黒檜岳を実踏するつもりだったが悪天候で方針転換し、長いお散歩を楽しんできた。

2015年10月5日(月)

先月29日、黒檜岳ロングコースの下見で社山の先まで行き、なんとか感触をつかんだので次は実踏だ、と週間予報を睨みながら虎視眈々と狙い、今日を黒檜岳実踏の日と決めた。今週はずっと晴れが続くとの予報だ。
IMG_4507いや~、またあの雄大な男体山そして、中禅寺湖を眺めることができる(左は29日の半月山展望台から)。
そして紅葉も楽しめるぞと楽しみにしていた。ところが予報に反して夜になって雨が降ってきた。
大丈夫かなぁ、少し心配になってきた。

明日は長丁場なので3時半に起きて4時半には出発して6時前には歩き始めるつもり。
もしも3時半に起きられなかったら黒檜岳まで行くことができない。忘れないように目覚ましを早めにセットしておこう。

目が覚めたのはアラームをセットした時間よりもずいぶん前の1時半だ。いざ黒檜岳と考えてかなり興奮していたのかも知れない(^^)
睡眠はたった3時間。いくらなんでもこれでは睡眠不足なのでなんとかもう一度寝ようとしたが微睡むだけで熟睡にはいたらず、ボーッとした頭でうどんを作って食べ、まだ明けぬ夜を抜け出して今日の出発地となる中禅寺湖畔、歌ヶ浜へと向かった。幸いなことに雨は上がっていた。

いろは坂の途中で暗がりにさらに濃霧が重なりこれは夜が明けて歌ヶ浜に着いても変わることなく、湖面には濃い霧が漂い周りの景色は見えない。はたしてこれから晴れるのかそれとも、霧立ちこめたままなのか判断がつかないまましばらく車内で待機。う~ん、ハッキリしてくれ!
長い時間歩くんだから、前回と同じような景色を見せてほしい。

結局、どうなるかわからないまま待機していてもしかたがないので、天気の回復を期待して歩き始めることにした。車内での待機時間が長かったため歩き始めたのは予定を大きくオーバーして6時20分となった。
前回は中禅寺湖道路の第2駐車場からアップダウンを繰り返して阿世潟峠に至ったのだが、今日は直接、阿世潟峠に出る道を使った。
歌ヶ浜から湖畔に沿った平らなアスファルト道路を歩き、阿世潟で湖畔とわかれ半月峠と社山を結ぶ稜線の中間点、阿世潟峠に出て社山に向かうのである。中禅寺湖道路第2駐車場から歩き始めるのに比べて所要時間は変わらないが平坦路を歩く分、体力の消耗が抑えられる。ただし、距離は2.5キロほど長くなる。


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歌ヶ浜から眺めた中禅寺湖。
これでも到着時に比べたら視界はずいぶんよくなったほうだ。

IMG_4667元イタリア大使館別荘のすぐ手前で元英国大使館別荘を再建している。
イタリア大使館別荘と同じように栃木県が譲り受け、再建した上で一般に開放する計画だ。

旧イタリア大使館先

中禅寺湖の眺めは元イタリア大使館別荘から先がいい。
砂浜に降りられ天気が良ければ時を忘れると言ってもいいほど、のどかで美しい。

IMG_4676この時期、広葉樹林の中を歩いているとなにやら甘い香りが漂ってくることがある。
砂糖を焦がしたようななんとも懐かしい香りだ。
正体はこれ、紅葉したカツラの木。

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狸窪(むじなくぼ)。
ここから社山の稜線に上がることができるが、この先の阿世潟まで行く方が時間の短縮になるのでここは通り過ぎる。
むじなには「狢」という漢字が当てられるが、どういうわけか、狸と書いて「むじな」と読む。
これは昔、栃木県ではタヌキのことをムジナと呼んでいたという説が有力。

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ここが社山へのもっとも近道となる阿世潟。
20分ほどで阿世潟峠。

IMG_4697傾斜中程度の深い樹林帯を登っていく。

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道標のある稜線、阿世潟峠に着いた。晴れていればここから社山まで男体山と中禅寺湖を眺めながら歩けるのだがご覧の通り、霧が立ちこめ眺めは望めそうにない。

IMG_4702峠から社山方面を仰ぎ見る。
この霧の中を黒檜岳まで行くかどうか、距離が長いだけに景色が望めないのは辛い。
考えた結果、今日は社山も黒檜岳も諦めてここで引き返すことにした。といっても同じ道をではなく、中禅寺湖を取り巻く道で唯一、管理人がまだ歩いていない茶ノ木平コースをだ。
茶ノ木平へは半月峠を経由して半月山に登り、中禅寺湖道路に沿った道を約3時間かけて歩く、かなり長い道のりである。

IMG_4710この稜線は眺めはいいけれど笹が多い。笹は昨日、降った雨で水滴が付いていて靴にスパッツを装着しなくてはズボンがびしょ濡れになる。

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急な斜面を登って50分で半月峠。
ここを下る道があって例の狸窪に降りられる。

ツツジ霧の中にヤシオツツジの紅葉を見つけた。乳白色の中の紅葉、いいねぇ。
この辺り一面で見られる。
管理人、写真はただ記録用に手当たり次第に撮るだけだが、晴れて明暗がハッキリしているよりも霧の中、あるいは曇天の方が上図に撮れる気がする(^^)

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半月峠展望台からの眺め。
29日(冒頭の写真)とは雲泥の差の展望。
半月峠からこの展望台まで1時間10分もかかっているのは前回、落とし物をしたために探しに中禅寺湖道路を往復したためだ。

IMG_4749展望台のすぐ脇で見られるミネカエデ。

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次に半月山。
ここは展望がないので通り過ぎる。

ハウチワカエデハウチワカエデの絨毯。

IMG_4772ほ~、狸山なんてのもあるんだぁ。
これも狸と書いて「むじな」と読むんでしょうね。

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ここで中禅寺湖道路を横断する。
ここまで道路と並行して歩く道だったがこれから先は車の音から遠ざかる。

IMG_4780茶ノ木平への道は開放的でとても歩きやすい。

IMG_4796この樹勢、この木肌から察してブナではないだろうか。
日光でブナを見られるとは珍しい。運がいい。道沿いだけで10本近くあったから全体では数十本あるのだろうか?

IMG_4803近くのブナの幹に3本の大きなひっかき傷がついている。クマが登った跡だ。
ブナはクリに似た実をつけるのでそれを食いに登ったのであろう。そのときの爪痕だ。
ただし、古い。

IMG_4799いずれは野鳥の餌となりなくなるであろう、真っ赤に熟したナナカマドの実。

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茶ノ木平に着いた。広大な平地だ。
10数年前まで中禅寺湖のバスターミナルからここまでロープウェイが運行されていて、観光客が気軽に来ることができたが2003年に廃線になり、現在はハイキングコースとしてのみ利用されている。
いい場所だが麓からここまで1時間以上かかる。途中、人家はなく容易とは言えない。
ここを独り占めして大休止としよう。

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広大な茶ノ木平の中心部から少し先に展望が開けた場所がある。ロープウェイの終点だった場所だ。
広くて平らな面の端が急斜面になっていてそこに駅があったことが偲ばれるような場所である。

種を付けたイタヤカエデイタヤカエデの紅葉。種が落ちずにそのままの状態で残っている。

IMG_4847オオカメノキ(別名ムシカリ)の紅葉と熟した実。

IMG_4849下から見上げると葉の主脈を境に半分は赤く、半分は黄色に染まっている。
日当たりの具合でこういう現象になるのだろうか。

IMG_4852広葉樹林帯の中の道をどんどん下っていく。
車の音が聞こえるようになったが道はまだ見えない。

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道は終わりとなり車道に降り立った。
これから車を置いた歌ヶ浜まで車道歩きとなる。

IMG_4865鮮やかだねぇ。ツタウルシ。

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車を置いた歌ヶ浜駐車場から八丁出島を眺める。
厚い雲の間から青空が見えているが雲の流れは遅く、明日の天気もどうなるかわからない。

map黒檜岳はもちろんのこと、社山さえも登っていないがそれでも約7時間、15キロと長丁場だった。霧の中、雨具を着て歩いたので汗びっしょり。疲れた。

晴れていれば間違いなく快適なトレッキングコースになるはずなので、展望を楽しみながら長い距離を歩きたい方に、このコースはお勧めできます。