日光の春、ヤシオツツジを見に行く。17回目の源流探訪。

都心に比べれば春の遅い日光もさすがに5月ともなれば新緑もちらほら、花も咲きだします。
ゴールデンウイークの合間の一日、常連のWさんとヤシオツツジを探しにいってきました。お目当てはヤシオツツジだけではもちろんなく、私はカタクリを、Wさんはネコノメソウもターゲットに。

高い山に囲まれ起伏の激しい日光はサクラの名所というところはなく、ツツジの開花で春を知るというのが通説になっていて、そのツツジがヤシオツツジのことを指しているわけです。3~5メートルの低木にピンクの花は遠くから眺めるとサクラと見間違うかのような錯覚をうけますが、違いは標高が高いところで生育するということ。つまり、山に行かないと見られないというわけですね。

そのヤシオツツジ、日光で有名なところといえば鳴虫山や中禅寺湖ですが見ごろになると多くのハイカーで賑わいます。とはいっても観光で来る人たちとは違って人でごった返すということはありませんが。

私たちが訪れたのは鳴虫山でもなく中禅寺湖でもない普段滅多に人が来ない、沢を上流へと遡った女峰山の登山道で標高千メートルのところ。
そこは500メートルに渡ってミズナラの林があってここにお目当てのヤシオツツジがほどよい密度で淡いピンクの花を咲かせます。
そしてそこはヤシオツツジだけではない、花の楽園なのです。

さて、ヤシオツツジは後のお楽しみにとっておきその前に、川の命ともいえる寂光滝の源流へ急ぎましょう。
私にとって2003年から数え、17回目の訪問です。

Exif_JPEG_PICTURE駐車場から山を眺めるとサクラのようなピンクの花が見えますがあれがヤシオツツジ。
今日はヤシオツツジを間近で見るための旅にやってまいりました。

Exif_JPEG_PICTUREここが寂光滝の入口。
大きな鳥居をくぐって急階段を上ると小さなほこらがあり、それが若子神社(じゃっこうじんじゃ)。

Exif_JPEG_PICTURE神社の横から見える「寂光滝(じゃっこうたき)」。
落差70メートルもある見事な滝で7つの段差を流れ落ちることから別名、七段の滝ともいわれています。

Exif_JPEG_PICTUREこの滝を一気に登ると芦沢の流れ。

Exif_JPEG_PICTURE沢に沿って歩くとあちこちにカタクリの花が見られます。花は1週間はもたないからまさにグッタイミン。

Exif_JPEG_PICTUREこれはタチツボスミレ。日光全域に育成するポピュラーな花で小田代ケ原や戦場ヶ原だと7月くらいまで見られます。これも種保存の法則にしたがっているのでしょう。

Exif_JPEG_PICTUREオッと、そこにいたのね。危うく踏んづけるところだったぞ、ヤマカガシ君。
おいら冬眠から覚めたばかりで身体が冷え切っているのでこうやって体温の上昇を待っているんだよ。頭もまだぼんやりしているからそっとしておいてね。

Exif_JPEG_PICTUREWさんのお目当てのネコノメソウ。これはネコノメソウにしては珍しく、白い花が咲く「ハナネコノメ」だそうだ。

Exif_JPEG_PICTUREこれはなんだったっけ?
普通のネコノメソウかな?

Exif_JPEG_PICTURE沢沿いの苔むした岩に群生する「ハナネコノメ」。

Exif_JPEG_PICTURE葉っぱの特徴からおそらく「フイリミヤマスミレ」と思うが、なにしろスミレだけで1冊の図鑑ができてしまうというほど種類が多いので自信がない。

Exif_JPEG_PICTURE奥日光でよく見るセントウソウ。

Exif_JPEG_PICTURE良い形ですねぇ。自然の芸術美とさえいえます。

Exif_JPEG_PICTURE四角く黄色い花が特徴の「コガネネコノメソウ」であることを同行のWさんから教えてもらった。
それにしても研究熱心だなぁ、Wさん。

Exif_JPEG_PICTURE三度登場。
これを逃したら来年まで見ることはできないので今回撮った中で「カタクリ」はもっとも多く、30枚ほどになります。

Exif_JPEG_PICTURE芦沢上流部の滑滝(名前はありません)。奥日光の湯滝を小さくしたような形をしています。ここをさらに登ると芦沢の源流、女峰山の地下水が湧き出る場所になります。

Exif_JPEG_PICTURE源流に到着。
おっ、なんということ!!
私が御神木と崇めていた大木が根こそぎ倒れてしまっているではないか。
9月の大型台風でさえ持ちこたえたというのにこれは一体、どういうことだ。
景観がガラッと変わってしまったぞと、しばし呆然。

Exif_JPEG_PICTURE気を取り直して撮影を続ける。
ここが伏流水の出口。このような場所がいくつもあって、自然の神秘を感じさせてくれます。この水が集まってできたのが芦沢なんですよ。

Exif_JPEG_PICTURE源流を跡に次の目的地へと進むと高さ3~5メートルの壁が行く手を遮ります。
そう、この岩壁が目的地(笑)。

Exif_JPEG_PICTURE
聖天岩と呼ばれています。

Exif_JPEG_PICTURE壁の所々にこのような洞窟があり、、、

Exif_JPEG_PICTURE中に仏像が安置されています。

Exif_JPEG_PICTUREさてさて、私とWさんの今回の目的はこのヤシオツツジを見るためでした。
その楽しみは帰路、女峰登山道の下りで味わえます。

Exif_JPEG_PICTUREヤシオツツジ
栃木県の県花に指定されているくらいツツジの仲間では美しく、日光ではこの花が咲いて初めて春を感じるというくらい、ヤシオツツジなくして春は語れません。

Exif_JPEG_PICTUREあいにくの天気で写真で見るヤシオツツジは冴えませんが、実際は本当にきれいです。

Exif_JPEG_PICTURE明日からのゴールデンウイーク後半はさらに花の数が増えて盛りとなることでしょう。
そしてヤシオツツジが終わると次は平地でヤマツツジが楽しめるようになります。
日光はこれから8月まで花の季節。全域でかぞえればその数、2百数十種類。
花の名前を知らなくてもきっと楽しめることでしょう。

Exif_JPEG_PICTUREここも間もなくヤシオツツジのトンネルになります。