スノーシューツアーの下見で刈込湖へ。雪質まずまず。これにて開幕!

小峠

2019年2月4日(月) 小雪

情けない話だが2月に突入したにもかかわらず、管理人の冬場の主な収入源であるスノーシューツアーが開幕できていない。

観光という観点で見ると冬は日光全体がオフシーズンであり、あの東照宮でさえ人出が減る。
宿泊施設も自ずと客が減る。だから、そんな状況から抜け出そうと、1998年に始めたのがスノーシューツアーであった。
以来、今年で21年。
この冬はまだ一日も開催していない。
努力不足で低迷?
いや、やりたくても雪がないという物理的な理由で、お客さんを呼べないのだ。

前々回、前回のブログにも書いたが、雪不足は数年前からその兆候が現れている。きっと世界規模で起こっている気候変動の影響に違いないのだが、この冬は顕著だ。そのメカニズムのことを詳しくは知らないが、気候変動の影響が関東屈指の自然の宝庫、日光にも確実に迫っていることを、ここ数年で実感するようになった。雪の上を歩くというアクティビティを目的とするには、雪がなくてはどうすることもできない。

下見は毎年、12月末から始める。
その一回だけで開幕を宣言できる年がある一方で、年が明けても雪が積もらず気をもむことがある。今年はそれが顕著である。
いまだかつて、2月になってスノーシューツアーができないことなどなかったが、今年はまさにそれなのだ。

下見はこのブログに留めたのを含みこの冬になってすでに6回おこなっていて、そのたびに失望して帰ってくる。
管理人のホーム、霧降高原の丸山コースはつい先日の雨で壊滅的なダメージを受けた。これから2・3回、計60センチほどの積雪がないと回復は難しいだろう。
光徳周辺は雪が積もっていない。
湯元の金精沢ならスノーシューで歩けるが、簡単すぎて当ペンションのお客さんには向かない。
それで今日もお客さんに満足してもらえるようなフィールドを探しに下見なのである。

場所は刈込湖にした。
金精沢は良質の雪で人気のある丸沼スキー場に近いが、刈込湖は日光北部に位置し雪深い栗山に近い。
先日、金精沢を見た際に刈込湖は期待できそうな感触が得られたのだ。例によって歩き始める前にあちこちに立ち寄って記録を。
いろは坂が終わって中禅寺湖に出ると二荒山神社の大鳥居が国道を跨いでいる。
その路肩に車を停めると「社山=しゃざん」が正面に見える。
2千メートルに満たない山だがいい形をしている。
ところで、中禅寺湖の水面が白くなっているのがわかるが、これは強風による白波。とにかくもの凄い風だった。この波によって「飛沫氷=しぶきごおり」が造られるのも納得がゆく。
山の中もこんなだろうか?


続いてバス停の「赤沼」。
小田代ケ原と戦場ヶ原の入口に当たる。
ここはトイレ専用の駐車スペースになっていて、例年なら除雪した雪が四阿の脇に積まれているのにまったくない。12月末にまとまった雪が降って以来、増えていないのだ。奥に見えるミズナラ林の笹はこの時期になってもまだボウボウ。
にもかかわらず、バスを降りた目の前がハイキングコースという便利さが人気となって、土日ともなるとここから小田代ケ原や戦場ヶ原に向かってスノーシューで歩く人が絶えない。
かくいう管理人も11日(月)のツアーはここを起点にして小田代ケ原に向かって歩くことになるのだが、、、
結果はブログでご覧ください。


続いて光徳。
ここも管理人のスノーシューコースになっているのだが雪がまったく増えていない。


湯元の市営駐車場に着きこれから身支度を開始するところ。
赤沼の四阿と同じく、例年だと車の前に除雪した雪がうずたかく積まれるのだが、今年はご覧の通り。
湯元は日光市(旧日光市)の中で積雪が多いエリアなのにこの少なさは異常といえる。


温泉の源泉。
小屋の地下から湧き出した温泉が各旅館に供給されている。
おやっ、なにやらみぞれっぽいのが落ちてきた。雪に変わってくれればありがたい。


歩き始めるといきなり、急登を強いられる。
10分の我慢だが、ここで足を使ってしまうと後が続かないので意識してゆっくり歩く。
雪が多い年だと両側の木々から枝が迫って歩くのにじゃまだが、今年はスイスイ歩ける。


金精道路と合流したところが刈込湖コースの入口。
ここで夏道と冬道に分岐するが夏道は三岳(みつだけ)のすそ野を横切るようについているため、積雪時はとても歩きにくい。そして、規模は小さいが雪崩も多い。
その点、冬道は歩きやすいのと、冬しか行くことができない「蓼ノ湖=たでのうみ」を見ることができる。ただし、その後の上りがちょっと大変。


冬道は同じ場所の「2」から下へ向かって下りていく。
雪のない時期だとここに背丈ほどの笹が生い茂り入っていけない。
ここで夏道を行こうとしていた80歳前後とおぼしき男性と遭遇。冬道の存在を教えてあげた。


これが蓼ノ湖。
ちょっと大きめの池といった感じで、水深が浅いから冬は凍る。
ただし、対岸は沢から水が流入しているため凍ることはない。


湖岸を歩いて沢の流入近くへ来るとこんな光景と出合える。
全面が凍った湖だとただ広いだけの雪原という殺風景さだが、蓼ノ湖のように水面が見えた方が写真の被写体としてはいい。


ここまで圧雪された状態だったのでチェーンスパイクで歩いて来た。
どこまで潜らずに行けるのか試してみたい。
なお、中禅寺湖畔であれほど強く吹いていた風はここ、林間ではまったく感じない。


小峠に向かう林間。
コメツガとシラビソが多いので真冬でも青々としている。
この辺りまで件の男性と歩いて来たが話し好きで途切れることがない。
この先で若い女性2人組と遭遇。男性の関心は管理人ではなく、女性に移った。
これでひとりになれる。


小峠着。
ここで先行していた2人組と男性に合流。またまた男性のペースに巻き込まれる。

ここでもやはり雪が少ない。これで60センチくらいだから例年だと12月並の積雪。
ちなみにだいぶ前にこの支柱の高さを測ったことがあり、230センチだった。
その支柱が隠れるほどの積雪があったことを覚えている→こちら(2015年3月)


小峠のすぐ先で道は再び夏道(右)と冬道(左)に分岐する。
夏道は刈込湖の手前300メートルから階段で急降下するようになっていて、脚力の弱い人には難しいかもわからない。冬道は緩やかな下りのまま刈込湖に行けるのでお勧め。
管理人のツアーでは夏道→冬道でここへ戻ってくる。
夏道は大変だからと、2人組と男性に言い残し、管理人は夏道へ。今日は下見だからひとりで観察しながら歩き通したかったのだよ。


夏道はファンタジー映画に出てくるような幻想的な(でもない?)林間を歩くことができます。
ただし、階段までは(笑)
歩き始めのみぞれは細かい雪に変わった。ここで数ミリの新雪となっている。


さあ、ここから階段。
ずいぶん前に階段の数を調べたことがあり、確か12ヶだったかな、それをぜんぶ降りきると刈込湖に着く。


階段が見える。
そんなの当たり前じゃん、と思われるだろうが、雪にすっぽり覆われてまったく見えなくなることも、数年に一度はある。
そうなるとどこを歩いていいのかわからず苦労する。適当に下っていったら冬道に出てしまったり、湖岸に降りてしまったこともある。


1時間半かかって刈込湖に到着。
今は厳冬期なので例年だと全面結氷しているはずだが、中央部を見ると透けて見え、氷が薄いことがうかがえる。雪が少ないばかりか気温も下がっていないように見える。
余談だが、管理人が経験した最低気温は必ず、ここで記録している。
マイナス17度が1回、同15度を2回経験している。
その上に風が強かったので体感だとマイナス20度以上。これには堪えた。
鼻水は凍るわ涙が出てそれが凍るわ、顔がこわばって話もできないわで大変な思いをしたことがあった。
きっと三千メートル級の山をやる人も同じような経験をするのだろうな。


風を避けるため林間に入って昼メシとし、帰ることにした。
帰りは夏道よりも雪が深い冬道を選んだのでここでチェーンスパイクをスノーシューに替えた。


雪の降り始めの頃は倒木や岩が露出していてとても歩けたものではない。
それらの上に雪がたっぷり積もって初めて歩けるようになるのだが、今年はすべての岩を隠すほどではなく、まだ歩きにくい。


「どびん沢」を通過。
変わった名前の沢だが、地理院地図を眺めていると沢の地形がなんとなく「土瓶」に見えてくる。昔はこの辺が猟場になっていて、それに気づいた猟師が名前をつけたのではないかと想像してしまう。


ここで夏道と合流する。
この先が小峠。


小峠から蓼ノ湖に向かって下る。
この位置から見る蓼ノ湖もまたいい。


マガモの家族が5羽、エサを探して氷の上と水の中を行ったり来たりしていたが、管理人の足音に驚いて飛び去っていった。
なお、ここにはカワガラスという鳥(色が黒いというだけでカラスではない)も棲みついている。


金精道路


源泉まで降りて下見は終わった。
ピーク時に比べると雪はまだ半分くらいだが、刈込湖ならお客さんに満足してもらえるであろう。