日本百名山・燧ヶ岳はただひたすら急斜面を登る。その先には大展望が。

2019年5月11日(土) 晴れ

大型連休(これは管理人のね)後半は場所を福島県の南、檜枝岐村に移して燧ヶ岳と会津駒ヶ岳である。
燧ヶ岳は一昨年の6月にテント泊の計画で20キロものザックを担いで登ったところ、あまりの重さと急傾斜に根を上げて、バテバテになって下山したことがあった。
疲れは翌日になってもとれず、予定していた尾瀬沼一周をとても辛い思いで歩いたのが記憶に新しい。

今日はその反省から日帰り登山とし、テントも寝袋もマットも炊事道具も食料も、泊まるための備品は持たずに臨んだ。
とはいえ、アイゼンとピッケルは必携だし、無雪期には持たないポールを携行するとなればザックは10キロを下回ることはない。
その上、今回は残雪の急傾斜だ。
一昨年とは違った苦しみが待っているような気がしてならない。
もう初めっから気が臆している管理人なのである。

行程表(各地点は地理院地図と昭文社「山と高原地図」に基づく)
御池登山口(6:20)~広沢田代(7:14)~熊沢田代(8:11)~俎嵓(9:56)~熊沢田代(11:30)~広沢田代(12:20)~御池田代(13:00)~御池登山口(13:15)

メモ
・歩行距離:10.0キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:6時間55分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:971メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

檜枝岐川に沿った国道を尾瀬の入口、御池に向かって走っていると燧ヶ岳が見える場所がある。
ほぼ全貌がみえるので積雪の状態もよくわかる。
まだ山全体に雪が被っているようだ。
さあて、今日はどんな山行になるのかな?


おーっ、なにやら道路を走ってる!
身体を左右に揺すりながら両手両足がバラバラに動いてる様はとてもユーモラスだ。
管理人の車に気づいたらしく道路から下がった河原に消えていった。
車から降りて急いで追いかけたがどこかへ隠れてしまったのか姿は見えなかった。
遠目にテンだとわかった。


御池駐車場に到着。
ゲートの自動発券機で駐車券を受け取り奥へ進む。
駐車料金は1回につき1000円。1回につき、ということに注目。
群馬県の駐車場は1日で1000円なのに対し、福島県は山小屋に泊まって次の日に戻っても1000円で済む。
群馬県は駐車場から登山口までバスまたはタクシーを利用しなくてはならないが、ここは駐車場が即登山口になっているので運賃は不要。
さらにいえば、村の宿泊施設で5000円以上の宿泊代を払えば駐車料金が無料になるのがありがたい。このおおらかさが気に入っている。
もうひとつ大きなメリットは、トップシーズンであっても満車にならないことである。駐車場を探してUターンすることはないのだ。
理由は尾瀬の登山口別入山者数を調べるとわかる→こちらの最後で説明。
と、福島県の山に魅せられている管理人としては大いに宣伝しておきたい。


駐車場の両側は斜面になっているため正しい雪の量はわからないが、今年は多いと聞いている。


登山口でこれだけの雪であれば山頂までずっと雪だろう。
躊躇うことなく駐車場でチェーンスパイクを着けて歩き始めた。


夏道は駐車場の最奥から御池田代(みいけたしろ=たしろとは湿原のこと)に向かって木道を歩き、分岐を左へ行くが、この時期は夏道にこだわる必要はない。冬道が出現するのでそこをたどっていく。


日曜日ということもあって登山者は多い。
このあと管理人は何人もの登山者に追い越された。


GPSで現在地を特定するといつの間にか冬道ではなく夏道の上にいた。間もなく広沢田代に差しかかろうとしている。


傾斜が緩やかになるとそこが広沢田代。
雪が消えると広大な湿原が出現する(というダジャレ)。


広沢田代を過ぎると傾斜は再び急になり、悲鳴が出る。


急斜面は続く。
前を行くのはつい先ほど管理人を追い越していった登山者。
差は開く一方だ。


管理人の横を歩いている登山者。
この傾斜が実際をよく表している。


時々立ち止まって周りの景色を眺めることで気を改めるが、だからといって疲れが回復されるわけではない。
振り返ると会津駒ヶ岳と中門岳に続く長い稜線が見える。
明日はあそこだぞ!
そのためにも疲れを残してはならないし、ましてやケガなどあってはならない。


傾斜が緩み、熊沢田代に着いたことがわかる。


熊沢田代で休む青年。中年の女性と一緒だった。
日焼けした顔が精悍に見える。
スパイク長靴なのでもしかすると地元のガイドなのかと思って声をかけたところ、大阪から来たとのことだ。女性は母親だった。
そのうち追い越されることはわかっているので先に進んだ。


山頂迫る。
左の雪の斜面を上ったところが俎嵓だ。
一昨年の6月はまだ雪が残っていた。
雪の上ならどこを歩いても山頂に行くだろうと適当に歩いて行ったところ、そこは今日これから歩こうとしている斜面とは大きく離れたところだった。
雪は途中でなくなりハイマツとシャクナゲの激藪に突入する羽目となり、脱出するのに1時間以上も費やす結果となった。
それがここからだとよく見える。
斜面右に見える黒い部分、あれがハイマツとシャクナゲの藪である。
今日はそんなヘマをしないよう、ここから見てルートを決めた。


熊沢田代は大きい。
端から端まで10分以上かかる。
雪が消えて花の見ごろを迎えればもっと多くの時間がかかるだろう。花をじっくり観察するためです。


さっきは気がつかなかったが振り向くと熊沢田代の一部の雪が消えて湿原が露出している。
帰りに近くまで行ってみよう。


シカの足跡ですね。
ニホンジカなのかニホンカモシカなのかはわかりません。


山頂がすぐ目の前に迫った。


俎嵓山頂はすでに10名ほどの登山者がいた。
管理人がいる場所はBCスキーヤーで賑わっていた。
登山者とBCスキーヤーの数が同等というのも燧ヶ岳ならではのことなのかもしれない。


標高2346メートル、俎嵓山頂。


燧ヶ岳は標高2346メートルの俎嵓(まないたぐら)と2356メートルの柴安嵓(しばやすぐら)の双耳峰(そうじほう)である。
管理人がいる俎嵓から見る柴安嵓はまったく別の山に見える。
傾斜も急。
一昨年6月、管理人はあの頂に立ったわけだが、それには大変な苦労が伴った。


一昨年の柴安嵓。
残雪は2箇所。
下方は登山道が残雪を回り込むようになっていてまったく問題ないが、上方はあの雪の中に登山道がある。しかも傾斜がとんでもなく急なのだ。
幸いなことに山頂付近から長いロープが下がっていたのでそれにすがって上がっていったのだが、20キロのザックを担いでロープにすがるのは厳しかった。
スリル満点(落ちるという)であったのはいうまでもない。強がり言ってるが正直、怖かった。
こんな具合


来年のこの時期にと思い柴安嵓をよく観察すると、管理人が歩いた夏道(青い矢印)の右側に踏跡(赤い矢印)が見える。
なるほど、冬道ができるんだな、この時期は。
といって易しそうには見えないが、ここにいる人たちはこれからどうするんだろう?


まっ、それはともかくとして、せっかくの展望だ。
じっくり眺めてから下山しよう。
すぐ足下には雪原と化した尾瀬沼が見える。
例年なら5月/中から6月にかけてミズバショウが咲き誇るというのに、この分だと遅れるのだろうか?


柴安嵓の少し西には至仏山。
あそこもぜひ登ってみたいものだ。


再び柴安嵓に目をやると、お~、登ってる人がいるぞ。
人の心理というものでひとりが登り始めるとそれに続く人がいる。
管理人が見ただけで10人前後が登っていった。
上ったら下らなくてはならない。
それを見ていると皆さん、上りと同じ体勢で降りてくる。
やはりそれなりに苦労しているようだ。


新潟方面の山並み。
山が多すぎて名前など調べている余裕はない。


これは紛れもなく我が日光の白根山だ。


これは男体山。


女峰山とその右に小真名子山と大真名子山が並んでいる。


眼下に霞んで見える平らな部分が檜枝岐村。
こうやって見ると檜枝岐で人が住んでいるエリアは全体のごくわずかなことがわかる。


会津駒ヶ岳と中門岳へ向かっている稜線。
素晴らしい!


さてと、下山することにしよう。
チェーンスパイクをアイゼンに履き替え、ポールはピッケルに替えた。
なに、柴安嵓へは行かないのかって?
もちろんですとも。
君子危うきに近よらず、ですだ。
一昨年味わった恐怖がまだ消えていないので今年は遠慮しておく。
俎嵓に登っただけで十分満足している管理人なのである。


熊沢田代の露出した湿原が見えてきた。
なにか発見できるかな?


おっ、雪のすき間から毛むくじゃらのものが、、、
正体はこれっ
ワタスゲでした。


湿原を間近に見ることができるのもこの時期だけ。
ズームで撮ったがこれ以上近づくのはNG。


新潟の山々。


木道が現れたがすぐに雪の下に消えた。


木道のすぐ脇のワタスゲ。


花はあのワタスゲからは想像できないほど地味なんである。


帰りは夏道に沿って忠実に歩いて御池田代を見ることにした。
駐車場からもっとも近い湿原なので、もしかするともしかするという予感があった。


予感的中。


湿原を雪解け水が流れている。
水の中から飛び出しているのが管理人のお目当て。


探していたのはこれだっ!
この数日の間で咲いたのであろう、背丈はまだ10センチほどと小さい。
他はどうかと見回したがこの1株だけしか咲いていなかった。
ということは管理人が第1発見者か?(どうでもいいことだけど)。


駐車場から5分も歩けば御池田代だ。
時間に余裕がなければ尾瀬ヶ原まで行かなくてもここで十分用が足りる。
駐車料金は2時間まで無料なので安近短(死語?)で尾瀬の植物が堪能できる。


まだこんなに早い時間だ。
沼山峠へ行くシャトルバスの運行は来週の土曜日まで待たなくてはならないので、訪れる人はまだ少なく、駐車場はまばら。
明日はここから20分と離れていない檜枝岐村の中心部から会津駒ヶ岳を目指す計画である。
時間が早いので空いているスペースを利用して濡れものを乾かすことにした。
アイゼンは濡れたままにしておくと錆びるし、スパッツは明日も使うからここで乾かしておこう。
それよりも靴の中がびしょ濡れなのが気にかかった。
スパッツを着けているとズボンの中が蒸れて、靴下を伝って靴を濡らすが、今日はかなり濡れている。しかも、左が特にだ。
靴は2014年10月に買ったスカルパ。
ソールを張り替えるためにショップに出したついでに同じタイプで年式の異なるスカルパを買って、それぞれ別の車に入れてあるが、今日使ったのはソールを張り替えた古い方のスカルパだ。
買って一年半後にはソールを張り替えているので使用日数はかなり多いと言える。
もしかするとゴアテックスの機能が衰えて水が外部から浸入するのかもしれない。
取り急ぎ明日のためにも乾燥させ、帰宅したらオイルを塗り、防水スプレーでガードしてみよう。
それでも濡れるようなら寿命と考えて新しい靴を買おう。
足のサイズが左右で5ミリ違いなおかつ、加齢に伴って足底のアーチがなくなって限りなく扁平足に近づいている。靴選びが難しい管理人の足だが、スカルパとは相性がいい。
ウエアはモンベルへの強いこだわりがあるが、靴も一度履いて相性がいいと他のメーカーに替える勇気が出ない。
なんてったって高い買い物だもんね。