薬師岳~地蔵岳~夕日岳。男ふたり霧の行者道を行く。紅葉も満喫。

2015年10月21日(水) 薄日→霧
細尾峠~薬師岳~地蔵岳~三ッ目~夕日岳ピストン

管理人が経営しているペンションの10年来のお客さんにWさんがいる。
初めての付き合いはスノーシューツアーであった。山歩きの経験はないとのことであったが、生来のサービス精神からWさんには大いに楽しんでもらうべく、湯元温泉から刈込湖へのロングコースを案内した。いろいろあるコースでアップダウンが激しく距離が長いこのコースは上級者向けの位置づけである。

管理人がガイドを務めるスノーシューツアーでは参加者にたいして事細かな注意はせず、危険が及ばない限りルート上を自由に歩いてもらうようにしている。本人が望まない注意はやる気をなくすと同時に楽しさも奪ってしまう。
ただし、ただ単に興味本位でツアーに参加する人もいるのでそういう人にはケガだけはしないよう、平地の歩き方から始めて斜面の上り下りまで懇切丁寧に教える。もちろん、その度合いは相手次第でコントロールするがWさんにはどちらかというと突き放す態度を選択した。理由はWさんがスノーシューを持参したから、と単純だ。

当時、スノーシューはなんども使わないとペイできないほど高価であった。機能は年々進化しているので年に一度や二度、使うにはレンタルで十分だった。
だからスノーシュー持参でツアーに参加するにはそれなりに理由がある。つまり、ガイドツアーに参加して技術力を向上するとともにルートを覚え、それが済んだら雪の世界にひとり羽ばたいていく、それが目的であるはずだ。
Wさんはその後、管理人が予想したとおりルートを覚え、羽ばたいていった。今は年に一度、ペンションのお客さんとしてよりも、管理人の良きパートナーとしてより難しいルート(三岳のツアーを参照)を目指すようになった。

高所がだめだというWさんだから心配していたが、生まれついての好奇心というか探求心なのか無雪期の2千メートル級の山もやりだした。日光のほとんどの山を登って残すは管理人と同じく錫ヶ岳と皇海山だけとなったはずだ。その他、低山ながらバリエーションルート歩きが楽しめる鳴虫山もこよなく愛し、管理人を凌ぐまでに成長したWさんである。管理人にとって残念なのはWさんが女性ではないということ、その一点に尽きる(^^)

さて、Wさんとの付き合いは今日に至ってもまだ続いていて年に数回、ご一緒している。Wさん単独では年に10数回、日光の山を登っている。
今日は紅葉の旅と称して昨年同時期にも登った薬師岳と地蔵岳、夕日岳を縦走する10キロの行者道(ぎょうじゃみち)歩きだ。昨年は10月最終週の29日だったので紅葉には間に合わず、木々の葉はすでに散っていた。
そこで1週早める計画を組んだのだが今年は紅葉のスタートが例年よりも10日ほど早い。心配ではあったが出かけてみた。

DSCF4170いろは坂に劣らないほど紅葉が見事な旧122号線。日足トンネルの開通に伴い通行する車はほとんどないが閉鎖されたわけではない。

DSCF3984細尾峠。
行者の道は明智平から始まりここ細尾峠を経て古峰ヶ原まで続いている。

DSCF3987入口付近。盛りは過ぎたとはいえ紅葉はまだ十分楽しめる。

DSCF3990落葉した木の葉の絨毯の上をさくさくと音を立てながら歩いて行く。
ミズナラが多いようだ。ミズナラは言わずと知れたドングリの木。熊と出会わないよう祈る。

DSCF3996コースの一部はこのように崩落している。
昨年はなかったが安全のためにトラロープが設置されていた。

DSCF3997このコースは崩落箇所がたくさんあるので注意して歩かなくてはならない。ここは規模としては大きい。
それにしても紅葉がきれいだ。

DSCF3998これはヤシオツツジでしょうかね。

DSCF4011あとを追う管理人の気持ちを察せず薬師岳へ向けて快適に飛ばすWさん。
Wさんとの二人旅はいつもこんな調子。

DSCF4018この日は歩き始めて間もなく霧が立ちこめ、視界はない。ただし、紅葉を楽しむには差し支えない。むしろ、日差しで明暗ハッキリするよりも写真の写りは良いはずだ。

DSCF4019急登が続き薬師岳に着く。

DSCF4020山頂には二基の石の祠がある、とこれまでだったら簡単に書いて次へ進んでしまうところだが「池田正夫著「日光修験・三峰五禅頂の道」を手元に置いてこのブログを書いているのでスルーしてしまうわけにはいかない。といって詳しく書こうとすればボロが出るので本のつまみ食い程度にしておこう(^^)
これは金剛堂で一基(写真右)は西を、もう一基は南を向いて置かれていて、修験者が冬と春の二回、ここを訪れて厳しい修験に励んだらしい。
1632年の奉納だから383年という歴史を刻む貴重な祠だ。

DSCF4029ボロが出ないうちにとっとと下山して次の目的地、地蔵岳へと向かう。
これほど見事に染まるのはヤシオツツジ。

DSCF4035薬師岳を南下して間もなく、金剛堂と不動明王像が南を向いて建っている。1764年奉納だそうだから250年もの間、ここに置かれていることになる。
修験はここより南、鹿沼市の古峰原湿原近くをスタートして北上し、この金剛堂と不動明王像と出合うようになっているようだ。
それにしてもこの不動明王像は怖い顔をしている。

DSCF4069これはコシアブラらしい。
日差しがあれば葉が透けて見えてきれいだろうなぁ。

DSCF4089地蔵岳への急な上りを相変わらず急ピッチで進むWさん。

DSCF4097地蔵岳に到着。見渡す限りの霧だがここはもともと展望がない。

DSCF4099ここには中に地蔵尊が祀られた金剛堂がある。奉納は天保八年だから他の金剛堂よりも歴史は浅く、178年。
とスラスラ書いているように見られるかもしれないが、本のページをめくりながら悪戦苦闘して書いているのが実際だ。

DSCF4103今日の行者の道で辿る山は3つ。薬師岳と地蔵岳、夕日岳だが夕日岳は行者堂から少し外れて位置する。
昨年わかったのは夕日岳からの展望が他を圧倒していることであった。この行者の道を歩く際は夕日岳を含めることを強く勧めたい。

DSCF4120標高1526メートルの夕日岳山頂。
濃い霧が立ちこめ展望はゼロ。
男ふたり、話題もなく黙々と昼ご飯を食べる。

DSCF4136ハウチワカエデに、、、

DSCF4142ヤシオツツジの紅葉を愛でながら帰途につくことに。

DSCF4164車を置いた細尾峠に着いた。
白い車は群馬県ナンバーで中年のご夫婦だった。ほぼ同時にスタートしたのだが我々の方が早く着いた。
やはりこの深い霧の中、男ふたりで歩いてもロマンティックではないし、どうしても足が速くなるというもんです(^^)