2025年8月8日(金) 晴/さわやか
熱中症で苦痛を強いられ、古賀志山を目の前に断念してから3週間経った。
この間、朝の涼しいうちに10キロのウォーキングをしたり、扇風機の生ぬるい風を受けながら家トレをしたりと、それなりのことをしてきたが、やはり山を歩くことによる運動量とストレス発散には敵わず、暑さは相変わらず続いているが、山に行こうと決めた。
さて、ではどこへ行こうかという段になると怖気づいてしまう。
あの日の古賀志山は湿気を帯びた空気が山中に充満していて耐え難かった。
あの苦痛は二度と味わいたくない。
さあどうしよう。
古賀志山より南の太平山や三毳山など以ての外だ。
那須連峰は日差しを遮る林というものがないし、それに遠い。
どこか涼しい山はないかと、県内各地の予想気温を見比べると、なんと我が日光が県内でもっとも低い。
そうかぁ、日光はそれほど涼しいのかと灯台下暗しで、あらためて地元の過ごしやすさに思いを至らす管理人なのである。
予想気温は平地のそれを表しているはずだから山ならさらに低いであろう、そんな腹積もりで出かけることにした。
場所はそこそこ距離を稼げ、それほど疲れず、「こんにちは」を繰り返すほど登山者が多くなく、水の冷気を感じられ、山を独占した気分に浸れる、それらをすべて満たしてくれる刈込湖にした。
雨の心配がないではないが、この時期の雨なら濡れたところで風邪をひくことはあるまい。
それよりもとにかく山を歩いて体力の衰えを未然に防ぎたかった。
メモ(地図アプリのGeographicaで記録した)
・歩行距離:15.3キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間43分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:828メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)
三本松駐車場の1キロ先に光徳温泉入口というバス停がある。
右へ曲がるT字路になっているので右折して道なりに進むとこんな看板が目に付く。
観光客が集まる竜頭滝や戦場ヶ原、湯滝、湯元温泉に比べると、見るべきスポットがないのが幸いして車も人も少なく、穴場的な存在として管理人にはありがたい。
直進している車道は通称山王林道といって日光市川俣温泉に通じているが、土砂崩れのため途中で通行止めになっているのがなおさら交通量の少なさに拍車をかけている。
前の画像の分岐を左へ入っていくと光徳牧場の売店があり、そのすぐ先が刈込湖を経て湯元温泉に抜けるハイキングコースの入口になっている。
展望はないもののミズナラやダケカンバといった広葉樹林の中の道なので明るく、気持ちよく歩ける。
が~、階段が多いのがイヤ。
傾斜は緩急あるものの、コース全体を通して歩きやすく、歩きなれていない方から健脚の方まで楽しめるのではないか、そんなふうに管理人は思っている。
ただし、たくさんのショートカットルートがある古賀志山と違って抜け道というのはないので、湯元温泉へ抜けるまでのおおよそ9キロは覚悟しなくてはならない。
今日のルートでもっとも標高が高い山王峠(1730m)へは50分弱で着いた。
汗はかいた。
かいたが、さすが奥日光というべきか、気温(体感で)25度以下という涼しさに助けられ、また空気も乾燥していたため汗を吸い込んだシャツはすぐに乾き、前回の古賀志山のときのように身体にこもった熱の逃げ場がなくて苦しむということはなかった。
山王峠のほんのすぐ先に、ベンチが置かれた休憩スポットがある。
三岳(みつだけ)の一部が見えるだけで好展望とは言えないが、笹原の広い平坦地で、高原の風が吹き抜け心地よい。
湯元温泉から歩き始める場合はここがちょうどいい休憩ポイントになるが、反対回り(今回)の場合だとここは近すぎるので休むことなく、刈込湖まで行くことにしよう。
正面に大きく構えているのは山王帽子山で、木道が見えなくなる辺りを右へ入ったところに登山口がある。
登山道はここで山王林道の峠あたりに合流する。
先ほども書いた通り、山王林道はこの先で通行止めになっていて川俣温泉へは行くことができない(と看板に書いてある)。
オトギリソウ
涸沼にもベンチがあって休憩できるようになっている。
とはいえ、歩き始めてまだ1時間に満たない。
花がいくつかあるので写真を撮りながら進んでいこう。
一心不乱に吸蜜しているオオチャバネセセリ。
レンズを近づけても平気だった。
花とオオチャバネセセリの観察に10分ほど費やして涸沼を後にした。
このルートには水路でつながったふたつの湖があり、左回りだとまず切込湖、次に刈込湖という並びになっている。
刈込湖は湖岸に降りて休憩することができるが、切込湖は湖岸に降りようと思うとかなりの急斜面を下っていかなくてはならず、危険。
ここが切込湖と刈込湖を結んでいる水路。
この水路際に立って流れを観察していると、水は刈込湖から切込湖へ流れていることがわかる。
地理院地図にも描かれていないが、刈込湖の西端には3本の沢が流れ込んでいて、その沢の水で満たされると水路を乗り越えて切込湖へと流れ込むような地形になっている。
もうすぐ岸辺に降りられる辺りまで来た。
樹間から見下ろす刈込湖の水の色はとても神秘的。
さあ、これから宝物探しをしよう。
見つかるかな?
ドビン沢からの流れを渡って岸辺を奥に進んでいくと、、、
そう、これこれ。
今日のお目当てがこれです。
花の大きさは5ミリくらいと小さいが、光沢を帯びた花はまさしくキンポウゲ科の植物の特徴。
こんな咲き方をする花を観たら間違いなくイトキンポウゲ。
糸状の細い葉の根元から地上を這うようにして茎を延ばし、10センチ間隔くらいのところに根を生やして花を咲かせる。
やや湿り気を帯びた砂地を好んで咲き、日光ではここ刈込湖と西ノ湖で観られる。
数の上では西ノ湖のほうが圧倒する。
イトキンポウゲはそれほど多くはなかった。
西ノ湖と違ってここは訪れる人が多く、イトキンポウゲの存在に気が付かないで歩き回るためであろう、育たないのだ。
しばらく歩き回ったが見つかったのは10株ほどだった。
階段を昇り終えると道はほぼ平坦なまま湯元温泉に向かっている。
登山道はやがて金精道路と交わり、急斜面を降りると湯元温泉の源泉で終わりとなる。
だが、管理人の終着は車を置いた光徳温泉である。
光徳温泉へは路線バスで行くことができるが、それだと目標とする距離に満たない。
歩いて向かうことにする。
園地を抜けて湯ノ湖まで来ると太鼓の音とともに白煙が湖を覆っているのを見た。
何かのイベントかと思いきや、それは中禅寺の神事、護摩炊きだった。
「夏山登山の安全と訪れた観光客の無病息災などを祈る伝統の行事」とのことだ。
参拝者や観光客に交じって10分ほど見学して先へ進んだ。
ノブキ
湯元温泉から光徳温泉へ行くには車道を避けて湯ノ湖周回路を歩くのが気持ちがいい。
周回路は湖の東側(車道側)と西側(山側)をぐるっと回る散策路で、ゆっくり歩いても1時間ほどで1周できる。
光徳へ行くには周回路を半周すればいいのだが、今日は山側を歩いて湯滝上、それから車道を歩いてバス停の光徳温泉入口へ向かうことにする。
知られていないが国道脇に廃道がある。
国道より数メートル下にあるので騒音がないのと、歩道のない国道を車に怯えることなく歩けるので管理人はよく利用する。
今日はこんなオマケがあった。
角が2本揃っているので家に持ち帰り供養してあげようと思ったが、この姿のまま手に持って歩くのは憚れる。
そのままにしてきた。
廃道はここでバス停の光徳温泉入口手前で国道と合流する。
横断して逆川沿いの遊歩道を光徳温泉に向かって歩いていく。
逆川沿いの遊歩道。
誰とも出会わないという、静かな小路である。
車を置いた光徳温泉駐車場の手前、光徳沼で休憩。
車に戻って休むより落ち着く。


















