スノーシュー下見・・・その4(おとぎの森コース)

2016年1月28日(木) 快晴

今月23日と24日は霧降高原・丸山コースのツアーをおこなった。
積雪は十分だったし雪質も良く、申し分ないコンディションであった。
にもかかわらず今日また下見をおこなったのだが、場所は霧降高原ではなく奥日光のフィールだ。日光に雪をもたらせた原因が太平洋低気圧の場合、心配なのは霧降高原よりもむしろ奥日光ということになる。

首都圏に雪が降る場合、霧降高原よりも奥日光の方が積雪が少ないあるいは、同等であることが経験上、わかっている。18日に奥日光に下見に行ってみると案の定、霧降高原よりも少なくスノーシューはまだできない状況だった。

その後、20日にも降ったのだがこれは日本海の低気圧の影響によるもので、これが正常な冬のパターンであり、奥日光はそれなりの積雪になっている“はず“である。
“はず“と推測で書かざるを得ないのは、20日から昨日まで、敷地内の除雪に追われるわ排水管が凍っているのを知らずに流した水が屋内に溢れ出てそれが床に浸透して浴室が水浸しになるわ車は凍結した坂道を登れなくなって立ち往生するわ3日続けてガイドツアーをおこなうわで、奥日光の状況が皆目、わからないためだ。

霧降高原・丸山の状況は20日の下見でわかったがこのコースは傾斜が急なので健脚向けだ。普通の脚力の人にはもう少し楽なコースを案内しなければならない、それがタイトルに挙げた奥日光の「おとぎの森コース」で、今日の下見の場所である。

いい年をしたオジサンがおとぎの森だのおとぎの国などと口にするのは気恥ずかしいというものだが、ここは奥日光のスノーシューフィールドの中では異色ともいえるほど、開放感に溢れたコースで植生が変化に富んでいて素晴らしい。
高度を上げるにつれてミズナラ林からウラジロモミとコメツガの混在林、ブナの古木、カラマツ林へと変化ししかも、広大である。振り返ると男体山や大真名子山、太郎山がよく見える、じつに恵まれたロケーションなのである。
天気がいい日はもちろん楽しめるが雪がしんしんと降る日など、ウラジロモミやコメツガの葉に雪がつき、外国のファンタジー映画でも観ているかのような錯覚を起こす。それが「おとぎの森」というメルヘンチックなコース名の由来だ。

さあ、どうかな? 雪がたっぷり積もっていればありがたい。


「おとぎの森コース」は光徳園地を起点とする標高差300メートルの緩斜面。
傾斜が緩いとはいっても雪の状況によってはラッセルを強いられるのは他のコースと同じだ。
今日は歩き始めからスノーシューが膝まで潜るほどの積雪だった。


目の高さにこんなものが。
中を覗くと枯れ葉が敷き詰められていて、ちゃんと使われているようだ。


日光では珍しいブナの巨木。直径1メートルはある。存在感がものすごい。他を圧倒している。


今度はカラマツ林。
幹の太さや高さがほぼ同じでなおかつ、等間隔に並んでいるのは、ここが人工林であることを示している。


冬のフィールドはここが間違いなく野生動物の生活の場であることを物語っている。
これは野ウサギですね。


続いてシカ。
体重の割に足が細いので雪に深く足跡が付く。
雪がさらに深くなるとお腹が雪の上に乗ってしまい身動きが取れず、その場で餓死してしまうという。昔はそれで適当な頭数に保たれていたようだ。


男体山から始まる日光連山のひとつ、大真名子山が青空の下に見える。


ここが折り返し点となる旧山王峠。
昔はここが登山コースであったことを示す道標が残っている。
新道ができたため使われなくなって数十年になるのであろう、道標は朽ち果て大地と一体化しようとしている。が、これが実に良い感じなのだ。
ちなみに雪がない季節は腰丈ほどの笹に阻まれてここへ到達するのが困難になる→こちら


セルフタイマーで撮ろうとしたところ、深い雪から脱出できずこんな姿を撮ってしまった(^^)


ウサギに似ているがこればリス。
ウサギよりも小さくまた、前足と後ろ足がそれぞれ横に並ぶのが特徴で、ウサギは前足が縦に並ぶから見分けがつく。
ウサギを見た、シカを見た、キツネを見た、リスも見たのでこれで森の動物すべて(でもないか)を見たことになる。


旧山王峠にどっかと腰を下ろしてランチタイム。
気温は零度だが日当たり良好でじつに気持ちのいい昼のひととき。


帰りは往路とまったく同じコースを辿るが、景色が刻々と変わるので飽きることがない。
ぱっくり口を開けた男体山の火口が見られるのはこのコースならでは。


風紋。
風のイタズラによってできた芸術作品。
雪がサラサラで夜、強い風が吹くとできる現象。
なお、風紋ができるほどの風が昼間、吹くとどうなるか。それはもう辛いツアーになりますよ(笑)


車で走っているときにしか縁のないカーブミラーだが、スノーシューだとこうした遊びの道具になる。

鏡の中の人物は宇都宮市のOさん、スノーシューの常連さんでそのうしろが管理人。じつは「おとぎの森」と命名する前は「幻想の森」を考えていたのだが、ここは絶対に「おとぎの森コース」に、とのOさんのひと言で決まった。その方が女性にうけるというのが理由。
さあ、いらっしゃい! メルヘンチックな世界が待ってますよ。でもコースは名前ほど優しくない(笑)

結論として積雪量、雪質とも良好で、暖冬の今年は開幕が遅れてしまったが、これで霧降高原、奥日光とも本格的なスノーシューの時期を迎えた。