3台目のスマホにも地図アプリ「Geographica」を入れた。

2017年3月26日

安全登山に役立つはずなので、GPSについて書くことにしたい。

山で道間違いを起こさなければあるいは、もしも道を間違ったとしても、そこから脱出して正しい道に戻ることができれば、道迷いを原因とする遭難事故はかなり減るはずである。
また、地図に描かれている正しい道を歩いていても、その日が雨だったり霧に包まれているとつい不安になることがある。その不安は焦りを引き起こして事故につながるから、不安はぜひとも解消したいものだ。

GPS(正しくはGPS受信機だが、単にGPSとする)の液晶画面に映る地図を見て、そこに現在自分がいる位置と進むべきルートが示されていれば道間違いは起こさないと思う。
たとえ地図に道が描かれていない場所に踏み入ってしまってもそこが地図上のどこなのかがわかれば、元の正しい場所に戻るのは簡単である。

山で使うGPSといえばGARMIN(ガーミン)社の製品があまりにも有名であり、普及もしている。
しかし、わずか2インチという小さい液晶画面に映る地図は、度の進んだ管理人の目にはとても見にくい。とはいえ、現在地とその周辺が地図で把握できるのはとても心強い。
しまった、どうやら道を間違えたらしい、と気づいても気持ちに余裕がある。その余裕を生かしてそこから脱出する策を考えればいい。
上に書いたようなそのまんまの使い方もあれば、ちょっと工夫して、歩くルートをあらかじめGPSにセットしておき、地図に示されるルートにしたがって歩くという使い方もできる。カーナビと同じですね。

GARMIN社の製品に代表される山で使うGPSは高価だが、これで命が救われるのだと思えば、事故ったときにしか役に立たない傷害保険なんかに比べてありがたみは大きい(比較の対象が違うってか?笑)。

ところで、スマホ時代にあってその機能を意識するしないにかかわらずだれもがGPS(スマホに内蔵の)を身につけているわけだから、これを山歩きに利用しない手はないと思う。
新しもの好きの管理人はスマホに入れて使えるGPSアプリ、正確にはスマホの機能の一部であるGPSを利用した地図アプリとでもいうべきだろうか、それら数種を試している。

その中からひとつを選んで紹介したいと思う。
選んだ基準は、
・・・進む方向に地図が向くこと
つまり、読図のテキストによく出てくる「正置」あるいは「整置」ですね。
このたったひとつである。しかし、これが重要である。

紙の地図は周知のとおり、地図を開いたときに山名や標高値、各種の記号が上を向いている方が地図の北である。
北に向かうのであれば地図の北を上(自分のおなか側)にしたままでいいのだが、途中で進行方向が南、東、西に変わると正面に見える地形が地図と合わなくなる(これは当然)。本人に見える地形は南なのだが地図上だと北の地形を見ていることになる。
そこで進行方向が変化しても目の前の地形が地図に合うように、地図の向きを変えてあげる必要がでてくる。要するにだれもが自然にやっていることだが、地図を回して進む方向を上にするわけだ(正置あるいは整置)。

スマホの地図アプリにもそれを求めたい。
スマホを手にしたときに、南に進んでいるなら地図の南が上に来てほしいのだ。
これができない地図アプリはとても使いにくい。進む方向に合わせてスマホを回転させながら歩かなくてはならないからだ。紙の地図を回転させるのとは違って、手から離れて落ちる恐れがある。回転させた向きを維持しながら歩かなくてはならないから、これはとてもストレスになる。
それに紙の地図だから手で回転させるのを必然とするが、デジタル機器なんだからソフト面で簡単にできるんじゃなかろうか。

地図が常に進む方向に向く、これが管理人のこだわりであり、この一点で選ぶとすれば管理人のニーズに合う地図アプリはいまのところ、ひとつ。
それが記事タイトルに書いた「Geographica(ジオグラフィカ)」である。

他にもふたつの地図アプリを試してみたが、ひとつはあらかじめPCで地図を用意しておいて、スマホに転送しなくてはならなかった。とても面倒だし、インストールした地図の範囲から外れると表示されない。
また、携帯圏外だと地図が表示されないアプリもある。
さらには地図が進む方向に向かない。この1点だけでも却下だ。

Geographicaは携帯圏内であらかじめ地図をダウンロードしておけばスマホにキャッシュされて、圏外でも地図が使える。地図は常に進む方向に向くのでとても使いやすい。

Geographicaの詳細は作者(たぶん)のサイトで→こちら


この視認性の違いを見よ!!(笑)
2インチのGARMINにたいして5インチのスマホ画面は迫力が段違いだ。いや、迫力の問題ではないな。
現在位置は両者わかるとして、その周辺の見やすさがずいぶん違うことがわかる。
見やすさの違いは画面の大きさの他に地図の仕様もある。GARMINのGPSはGARMIN社オリジナルなのに対してGeographicaは国土地理院の地図を表示する。紙の地図と同じなのだ。使い慣れた紙の地図を手にしているような感覚で見ることができる。

スマホはASUSのZenfone Lazer2でOSはAndroid6.0.1。キャリヤに縛られないSIMフリー機である。
実は今年になって2台目のスマホ、GALAXY Noteが電源落ちトラブルに見舞われて、急遽Zenfone を購入した。GeographicaはGALAXY にも入れていたので迷わず3台目に継承した。
Zenfone はGPS感度に難があるとのネットの情報があったが、次に説明する通り、なんら問題はない。
ちなみにGeographicaは有料(当初たしか300円前後ではなかったかな)のアプリだが、地図は地理院が無償で公開しているものをアプリが自動でダウンロードするから、全国すべて無料で見ることができる。


Geographicaがスマホに表示した地図をスクリーンショットしたもの。
5インチの画面に映る地図は大きくて見やすい。まるで紙の地図を見ているようだ。
ちなみに、地図の縮尺は紙地図と同じで1/25000。

地図は携帯圏内だと現在地とその周辺のが自動的にダウンロードされる。他の場所の地図をダウンロードする場合は地図をスクロールすればいい。

赤い矢印はそこが現在地であることを示している。
いま、GPS衛星の電波が届きにくい室内で操作しているが、赤い矢印は現在地にぴったり一致している。
ただし、これはGeographicaの性能というよりは、スマホに内蔵されているGPSレシーバーの感度というか精度に関係する。

地名が上下逆さまに表示されているのは、管理人が南を向いていることを示している。つまり、地図が進行方向に自動的に回転してくれるわけだ。


地図をスクロールして霧降高原の丸山を表示させ、見やすいように北を上にしてスクリーンショットした。

等高線の間隔は10メートル単位なので地形の細かな変化がとらえられる。
地図右下に36°48’・・・・とあるのは現在地の緯度経度を度分秒で表したもの。
管理人が必要とする情報はこれだけでいい。
理由は最後に記載したリンクをクリックしてご覧ください。

地図の自動回転を中止して、地図の北をスマホの上部に固定することもできる。

注意点として、これはGeographicaの問題点ではないが、地理院地図は更新サイクルが長いため、すでに使われていない道が長年そのままになっていることが多い。
地図に道が記載されていてもそこは笹藪、なんてことがよくあるから注意が必要。とはいっても利用者にはどうすることもできないが。



昭文社「山と高原地図」のスマホ版。各エリアごとに500円。

所要時間や注意箇所、目印、花などの情報が充実しているので、全体を俯瞰するにはいいかもしれない。

ただし、地理院地図が1/25000の縮尺なのにたいして、「山と高原地図」は1/5万なので等高線は20メートル間隔。したがって山で使うには地形が読みにくい。文字情報が多いのもじゃまになる。

また、現在地は表示されるが地図の北が画面の上に固定されているので、地図を見ながら歩く場合はスマホを回転させなくてはならない。

メリットは定期的に更新されるのでルートが常に新しいことかな?
ただし、その都度、地図を購入する必要がある。

この地図で山行計画を組み、現地では地理院地図を使うというのが賢い使い方ではないかと思う。

あっ、それから、昭文社「山と高原地図」の収録範囲はメジャーな山域だけなので、古賀志山のような栃木県内でもマイナーな山は収録されていない。


同じ丸山をAndroid標準のグーグルマップで見たもの。

地理院地図と同じ範囲を表示させると等高線が見えない。
等高線が見えるように拡大するとごく狭い範囲しか表示しない。
これだと山では使えない。



せっかくGeographicaの記事を書いたので、後付けになるが、実際にGeographicaでログをとり、地図アプリとしての有効性を確かめてみた。
ブログをアップして3日後の3月29日に、古賀志山の馬蹄形ルートを歩いて比較したので参考にしていただきたい。

機器はGARMIN社のe-Trex30JとHOLUX社のm-241gpsロガーそしてGeographicaを入れたスマホを使った。
この組合せで比較をするのは管理人も初めてである。貴重なデータだぞ!!(笑)

各GPSが記録したログをgpx形式で出力し、そのファイルをPCにインストールしてある地図アプリ「カシミール3D」で読み込み、ふたつの項目の比較をおこなった。
(1)管理人が歩いた軌跡を地図上で
(2)歩行距離、所要時間、累積標高ほかの数値を表で

結果だが、軌跡に関しては3つのGPSともほぼ同じであった。
軌跡はスタートしてから現在地に至るまで、地図上に線で描画される。したがって地図に描かれているルートをちゃんと歩いているかどうかを知る上でとても重要である。また、道間違いをしていることがわかった場合、軌跡を後戻りして正しい道に出ることができる。GPSの機能でもっとも利用価値があるのがこの軌跡の描画であろう。

上図をよく見ると赤線、青線、黄線がほぼ重なっているのがわかると思う。
赤い線はGARMIN、青い線はHOLUXそして、黄い線がGeographicaである。GPS電波を受信する感度は三者ほぼ同等と見ていい。
ただし、陽も差さないような深い樹林帯を歩くと軌跡がバラけることがよくある。電波強度が落ちると実力の底が見えてしまうのだ。
管理人が信頼を置くのはGARMINだが、29日に歩いた限りではGeographicaの軌跡(黄線)はGARMIN(赤線)とほぼ一致していた(結果を見てのことだが)。

悩ましいのは歩行距離と累積標高だ。
地図上部に表を並べておいたが、数値に大きな違いがあることがわかる。
GARMINとHOLUXとの違いは誤差と考えていいのかもわからないが、Geographicaは歩行距離で20パーセント、累積標高で27パーセントも小さい数値として表れた(対GARMIN)。
スマホがもつ演算装置あるいはアプリでの処理方法による違いなのかもわからないが悩ましいところだ。
ただし、これが正しいという基準がないのでどれを信頼していいのかはわからない。
どれが正しいのかではなく、使用者がこれっ、と思ったものを正しいと考えるのがいいのかもね。


本音をいうとね、、、
読者にGeographicaを勧めながら心苦しいのだが、これだけ優れた地図アプリにもかかわらず管理人はこれを補助的に使うだけだ。むしろまったく使わないことの方が多い。
メインはGARMIN社のGPSを使っている。

理由は単純で、GARMIN社のGPSへの信頼である。
使い始めて20年近く(現在、3台目)になるが故障はいままで経験したことがない。最新機種の受信感度は抜群で、誤差は極小である。電池の持ちも申し分ない。
Geographicaはスマホの地図アプリとして優れているが精度はスマホの性能に依存する。スマホは使い続けるうちに電池が劣化する。メモリが少ないので不要なファイルが溜まってくると動作が遅くなったりフリーズする(特に管理人が使っている安価なスマホだと)。
Geographicaのせいではないのだが、どうしてもGARMIN社のGPSを使いたくなる。

とはいえナビゲーションをGPSに任せるといった、GPS本来の使い方をしているかといえば疑問である。高価なGPSを携帯しながら、そのような使い方をしていないのだ。
これは山を歩くときの管理人の考え方だ。
管理人は紙の地図とコンパスを使って歩くことを基本としていて、現在地を知るにもできるだけいま見える地形と地図、コンパスを利用する。
不安なときはあらかじめ紙地図に書き込んでおいた緯度経度線に、GPS(GARMIN社の)が示す緯度経度(数値)を落として現在地を確認するようにしている。
したがって緯度経度を正確に示してくれるGPSであればGARMIN社製でなくてもいい。

ところで、道間違いは誰にでも起こりうることであり、管理人はそれを技術の未熟さとは思わないし、恥ずべきこととも思っていない。
問題とすべきは、道間違いからの脱出をいかに的確におこなうかである。

道間違いから脱出できない状態のことを道迷い遭難といい、これこそ命を落とす結果に結びつく。山を歩くにはこのことを心しなくてはならない。
なぜ命に関わるのかは多くの事例が語っている。ぜひ調べてほしい。

さて、せっかくGPSが画面に地図と現在地を表示してくれるのだから、素直にしたがって歩くほうが楽だとは思うが、しかし、GPSに全面的に頼る、あるいは慣れてしまうと地図読みは上達しないと考えている。
万一、GPSが電池切れになったり壊れたり紛失した場合を考えると、紙の地図だけで現在地を特定して正しいルートを進むことが求められる。これは実に高度な知識と技術、経験が必要である。そのためにも紙地図の使い方を完璧にとはいえないまでもマスターすべきなのだ。と、頑なに思っている管理人なのである。

こんな歩き方をしているものだから後続の人にどんどん追い越されるがまったく気にしない。立ち止まって地図を見て、目の前の地形が地図と一致したときや遠くのピークが地図で特定できたときなど、そんときの気分といったらそれはもうサイコーだわ(笑)
とまあ、独りよがりも甚だしいが、敷かれたレール(道)の上をなんの疑いももたず山頂へ急ぐよりも、地図を読みながら山を歩くほうが絶対に楽しい。

そのためにも管理人は紙地図とコンパスを必須としている。
なんども歩いたことのある山でもGPSと紙地図、コンパスは使う。
この作業をかなり頻繁におこなうためザックの肩ベルトにGPSのケースをくくりつけ、GPSを取り出しやすいようにしている。
それにスマホは電池の持ちが悪いことも利用を躊躇う理由だ。電池の消耗を少なくするためGeographicaを使い終えたらスリープ、使うときに復帰という操作を繰り返さなくてはならずストレスがともなう(※)。
GARMINなど画面に地図を表示したまま25時間も使える。予備の電池をもっていれば万全だ。
スマホは晴天時に画面が見づらいというのも嫌な要素だ。
※その後、Geographicaの作者から、スマホを機内モードにしておくと電池の消耗が抑えられるとのコメントをいただいた。

雨が降っていて紙地図がぐしょぐしょになってしまったり、強風で紙地図が吹き飛んでしまうような場合を除いて、管理人はGPSと紙地図とコンパスを併用する。
GPSから得る情報は緯度経度のみ。
いずれGPSも使わず、地形図とコンパスだけで道間違いをせずに歩けるようになりたいと切望している。なのだが、変なところを好んで歩く管理人はやはりGPSを必要とする。

紙の地図といえば昭文社の「山と高原地図」しか入手できない環境の人が、国土地理院の地形図を使って山を歩いてみたい、地図が読めるようになりたいと前向きに考えているならば、管理人は紙の地図と同じような感じで使えるGeographicaを強くお勧めしたい。それが紙の地図を読めるようになる第一歩ではないだろうか。

最後に懸念事項をひとつ。
管理人のスマホ歴は2011年の大震災以後に始まっている。
週1・2回、長時間にわたる計画停電により宿泊業の大動脈ともいえる電気が途絶え、予約メールをPCで受け取ることができなくなったことに端を発している。
そこで、ドコモをキャリヤとするスマホを手に入れ、PCの代用としたのだが、その後に開発されたGeographicaはすでにスマホ1号機のOSでは動作せず、やむなくGALAXYに変更したという経緯がある。
つまり、アプリは常にOSの進化に合わせてバージョンアップを繰り返すので、OSが古くなるとアプリは使えなくなる。するとまたスマホを買い換えなくてならない、というイタチごっこになるわけだ。
古いバージョンのアプリを残しておいてくれるとありがたいのだが、そうならないのがスマホアプリの宿命らしい。
Zenfone Lazer2のOSでGeographicaがいつまで使えるのか、これは作者にも知る術はないであろう。Geographicaは使いたし(補助的であろうと)、出費は抑えたし、悩ましいところだ。

※管理人がおこなっているGPSと紙地図、コンパスの連携→こちらで詳しく説明

3台目のスマホにも地図アプリ「Geographica」を入れた。」への2件のフィードバック

  1. まっちゃん

    Geographica、自分も使ってます。
    メインは古いGarminですが、地図が5万分の1なので、非登山道歩きでここぞという悩みどころの
    地点ではザックからスマホを出して見る事があります。
    やはり見慣れた2.5万分の1図だとわかりやすさが全然違いますよね。

    Geographicaの作者の松本圭司さんは、Niftyのディリーポータルに時折面白い記事を書かれています。
    自分はもともとディリーポータルで松本さんを知りましたが、後日Geographicaの存在を知り、現在に至ってます。
    使っているスマホがNexsus5なのですが、機種固有の問題でアプリに一部不具合があった点を連絡したら、
    親身に対応していただき、アプリの改修をしていただきました。
    無料アプリが多い自分ですが、さっそく有料レジストした一本でもあります。

    1. 亀歩き 投稿作成者

      こんにちは。
      すでにGeographicaをお使いでしたか。
      よくぞこのような素晴らしいアプリを世に出したものだと、作者に感服しています。
      屋外でのスマホの視認性と電池の持ち時間を考えるとGARMINが上回りますが、Geographicaはスマホの地図アプリとしては群を抜いていますね。
      私が使っているGARMINが壊れて使い物にならなくなったら、次はGeographicaに頼るつもりです。いや、その前にHOLUXのGPSロガーがあった(^^)

      ところで、まっちゃんはつい最近、小倉山と外山を歩かれたのですね。我が家のすぐ近くです。
      私は2014年の初冬に外山の北斜面を下って霧降高原歩道を歩いたことがあります。歩道という名とは裏腹に、腰高の笹の中、クマの存在に怯えながらもルートファインディングが楽しめました。

      それでは、またなにか貴重な情報があればコメントをお願いいたします。

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