南会津・花三昧の旅、1日目は尾瀬三条ノ滝へ。濡れた木道でこけまくる。

2017年8月1日 小雨

御池~天神田代~兎田代分岐~三条ノ滝~赤田代~<段吉新道>~兎田代分岐~天神田代~御池

3日続く山行なのでいつものように序はやめにして、先を急ごう(たぶん後で追加するでしょう)。

冒険ではあったが思いきって日光から檜枝岐への最短ルートを走ってみることにした。
ここがその入口。檜枝岐までわずか13キロしかない。
冒険とは、、、ここへ来るまで実際に檜枝岐に行けるかどうかわからないということにある。
ほとんど使われない林道ゆえ崩落で通行止めになることがあり、実際、昨年9月、地図に道があることを発見したのでトライしたとき、ここのゲートが閉まっていて、引き返したことがあった。
そうなるととんでもない遠回りを強いられることになるのだ。
2度目のトライということになるがもしもダメなら遠回りになるがもう1本、別の林道(これはしっかりした道)で檜枝岐に行くことにしよう。


ゲートは幸いなことに閉じてはいなかった。
しかし使われていない林道なので斜面や路肩に崩落があって、先へ進めないかもわからない。
そんなリスクはあるが、檜枝岐への最短ルートというのは大きな魅力があり捨てがたい。

こんな幻想的な光景が、、、リスクを冒して踏み込んだ甲斐はあった。
まるで上高地の大正池のような、でもないか(笑)


案の定、斜面の崩落があった。
道の1/3が塞がっている。
路肩から転落しないよう、片輪を崩れた部分に乗り上げて進んだ。


ここはちょうど、栃木県と福島県の県境、馬坂峠だ。
中央分水嶺の峠でもある。
振り返ると通行止めの案内板が設置されていて、福島県側から日光へは行けないかのように見える。でもその反対、日光からは通行止めの案内もないことからこうして来れてしまった。
ここから林道は福島県側を走るが栃木県側に比べると林道とはいえ整備され、走りやすい。


林道は国道352号線の檜枝岐中心部で交わる。
左折して20分ほど走ると尾瀬ハイキングの起点となる御池駐車場に着く。
いつものように国道を利用すれば自宅から3時間で来れるところなのに悪路を走ったために、返って時間がかかり4時間半もかかってしまった。まっ、なにごとも経験が大切。


御池から尾瀬に入る道は数本あり、三条ノ滝へは駐車場の奥まで進んでこの木道を探す。


今日から三日間は花を探し求める旅なので、どんな小さな花も見落とさないよう、注意深く歩く。
日光の花の盛りは7月だが、より北に位置する尾瀬は8月のようだ。
目立つ花が多い。これはモミジカラマツ。


カニコウモリ


歩き始めてすぐ、燧ヶ岳との分岐に差しかかるので三条ノ滝へは尾瀬ヶ原(見晴)への道を進む。


コオニユリ


ノアザミ


この湿原ではニッコウキスゲがちらほら見られた。


オタカラコウ、和名は雄宝香と書く。


サワラン


キンコウカ


ノメリ田代付近のワタスゲ。
戦場ヶ原のワタスゲも見応えがあるがここのもいい。


コオニユリ


ゴゼンタチバナ


湿原はノメリ田代から上田代へと変わった。


コバギボウシとキンコウカ


先ほどのサワランと形が似ているがこちらは色がやや薄い。
それにサワランは横向きに咲くが上を向いている。
別の花なんだろうか?


御池から三条ノ滝の滝に至る燧裏林道は大小の湿原が続く。
中でも上田代湿原は最も大きい。


入深沢にかかる木橋。
濡れた木は滑るので慎重に慎重に、、、


ヤグルマソウが花をつけていた。


ヤグルマソウの花をマクロで撮ってみると白い粒それぞれ花であることがわかる。


行程のちょうど中間に当たる天神田代だが笹の侵入が激しく、もはや湿原(田代とは湿原のこと)とはいえないようだ。


天神田代を過ぎると湿原は樹林帯に変わりブナが目立つ。


裏燧橋と書かれた吊り橋を渡る。
けっこうな揺れですこと(笑)


今日は歩き始めから霧→小雨→霧と目まぐるしく変化するあいにくの天候で、8月だというのに日差しがまったくない。


 

やっと三条ノ滝への案内板がでてきた。
でもまだ1.2キロもある。


支柱が朽ち横倒しになった案内板。
地中の水分が多いのだろう。


うへっ、とんでもなく急な階段だ。
踏み外しそうな恐怖が、、、


書かれている意味がわからず、立ち止まってしばらく考えたがやはりわからない。


道の行き止まり、眼下に木製のテラスが見える。
あそこへ行くにも急な階段を降りる必要があった。


テラスに降り立つと目の前にごうごうと音をたてて流れ落ちる巨大な滝があった。
落差は80メートルと華厳滝にほんのわずかに届かないが、その迫力たるやものすごい。
テラスが小刻みに震動していることに気づいたのは滝の迫力に慣れた頃だった。
地震か? と思ったが震動はほぼ一定で、それに収まる気配がない。滝が落ちる勢いが強く、地盤が震動しているのだ。
日光の滝はずいぶん訪ねたがこんな経験はしたことがない。恐るべし尾瀬の滝。


滝の上部をズームで。


中段部分


滝壺(水しぶきで見えない)。


三条ノ滝の凄さを動画でどうぞ。


今日の目的は達したのでこれからどうするか?
明日は会津駒の予定なので今夜は泊まる必要があるが、宿の予約はしていない。車中で寝るつもりだ。
したがって帰りの時間は決めていない。日没までに御池にたどり着き、それから村営の温泉に浸かって明日への活力を取り戻す、そんなつもりだ。
せっかくここまで来たのだからもう少し先を歩くのもいいかもしれない。
裏燧林道まで戻ってここから尾瀬ヶ原(見晴)の方へ行ってみよう。


三条ノ滝になる只見川に沿って歩くとやがて2軒の山小屋がならぶ場所に着いた。赤田代である。


ノアザミ


小ぶりの湿原でこのまま進むと見晴に至る。
時間はこれが限界と見た。


同じ道を戻って無料休憩所を通り過ぎると分岐する。
ここを御池の方へ行くとこの区間だけ別の道を歩ける。


雨に濡れて滑りやすくなっている木道が続いている。
尾瀬といえば美しい湿原がどこまでも続いているようなイメージを抱くが、ここはそんなイメージとはかけ離れてうら寂しい。


たぶんトリアシショウマだがヤマブキショウマの可能性もある。トリアシの線が濃厚だが。


ここで裏燧林道と交わり同じ道で御池に戻ることになる。


先ほどの裏燧橋を見上げる。


ほんの少しの間、ブナを中心とした林間を歩く。


花が開いていないのでよくわからないが、葉っぱの特徴から察してオトギリソウだと思う。


なんとも奇妙な花を見つけたのでしゃがみ込んで観察するが、管理人の記憶に該当する花がない。
よく見ると雄しべも雌しべも見あたらない。ということは、これは咲き終わった花ということか?
そうか、ショウジョウバカマがこんな形をしていたな。間違いないであろう。

→あとでチングルマの花後であることがわかった。


往復7時間かかって御池に戻ってきた。
昭文社「山と高原地図」に記載されている標準時間も7時間なのでまずまずか。
ただし、管理人の場合、一度の山行で写真を300枚近く撮る。花を撮るのにしゃがみ込んだり寝そべったりするので時間がかかる。
それに今日は濡れた木道で滑って転ぶこと3回。
それを考えたら雨中の山行としては上出来だろう。