奥日光の絶景地、社山で男体山と中禅寺湖を堪能する。

2018年4月20日(金) 晴れ

歌ヶ浜(8:50)~狸窪(9:27)~阿世潟(9:55)~阿世潟峠(10:25)~社山(11:53/12:35)~阿世潟峠(13:40)~半月峠(14:43)~狸窪(15:40)~歌ヶ浜(16:20)

管理人がガイドを務める自然ガイドの中でもっとも需要が多いスノーシューツアーには目もくれず、ひたすら登山のガイドを求めてくる女性がいる。
今から3年前にクリーンハイキングに参加したT.Hさんである。
スノーシューツアーの機会がありながら、冬であればアイゼンで歩きたがるほど、登山に傾倒している。

昨年6月のこと、T.Hさんは管理人との白根山登山を計画しながら直前になって交通事故に遭い、それまで積み上げてきた実績を無に帰すほどの精神的そして身体的なダメージをうけた。
救いはダメージを受けながらも克服しなくてはならないという強い意志と、回復に向けての計画性をT.Hさんが持ち合わせていることだ。ゼロからやり直さなくてはならないというのは大変な苦痛を伴うと思うが、管理人がその手助けとなれるのなら幸いだ。
事故後、管理人とは小田代ケ原(平坦)、赤薙山(2010メートル)を一緒に歩きそして今日の社山(1826メートル)を迎えた。

社山は赤薙山と比べて標高そして登山口との標高差こそ小さいが、距離と累積標高差は2倍強に達する。つまり同じ日に赤薙山を2往復するのと等しいわけだ。
計画的に物事を進める理論派のT.Hさんらしい選択である。

では行ってきます。


金曜日の早い時間にもかかわらず、中禅寺湖の歌ヶ浜駐車場には多くの車が駐まっていた。
解禁になった釣り客の車だろうか?


今日の目的地、社山へは中禅寺湖の東岸を歩いて登山口まで行く。
社山の登山口は狸窪(タヌキ窪と書いてムジナ窪と読む)と、その先の阿世潟のふたつあるが、阿世潟から登る方が距離が短くて往路としては楽。


最初の登山口、狸窪。
ここは通過して次の阿世潟へ向かう。


歩き始めからここまでずっと男体山を見ながら、退屈せずに歩けるのがいいところ。
これから厳しい登りになるためここでひと休み。


中禅寺湖は水深が最大160メートルもある。
水面と湖底とで水温が違うことから水は絶えず対流し、そのため水の透明度が高い。
凍らないのも対流しているからである。


阿世潟に到着。
ここで湖を一周する遊歩道と阿世潟峠への道に分かれるので社山は左(南)へと入る。


中禅寺湖畔から登り始めて阿世潟峠に向かっているが、初めは緩やかだった道は進むにつれて傾斜が厳しくなってくる。


歩き始めて1時間半、阿世潟峠に着いた。
ここを右へ行くと社山、左は半月山に続いている。
今日は気温が高い。
背中にうっすら汗をかいているのでここで上着を脱ぐことにした。

リハビリ中とは言え、T.Hさんは好調のように見える。この分だと管理人の方が先にバテそうだ。


社山へ向かう道。
地図によると社山まで同じような傾斜が続いている。


ここは標高1570メートル付近。
男体山より900メートルも低いにもかかわらず、まるで男体山を見下ろしているかのようだ。
T.Hさんは感受性が強い。この景色に大いに感動している。

それにしても男体山もデカイが中禅寺湖もデカイ。
中禅寺湖は一周する遊歩道があってその距離なんと25キロもある。


右前方には白根山


部分的に笹がせり出して道をふさいでいるところがある。


今まで疎林だったのがコメツガの密生地となった。まもなく山頂である。


歩き始めてちょうど3時間でT.Hさん念願の社山に立つ。
交通事故による後遺症からの回復を目指し、昨年10月に小田代ケ原、先月は残雪の赤薙山と難易度を上げ、そして今日は社山だ。疲れを残さず下山できれば元の身体に戻ったといっていい。
次は男体山、その次は白根山を視野に入れているというT.Hさんだが、ここまで歩ければなにも心配することはないでしょう。


社山は南面の展望が開けていて足尾の山並みがよく見える。


三等三角点
時間をかけて昼食を食べ、これから下山。


阿世潟峠
朝は案内板の左から上がってきた。
帰りは変化をもたせるために阿世潟へは下りず、直進して半月峠へ向かう。

往きものんびりだが帰りものんびりだ。
なにしろ雄大な男体山と中禅寺湖が嫌でも視野に入ってくる。
なんども立ち止まっては嘆息し、写真を撮り、山の雑談をするものだから当然ながら時間がかかる。それが管理人がガイドを務めるツアーというものなのである。


尾根を登り返す。
半月峠まで標高250メートルを一気に上らなくてはならない。


振り返ると社山が視界に入る。
いい形の山だ。
あの尾根を歩いてここまで来た。


上りはまだ続く。
根を上げたくなるような斜面である。


半月峠に到着。
ここを下ると狸窪、直進すると半月山に行く。
半月山から茶ノ木平を経由して歌ヶ浜へ下りる道もあるが、あまりにも距離が長くなるので社山とセットで歩くのは避けたい。


日陰はまだ少し雪が残っている。


狸窪まで下って湖畔の道と合流。


T.Hさんは慎重ながらも管理人と差がなく下りてきた。


出発地の歌ヶ浜に戻ってきた。
男体山は相変わらず悠然と構えていた。


往きと帰りで変化をつけるため図のルートにしてみた。
往路の狸窪→阿世潟に相当するのが帰路の阿世潟峠→半月峠だが、この間、距離1.5キロにもかかわらず標高差は実に250メートルもある。疲れた身体にはつらい区間だ。


阿世潟から社山まで標高差550メートルの一方的な上りが続く。
救いは男体山と中禅寺湖が視界に入ること。
これがもしも霧や雨だとすればこのルートの面白みは半減どころか皆無と言っていい。