2017年7月6日(木)~7月7日(金)
7月6日
滝沢登山口(7:00)~水場(8:30)~駒ノ小屋(9:53)~駒ヶ岳(10:28)~中門岳(11:17)~駒ヶ岳(12:48)~駒ノ小屋(13:20/宿泊)
※駒ノ小屋から中門岳は残雪多い。
※前日17時に檜枝岐に着いて車中泊。
7月7日
駒ノ小屋(4:48)~大津岐(6:50)~大杉岳(9:33)~御池(10:30)
※花多数。撮影に多くの時間を費やした。
昨年10月、初めて訪れた会津駒ヶ岳の雄大さに魅了されてからというもの地元、日光から離れて福島の山ばかりを登るようになり、すっかり「福島の人」と化した管理人だが、先週の燧ヶ岳に続いて今日は会津駒ヶ岳(以下、会津駒)だ。
会津駒は山頂を中心にして高層湿原が広がり、雪解けの季節になると高山植物の宝庫になるといわれている。
昨年10月に来たときその広い湿原を見て、ここに花が咲いたらさぞかし見事だろうなぁと思い、花の季節が訪れるのを心待ちにしていたのだ。
いや、花の季節だけではない。山頂までなだらかな傾斜が続く地形は雪の季節でも危険がないように思えた。とはいっても豪雪地帯の山なので雪は3メートルにも達するらしい。そんな時期に行ったら10メートル進むのに精いっぱい頑張ってラッセルをしても1時間はかかる。行くとすれば雪が落ち着く4月か5月ということになろう。
そんな考えがあったものだから実は今年5月、来年の下見を兼ねて行ってみた→こちら
残雪の会津駒は期待に違わず、5月も半ばだというのに雪はたっぷり。危ない場所もないことを知って帰ってきた。来年はもう少し雪の多い時期に行ってみよう。
あれから2ヶ月、いくら豪雪の山でも7月になった今、まさか雪の上を歩くようなことはないだろう。
湿原には高山植物が咲き誇り、山全体が花の楽園になっているはずだ。
持参するカメラは最高画質で2000枚を記録できるSDカードが入っている。予備のバッテリも携行する。さらには花をマクロで撮りたいので別にもう1台、持参することにした。
国道を離れ村道を上っていくと道は行き止まりになり、そこに20台ほど駐まれる駐車場がある。
平日のこの時間、すでに8台の先着があった。昨年の10月に来たときは6時だというのに満車のことがあった。
ここが滝沢登山口。
登山ポストに計画書を入れて階段を上がる。
コースはブナが多い。樹林帯なので眺めはよくないが明るくまた、歩きやすい。
角材を組んで敷設された階段をペースを乱さないように登っていく。
雪が現れたが5月とは違ってすでにアイゼンなど必要としないほど少なくなっている。
木々のすき間から実になだらかな稜線が覗き見える。
方向が北なので会津駒から北東に延びる稜線にある大戸沢岳(2089m)だ。
前方右手に会津駒が見えてきた。
今日はあの山頂に立ち、それから中門岳まで湿原をゆっくり歩くつもりだ。
天気がいいので湿原に咲く花が浮かんで見えることだろう。
駒ノ小屋へと続く木道の両側は湿原。とても気持ちよく歩ける。
前方に今日の宿泊地、駒ノ小屋が小さく見える。
駒ノ小屋への最後の斜面。
まるでスキー場のゲレンデを思わせるような広い斜面。山を歩いているという感じがしない。
今夜の宿泊場所、駒ノ小屋に到着。
とはいってもこんなに早い時間に泊まるわけにはいかない。
これから会津駒に登りさらに中門岳まで行く予定だからチェックインは14時ころになるだろう。
雪の上に段ボールが10数箱、積まれている。
先ほどから上空を飛ぶヘリコプターの音が気になっていたが駒ノ小屋へ物資を運んでいたらしい。
山での飲食は高価と言われるが運搬費を考えるとやむを得ないと思う。
駒ノ小屋から見る会津駒。
手前の雪が消えるとそこに実に美しい池、駒の大池が出現するのだが、、、昨年10月、同じ場所から。
通算、4回目の登頂。
昨年10月に2週続けて登ったのと今年5月と今日だ。
すぐ近くにショウジョウバカマが、、
奥日光で見ることはできないがここではごく当たり前のように見かけた。
さて、これから中門岳に向かうのだがものすごい霧だ。
ついさっきまで青空だったのに急転直下、山特有の天候の変化である。
会津駒から中門岳へのルートは時折、木道が現れるが多くは雪に埋もれている。
雪が消えて地温が上がればたくさんの花が咲くのだろうがこの辺はまだかなり先になると思う。
中門岳に到着。
山名が刻まれたこの柱が立っている場所は標高2040メートルの位置で、地図によると山頂はこの先2060メートルとなっている。
柱をよく見るとそのへんのことは承知しているらしく、中門岳とはこの辺一帯をさすのだと刻まれている。
地図の山頂まですぐなので足を延ばすことにしよう。
ここが地図にある標高2060メートルの中門岳。
やや大きい池塘があって。木道もここで終わっている。
天候は相変わらずだが昼時になったのでここで昼メシとしよう。
30分ほど時間をかけて菓子パンを食べ、駒ノ小屋へと折り返す。
花芽をつけた針葉樹。
特定できなかったので帰宅して調べたところ、どうやらシラビソとその花らしいことがわかった。
キヌガサソウ
遠目にはミヤマエンレイソウかと思い喜んだのだが葉っぱの形も枚数も違っていた。
いい稜線だとつくづく思う。
雪が消え、湿原と木道が現れると稜線の美しさは際立って見える。
無事に駒ノ小屋に到着。
このまま下山するのに十分早い時間だがこの小屋にはぜひとも泊まってみたかったのだ。
前の画像の三角屋根の部分が寝室になっていて、部屋はふたつある。
男女別というわけではなく、夫婦や男女のグループなら同室になる。単独者はそのどちらかと同室になる。
布団は14組、すべてを敷くと床が見えなくなるものと想像する。部屋から出るには布団と布団の境目に足を置き、バランスを崩さないように歩かねばならないはずだ。
今日の宿泊客はこの部屋に7人と隣に3人だ。
ちなみに料金は税込で3千円。
食事の提供はなく、1階に設けられた自炊室を使う。ただし、自炊用具はなにもないからすべて持参する。
営業期間中は管理人というのか小屋番というのか、人が常駐する。トイレは隣の建物でチップ制。
駒ノ小屋に興味のある方は→こちら
電気は来ていないので照明はこのアルコールランプである。
日没に点灯し、20時に消灯となる。
夕飯の時間までにはずいぶんと時間がある。
缶ビール(500円)を買って外へ出て、霧の会津駒を眺めながら喉を潤すことにした。
電気が来ていないくらいだから当然ながら冷蔵庫はない。水で冷やしているそうだが十分に冷たい。
会津駒の上空にかかっていた雲がとれ、青空が覗いた。
明日の天気はどうかな?
7月7日(七夕)
午前4時近く。同室の人の起きる気配で目が覚めた。
身支度を調えるのにすでに灯りは必要なかった。
自炊室へ行って朝食を簡単に済ませ、外へ出てカメラを構えた。
大戸沢岳を通して朝日が昇った。良い一日になりそうな予感がする。
駒ノ小屋をあとにこれから御池に向かって南下するのが今日の行程。
日光では見たことのない球状の花を咲かす「アカモノ」。
赤い実になることから付けられた名前だそうだ。
これはシラネアオイではないのか?
花はまだついていないがシラネアオイに間違いない。
なんとまぁ、ハクサンチドリだ。
駒ノ小屋を出てまだ1時間と経っていないのに花がどんどん出てくる。
昨日は残雪で花が限られてしまったがこのルートは花の宝庫だ。すばらしい。
極めつけはこのシラネアオイだ。
シラネアオイが最初に発見された日光白根山ではシカの食害にあって激減し、今では柵を設けて保護しているというのに、ここではなんの保護もされていないのにコース上に数多く見ることができる。
ちょっとよそ見をすると踏んづけてしまいそうな距離に平然とあるから驚く。
振り向くと檜枝岐村の上空あたりが雲海になっている。
下界は曇りなのだろうか。
このコースは残雪と露出した地面との繰り返しだ。
残雪が終わって地面に移る際、コースが見つからないときがある。
林の際を歩きながら道を探す必要があった。
ここにもシラネアオイが、、、
とにかく次から次へと現れてくるのである。
展望が素晴らしく、歩き甲斐のある稜線。
雪が消えると木道が出現する。
池塘も多く気持ちを和ませてくれる。
ハクサンコザクラはここ一カ所でしか見ることができなかったが、小群落を作っている。
一株だけ、開花したコバイケイソウを見た。
コバイケイソウの「バイ」は梅という字を当てる。
その名の通り、梅に似た花を咲かせる。
地図にある送電線の鉄塔が見えてきた。
今日の目的地、御池に着実に近づいている。
うひょ~、今度はオノエランツバメオモトだ。
日光でも見られるが数は少ない。ここでは2カ所で6株くらいあった。
分岐があったので地図を見ると新潟県境にある奥只見湖へ通じているらしい。
一株のミズバショウを見つけた。
尾瀬に近づいたからだろうか?
標高が低くなったのだろう、いつの間にかブナ林の中を歩いていることに気がついた。
林が終わってアスファルトの道路が見える。
御池に着いたのだ。
駒ノ小屋から約10キロ、5時間の花の旅が終わる。
眼下に御池ロッジと「山の駅」が見える。
ここからバスに乗り、車を置いた滝沢登山口まで戻る。
バスの発車まで30分ほどあるのでザックに残っている菓子パンで早めの昼メシとする。5日に買った菓子パンはザックの中で温まり、今日が限度であろう。帰宅したら残りは捨てよう。
バスは11時05分に発車する。
ちょうどいい時間に下山したものだ。
これを逃すと次は13時まで、2時間も待たなくてはならない。