日本百名山・会津駒ヶ岳。濃霧の中、お花畑を散策。

2019年8月21日(水) 曇天/濃霧

8月も後半だというのに梅雨の最中を思わせる天気ばかりで、雪なしの冬から続いている今年の異常気象はまだ終息していないようだ。
管理人は天気のいい日を選んで山歩きができるという立場にある(それほど仕事が暇という意味ね)が、今年は梅雨入りから今日にかけて晴れた日が極端に少なく、恵まれない。
まっ、今までが恵まれすぎていたのだよ、と自分に言い聞かせることで無理やり納得させているが、日々、予報を見ては天気のいい日を虎視眈々と狙っている次第だ。

それが今日21日だった。
秋雨前線の影響が出ているのか雨ばかりの日にあって、今日だけは陽が差すとの予報だ。昼を挟んで前後2時間くらいのものだが、それでも湿度充満の雨降る中を雨具を着て蒸れながら歩くよりもいい。
場所は深田久弥・日本百名山の会津駒ヶ岳にした。
予定では高山植物そして、湿原に咲く花が見頃になる7月半ばにしていたが、長引く梅雨と繁忙期(この時期だけは)が重なって延び延びになっていたのだ。
予定のひと月遅れということになるが会津駒ヶ岳ならまだ花に間に合うだろう。なんてったって会津駒ヶ岳は広大な湿原を有し、植物が多様なのだ。期待がもてる。
ちなみに会津駒ヶ岳は2016年10月の初登から数えて今日で9回目。年3回のペースで登るほど管理人の好きな山である。残雪期でも安全に登れるしむしろ、その方が雪で段差が解消されて楽でもある。

行程表
滝沢登山口(5:53)~水場(7:09/7:15)~駒ノ小屋(8:37/8:45)~中門岳(9:53/10:00)~会津駒ケ岳(11:06/11:20)~駒ノ小屋(11:30/11:50)~水場(13:03/13:25)~滝沢登山口(14:23)

・歩行距離:15.9キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:8時間30分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1400メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

滝沢登山口手前に用意されている20台分の駐車場は6時前だというのに管理人が到着する前にすでに10台、管理人で11台目。
このあと、2台の車が入ってきた。
面白いのは、指示されたわけでもないのに、駐車場の奥すなわち登山口に近い場所から行儀よく埋まっていくことだ。ランダムに埋まっていくわけではないのだ。
管理人は1台分空けて駐めた。荷物をサイドドアから引っ張り出す必要があったし、隣の軽自動車でも同じことをしていたからだ。
空はどんより曇っているが、10時から2時ころまで青空が広がるとの予報。


駐車場の奥へ進むと急階段が現れ、ここが登山口になる。
ポストに登山届をねじ込むように入れて階段を上がる。
会津駒ヶ岳に来るたびに、このポストに入っている登山届はいつ回収に来るのだろうかと疑問に思っている。毎回と言っていいほど投函口まであふれるくらいの登山届が入っていて、それでねじ込まなくてはならないからだ。
もちろん、ポストがいっぱいになるほど登山者は多くない。


会津駒ヶ岳の魅力は山頂に広がる広大な湿原にある。
湿原に出合うまでの道は急傾斜だし展望もないので正直言って辛い。


木々の間から遠くが見えることもあるがその機会は多くない。


空がずいぶん明るくなり日差しが届くようになった。
この青空が広がってくれるとありがたい。


赤く熟したオオカメノキの実
野鳥には好まれないらしく、晩秋まで残ることがある。


水場に到着。
左の林の中を降りていくと岩から水が滲み出している場所がある。
ただし、歩き始めてまだ1時間ちょっとしか経っていないので、今は必要ではない。


マイヅルソウの実


タケシマランの実


ノリウツギ
今日、初めて見る花。


たぶんユキザサだと思う。


アキノキリンソウ


いつの間にか空が厚い雲に覆われている。
どこかで降られるのかな?


オヤマリンドウ


霧の中に先行する登山者を捉えた。


オニアザミ?
日光で咲いていればトネアザミということになるが、福島南部の山にトネアザミは図鑑にもないことからオニアザミとした。


霧はますます深くなり雲も隠すほどに。


ツルアリドウシ


花後のモミジカラマツのような。


おっ、湿原まで来たぞ。
これからお花畑が広がっていると思うと期待に胸が膨らむ。


まず始めに花と出会うのがこのテラス。
黄色い花が目立つがあれはキンコウカ。


白い花はイワショウブ


オトギリソウ


イワショウブ


キンコウカ


花はまだこれからたくさん出会うので先へ進むことにする。
木道が新しくなっていた。
昨年から始まった会津駒ヶ岳木道整備の一環で、有志による寄付金が整備に充てられている(僅かな金額だが管理人も参加した)。


雨で見る影もなくなってしまったがおそらくヒオウギアヤメだと思う。


濃い霧の中にテーブルとベンチ、左前方には駒ノ小屋が現れた。
山頂直下の駒ノ大池に着いたのだ。


駒ノ大池
5月に来たときはまだ厚い雪に覆われて雪原と化していたが、さすがにこの時期は全貌が現れている。とはいえこんな有様だが。
会津駒ヶ岳はこの奥にそびえていて、天気が良ければ水面に映し出される。それはもう美しいったらない。→こちら
少し休んだ後、先へ進んだ。


やや時期が遅かったらしくコバイケイソウは変色し始めている。


会津駒ヶ岳に続いている木道だがまだ整備に未着手で老朽化が激しい。


木道はここで二手に分かれる。
直進すると中門岳、右へ折れると会津駒ヶ岳の山頂がすぐだ。
今日はいつ降るともしれない雨を避けるため、先に中門岳を訪れることにした。


ここで会津駒ヶ岳山頂からの道(新しい木道)と交わる。


濡れた木道は滑る。
木道は古くなるにつれて木質が荒れて雨水が染み込みやすくなり、表面がヌルヌルしてくる。
これから先、中門岳まで木道が続くのでスリップ防止のために滑り止めを着けた(実はこの手前で滑って尻もちをついている)。
モンベルが販売している木道専用の滑り止めである。
ホームセンターなどでは金属のピンが埋め込まれた滑り止めが売られているが、あれだと木道を痛めてしまう。チェーンスパイクやアイゼンなど論外である。
モンベル製のはホームセンターのと造りは同じだが、金属ピンの代わりに紙ヤスリ状のシートになっていて、木道に優しい。シートは張替えが可能だ。
問題は滑り止めのシートはつま先部分にしかないので、かかとから着地すると滑る。意識してつま先から着地するのがポイント(これが結構疲れます。下りだとふくらはぎがパンパンになる)。


濃霧の中を黙々と歩く。


おぉ、ハクサンコザクラが存命しているぞ!
時期的にもうとっくに終わっていると思っていたがわずかだが残っていた。
とはいえ雨に濡れてしおれ、絵にならない。


イワイチョウは今が盛りだ。
あちこちで咲いている。


チングルマの花後
花が終わるとオシベが長く伸び、このような姿に変わる。
これはこれで美しい。


う~ん、いいですな~、霧の中の湿原ちゅうのは幻想的で。


シラネニンジンも盛りだ。


モミジカラマツ


これはまだ元気なコバイケイソウ


ハクサンフウロもわずかだが観ることができた。


木道に覆いかぶさるコバイケイソウ。
今年は当たり年なのかな?


中門岳に到着。
テラスが新しくなっていた。
柱には中門岳と書かれているが、この辺り一帯を指すとの断り書きがある。
地図でいう中門岳はこの先の標高2060メートルを指している。
そこへ行ってみることにする。
ちなみに柱は2メートルほどの高さがあるが積雪期は雪に埋もれてしまう。→5月の中門岳


木道はここで終わる。
標高2060メートル、地図上の中門岳である。
先着1名、挨拶を交わして戻ることにした。


中門岳と刻まれた木柱まで戻り、ここで昼食にした。


オヤマリンドウ


1センチにも満たない、小さな花。
花は完全に開いているが形はリンドウ。
帰宅して調べるとミヤマリンドウらしい(自信なし)。


チングルマの穂もこうして集まると見応えがある。


キンコウカ


イワショウブ


モウセンゴケの少群落と出会った。


ミヤマリンドウ


イワイチョウの群落の中に混じってハクサンコザクラが。


たぶんネバリノギラン


駒ノ小屋への近道と会津駒ヶ岳山頂への分岐まで戻ったので、次は会津駒ヶ岳山頂へ向かう。


山頂への木道も新しくなっていた。
木道脇に咲いている黄色い花はニッコウキスゲか?


それは紛れもなくニッコウキスゲだった。
とはいえ数は少なく、見たところ50株ほど。100株には満たない。
ここで、疑問が湧いた。
会津駒ヶ岳固有のニッコウキスゲで古くから生育しているのであれば株はもっと多いはず。
もしかすると他所から移入され、この数年で増えたのではないか、というのが管理人の直感であった。
後日、詳しく調べてみたい。
ちなみに移入の原因として、・故意に持ち込まれた、・野鳥の糞に混じっていた、・登山者の靴に付着していたなどが考えられる。


ニッコウキスゲ近撮。
そういえば管理人、今年初めてニッコウキスゲを見たのは雄国沼だったし二度目はここでだ。
地元の霧降高原を訪れもせず福島県で見るとは(笑)。


会津駒ヶ岳山頂
霧は相変わらず濃く漂い、展望ゼロ。
いや、晴れていても周りの木々に遮られて展望はあまりいいとは言えない。
ところが、積雪期だと目線がこれらの木々よりも高くなり抜群の展望が得られる→こちら


少し下がったこのあたりだと燧ヶ岳が見えるのだがね。


ミヤマリンドウ


駒ノ小屋近くまで降りると霧がやや薄くなり建物がはっきり見えるようになった。


またまたミヤマリンドウ
今日のブログに載せるのはこれで何枚目だろうか?
管理人が初めて見る花だし、日光にはないことから物珍しさで載せていることをご容赦いただきたい。


朝のスタートが早かったのでまだ12時前。
このまま下山してしまうのは惜しい。
といってルートを変えてキリンテあるいは御池に降りようとすれば時間がかかりすぎるし、雨の心配もある。
しばらくの間、ここでのんびりしていよう。


おっ、霧が晴れて会津駒ヶ岳が姿を現したぞ。
駒ノ大池に会津駒ヶ岳が映り、なかなかいい感じ!


名残惜しいがそろそろ下山にかかろう。
駒ノ小屋をあとに傾斜湿原を下っていく。


イワイチョウ
名前に「イワ」とつく植物は今日、他にイワショウブがあった。
南会津町の窓明山ではイワウチワというのもあった。
「イワ」は漢字の「岩」。岩場に生育するという例えから指すが、イワの後につく「イチョウ」、「ショウブ」、「ウチワ」という名に注目。
イワイチョウの葉っぱは銀杏の葉っぱに似ているから、イワショウブは葉っぱが菖蒲の葉のように細長いことから名前がついている。
では、イワウチワの名前の由来は?
答えは明瞭。葉っぱが「・・・」に似ているから。おわかりですか?→こちら


キンコウカ


振り返って駒ノ小屋を見上げる。
朝は濃霧で何も見えなかったが、晴れている日であれば樹林帯を抜けるとこの景色が目の前に飛び込んでくる。それはもう疲れも忘れるほど美しい光景だ。
管理人が初めて会津駒ヶ岳に登ったのは2016年10月だった。
実はその前年、SNSに載っていたある写真を見てその景色の素晴らしさに魅入ったことがある。傾斜した緑の草原の中を長い木道が走っていて、その先には小洒落た2棟の建物が見える。まるでアルプス(行ったことはありませんが)の中の一場面なのかと思うほど素晴らしかった。
同じ年、帝釈山に登るため檜枝岐村を訪れたところ、民宿が並んだ国道に会津駒ヶ岳の登山口があることを知り、登ったのが2016年10月だったのである。
喘ぎながら急傾斜の樹林帯を抜けると視界がパッと明るくなり、そこに広がっていたのがなんと、SNSの写真で見た景色そのものだったのである。そこに今、自分が立っていることに激しく感動した。
写真で見た木道が貫く草原は湿原であった。時節柄、花は一輪もなかったが夏であれば花で埋め尽くされるであろうことは容易に想像できた。時期を改めて来てみよう、そう思った。
今日で9回を数えた。


会津駒ヶ岳


イワショウブ


湿原が終わるとともに木道は普通の道に替わる。
滑り止めはもう必要ないので外した。


水場に着いたのでひと休み。
久しぶりに水場を覗いてみることにした。


急斜面を降りると行き止まり、そこは大きな岩がある。
パイプから細いながらも水が流れ出ている。
これは岩から滲み出ている水の一部で全体量はもっと多い。
苔を伝って流れ落ちる岩清水は冷たくて美味い。


空は相変わらずどんよりと曇っている。
今日は雨具を着たり脱いだりと忙しい。
ブナの葉はまだ黄緑色で新緑の頃のように美しい。


無事に滝沢登山口に着いた。
今日も時間をかけてたっぷり歩いたような気がするが、それでもこんな早い時間に下山できるのはありがたい。


朝、先着していた車は見事になくなり、3台のみ。
この後、村営の日帰り温泉で汗を流し帰路についた。
大雨はその後からだった。


完全ピストンなので軌跡は単調な一本線だが、行程の1/2は湿原なので往復、花が楽しめる。