日本百名山・安達太良山で360度の大展望を満喫。

2019年5月8日(水) 晴れ

長きにわたる今年のゴーデンウイークが終わったのと入れ違いに、今度は待ちに待った管理人の大型連休が始まった。
管理人にとっては一年中が大型連休のようなものなので、ことさら大げさに構えることはないというのが例年のことなのだが、今年は違う。
ゴーデンウイーク後、数日間は天気が良さそうなのだ。
それにこの時期なら場所を選べばまだ雪の上を歩ける。

最後のお客さんを送り出した7日、早々に、福島に向けて車を走らせた。
支度は前日に済ませておいた。
予定では7日は移動日、8日に安達太良山、9日は磐梯山に登って10日は檜枝岐への移動日に充て午前中は五色沼を散策、11日に燧ヶ岳、12日は会津駒ヶ岳に登る。
そして会津駒ヶ岳を下山したら檜枝岐の伝統行事「檜枝岐歌舞伎」を観賞して打ち上げをおこなって翌日、日光に帰るという6泊7日の長旅である。
燧ヶ岳を除く3座は昨年、登っている。燧ヶ岳は一昨年登ったので4座とも初めてではないが、会津駒ヶ岳を除けば残雪期に登るのは初めてである。

4座とも無雪期の印象はとてもいい。
湿原あり、沢あり、なにより展望が素晴らしい。
花の種類が多いのも魅力だ。
そんな山の残雪期の今はどんな様子なのかを知っておきたい。

行程表(各地点は地理院地図と昭文社「山と高原地図」に基づく)
奥岳登山口(8:10)・・自然遊歩道・・馬車道・・勢至平分岐(9:55)~くろがね小屋(10:42)~峰の辻(11:41)~安達太良山(12:20)・・勢至平ルート・・勢至平分岐(14:28)・・旧道・・奥岳登山口(15:50)

メモ
・歩行距離:14.8キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:7時間40分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1092メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

安達太良山へのルートでもっとも多くの登山者が利用するのが安達太良山の東に位置する奥岳登山口(あだたら高原スキー場)。
このルートは途中、人気のある「くろがね小屋」で休憩することができる。
「くろがね小屋」は通らないが、もっとも楽に登るにはスキー場のゴンドラを利用する方法で、400メートルという標高差を一気に上ってしまう。
管理人は昨年8月、往きに「くろがね小屋」経由で、帰りはゴンドラの終点駅を経由(ゴンドラに乗ったわけではない)で下山したが、12時頃というのに大勢の登山者とすれ違った。
パラパラとすれ違ったのではなく、ドッとという感じだった。
おそらく1分くらいの時間差で上っていくゴンドラから降りた登山者たちだったのではないかと思う。


ゴンドラ乗り場の向かいには山を背景に、日帰りの温泉施設がある。
ここのように登山口に立地していると必ず目に入るから、下山してからいちいちネットで探す手間が省けるのがいい。


管理人、安達太良山に登るのはこれで三回目。
昨年8月に同じく奥岳登山口を利用したのだが、歩き始めてしばらくして、渓谷に沿って歩けるいいルートがあることに気づいた。
しかし残念ながら、そう思ったのは渓谷が終わった後のことで、そのルートを歩くにはスタート地点まで戻らなくてはならなかった。地理院地図にも描かれていないので気がつかなかったのだ。
そこで今回は初めから計画の上で歩いてみることにしたのだ。
「あだたら渓谷自然遊歩道」である。


昨年はしばらくの間、スキー場の管理道路を歩いたのだが、遊歩道は管理道路に並行しながらも沢が流れる自然林の中を歩けるようになっていて雰囲気は最高である。


沢には滝が多く、歩きながら数えると、わずか1キロの距離に5つもあった。


お~、ショウジョウバカマ様だ!
この自然な色と花の形、「様」で呼ばずになんと呼ぶ(笑)
いかにも水辺の花といった感じで、流れのすぐ脇に成育している。


あれまっ、こんどはミズバショウ様ではないか。
すごいな、この渓谷は。楽しませてくれる。
ミズバショウは尾瀬を代表する花として知られているが昨年、山形県境の山を縦走したときも、そこは湿原ではなかったがコース両脇にミズバショウがびっしり群生していた。
雪が多くなおかつ、四季を通して水分が豊かな土壌がミズバショウが生育するのに適しているように思える。


約1キロ、30分歩くと遊歩道は終わって地図にある登山道と交わる。


登山道を少し歩くと「馬車道」、「旧道」と書かれた案内板のある分岐に差しかかる。両者、地理院地図に表記されていて、しばらく歩くと合流する。
昨年、管理人は「旧道」の名に惹かれてここから見える林の中を歩いたので、今回は「馬車道」を先に歩いてみることにした。


旧道と馬車道は交わっては分かれるを繰り返し、1215メートルで1本になる。


1215メートルから先、勢至平ルートとの分岐まで、道の両側にはショウジョウバカマがずらっと並んでいる。
日光では珍しい花で、少なくとも奥日光では見たことがない。が、ここではごく当たり前に成育している。じっくり眺めては写真を撮り、再び歩き出すの繰り返し。


登山道がカーブに差しかかったところで遠くに特徴的な山が見える。
一目で、あれが安達太良山だとわかる。
安達太良山はどの方向から見てもなだらかな形をしているが、最高地点だけがぽつんと盛り上がっているのが特徴である。
昭文社「山と高原地図」には「乳首」と描かれている。
おそらく噴火によって吹きだした溶岩の最後の一滴が固まってあのような形になったものと思うが、まさに乳首そのものの形をしている。


雪が登場、、、


しかし、長くは続かない。
地面との繰り返し。


これまで見てきたショウジョウバカマはピンクに近いがこれは淡い紫といったところ。実にきれい。


「くろがね小屋」が見えてきた。
温泉がある山小屋として人気があるが、その源泉は小屋上方の斜面にある。


奥岳温泉登山口の北にある塩沢温泉から上ってくるルートとの合流地点。
注意書きに、冬季は塩沢温泉ルートに架かっている橋を取り外すため通行不能とある。
そうかぁ、今日は登山口を奥岳温泉にするか塩沢温泉にするか迷った挙げ句に奥岳温泉にしただけに、もしも塩沢温泉から歩き始めたとすれば途中で引き返さなくてはならなかったわけだ。
結果としていい選択をしたことになるが、実は昨日、塩沢温泉登山口に下見に行ったときはこのような注意書きはなかったのだ。


くろがね小屋のすぐ手前の斜面から水が勢いよく噴き出している。
山の水は例外なく美味い。
持参した飲み水(水道水)を捨て、2本のボトルに満たした。


くろがね小屋に到着。
今から56年前に建てられ、老朽化から今年度中に取り壊して新しく作り直すという話が持ち上がったが、一年間はこのまま営業が決まったそうだ。
昨年見て、その佇まいにいつかは泊まってみたいと思っているが、日帰り可能な山の小屋なのでどんな行程を組めば泊まることができるのか、それが目下の課題である。


登山道はくろがね小屋で東へと鋭角に進路を変え、ここから尾根が始まる。


開放的な山道を進む。


雪渓のトラバースだが傾斜は緩いので靴のままで歩ける。


峰の辻
道はここで三方に分かれる。
安達太良山山頂への道と矢筈森を経て鉄山への道、そして勢至平ルートで奥岳温泉へ戻る道である。
安達太良山へはここを一旦下って登り返すが傾斜は緩やかなので疲れることはない。


山頂目前。
乳首がはっきりとそれらしい形で見える。


福島遠征の第1登目、安達太良山に到着。
ここまで来たのだからあの上に乗らない手はない。


展望360度の乳首の上。


かなり古い山名板。
前の画像の祠にあったり地面にあったり、場所が定まっていない。


西に磐梯山がくっきり。
明日はあの頂へ。


飯豊連峰
時間もよろしいようなので風が遮られる岩陰に身を潜め、パンをかじる。


先ほどの峰の辻まで戻って勢至平ルートを探す。
おそらく年間に数千人もが歩いているはずなのに火山礫の上は踏跡がつきにくく、慣れないうちは道を探すのに苦労が伴う。


とりあえずあの山(篭山)を右に見ながら進んで行く。
そのうち道は見つかるだろう。


勢至平ルートに雪はなく歩きやすいように見えた、、、


雪解けのせいか泥濘とまではいかないものの、歩くたびにびちゃびちゃと音がする。


うむっ、雪解け水が集まって水深が深くなってきたぞ。


こんなところもあって気を抜けない。
慎重に歩いたのは言うまでもない。


ここで朝のルートと交わる。


ここから下山するまでショウジョウバカマの並木となる。


シカに食われたのだろうか?


自然遊歩道との分岐を林道を進む。


ゴンドラ乗り場に戻りこれから温泉。
その後は猪苗代まで行って野営だ。