黒檜岳の下見で社山へ、始めから終わりまで大展望に感動しっぱなし。紅葉も堪能する。

2015年9月29日(火)
半月山駐車場~半月山展望台~半月峠~阿世潟峠~社山~ピーク1792手前で折り返し~半月山~駐車場

IMG_45079月前半の不安定な天気からうって変わって、スカッとした空が広がる日が多くなった。いよいよ秋の山歩きシーズンの幕開けである。青空の下を思いっきり歩き回りましょう!
と誰もが考えつくような出だしの文章で我ながらあきれかえってしまうが、記録を見ると今年はこれまでにスノーシューツアーが約40日、スノーシューツアーが終わって昨日までに40日も山を歩いていることがわかった。山歩きシーズン開幕どころか閉幕することもなく、3日に一度は歩き回っているわけだ。売り上げを伸ばすも落とすも経営者の努力次第の自営業とはいえ、これでは経営が傾くのもやむを得ない(汗)

さて、今日は久しぶりに奥日光の話題である。
首都圏の人から見れば知名度のない古賀志山の記事ばかり書いていては読者数が減ってしまうから、読者受けを狙っているのでは? と思われるかもしれないが、きちんとした理由あってのことである。

日光は間もなく紅葉の季節に入る。今年は天候不順で紅葉は早そうだ。3連休を迎える頃には紅葉の名所、龍頭滝は赤く染まっているかも知れない。国道は車で埋め尽くされ、普段なら日光駅から40分で行ける龍頭滝まで3時間もかかる。
したがって奥日光の山を歩くのは紅葉が始まる前と終わってからということになるが、紅葉が終わると寒くて長い冬の到来である。日没も早いから長時間にわたる山歩きはできなくなる。だから、行くには紅葉が始まるこの時期しかない。

今から6年前、2009年9月に常連客のWさんに誘われて社山に登りさらに、その先のピーク1792まで行ったことがある。
この年の管理人はケガの手術からの回復途上にあり、登りの傾斜がとても辛かった。身体がまったくが動いてくれない、そんな表現がぴったりするほどであった。
数ヶ月にわたる術後の謹慎生活で脚力も心肺能力も衰えてしまったことに我ながら驚き、はたしてそれまで過激に動いていた身体に戻るのかどうか、不安でしかたがなかった。
そのときは辛かったけれど思い出としては楽しい、そんな山行は数多く経験しているが社山はそうではなかった。楽しいことはひとつも思い出せないのだ。

そんな状態での山歩きだったので今でもそのときの辛さがよみがえり、厳しい山に登るときなどどうしても辛さが頭をよぎる。だから当時の辛かった思いを払拭し、先の短い人生を前向きに歩みたい。そのためにももう一度、同じ山に挑戦してみよう。そうすれば6年前の辛さの理由は術後の体調不良にあったことがわかるはずだ。
今年は無雪期の山歩きを40回、経験している。怪我をする前よりも体調はいい。辛い思いを払拭するにはまたとない機会といえる。

本番の様子→こちら(2015/10/08)


IMG_45018:28
中禅寺湖の歌が浜から延びる中禅寺湖道路というのがあって本来、足尾に抜けるための道路だったのがどういうわけか工事は中断し、半月山で行き止まりとなっている。
この道に二つの駐車場があっていずれも素晴らしい展望が楽しめる。中禅寺湖を見下ろせるのだ。男体山だって見下ろしてしまう。
今日、目的とするのは標高1826メートルの社山(しゃざん)である。そこに至るには湖畔に沿った林道を歩いて稜線上の半月峠あるいは阿世潟峠に上がるのが簡単なのだが、林道歩きは疲れるので車で中禅寺湖道路の終点まで行ってそこから登山道を歩くことにした。
とはいえ、そのルートは峠に達するまでのアップダウンが激しいので嫌う人も中にはいる。


IMG_45058:44
まずはこの展望台からの景色を楽しむことにする。半月峠展望台である。


IMG_4507社山に至るルートで男体山と中禅寺湖はどこででも見られるが、この展望台からの眺めがベストだ。
男体山の手前に見える半島は八丁出島(はちょうでじま)だが、カエデやツツジが多く10月半ばから後半にかけて紅葉で染まる。


IMG_4517八丁出島の山側はすでに紅葉が始まっている。おそらくヤシオツツジだと思う。


IMG_4516ナナカマドが真っ赤な実をつけている。
遠方に見える山並みは日光連山の一部と白根山(中央)と錫ヶ岳(白根山の左)。


IMG_4523紅葉している木のすぐ左がこれから向かう社山。その左の長い稜線が黒檜岳へと続いている。
その左奥に小さく見えるのは皇海山と鋸山。


IMG_4525まだ半月峠にも至らないのに紅葉の美しさに見とれてなんども足が止まっている。


IMG_45309:10
歩き始めて40分もかかってようやく半月峠だ。
駐車場からここまで100メートル上って100メートル下りといったコース。けっこう疲れます。


IMG_4532再び登りが始まる。が今度は50メートル上るだけ。


IMG_45389:57
阿世潟峠に着いた、と一言で終わってしまうが、ここに至るまで250メートルを一気に下らなくてはならず、もっとも厳しい部分だ。


IMG_4548男体山を眺める方向が変わり、太郎山も見えてきた。


IMG_4555北西の方向に目を転じると白根山が見える(8倍ズーム)。


IMG_4558阿世潟峠から社山まで、一部に鞍部はあるもののほぼ登りが続き、標高差は400メートルもある。
その間、樹林帯があって展望が遮られることはあるが、概ねこのような開けた稜線上を歩く。稜線の右(北)に男体山と中禅寺湖、左に足尾の山が見える。


IMG_456211:02
最後に樹林帯に入るとそこが社山(1826メートル)である。
山頂の北はコメツガ林なので展望はなく、眺めは南側の足尾しかない。
男体山や中禅寺湖を眺めながら休憩したいのであれば山頂の前後がお勧め。


IMG_4569三等三角点がある。


IMG_4564この山も一度は登っておきたいな。皇海山だ。


IMG_4570ではこれから黒檜岳へと向かうことにするが12時半に折り返すという予定を立てた。
なぜなら17時になると駐車場の道が閉じられてしまうからだ。
だから黒檜岳への本番の際は中禅寺湖道路は使わず、歌が浜から湖畔に沿って歩いて半月峠か阿世潟峠に上るほうがいい。


IMG_4571社山山頂の樹林帯を下り抜けると気持ちよさそうな稜線が黒檜岳まで続いている。その距離、社山から約4キロ。
アップダウンはないので片道2時間といったところだろうか。


IMG_4575我が憧れの錫ヶ岳。生涯のうちに必ず登るという誓いを立てた山だ。


IMG_4579ヤシオツツジかシロヤシオであろう。10数本の小群落が紅葉している。


IMG_4585腰まである笹の斜面に出た。笹が薄くなっている部分が踏み跡なので探して慎重に歩く。
この笹原、前にも歩いたことがある、そんな記憶がよみがえった。そうか、そうなのか。Wさんと来たときは社山で折り返したのではなく、その先まで行ったのだったな。


IMG_458611:56
ほう、こんなところに標識がある。
地図で現在地を確認するとここで進路を西南西に変えることになっていて、そのための標識のようだ。
ちなみにまっすぐ進むと中禅寺湖に降りられるように地図では読める。


IMG_4592標識がある場所は大きな広場になっていてぐるっと回ると5分はかかりそうだ。
眺めもいい。中禅寺湖の最西端、クリンソウで有名な千手ヶ浜が見える。


IMG_4595時刻は12時を示している。あと30分ほど余裕がある。


IMG_459812:20
ピーク1792メートルの麓まで来た。自宅に戻って写真を見比べてわかったのだが6年前もここで折り返したのだ。しかし、この時点ではそれに気がついていない。
辛かった記憶は忘れてしまいたい、そんな無意識の気持ちをこの6年間、持ち続けていたのではないかと思う。
正面に見えるなだらかな稜線が黒檜岳へのルートである。遮るものがなにもないなだらかな稜線。あそこを歩くのはさぞ気持ちいいだろうなぁ。
ここから黒檜岳まで行くとすれば往復4時間。ここへ戻ってくると16時20分ということになる。駐車場まで3時間かかるとみて、19時20分か。
駐車場を出発したのが8時半だったから日没までに戻るには6時に歩き始めなければいけない。
今年は時期から考えてもう遅いかな?
予定の時間に達したので今日はここで折り返すことにした。身体はまったく問題ない。


IMG_466114:54
今日の最後の目的地、半月山に着いた。樹林帯の中の山頂で見晴らしは利かない。
ここから駐車場までは展望台を経由して20分ほどだ。
快適な下りの道を走った。