念願の女峰山最長ルート18キロを歩き終え、疲れよりも感動と酔いに浸る管理人である。

2015年5月20日(水) 女峰山(霧降から行者堂へ抜ける18キロ)
天候:目まぐるしく変化、気温18度~20度

IMG_3355管理人が日光に住んで山に登るようになったきっかけは初めて迎えた冬に見た、日光連山の銀色に輝く姿に魅せられたからである。遠くから眺める山容は雪が積もるとその輪郭がはっきりし、立体感が出てよりいっそう美しく見える。

日光に移住して2千メートル超えの山に登ったのは1999年の標高2010メートルの赤薙山が最初で、そのときは息も絶え絶え、登山とはこんなにも苦しいものなのかという印象であったが同時に、下界とは異なる高さから見る景色はとても感動的であったし、こんなひ弱なオレでも2千メートルの山に登れたんだという感慨を覚えたものであった。
当時は山登りを始めて間もなかったから地元とはいえ登るのは初めての山ばかりで女峰山もそのひとつであった。

女峰山に初めて登ったのは今から13年前の2002年であった。赤薙山から女峰山に至るまで3年という間があったのだが、それは地元に知人が増えるにつれて山よりもっと簡単に行けるところにも魅力的な自然がたくさんあることを知りそれらの探索が楽しくて、夢中で歩き回っていたためだ。その方が赤薙山で味わったあの苦労をしなくても済むしw

女峰山に登るきっかけになったのはいったい、何だったのだろう。赤薙山の隣に位置する山だから親近感があったという単純な理由で登ったのかもわからない。それほどに冠雪の女峰山の美しさに惹かれていたのだと思う。
2002年の次は間が空いて2007年に2回、2008年は1回登っただけでしばらく間が空き今月6日に7年という長い空白を乗り越えて5回目の挑戦となったのだがそれには理由があった。
管理人が経営しているペンションの10年来の常連客、Wさんからお誘いを受けたのだ。Wさんとは2006年のスノーシューツアー以来のお付き合いで、年に数回、管理人がガイドを務めては四季を通してアウトドアを楽しむ仲である。
Wさんと管理人は今から8年前の2007年にすでに女峰山に登っている。ただし、その頃、Wさんは登山を始めたばかりで脚力に関しては未知数であったため4つあるルートとしてはもっとも易しい、裏男体の志津乗越(しづのっこし)を起点とする標高差730メートルのルートを管理人が選んだのだがそれは妥当な判断であったと思う、その時点では。

努力家のWさんは女峰登頂を期にメキメキと力をつけもはや管理人のガイドを必要としないほどに成長しているのを管理人自身、理解している。
だから、管理人としては難易度の高い山の依頼を受けてもガイドするのに躊躇いはない。いや、言葉を改めればもはやガイドと客との関係を超え山の仲間として一緒に山を登る、そこまでのレベルに達しているといって過言ではなく、信頼に値する山仲間として成長したWさんである。
そして2007年から8年後の今日は女峰山のルートとしてはもっとも長くそして、厳しい、霧降から登り始めて行者堂へ降りる18キロを選択したのだ。が、現在のWさんの実力からすればこれも妥当といえる。

霧降から女峰山山頂に達するルートは標高差で表せば上り1140メートルで、これは男体山の1200メートルに少し足りないがアップダウンを繰り返しながら1140メートル登るので標高差総計では一方的に登るだけの男体山を上回る。
わかりやすく言えば2010メートルのピークから次の2020メートルのピークへ行くのに数値上は10メートルしか上昇しないが、その10メートルは50メートル下って60メートル上って得られると考えれば総標高差は110メートルになるわけで、どれだけ厳しいかがわかる。霧降から女峰山へ達するのはそんなアップダウンが続くというイメージだ。
そして下山口となる東照宮裏の行者堂に降りるには、山頂から1700メートルも下らなければならない。
この山に「女」という字を冠したのは命名者が恐妻家だったからではないだろうか、そんな邪推をしてしまうほどだ。

ところで管理人はWさんにはすでに脚力で負けるようになったことで、ここ数年は後方支援に徹し、地図とコンパスで舵取りをする役を担っている(間違うことも多いがw)。
管理人が撮るWさんの写真が後ろ姿ばかりなのは本来、ガイドたる管理人が先を行かなくてはならないのにWさん、それをさせてくれないからだ(^^)

あっ、そうそう、6日におこなった下見の理由の続きだが管理人自身、女峰山に最後に登ったのは2008年という古い過去のことでありいくら日頃、鍛えているとはいえ年齢に勝てるはずはなく、Wさんの同行者として適格かどうかを試す意味があった。
女峰山が辛いのは上りよりも下りである。距離10キロ、1700メートルも下らなければならないが、それはとても辛いことなのだ。
Wさんとの本番を控えた6日の下見は無事に登頂でき、脚力の衰えはないことがわかった。が、それでも今日の保証はない。山は毎回、違った態度を示す。特にこの女峰山は顕著だ。
一抹の不安をかかえてのスタートである。


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キスゲ平の天空回廊をスタート。
天気予報は晴れのち曇りだが霧降高原は予報通りにはいかないのが常のことだ。


IMG_3198シロヤシオとヤマツツジは数日間、開花が重なる。


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1000段目を通過。
今日の管理人の装備は12キロ。それで16分はまずまずといったところか。


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1445段、終段に到着。
歩き始めて23分なので上々だ。


IMG_3212これから向かう赤薙山が見えてきた。霧も晴れたが安心はできない。


IMG_3214小丸山のシロヤシオはちょうど見ごろを迎えていた。ここまで標高が上がるとヤマツツジは生育しない。


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焼石金剛に着いたのだが小丸山からここまで40分と、予定の2倍の時間を要してしまった。
暑くて脱いだ中間着をザックにくくりつけて歩いたのだが落としたことに気付き、探しに戻って20分のロス。
Wさんには申し訳ないことをしてしまった。


IMG_3227気を取り直して慌てずに歩き始めるとイワカガミが目についた。咲いたばかりと見え、全開はしていない。


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稜線上のやせ尾根を行くWさん。
積雪時はこの部分が三角屋根のようになるので滑落に注意しなくてはならない部分だ。


IMG_32356日に見たときは蕾だったアズマシャクナゲも開花したばかり。


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7:42
やせ尾根を過ぎると赤薙山と女峰山の分岐を示す標識と出合うが、どちらに行っても赤薙山山頂付近で合流する。
なお、赤薙山あるいは女峰山のピストンをおこなう場合、この標識を目に入れておくことは帰りの道間違いを防ぐためにも大切なポイントになる。


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歩き始めて1時間41分で赤薙山に到着した。落とし物をしたロスを差し引けば1時間21分だから、前半のペースとしては疲れが生じないレベルだ。


IMG_3243次の目標は2203メートルの奥社跡だがそこまでかなり厳しいアップダウンが連続する。


IMG_3245厳しいが登り甲斐もある。


IMG_3252この時期、可憐なミネザクラが楽しめる。


IMG_3257コケモモはまだ蕾だったが咲くと可愛い。


IMG_3267奥社跡の手前から残雪が始まった。


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ピーク2203の奥社跡からピーク2209へはこの道標にしたがって斜面を下る。残雪はまだある。


IMG_3276次は斜面を登りP2209の稜線に乗る。
ここまで標高差わずか6メートルだが40メートル下って50メートル上るので侮れない。


IMG_3279雪はまだこんなに残っている。登山靴だと当然だが滑る。


IMG_3302管理人の出で立ちは今日もチェーンスパイクにピッケルだ。


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標高2295メートルの一里ヶ曽根。山頂までの3/4は来たはずだ。


IMG_3292次はあの奇岩目指して下って上る。


IMG_3296規模は小さいながらも湧き水がある。ここまでペットボトル1本を飲み干したので補給したが、この水がじつに美味い。

 


IMG_3312シャクナゲ林の間を縫うようにして道がある。


IMG_3315中央に見えるピークが女峰山だがまだ遠い。


IMG_3318こんな場所を通過したり、、、


IMG_3329幅50センチくらいの道を歩いたり、、、


IMG_3336これで先が見えた。


IMG_3337ハイマツとシャクナゲが混生する日本庭園風の道はまだ続く。


IMG_3342やや望遠だが山頂の標識とその手前に女峰山神社が見える。


IMG_3345最後の雪だ。


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歩き始めて5時間23分。落とし物を取りに行ったロスと写真に費やした時間、休憩時間を除けば正味4時間半といったところ。
さあ、この青空をおかずに昼飯、というところだが天気は数秒で変わる。


IMG_3358山頂を後に下山開始。
天気が良ければもっとゆっくりしたいところだが雨の心配もあるので昼食後、早々に下山することにした。


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下り始めるとすぐ、こんなガレ場と出合う。浮き石に乗っからないよう、慎重に足を運ぶ。


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下山開始してから28分。
非常時に利用できる唐沢小屋前を通過。無人だが中はきれいに保たれている。


IMG_3380ガレ場はまだ続くので足下に注意だが西の方角に大真名子山と小真名子山が見えたので足を止めた。
このふたつの山もWさんと登ったことがある。


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ようやくガレ場が終わって日本庭園の中を歩く。一息つける時間だ。


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こんな場面に出合うと緊張するが気をつけて歩けば大丈夫。


IMG_3395濃霧の中、ミネザクラの色が濃く見える。


IMG_3397そういえばこのバイケイソウもよく目につく。


IMG_3403ツガザクラ


IMG_3409タチツボスミレ


IMG_3411なんとまあ、サクラソウまで。

ユキワリソウ


IMG_3399サクラソウといえば園芸種しか見たことがないが、これは天然物だ(写真はWさんからいただいた)。


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黒岩の遙拝石。
昨年末、行者堂から入山した男性が10日後にここで遺体となって発見された場所である。合掌。


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黒岩を過ぎるとまたもやガレ場となるが、ここは斜面を横切るだけなので苦になるほどではない。


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長いガレ場は「八風」まで続き、次に笹原の中の道に変わる。危険はないので足を速めて時間短縮が図れる。


IMG_3447この辺り、シロヤシオが多く楽しませてくれる。


IMG_3435アカヤシオが2輪だけまだ花を残していた。


IMG_3450傾斜はより緩くなり、檜の人工林に変わる。
それにしてもWさんの足は速い。管理人が写真を撮っている間に視界から消える。時速6キロは出ているようだ。
管理人は時速4キロという亀歩きだ。


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稚児ヶ墓を通過する。
この下山ルートのハイライトは稚児ヶ墓の少し前から始まるヤマツツジの群落である。数百本ものヤマツツジが咲く景観に圧倒される。


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IMG_3490見事なヤマツツジにおされて目立たないが、こんな場所にズミがあった。


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高さ3メートルはあろうかという殺生禁断碑。
日光市街に向いて立てられていて、無闇に殺生するなという意味だそうだが、いつの頃の石碑なのか管理人にはわからない。


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急な登山道を下るとここで林道と出合う。地図によればこの林道を歩いて行けば二社一寺の山内(さんない)に通じているようだ。


IMG_3499その林道を50メートルほど歩くとコースは再び林間に入る。


IMG_3504建物が見えてきたがあれがゴールの行者堂だ。


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キスゲ平をスタートして10時間10分、無事に戻ることができた。
それにしても長く厳しい山行であったが、それだけに満ち足りた気分になれる。
さあ、ペンションに戻ってWさんと祝杯だ!!


150520altitude
高低グラフを地図ソフトのカシミール3Dで作成。