2019年4月9日(日) 晴れ
今日見た花
アカヤシオ、ヒカゲツツジ、ヤマツツジ、トウゴクミツバツツジ(蕾)、カタクリ、ミヤマシキミ、アカネスミレ、純白のアカヤシオ(?)
先月の27日から始めた古賀志山の花廻りブログは今日で5回目になった。
この間、他のエリアの山には登っていない。
例年だと古賀志山の他にも残雪の山を求めて予定を組むところだが、今年はそろそろ残雪登山でもしようかという時期になって雪が頻繁に降るようになり、雪山に逆戻りしてしまった。
これを書いている10日の12時現在、我が家のある霧降高原は朝からの積雪が5センチを超え、まだまだ増えそうな気配だ(降り止んだときは10センチに達していた)。
残雪登山は陽光降り注ぐ天気の下、遠方の山並みを眺めながら固く締まった雪の上を山頂に向かって歩いていけるという大きな魅力があるが、これだけ頻繁に雪に降られるとそれどころではなく、むしろ遭難の危険性を考えなくてはならない。
とはいえ、山を快適に歩きたいという欲求は抑えられるものではなく、その最適な答が古賀志山なのである。
古賀志山は今まさに花の季節。
標高583メートルの里山ゆえに日光の悪天候とも無縁。
標高が低いとはいえアップダウンが多いから、その累積標高は2千メートル級の山に匹敵する。全体が岩で構成されているためルート上には岩場が多数あって、それなりの緊張を強いられる。
日光の山のように山頂に立たないと満足が得られないということはなく、ある目的、たとえば岩場の練習をするとか、奇岩を巡ってみるとか、数々の信仰物を巡るとか、花を愛でながら歩くとか、箱庭的ないろんな楽しみ方ができる希有な存在が古賀志山である。
管理人、古賀志山山域にある100以上のバリエーションルート(地図に描かれていない道)すべてを歩き尽くすという目標を立て2015年から集中的に歩くようになった。もう尽きたかなと思うとまた未踏の道が見つかったりでなかなか目標達成に至らないが、4.5キロ四方という狭い山域でこんな遊びができるのは古賀志山くらいのものだろう(って、他に日光の山しか知りませんが)。
今日はこの時期だけのお楽しみ、花である。
シュンランから始まってショウジョウバカマ、キクザキイチゲ、スミレ、ニリンソウ、カタクリを見てきた。今日は先週つぼみだった「ゴーゴーキュー」のアカヤシオとそろそろ咲くであろうヒカゲツツジがお目当てである。
標高820メートル、霧降高原の麓に位置する我が家を出発するときは小雪がちらつき、気温は3度だった。
あまりにも寒いので中間着の上にフリース、その上に雪山用のジャケットを着、下は厚手のパンツ、その下にタイツ(さすがに歩き始める前に脱いだが)まで履いて車に乗り込んだ。
我が家から古賀志山の一般的な登山口となる宇都宮市森林公園まで50分かかるが、これはどんな時期でも変わることがない。
管理人が初めて古賀志山を訪れたのは2014年10月、紅葉の見ごろで大渋滞する日光市内の国道とは反対方向に位置する山なので混雑する心配はないだろうと見込んだからだ。
狙いは的中し、渋滞する国道を横目に見ながら快適にそして、50分でこの駐車場に着いた。
古賀志山を正面に見ながら赤川ダムの脇を散歩の気分で歩く。
サクラが満開を迎えようとしている。
道はここで分岐する。
左へ入ると北登山道に行く。駐車場を出発する登山者の7~8割は北登山道へ向かって分岐を左へ進んで行く。
管理人は今日、二枚岩のアカヤシオとヒカゲツツジを観る目的があり、その最短コースとして古賀志山の裏(北)から入山するので分岐を右へと入っていく。
二枚岩の入口。
「古賀志山を守ろう会」による案内板が立っている。
管理人が古賀志山を歩き始めたのと同時期に、古賀志山をこよなく愛す有志と地権者によってNPO法人「古賀志山を守ろう会」が設立され、以来、山名板や地名板、この画像にある案内板、岩場には鎖、現在地を示すID番号板が設置されるなど、古賀志山の整備が進められている。
とはいえ、山名板や地名板、案内板は現地に行かないとその存在を知ることができないので、山行計画に役立つわけではない。
古賀志山の面白さに魅せられて管理人は地元、日光の山を差し置いて、2015年から古賀志山に集中して取り組むことにした。山域に100以上もあるというバリエーションルートをすべて歩き尽くすのが目標である。
管理人が古賀志山を歩き始めた頃は山名板や地名板、案内板はなかったからとにかく歩き回り、それをGPSに記録し、帰宅後はGPSのログをPCの地図に再現してルートを覚えるという地道な作業の繰り返しをおこなってきた。
管理人が保有する古賀志山に関する情報量は現在では膨大であり、それをブログを通して読者にお伝えするようにしている。
前述の「古賀志山を守ろう会」が公開している情報にも大いに助けられているので、それに肉付けしてブログで公開することで、古賀志山を楽しみたいという読者の予備知識として役立てていただきたいという思いが強くある。
とはいえ管理人が知っている情報のすべてをこのブログで公開するつもりはない。これだけは公開したくないといった情報は誰にでもあるものだ。
管理人が膨大な時間を費やして得た、たとえば貴重な植物が成育している場所の情報は言ってみれば管理人の財産である。情報の安売りはしない(と、これは比喩的に言っているのであって、金銭と引き替えるものではありません)。
また、「古賀志山を守ろう会」が設置した鎖のある岩場以外は滑落の危険が大きいため、その場所を特定するような書き方はしていない。
以上の理由から情報の不足は読者の想像力(もちろん読図力、探求心も)で補っていただきたいと願っている。
それが古賀志山の面白みを深めることになると思うのである。
どうかご理解ください。
なお、当ブログでは基本的に、「古賀志山を守ろう会」が公開している情報であればなんら問題ないと考え、肉付けして(より詳しく)公開するようにしている。
これがヒカゲツツジ。
二枚岩のすぐ下に成育している。
限りなく白に近い緑色というべきか透明に近い緑色というべきか、実に控え目で目立たない色なのだ。アカヤシオなど赤系のツツジのように華々しくないが美しい。
ピンクで大柄、遠くからでも一目でその存在がわかるという、ツツジの女王様的なアカヤシオ。
地元の人に「三角山」あるいは「おむすび山」と呼ばれている480メートルのピークを持つ山。
正式な名称はない。
二枚岩の脇にあったトウゴクミツバツツジ。
まだすべて蕾なので咲くのは今週末あたりか?
今週末はヒカゲツツジにアカヤシオ、ヤマツツジ、トウゴクミツバツツジと4種のツツジが揃って咲いているのが観られるという貴重な日になりそうだ。
満開のアカヤシオとその向こうに標高470メートルの無名の山(地元の人には「シゲト山」、「鞍槍」と呼ばれている)。もちろん地理院地図には描かれていない。
これが「二枚岩」。
地理院地図に描かれていないが正式な名前である。
ひとつの大きな岩が真っ二つに割れ、向かい合っている。
白いツツジが目に入った。
一見、シロヤシオかと思ったが、シロヤシオは花と同時に葉が展開する。
二枚岩を後にして次に「ゴーゴーキュー」と呼ばれているピーク559へ向かう。
二枚岩から「ゴーゴーキュー」へ向かうルートはなかなか難しい。
普通は南下して中尾根と合流したら西へ進み、突き当たりの案内板にしたがって右(北)に行けばいいのだが、年老いた管理人、頭を活性化させるためにも中尾根以外のルートでP559を目指すようにしている。
ちょっとヤバそうなルートが4・5本あって、滑落しないよう考えながら歩かなくてはならないのだ。
一旦、沢へ向かって下りるとそこはカタクリの小群落になっている。
多くはすでに萎れているが中にはまだ元気なのもある。
「ゴーゴーキュー」の近くまで来ると北向きの急斜面にヒカゲツツジが成育している。
が、花が開いているのは1本だけで他のは蕾だ。
危険を冒してこの場所にやって来たが今日は蕾を見ただけで終わった。
「ゴーゴーキュー」に到着。
ここは地理院地図にピーク559として描かれていて、地元の人の憩いの場として利用されている。
しかし、今日は昼ご飯の時間だというのに珍しく誰もいない。
遠慮なくここを独占し、コンビニで買ったおいなりさんと魚肉ソーセージ、それとバナナでエネルギー補給をする。
北西に日光連山が見える。
管理人が自宅を出るときちらついていた雪は、山沿いでは本格的な雪になっているらしく山頂は雪雲に覆われている。
まったりとしたランチタイムだった。
そろそろ場所を移そう。
アセビ、ネジキ、ナツハゼ、ヒサカキ、ウラジロヨウラク(古賀志山にはない)、ベニサラサドウダン(同)など、この画像のような釣鐘状(※)あるいは壺状(※)の花を咲かす樹木は数種あるが、中には特定が難しい樹木があっていつも苦労する。
花の形、色、咲く時期、花はどこに付くかといった細かい特徴や葉の特徴を自分の目で見極めないと図鑑を調べてもよくわからないことがある。
現場にいて時間がないときなどそんなに細かいことまで気が回らないから、写真を数枚撮って立ち去る。
ところが、自宅に帰って調べるつもりでモニターで見ると、しまったぁということになる。
この画像の花はまさにそうだった。
名前を特定する特徴を捉えていない。
救いは今日が4月の初め(今日9日)であるということだ。
古賀志山でいえばヒサカキが3~4月、アセビも3~4月、ネジキ5月下旬、ナツハゼ5~6月という順に咲くから、これはヒサカキかアセビということになるのだろう。
次に見るべきことは花の色で、ヒサカキがクリーム色なのたいしてアセビはほぼ白。
花の形はヒサカキが釣鐘状なのたいしてアセビは壺状。
次は葉っぱだがヒサカキは厚い革質で縁には浅い鋸歯があって表面に光沢。アセビもヒサカキと同じく革質で表面は光沢のある濃い緑色、ふちの上半部には浅い鋸歯があり波打つ。
画像で振り返る限り花は釣鐘状でクリーム色。
葉っぱは厚く光沢があり、鋸歯がある。
以上のことからこの樹木はヒサカキとした。
※管理人の理解は次の通りである。
釣鐘状とは花の付け根から先端まで同じ太さあるいは先端がやや細い。
壺状とは花の付け根は太いが先端がギュッとつぼまっている。
「ゴーゴーキュー」を南下して中尾根を横断し、さらに伐採地を抜けて富士見峠に降りた。
これからしばらくの間、カタクリを求めて歩くことに。
ミヤマシキミ
常緑樹で目立たない花をつけるがよく見ると可愛らしい。
カタクリを追い求めながら歩いていたら古賀志山の直下まで来たのでついでに山頂を拝むことにした。
続いて別のカタクリの群落地へ。
と、そう簡単にはいかない。
今はまさにアカヤシオの盛りで、つい足を止めてしまう。
ここからが大変であった。
崖っぷちを歩いたりロープ、鎖のない急な岩を下ったりで大いに緊張を強いられた。
長い時間をかけてカタクリの群落地を抜けるとこんな光景が広がった。
宇都宮市街地の向こうに筑波山が見える。
ふと足下を見ると、そこは落差5メートルほどの岩の上だった。
ここは東南稜と呼ばれる岩尾根なのだ。
鎖を使って慎重に降りたのはいうまでもない。
やがて南登山道に合流。
この階段を降りるとアスファルトの林道に出て、そのまま赤川ダムに行けるのだが、、、
南登山道はなんども歩いているにもかかわらず、北へ向かっている道が見つかった。
こういうこともあるんだなぁ、古賀志山は!
足は自然と未踏の道へ踏み入った。
さあ、この道の果ては何処へ?
期待したほどの冒険はできなかった。
南登山道をショートカットし、10分ほどでアスファルトの林道と出合った。
帰宅後、地図で確認するとそれでも250メートルほど短縮したことになっていた。
アスファルト道路の脇に咲いていたナガバノタチツボスミレ。アカネスミレ。
森林公園内の整備された散策路を赤川ダムへ。
ハイキング帰りの人やジョギングする人、犬の散歩で歩く人などで利用されている。
赤川ダムの畔に出て今日の花廻りは終わった。
たくさんの花と出合えたり未踏の道が見つかったりと、有意義な一日でした。
図は今日のブログ記事に出てきた固有名詞を地理院地図に重ねたものである。
もしも管理人が追加した情報を消し去ってしまったら、言語情報として残るのは「古賀志山」の他3点と標高しか残らない(上図では)。
それだとよほど読図ができる登山者でないと不安ばかりで安心して歩けないということになるだろう。
しかし、実際に足を踏み入れてみるとわかるが、「古賀志山を守ろう会」が設置した山名板や地名板、案内板が随所にあるのでそれほど不安視する必要はないように思える。
管理人も気が向いたときには言語情報を追加した地図をブログに掲載するようにしているので、情報が乏しくて古賀志山はちょっとなぁと思っている読者においては、まずは一歩踏み出すことをお勧めしたい。