南会津町の窓明山。あまりの厳しさに三岩岳を諦めて下山。

2019年5月25日(日) 晴れ、暑い

会津2日目の今日は国道352号線を檜枝岐へ向かう途中にある窓明山と三岩岳の縦走計画を組んだ。
このルートは距離が長いだけに窓明山と三岩岳の両座とも登るつもりでいても、状況次第では三岩岳を諦めなくてはならないことを念頭に、計画には柔軟性が求められる。

管理人は2年前に三岩岳に登っているので今回のメインターゲットは未踏の窓明山にして、セカンドターゲットは三岩岳ではなく、三岩岳への分岐点でなおかつ三岩岳に近い避難小屋に設定した。経験済みの三岩岳はサードターゲットにして今回は体力、時間ともにまだ余力があったら登ることにした。

ターゲットが決まればルートも決まる。
登山口→窓明山→避難小屋→三岩岳→避難小屋→別の登山口へ下山という左回りの周回ルートである。
登山口と下山口は国道352号線にありその間、わずか370メートルしか離れてなく、周回ルートとしてはとても恵まれている。
気になるのは上りにしても下りにしてもその傾斜の厳しさだ。
地理院地図を見ると20度前後の傾斜がかなり長い距離に渡って続き、部分的に30度を超える。2年前は三岩岳を往復したときはあまりの厳しい傾斜に山頂まで5時間もかかった。

三岩岳は避難小屋からのピストンになるわけだが、それ以外にルートがないからやむを得ないとして、登山口から避難小屋までと避難小屋から下山口まではまったく別のルートを歩くことができ、周回ルートの醍醐味が味わえる。傾斜の厳しさを考えなければ、、、

さて、今回メインターゲットに設定した窓明山だが、計画のひとつに、登山口からピストンにすることを候補に挙げたが審査の結果、採用はされなかった。
なぜなら窓明山まで行って同じ道を戻ると7.7キロ。避難小屋まで行って下山しても8.1キロと、400メートルしか違わない。それならばここは未踏の窓明山と避難小屋を結ぶルートを経験しておくべきであろうというのが採用を見送った理由である。

でわでわ、これから歩き始めることにして、はたして三岩岳へは行けるのでしょうか?
避難小屋まで行って時間と体力にまだ余裕があるようなら三岩岳に登る計画だが、2年前は山頂に霧が立ちこめ、三岩岳の象徴である3つの大岩を見ることができなかっただけに、是非とも足を延ばしたいのだが。
2年前の様子→こちら

行程表(各地点は地理院地図と昭文社「山と高原地図」に基づく)
保太橋登山口(6:00)~巽沢山(7:20)~家向山尾根(9:17)~窓明山(11:39/11:50)~避難小屋(13:33/13:59)~旧道分岐(15:30)~国体コース登山口(16:55)

メモ
・歩行距離:15.8キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:10時間55分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1671メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

国道352号線の三岩岳登山口と窓明山登山口は隣り合わせるようにしてあり、その距離はわずか370メートルしかない。
その両方の登山口を利用することで三岩岳と窓明山を巡る周回コースが設定できる。
今日の計画は上に書いたとおりで、まだ登ったことのない窓明山に先ず登り、余力があれば三岩岳に登るというものである。
車は両登山口の中間地点にある国道の待避所に置いた。
標高760メートルの登山口付近はもうすっかり緑に覆われていた。


登山口が国道上にあるというのは登山口まで林道を歩いたりしなくてもいいのでなんとなく得した気分になる(って、あくまでも気分的なもの)。


檜枝岐に通うようになって国道352号線に登山口があることは知っていたが、なるほど、こうなっているのか。
楽な登山ができそうな、、、


うんにゃ、なんてことだ。
歩き出したらいきなり急傾斜になったぞ。
つま先が急角度で上を向き、ふくらはぎの筋肉がぐい~んといった感じで引き延ばされる。
車から降りていきなりの急登はストレッチをする習慣のない管理人には厳しい。


路幅は広いし明るくていいのだが、とにかく傾斜がきつい。
部分的に30度以上はある。


顔から汗がしたたり落ちるもヤマツツジのお出迎えを受けた。


「図根」があった。
三角点だけだと測量が不正確になるような場所だと、補足する目的でこのような「図根」を設置する。


福島県の山はブナが多い。
このコースも歩き始めからすぐにブナの新緑と出合った。


芽生えたばかりのブナをあちこちに見た。
登山道の落ち葉の下から芽を出しているが、はたして成長するのだろうか?


幹が空洞化したブナ。
人ひとりが収まるくらいの大きさがある。


樹上を見るとそれでも大きくて長い枝にたくさんの葉っぱがついていてブナの生命力に驚く。


オトシブミが作り上げた揺籃(ようらん)。
中にオトシブミが産みつけた卵がひとつ入っている。


標高1162メートルの巽沢山。
地図にはピークとして描かれているが実際にはピークという感じがしない。


ムラサキヤシオ


これはもしかするとイワウチワか?
そういえば先ほどからイワカガミらしき葉っぱを見ながら歩いていたが、同じ科のイワウチワだったのだ。
日光では見ることのできない花を見て興奮気味の管理人、写真を撮りまくる。


これはコブシだろうかそれともタムシバだろうか?
あまり関心がない花だけに名前の特定に難儀する。
帰宅して調べるとどうやらコブシらしい。


もう急傾斜は終わったのだろうか?
緩やかになって歩きやすくはなったが代わりに雪が登場した。


あれが窓明山だな?
まだだいぶ距離がありそうだ。


尾根の右側は切れ落ちているので左側の茂みに寄って歩く。


高畑スキー場


イワウチワ


ルートが北西から真西に変わる地点にある案内板。
地図で見るとここから北西に向かって緩やかな尾根が延びているが、ここから見るその尾根は藪になっていて入口が見つからない。
それでも藪をものともせずに行く人がいるからこのような案内板が設置されているのであろう。


三岩岳(みついわだけ)
地図やガイドブックには三ッ岩岳と書かれていたりでどちらが正しいのか迷うところ。


ショウジョウバカマ様ご登場!


マンサクですね。
日光だと2月末に咲くので地域差の違いに驚く。


はるか遠くに白根山が見えたのでズームを最大にして撮ってみた。
目を凝らしたが男体山や女峰山は見えなかった。


地面と雪が交互に現れ、いい感じで歩ける。


おぉ、これはいい色をしたショウジョウバカマだ。


白いイワウチワ


ヒメイチゲ


コブシ


山頂がすぐ目の前に迫ってきた。
まるでスキー場のゲレンデのような気持ちいい斜面。


窓明山山頂。
山名板を探したが見つからなかった。
もしかするとまだ雪の下に埋もれているのかもしれないが、ここが山頂であることに間違いないはずだ。
はるか彼方に飯豊連峰が見える。


花に見とれたり雪に手間取ったりと、実に時間がかかったが、今日の第1目標である窓明山に無事に登頂することができた。
歩き始めたのが6時だから5時間40分もかかった。
これほどかかったのはやはり花の写真を撮るのに時間を割かれたからであろう。
帰宅して画像の枚数を数えたら366枚に達していた。
一度の山行で200枚前後撮るのは日常的だが、366枚となるとそれだけで2時間費やす。花をマクロで撮る場合は腰を落とすため、スクワットと同じ動作となって疲れる。
管理人の足が遅いのはそんな理由があるので、同行などすれば相手に大変な迷惑をかけてしまう。
山はひとりで登るに限る。


山頂からの展望を楽しんだので次はあの三岩岳へ向う。
雪解け水が流れていてもしかするとここは湿原なのかと思ったが、登山道に間違いはなかった。


窓明山まで雪はありながらも靴のままで登ってきたがここからしばらくの間、下りとなるのでチェーンスパイクを着けることにした。


道は尾根上についているので迷うことはないはずだが、雪に消えていたりすると不安になることがある。
そこでときどき立ち止まってこれからの進路を見極めながら歩いて行く。


三岩岳へ向かう雪の稜線。
見た感じはいいが左は切れ落ちているので要注意。
それにしても暑い。
汗が顔から背中から容赦なく噴き出す。


ときどき稜線の左に寄って谷底を見下ろす。
ここから滑り落ちたら命はない。
そんなことを考えると全身から汗が引いて涼しくなる。


地図によると窓明山と三岩岳との鞍部に池塘があることになっている。
ここがたぶんそれ。
是非とも無雪期に来てみたい。


汗をかいたら谷底を覗き込んで恐怖を味わい、そしてまた歩く。


林に入り込んだところでエンレイソウが、、、
これは花が終わったエンレイソウなのかそれとも、ミヤマエンレイソウが咲いている状態なのか、判然としない。


ショウジョウバカマと白いイワウチワとのツーショット。


同じ場所のイワウチワ。
白いイワウチワが見事に揃った。


三岩岳へ行くにはまず、分岐となる避難小屋にたどり着かないといけない。
とはいえ、道は雪の下に隠れて茫洋としている。
こうなったら頼りになるのはGPSだ。
GPSに映る小屋を目指して忠実に歩いて行く。


お~、見つかったぞ。避難小屋だ!!
それにしても疲れたな。
できることなら小屋に入り身を横たえて休みたいものだ。


小屋の出入口は雪に閉ざされていて開けるのは困難だった。
裏へ回ってみると観音開きの小窓が開いていた。


小屋の内部は雑然としている。
管理人がこれまで見てきた福島県の山小屋(※)はどれもみな、整然としていて、機会があったら利用したいと思っていたが、ここは異質に感じる。
雪の上に腰を落として昼ご飯にした。
※田代山、鉄山、酸ヶ平、谷地平など少数


身を横たえることはできなかったが疲れはだいぶ回復した。
さあ、これから三岩岳へと考えてみたが、明るいうちに下山するには時間が遅すぎる。
ここから三岩岳を往復すると15時半になる。
それから下山しようとすれば3時間を加えなくてはならない。
下りのルートは歩いたことがあるとはいえ不慣れには違いなく、日没は避けられない。
よし、三岩岳は潔く諦め、ここから下山しよう。


避難小屋から先1キロほどの区間には尾根の分岐がいくつかある。
主尾根を視野に入れて下っていく。


左手に窓明山が見える。


ここまで来ると尾根の分岐はなくなって道間違いの心配はなくなる。


チェーンスパイクを着けて下るのはここまでにした。


ブナの新緑は陽の光が透けて見えて本当にきれいだ。


しつこいようだがイワウチワをなんども。


ツバメオモトが10株ほど、蕾をつけていた。


咲いているのを探したところ、少し離れた場所に1株だけ見つかった。


イワウチワもショウジョウバカマもツバメオモトもこの山ではごく当たり前に成育していて、日光とは環境がずいぶん異なっていることにあらためて驚く。


地面と雪とが交互に現れては林の中へと消えていく。


マンサク


ここで新道と旧道に分岐する。
新道はここを右へ折れるが、藪化していることを2年前に確かめてある。
橋が流出し登山道として利用できなくなったのが藪化の原因らしいが、登山道が藪化するには数年を要する。参考にした山と渓谷社「新・分県登山ガイド 福島県の山(2016年8月発行・初版第3刷)」ではそのことに触れた記述はなかったのでガイドブックにしたがって新道を歩いたのだ。
ここは直進して旧道を歩くのが正解。
ただし、これでもかこれでもかというほど急な下りが続いている。


アズマシャクナゲ


そろそろ途切れるかと思っていたイワウチワがまだまだ視界に入ってくる。


オオカメノキ


ブナの落ち葉が堆積した30度もある下り斜面が続く。
スリップしないように身体の向きを変えながらジグザグに下っていく。


ようやく国道が見えた。
これでようやく、過酷とも言える下り斜面から解放される。


国道に降り立ち振り返る。
振り返ったのは身体だけではなく、気持ちもだ。
残雪があることを想定してゆったりした計画を組んだにもかかわらず、しかも三岩岳を諦めたにもかかわらず計画から3時間もずれ込んで下山したことになる。原因はなんなのだろう、帰宅したら考えてみよう。


三岩岳を諦めた判断は正しかった。
まだ明るいうちに下山することができた。
避難小屋に着いたときの管理人の状況だが、体力は残っていたが時間が厳しかった。
三岩岳を往復して避難小屋に戻ると15時半になる。
それから下山を始めると国道に降り立つのは18時半である。
さすがにこの時期はまだ明るいが過去に一度しか歩いていない登山道である。しかもわずかでもバランスを崩せばつんのめってしまうほどの急な下りの連続なのだ。
三岩岳を諦めて安全第一で下山した。
あっ、理由がもうひとつ。
下山後は温泉に入ってもう1泊するつもりだが、そのときに冷たい缶ビールは不可欠だ。
その缶ビールを手に入れるには18時までに檜枝岐の酒店に駆け込まなくてはならない。18時には農協も酒屋もガソリンスタンドもなにもかも閉まる。それを見越して車中泊の準備に取りかかるのが檜枝岐での掟なのである。

見よ、この傾斜のきついこと(笑)
今日の周回ルートを断面にして図示したもの。
三岩岳に登るには避難小屋が起点になるので、その避難小屋までのルートをどうするかによって厳しさが違ってくる。
今日は未踏の窓明山に登りたかったので左回り(図の左から右へ)にしたが逆ルート(図の右から左へ)にすれば避難小屋までの所要時間が2時間半ほど短縮できる。そうすれば三岩岳に登ることができる。
三岩岳から避難小屋まで降りたらその先、窓明山を経るルートで下れば距離は長いが苦にはならない(はず、多分)。
窓明山は今日の山行で経験したので次回は右回りにして両座に登ることにしよう。