ふたたびというか懲りずに滝岩(古賀志山)でおそるおそる懸垂下降。

2015年11月24日(水)

行楽シーズンの3連休を乗り切ったことだしようやく晴れてくれるというので今日という日を猪首を長くして待っていた。
DSCF5314雨で出かけられない日は二階廊下の手すりにロープやらカラビナを取り付けて懸垂下降の練習を積んでいるのだが、お客さんがいる日など二階からダラ~ンとロープが垂れ下がっているのを見たらここの経営者は経営不振で自殺でもするのかと思われかねないので撤収し、YouTubeを見たりしてノウハウを頭にたたき込むようにしているのだが、一日経つともう忘れている。
やはり、この歳になると実践で覚えるしかないらしい(^^)

いや、せいぜい3メートル上からロープで降りるというのはやはりこの、高度感がないというか緊張感に欠ける。なにしろ滝岩は8メートルもの落差がある。地面に人が立っていても岩の上から覗くとその人の頭しか見えないというほど垂直の岩なのだ。
そんな岩を上り下りしようというのだから実践を積むしか上達の術はない。
歳をとっても怖いもの知らずというか、身の程知らずの性格は直らないらしい(^^)


DSCF5428これがネットで調べて見つけた滝岩の全貌。地図にその名前はないのでこの岩全体を滝岩と称するのかそれとも今日、管理人が懸垂下降した三つの面のうちどれかひとつを指すのか、よくわかっていない。
このブログでは便宜上、岩全体を滝岩とした。
いちおう説明しておくと、写真中央に見える大きな岩の左側が一段低くなっていてロープが下がっている。バリエーションルートではそこを上ってピーク496に至る。
低くなっているように見えるが実際には3段構造になっていて、見える部分が1段目。1段目の下から2段目にかけてロープが下がっている。

中央の大きな岩は左の3段構造の岩の2段目を上がった位置にある。ロープはかかっていない。数カ所、ピトン(ハーケン)が打ち込まれているのでフリークライミングで利用されるのであろう。ただし、フリークライミングの場所は現在、瀧神社の壁がメインとなっているので利用者はいないようだ。ちなみに、測定したところ高さは9メートルある。右に緑の岩が見えるがこれは中央の岩とは別物。

DSCF5263緑の岩は中央の岩と直角に接していてV字型の窪みを作っている。ここにもロープが下がっている。高さは8メートル。中央の岩よりも1メートル短いのは地面が1メートル高いからだ。
ロープ左が上の写真の中央の岩。ロープ右が緑の岩。緑色に見えるのは苔だと思う。苔が生えるというのは水の流れがあると推測する。だから滝岩と呼んでいるのだろうか。
ちなみに緑の岩のトップはさらに高く、10メートルをはるかに超えるように見える。そこにもピトンが打ち込まれていてかつてはクライミングに使われていた名残が見える。
写真だとわかりづらいが中央の岩と緑の岩はほぼ垂直。したがってV字型の窪みも垂直だ。

今日の管理人の目的はロープのない大きな岩を持参のロープを使って懸垂下降で降りることと、V字型を上り下りすることだ。それぞれ3回ずつトライするのを目標にした。

IMG_4238古賀志山に瀧神社というのがある。正確には御嶽山の南南西350メートルにあって周りを高さ20メートルほどの岩壁に囲まれている。
地理院地図には御嶽山も瀧神社も記載がないので位置の説明をするのが難しいが、地理院地図の古賀志山山頂から南西に向かってハイキングコース(滝コースという)が書かれている。コースは林道に当たって終わっているがその中間辺りが瀧神社である。
その瀧神社を囲む岩壁を利用してフリークライミングが盛んにおこなわれている。
管理人のように設置してあるロープを伝って上り下りするのではなく、ほぼ垂直の壁をロープを使わず(安全確保のために身体にくくり付けてはある)両手両足で岩のわずかな凹凸をつかんで登るスポーツをフリークライミングと称して、人気がある。
登り終えると次はパートナーの力を借りて身体にくくり付けたロープ1本で、20メートルの高さから宙づり状態で地上に舞い降りる。見ていてなかなか気持ちが良さそうw
そのロープのおかげで登っている途中でミスした場合も地上に滑落せずに済む、まさに“命綱”である。ロープの太さは10ミリほど、登る人は腰にハーネスを着けカラビナ1ヶでロープとつながっている。

しかしだね、、、
もしもロープが切れたら、もしもカラビナが破断したら、もしもハーネスのベルトが切れたら、もしもロープがカラビナから外れたら、、、そんなことを考えてしまうと見ているこちらの方が怖い。

DSCF5429そんな簡素な装備でよくぞ事故が起こらないものだと思ってしまうがここにロープを始めとする用具の信頼性があるのだと思う。でなかったら誰もクライミングなどやらないだろうし事故続出といったところであろう。
だから管理人が取りそろえた用具も信頼していいのであろう。
今年3月から足繁く通って場数を踏んだとはいえ怖い場面に直面したことは一度や二度ではない。登ったのはいいが降りるに降りられず、泣きっ面になったこともあった。そんなとき、ロープを使えば安全に降りられるはずだから、用具を信頼するとともに、これからも長く古賀志山と付き合っていくには岩場を乗り越える技術の習得が不可欠であると考えるようになった。


DSCF5426滝岩直下の岩場。
滝岩は正規の北コースから近いのだが奥まった場所にあるので見つけづらい。今日は割とすんなり見つかった。

DSCF5428もう一度、滝岩の全貌を。
7月10日に偶然見つけたときはうぇっ、ここを抜けなくてはならないのか、と思ったがよく見ると一箇所、ロープがかかっている。
しかし、落差は3メートルくらいなのに垂直だ。怖い思いをして登った覚えがある。ただし、3段構造になっていて上にはロープがなかった。

写真だとどうしても緩やかに見えてしまうが実際にはほぼ垂直。

DSCF5438まずは左の岩にかかっているロープを伝って中央の大きな岩の上に立ち、本で覚えたとおりに立木を利用して持参のロープをかけ、そのロープにカラビナなどの用具を取り付けて安全装置を作る。
ここまで自宅で散々、練習したので手際よくできた。

DSCF5439拡大するとこんな構成。
オレンジの用具が下降器あるいは確保器と呼ばれるもので、Petzl(ペツル)社のReverso4(ルベルソ4)。ロープを通す穴しか開いていない、こんな簡素な構造のものに命を託すことになる。
これを立木に固定した持参のロープにセットする。
下に出ている青色のロープを手で握り、ロープを上方に送り出すことで下降が始まる。
下降中にロープを引くと下降器とロープとの摩擦が最大になり、停止する。その際に必要とする力は少なくて大丈夫だ。それが下降器と呼ばれるゆえんである。
ロープを送る→下降、ロープを引く→停止、これを繰り返しながら地上に達する仕組みだ。上半身と下半身は腰を境に直角に折り、足は靴底全体を岩に接触させて後ろ向きに歩くようにする(言葉上では)。
カラビナにはスリング(白いひも)をセットしてスリングは腰に着けたハーネスとつなぐ。赤いロープは万一、ロープを握る手に故障が起き、ロープから手を離してしまっても手の代わりに青いロープを握って(食い込んで)自動的に停止させるもの。
ちなみに、熟練者であればスリングと赤いロープのないシステムで下降してしまうようなことが本に書かれていたが、管理人にはとてもそんな真似はできない。

DSCF5440身体と頭を慣れさせるために、まずは左側の低い岩を懸垂下降する。
低いとはいっても2段になっていてロープをセットした立木からの長さは10メートルある。
ただし、踊り場で休めるので気分的に楽だ。

DSCF5450次に中央の岩。
ロープを垂らしてみると末端が地面に届かない。
ロープは20メートルのを半分に折って立木に固定してあるから、その分の長さを差し引くと9.5メートルの長さだ。地面には届いていないが末端まで降りることができれば、そこは地面から1メートル上の岩の棚部なので心配はない。
上から覗くと下から見上げるのとは大違いで垂直である。ここを降りようというわけである。
悪い奴らに追い詰められ下を見たら絶壁。さあどうする? 悪い奴らに殺されるのを選ぶか死を覚悟して飛び降りるのを選ぶか? 答えはどちらも違う。
技術を学んでロープを使って安全に降りるのだ。

MAH00221(1)いざとなると怖いものだ。岩の上でウロウロとためらう。
止めてもいいんだよ、誰も見ていないし。こんな危険な場所で勇気を試すのは大人げないじゃないか。怪我したら再起不能、止める勇気を出そうよ。
思考は行ったり来たりする。10分ほどためらった後、悪い奴らに追い詰められた気持ちになって恐る恐る降り始めた管理人。なんだ、やればできるじゃない!
とはいえ、これは動画の一部を切り取った画像であり、動画はとてもではないが他人に見せられたものではない(^^)
おっとっとという場面が数回あった(爆)

DSCF5445無事に降りて見上げたところ。
鼓動が身体全体に響いている。脈を測ってみると100を超えていた。

MAH00220(1)次は前回、経験済みのV字だ。前回はトラロープを伝って一度登り、持参のロープで二度、降りている。
今日は二度登って三度、降りた。

写真は既設のロープを利用して登っている図だが、いずれロープを使わずに登ることを課題としたい。
ちなみに既設のロープはところどころに結び目があるので握りやすい。持参のロープは下降器をセットしてあるので結び目を作ることができない。したがって下り専用だ。

MAH00220(2)今度は持参したロープと下降器を使って降りている図。
なぜ既設のロープで降りないのかというと万一、ロープを握る手を離してしまうと墜落してしまうから。

DSCF5451これまで景色を眺める余裕などなかったが、課題を終了し、ようやく目を遠くにやった。

DSCF5404車を置いた赤川ダムまで、今日の課題を反省しながら30分かけて歩いてきた。
古賀志山は今が紅葉の盛りのはずなのだがこの時間、上空は厚い曇がかかって色が冴えない。

 

今日は三つの岩を事故もなく上り下りできたので本来なら無事を祝うべきなのだが、達成感はイマイチであった。
垂直の岩を降りるのに見下ろすと足がガクガクと震え、降りる決断をするのに10分くらいかかってしまった。
降りるには右手で握ったロープを上方に送り出すのだがどうしても円滑にできず、ガクンガクンといった具合だ。V字を登るのにはやはり腕力に頼らなくてはならなかったが、これは疲れる。岩の凹凸を見定めながら、ロープを使わずフリークライミングの要領で登りたい。

管理人の年齢、体力、技術力にくらべて現実の方が厳しいのだろうと思う。とうてい太刀打ちできない相手に挑んだ結果ゆえの不満足、達成感のなさと言える。管理人、欲深いのだろうか。
落差8メートルと9メートルの岩を相手にするのだから、下手をすれば大怪我ばかりか命を落とす結果になりかねない。亀の歩みでもいいのでこれからも実践を積み重ねていこう。一人前になる頃には古希を迎えるな、きっと(^^)