2018年9月28日(金) 快晴
管理人が主催する自然ガイドツアーの常連、T.Hさんとのツアーは今日で12回目になった。
2015年6月、ハイキングコースに落ちているゴミを拾いながら自然を楽しむことを目的とした、「クリーンハイキング」への参加がご縁となり、年に4回のペースで参加しているツアーの常連さんである。
なによりも安全を重視するタイプであることから高望みはせず、難易度の低い山から順次、難易度の高い山へと計画的にステップアップを図っているT.Hさんが今回希望したのは、岩場あり、細尾根あり、アップダウンありで決して易しいとはいえない太郎山である。
実は管理人、太郎山は日光の山であるにもかかわらず、過去に一度しか登ったことがない。
女峰山は17回も登っているのになぜ、一度だけなのかを自問しても理由がよくわからない。
うっすらと印象にあるのは、山王帽子山から急傾斜を下って今度は小太郎山へむかって急傾斜を登り返したときの苦痛を覚えているのかもしれないし、小太郎山からすぐ先にある岩場をクリアするのに怖い思いをした経験、それらが管理人をして第二登目を遠ざけているのかもしれない。
そんな印象の太郎山にT.Hさんを案内するのは躊躇いがあるが、依頼には誠意と安全重視で応えなければならない。
11年前のことを画像とGPSのデータで振り返ることから今回の山行計画が始まった。
グラフは前回2007年10月、今から11年前のGPSデータ。
往復距離9.8キロ、標高差644メートル、累積標高1423メートルを6時間23分で歩いている。
今日はそれの2割増しほどの時間をかけるつもりだ。
なお、今回のGPSデータと若干の違いがあるが、これはGPSの進化による精度差であろうと思う。
山王帽子山から小太郎山へ向かう下り傾斜。
鞍部まで標高差で160メートル下る。
ここはとても辛い思いをしたことを覚えている。
小太郎山のすぐ先にはこんな岩場が待ち構えている。
当時はまだ古賀志山と出合っていなかったから気持ちの余裕などなく、ここは怖い思いをしたのではないかと思う。
太郎山が迫ってきたがこれから先、あの岩場をクリアしなくてはならない。
鼓動が鳴り止まなかったと思う。
山頂直下の急斜面。
大小の岩がゴロゴロしていてとても歩きづらかったのではないかと思う。
行程表
太郎山登山口(8:00)~山王帽子山(9:05/9:15)~ハガタテ薙分岐(10:11/10:15)~小太郎山(11:13/11:30)~太郎山(12:06/12:05)~小太郎山(13:22/13:30)~ハガタテ薙分岐(14:11)~山王帽子山(14:58/15:05)~太郎山登山口(15:51)
※歩行距離:10.2キロ
※歩行時間:7時間50分
※累積標高:1312メートル
光徳温泉と川俣を結んでいる山王林道の太郎山登山口。
車は路肩のへこんでいるところへ駐めた。
ちなみに冬はここがスノーシューツアーの折り返し点となる。ここでの積雪は1メートルほど。
笹とコメツガ、ダケカンバ、シラビソが生い茂る登山道を山王帽子山へ向かって歩く。
写真を撮った場所は明るいが8割方は陽が差さない樹林帯。
T.Hさんからガイドの依頼があったのは20日前、今月の8日だった。
全国的に不安定な秋の天気で日光は昨日まで雨そして、明日からまた雨の予報。
今日の快晴は誰にも予想できなかったであろう。
いや、それを確信していたのは晴れ女を自認するT.Hさんかもわからない、今日も晴れてくれた。
木々の枝のすき間から差し込む陽がミズナラの枯れ葉を通して行灯(あんどん)の如く、周りを照らしている。
昔、登山道として使われていたハガタテコースとの合流地点。
崩落があって通行禁止になっている。
ちなみに管理人が山歩きを始めた頃にはすでに通行禁止になっていたので、崩落は20年以上前ということになる。覗き込んでみると当時の登山道らしき形跡がわずかに残っている。
むむっ、こういうのに突然出合うと面食らっちまうだよ。
地衣類に違いなのだが蘚苔類と地衣類は難しくていまだに名前を覚えられない。
帰宅して図鑑を調べたところ、もっとも似ているのが地衣類のヒメレンゲゴケだった。でも違うだろうなぁ。
小太郎山に立ち喜ぶT.Hさん。
喜んだのはここからの展望が360度もあることが理由。
小太郎山山頂には三角点があるが、よくある三角点とは少し違っている。
石柱に刻まれた文字は風化しているが「御料局三角點」と読める。
御料局とは皇室のことを指し、昔はここが皇室の御料地であり、料地の範囲を測定するのにこの三角点が使われていたらしい。
これ以上のことを管理人は知らないので興味があればググってみてほしい。
白根山とその右奥に燧ヶ岳、さらにその右には会津駒ヶ岳が見える。
おぉ、この岩は11年前に撮った写真と同じものだ。
11年前は必至に登ったはずだが今は古賀志山の経験もあり、どこに手足をかければいいか考えながら登れる。
山頂の北側は樹林帯になっているが、東から西にかけての展望は素晴らしい。
画像は男体山。
離れがたい魅力の太郎山だが時間は1時を回った。
今夜から天気が崩れるとの予報だ。
そろそろ帰ることにしよう。
小太郎山と山王帽子山の鞍部を通過。
これから山王帽子山への上りに転じる。
無事に下山できました。
歩き始めて7時間50分はほぼ計画通りだった。
太郎山へのルートは2通り選べるが、マイカーであれば山王林道の太郎山登山口に車を停め、山王帽子山を経由する方法がベター(上図)。
バスだと光徳温泉停留所を登山口とする湯元への周回コースで山王峠へ向かって歩き、太郎山の登山口に達する方法がある。往復で2時間余計にかかるため日没を心配しなくてはいけないが、健脚で早足の人であれば大丈夫でしょう。
第三の方法として裏男体山林道の新薙ルートを利用する方法があるが、以前なら登山口まで車で行けたがいまは4キロ手前で通行止めになっていて、登山口まで1時間半の林道歩きを強いられる。林道歩きが苦手な管理人はどうしても避けてしまう。