた水中では滑る。
そのため万全を期してチェーンスパイクがあるとより安全である(特に勧めることはしませんが)。
今日は登山靴用にMサイズを、登山靴よりも小さい長靴用にSサイズを持参した。


昨日降った雪と氷柱を眺めながらの昼食を終えた。
まだ早いが帰るとしよう。
沢が流れているくらいだから帰りは下りである。
出発前にここでチェーンスパイクを装着した。


これは「つばめ岩」だったかな?


厳冬期と同じくらい、アイスブルーを保っている氷柱。


帰りはあえてショートカットせず、つづら折りの林道を歩くことにした。
Kさん曰く、このくらいの傾斜だとXCスキーで快適に滑ることができるとのこと。
まっ、その道の達人ならまだしも、つづら折りを曲がり切れずそのまま谷底へということもあるから管理人はやりませんが(笑)


「洞門岩」を通過。
朝は人の姿を見なかったが堰堤の工事は再開されたようだ。


日向ダムを見下ろす展望台でひと休み。


先ほど歩いた日向ダムを見下ろす。
遠方には赤薙山の南に位置する山並みが見える。
気持ちが安らぎますな~、こういう眺めは。


朝と同じく、車は管理人のが1台のみ。


管理人、アスファルトにしろ砂利道にしろ、ダラダラと続く林道を苦手とする。
林道は多くの場合、林の中に敷設されているので景色が楽しめないし、歩いているうちに眠気をもよおしてくる。
だから、古賀志山の岩場のように鎖やロープで一気に標高を稼ぐような上り方を好む。

ゲートから雲竜瀑までの片道距離7キロのうち、渓谷入口の階段までが6キロと長い。
その6キロの中にふたつのつづら折りが含まれ、つづら折りだけで4.2キロもある。
そのつづら折りを回避できれば雲竜瀑はもっと身近な存在となると同時に快適化する(なにしろ自宅から車で15分も走れば車止めのゲートである)。
お客さん相手のツアーとして組み込むことも可能になる。
ふたつのつづら折りのうち、ひとつは回避策が見つかったが、今日の探索によってもうひとつはどうやっても困難なことが確実であることがわかった。
さあ、どうする?

お客さん視点で見れば目的は凍った雲竜瀑と巨大氷柱に出合うことであり、その前行程など問題ではないのかもしれない。
そうであれば長い林道歩きを気にかけるのは管理人の取り越し苦労かもしれない。
来年は条件付きで雲竜瀑ツアーをやってみるか?
今年と同じように雪不足でスノーシューツアーが開催できず、管理人が暇を持て余している日、というのがその条件。いや、そんな条件が毎年続いたら大変なことになってしまう(笑)
対象は健脚の人で山岳保険加入者、開催は平日限定、前泊必須で朝5時出発といったところかな。