霧降高原丸山で御来光。その後の赤薙山がきつかった。

2019.1.2(水) 晴れ、気温マイナス6度~プラス4度

冬は雪の上を歩けるという極上の楽しみがある他に、澄んだ空気のおかげで素晴らしい展望が得られるのがいい。
気温の上昇とともに大気に湿気が充満する季節だと景色が薄ぼんやりして、まるで手垢で汚れた眼鏡を通して新聞を読んでいるかのようにスッキリしない(あっ、これは加齢とともに衰えてきた管理人の視力のせいかもしれないな?)。

冬は違う。
花粉も飛ばないから視界はとてもクリアだ。
管理人がよくスノーシューツアーで利用する霧降高原からはときおり、富士山や都心の高層ビル群にスカイツリーまで見えることがある。

しかし、奥日光は真冬といえども霧降高原とは趣がずいぶん異なる。
べつに空気がどんよりしていて眺めがよくないというわけではない。
周りに高い山がたくさんあるためそもそも展望がないのだ。
遠くの景色を見たいと思うなら山頂に立たなくてはならない。そこが霧降高原と違う。
霧降高原はキスゲ平の駐車場(1340M)に行けば東に関東平野の雄大な景色が広がっている。そして、標高が上がるにつれて関東平野を見下ろすほどの高度感が得られる。我が家から近いというだけでなく、管理人が頻繁に通う理由がそこにある。

正月二日。
昨夜は宿泊客がいなかったのを幸い(経営的にはちっとも幸いではなく、辛いのだが)、今日はいくつかある霧降高原のビューポイントの中で抜群の展望が得られる丸山山頂で御来光を全身に浴び、今年一年の福にしたいと思っている。
天気予報によると今日は午後まで穏やかに晴れて、寒くもないらしい。
寒くはないとの予報とはいえ、そこは標高1689メートルの山頂である。
日の出の時刻の6時50分といえば放射冷却の影響でそれなりに冷え込む。
計画は綿密におこなう必要がある。山頂での日の出の待ち時間を極力、短くしたい。

などと仰々しいことを書いたが、実は丸山は管理人が主催するスノーシューツアーの定番コースになっていて、よほど深い雪でなければキスゲ平から歩き始め八平ヶ原を経由して山頂まで2時間というのが相場。
少し余裕をみて日の出の2時間10分くらい前に歩き始めれば大丈夫であろう。まっ、もしも山頂で日の出に間に合わなくても途中、東の見通しのいい場所がいくつかある。

それでは2019年の初歩きに出発するとしましょうか。

行程表
キスゲ平~八平ヶ原~丸山~焼石金剛~赤薙山~焼石金剛~小丸山~キスゲ平
・歩行距離:8.1キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:7時間30分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:917メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

元旦朝の赤薙山と女峰山2019年元旦、午前10時。
ペンションから見る女峰山(左)と赤薙山(中央)。
赤薙山から右(東)に降りているなだらかな尾根を管理人は赤薙尾根と呼び途中、少し出っ張ったところが小丸山。その奥に見えるのが丸山。
赤薙尾根はどこからでも関東平野が、視界がクリアなときは富士山や都心の高層ビル群、スカイツリーが見える。


キスゲ平からの夜景4時半にキスゲ平駐車場に着いて身支度を済ませ、同じ場所から宇都宮の夜景を撮る。日光市(手前)と比べるとその範囲は桁違いに広い。
それにしても酷いピンぼけ。
管理人、山行中に写真を数百枚撮るが、豊富な撮影モードの中で使うのはオートのみ。画質にはあまりこだわらないのと、遠景を撮ったり花をマクロで撮ったりするのにいちいちモードを切り替えるのが面倒という、管理人のものぐさな性格ゆえにピンぼけが多い。
とはいえ今後、このような見苦しい写真をブログで披露する失礼がないようにコンデジで夜景や星、月をまともに撮れるようになろうというのが今年の最重要課題、、、でもないか(笑)


丸山登山口丸山に登るには天空回廊を利用するのがもっとも確実(事故なし、道迷いなし、熊との遭遇なし)なのだが、正月早々どうもねぇ。あの長さがねぇ。それにこんな時間だから景色が見えない。
だから今日は丸山を北斜面から登ろうと決めていた。


暗闇の雪景色八平ヶ原への分岐辺り。
真っ暗闇の景色を撮るのにひとつ覚えたことがあるのだがカメラだけだとオートフォーカスが効かず間違いなくピンぼけになるので、少し先をヘッドランプで照らしそこにカメラを合わせるとフォーカスが合う。夜が明けるまで、そうやって撮った。


八平ヶ原八平ヶ原に到着。
積雪は15センチほど。スノーシューを使うほどの量ではなく、中途半端。


太平洋側丸山北斜面の中腹。
こうして写真を見るとすでに夜が明けたかのようだが実際はまだヘッドランプに頼って歩いている。
カメラが勝手に明るさを調整してくれている。


登山道の階段ひとつ目の階段を上がる。
雪深い冬だと階段の支柱まで埋もれてしまう。


もうひとつの階段山頂直下の階段を上がって尾根に乗る。
ここに来るまで、登山道は尾根の少し下についている。
雪が階段を隠すようになると登山道は急斜面のトラバースに変わってとても危険だ。その場合は地図に道は描かれていないが、雪が少ない尾根を歩くほうが安全。


丸山山頂山頂が見えた。
スノーシューツアーのランチの場所である。


山頂風景ベンチや岩はまだ露出していて荒々しい。
これらが隠れる頃になるとスノーシューで快適な歩きが楽しめる。


夜明け前日の出10分前。
東の空が朱色に染まってきた。


天空回廊に人がんっ?
天空回廊の展望台に人が、、、4人いる。
やはりご来光目当てなのであろう。


ご来光お~!
お出ましになった!!
思わず手を合わせる。
って、管理人べつに信心深いわけではありませんが、こういう光景を見れば管理人でなくても敬けんな気持ちになりますって。
ちなみに男体山の登拝祭では日の出をバンザイで迎えるそうだ。


これからあの赤薙山へ赤薙山から女峰山へ続く山並みが朝日に染まった。
ではこれからあの赤薙山へ、、、地図には描かれていない最短ルートで。


アイゼンちなみに今日は歩き始めからアイゼンを装着している。
この他にチェーンスパイクとアルパインスノーポンを携行。


焼石金剛へ丸山を下りこれから焼石金剛を経て赤薙山へ向かう。


アイゼンの上にアルパインスノーポンここでアイゼンの上(というべきか下というべきか)にアルパインスノーポンを装着し、難局を乗り切る準備を。


急斜面を焼石金剛へ向かうには斜度23度いう急斜面をクリアする必要がある。
この斜面、見た目はいかにも気持ちよさそうだが笹に20センチの新雪が載っているだけなので足をのせると初めはサクッと沈み、次に笹の上にのる。
笹はまだ倒れていないため、ツボ足だと中に吸い込まれて太ももまで潜る。それを回避するためにアルパインスノーポンを装着したわけだが、それでも膝下まで潜ってしまう。


ひたすら登る汗だくになりながら必死で急斜面を登る。ただひたすら登る。
ところで、山では気温がマイナスでも汗をかく。
夏であれば汗も快感のうち、といえるが冬の汗は厄介だ。
だからアウトドア用品のメーカーは季節にかかわらず、汗を素早く吸い込んでそれをウエア(アンダー、ミドル、アウター)を通して拡散、発散させることでアンダーを乾かし、常に快適な状態を保つ機能を持つウエアを開発している。
ただし、U社の製品に代表される吸汗・速乾をうたったウエアは、素材が綿なので汗は吸うものの、吸った汗を蓄えたままにするため乾きが遅い。速乾とはほど遠い。
気温の低下に伴って汗で濡れた布地が体温を奪い、運動機能や判断能力の低下につながる。
下界に比べて気温が低くても山では必ず汗をかく。綿素材のウエアは絶対に使ってはダメだ。


今日、管理人は初めてメリノウールなる素材のアンダーを着てきた。
これまで長い間、「ZEO-LINE=ジオライン」というポリエステル素材のアンダーを着ているが昨年、誘惑に負けて買ったのだ。
ZEO-LINE同様、汗を素早く吸い取ってくれる。
異なるのは汗を含んでも冷たいとは感じないのだ。
綿に比べると汗をかいた状態のZEO-LINEは格段に快適なのだが、メリノウールはさらに温かい。
難点といえばZEO-LINEも十分に高価だが、メリノウールはさらに高いことだ。
でも病みつきになる、この快適さは。


シカの足跡シカの足跡を発見。
これくらいの深さであればシカにとって朝飯前。シカし、50センチ以上の新雪が積もると大変。シカの足は細くて短いから潜ると足を抜くのに苦労する。挙げ句の果てに身動きがとれずその場で餓死凍死する。
昔はそれで頭数制限されていたと聞くが、積雪量が少なくなった今日、そういうこともなくシカは増え続けている。シカも、ハンターの減少と高齢化が進んで年間捕獲目標に達しないというのもシカの増加に拍車をかけている。


野ウサギの足跡こちらは野ウサギの足跡。
ジャンプ名人の野ウサギは、一度のジャンプの際にほんのわずかな時間差で前足(縦並び)と後ろ足(横並び)が同じ場所に着く。
前足が着いたらX字にクロスして前足の前に後ろ足がくる。
したがってこの画像の足跡は左へ向かって進んでいることになる。


振り返って丸山を見る疲れては休んでを繰り返しながら、ようやく丸山と同じ標高まで上がった。


ポールは60センチ潜るポールを突き刺すと60センチほど潜った。
雪が30センチ、笹が30センチというところ。


稜線に乗った四苦八苦して稜線に乗ると正面に赤薙山が見える。
このまま進めば焼石金剛に行く。


焼石金剛に着いたふ~、苦節60分。
ようやっと焼石金剛に着いただ。
これでなんとか午前中に下山する目処がついた。


高原山の眺め焼石金剛から北東の高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)を眺める。


風紋風のいたずら。


ヤセ尾根焼石金剛からは地図にある登山道を行く。
ここは山頂直下のヤセ尾根。雪が増えると北からの風で南へ向かって雪庇が張り出し尾根幅が広くなる。それを知らずに沢側を歩くと体重と震動で雪庇が崩れ、雪庇もろとも沢に向かって滑り落ち、400メートル下を流れる冷たい沢にドボンとなるから要注意。いやその前に、雪の凹凸で身体は大きくバウンドし、無傷ではいられないであろう。


赤薙山山頂赤薙山山頂。
男女3名の先着あり。


鳥居の奥から女峰山鳥居をくぐると視界が開けて女峰山と男体山がよく見える場所がある。
今日は女峰山がクッキリ見える。
今年の第1登はいつになるのだろうか?


高原山と明神岳寒いので早々に下山することにした。
赤薙山から下山中に見る景色はいい。
高原山と明神岳(ハンタマスキー場)、その左には福島県境の山並みが見える(この場所だと木々に隠れて見えない)。


筑波山宇都宮市街地の向こうに筑波山


小丸山まで降りるとここから先はルートが3つ。
旧登山道はまだ雪が少なくて歩けない。


階段はアブナイ。


で結局、アイゼンをチェーンスパイクに替えてゲレンデを降りることにした。


無事に下山今日も無事に下山できたことを御来光に感謝して帰ることにした。
昨日は仕事が休みだったが今日は宿泊客がいるので館内の片付けや夕食の支度をしなくてはならないのだ。