日本百名山・会津駒ヶ岳。福島遠征最後の登山はこれしかない!

2019年5月12日(日) 晴れ、檜枝岐歌舞伎上演の日

福島遠征登山も最後になった。
仕事はまだ発生していないので欲を言えばこのまま登山を続けたいところだが、歯医者への通院が明日なのである。今、歯が痛んでいるわけではないが、7日の予約をキャンセルして福島にやってきたので二度のキャンセルは気が引ける。
明日は潔く帰ることにしよう。

今回の遠征では安達太良山、磐梯山、燧ヶ岳に登り、今日は会津駒ヶ岳と4座とも深田久弥・日本百名山である。
管理人は百名山廻りの趣味をもたないが、いい山であるならば百名山だろうがどこの山だろうが登りたい。福島には管理人を魅了するいい山がたくさんある(まだ経験は浅いが)。それがたまたま、百名山ということである。

会津駒ヶ岳は2016年の初登以来、昨年までに7回登っている。
日光からもっとも近い福島県の山が会津駒ヶ岳なのである(※)
紅葉の会津駒ヶ岳を初登に残雪期、花の季節に夏と、季節を変えて登ってきたがいずれも期待に違わず管理人を満足させてくれる、とてもいい山だ。
簡単すぎてつまらないということはなく、かといって男体山のように苦を伴うというわけでもない。年老いた管理人でもちょっと頑張れば極上の喜びが得られるのが会津駒ヶ岳なのである。

樹林帯を抜け出すとそこには広大な湿原が待ち受けている。疲れはそこで一気に吹き飛ぶ。
湿原はそこから駒ノ小屋を経て会津駒ヶ岳へ、そして中門岳へと実に長い距離にわたって続いている。
その湿原に花が咲いていたらそれはもう、足が前に進まなくなる。
数メートル進んでは立ち止まり、そこから数メートル歩いては立ち止まって花を観る。そんなことの繰り返しだから、効率が悪いといったらない。
管理人のような暇人いや、花好きに向いているのだ。

2016年10月27日に初めて登って2年7ヶ月を経て今日で8回目になる。
今日は残雪を期待してやって来た。
もちろん、期待に応えてくれるはずである。
※日光からの直線距離でいうと田代山や帝釈山、台倉高山が近いが、なにしろ交通が不便だ。ごく短い間だけ林道が開放されて1時間ほど短縮できるが、その期間以外は会津駒ヶ岳に行くよりも時間がかかる。

行程表(各地点は地理院地図と昭文社「山と高原地図」に基づく)
テニスコートP(5:17)~滝沢登山口(5:22)~階段(5:48)~駒ノ小屋(9:27)~会津駒ヶ岳(10:02)~中門岳(10:58)~1988三角点(11:10)~中門岳(11:41)~会津駒ヶ岳(12:50)~駒ノ小屋(13:20)~滝沢登山口(15:14)~テニスコートP(15:47)

メモ
・歩行距離:19.0キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:10時間30分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1760メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

会津駒ヶ岳の登山口はバス停(すぎのやという民宿)の前なのでとても便利。
マイカーなのにバスのことを考えるとは如何に?
つまりだね、会津駒ヶ岳の登山口は3箇所あって、その間の移動にバスを利用できるわけだ。
登山口と下山口を別にできると周回ルートを歩けるようになり、それは山歩きの楽しさを増してくれることになる(今回は完全なピストン山行の計画)。


無雪期であればここを車で上がっていった林道の行き止まりが駐車場になっていて、時間を短縮できるが、前の画像のように、雪解け直後なのでまだマイカーは入れない。
おそらく関係者により林道の整備、安全確認がおこなわれているのであろう。
車は国道に面したテニスコート脇に置いてここまで歩き、さらにここからアスファルトの林道を上って行く。


前の画像の林道を入ったところ。
林道脇を流れる下ノ沢は雪解け水が集まってもの凄い水量だ。


林道はクネクネ曲がりながら行き止まりまで行くが、それだと距離が長くなる。
そのため林道から山へ入る道が敷設されていて林道をショートカットできる。


ここに出る。
通行止めの立て看を入った林道である。
ここも駐車場だがこの先にも20台分のスペースがある。


おやっ、通行止めの立て看をすり抜けてここまで入ってきてるぞ。
県外(神奈川県某市)ナンバーだった。


駐車場から5分ほど歩いたここが実質的な登山口になる。
山開き後は登山届けのポストが設置されるが今はまだない。
ここまでの車道が閉鎖されているため警察も役場も登山届を回収に来ることができないのであろう。


階段が終わるといきなり急登が始まる。
急登はしばらく続くので先のことを考えてゆっくり歩くのが疲れない登り方。


雪が現れたがまだまばらで、滑り止めを着けるまでもない。


やや急登になったがつま先を雪面に蹴り込むようにしながら上がっていく。


地面の露出もなくなったし、ツボ足もこの辺が限界かな?


昨日の燧ヶ岳では往きはチェーンスパイク、帰りはアイゼンを着けて歩いたが、今日はここからアイゼンを着けて歩くことにした。


こう見えて結構、厳しい傾斜が続く。


木々の間から燧ヶ岳が覗く。


右は大戸沢岳へ続く稜線。


緩急織り交ぜた斜面も終盤となった。
これを登りきったところが駒ノ小屋で、そこで休憩ができる。


2棟の建物の屋根が見えた。
右が駒ノ小屋の宿泊棟で左はトイレ。


小屋のすぐ脇から昨日登った燧ヶ岳がよく見える。
手前の稜線は御池やキリンテに下山する湿原を携えた富士見林道で、シラネアオイ他の植物が数多く成育している。


富士見林道をズームで見ると稜線上の雪がいまにも崩れそうに見え、この時期に歩くのは危険だ。


日帰りが可能な会津駒ヶ岳だが利用者が多い駒ノ小屋。
厳冬期を除き、管理人(小屋番という)が常駐していて管理の行き届いた快適な山小屋である。トイレはこの建物ではなく後ろに見える別棟にある。宿泊者専用ではなく一般の登山者も利用できる。水を使うことができない山中ではあるが小屋番さんによる清掃が行われていて快適に利用できる(チップ制)。
この建物が屋根だけ残して雪に埋もれてしまうというから檜枝岐の積雪はすごい。
駒ノ小屋の前は広い平坦面になっていて休憩にはもってこいの場所である。
これから会津駒ヶ岳に登るにあたり、一昨日、猪苗代町のスーパーで買ったパンで腹を満たし、アイゼンを着けた。


小屋の前から会津駒ヶ岳山頂を仰ぎ見る。
雪に埋もれて見えないが、手前に駒ノ大池が隠れている。
それはもう会津駒ヶ岳を際立たせるに十分に美しく、感動的ですらある。→こちら
さあ、そろそろ腰を上げて山頂に向かおう。


山頂へはそれほど長い時間はかからない。
歩き始めて10数分で山頂が目の前に迫ってきた。
人の姿が見える。


山頂には8名ほどの登山者がいた。
居合わせた登山者とカメラを交換し、撮ってもらった。
写っている山名板(というか柱)は実に大きく、高さが2.5メートルはある。露出しているのは1.5メートルくらいなので、雪はまだ1メートルある計算。→無雪期の様子


身体を駒ノ小屋に向けると燧ヶ岳が正面に見える。
う~ん、素晴らしい眺め。


山頂で折りかえして下山するのもいいが、管理人の今日の最終目標は会津駒ヶ岳から北へ向かって延びる雪の稜線を歩いて中門岳に行くことだ。
このどこまで続いているともわからない雪稜は魅力に溢れている。
福島遠征最後の登山に相応しい眺めだ。さあ、歩き始めよう。→無雪期の稜線(茶色の部分はすべて湿原)


感動に値するこの雪稜を今、管理人は独りで歩いている。
山友のいない管理人はこの感動を人に話すことはなく、こうしてブログに残すだけだ。


雪原がここだけ妙に汚れている。
この下が湿原の池塘であることを表しているのだ。
雪原は先ず、水のある池塘から解け始め、そこに湿原が現れる。
花が見られるようになるのはそれからだ。


中門岳のすぐ手前、中門池あたり。
向こうに見えるなだらか稜線の左のピークは三岩岳。
夏の登山口は小豆温泉だが積雪期だけ会津駒ヶ岳から大戸沢岳を経て行ける。が、その道のりは厳しいと聞く。
でもいつかは挑戦したい。
昨年、ものは試しと会津駒ヶ岳から大戸沢岳を往復してみたが、三岩岳へはその3倍の距離がある。あ~、でもやってみたい魅力に溢れている。残雪期しか歩けないルートとなればなおさらである。
ルートは会津駒ヶ岳登山口~会津駒ヶ岳~大戸沢岳~三岩岳~小豆温泉→バスで会津駒ヶ岳登山口ということになるが、日帰りだと夜明け前出発で日没下山になるのは必至だ。
駒ノ小屋に泊まれば3時間の短縮が図れるが、それにしたって今の管理人の体力で可能なのかどうか不安である。
「やってみないとわからない」という甘い考えだと失敗が目に見えている。この一年かけてじっくり検討しよう。


横倒しになったシラビソ。
枝の上に乗った雪の重みで木々は次第に傾いていき、柔軟性に富んだ種類の木だとこのように横倒しとなって枝や幹が折れるのを防いでいる。
雪が消えると元のように直立するから、その柔軟性といったら羨ましいくらいだ。


地形から見てここが中門岳(2060メートル)あたりであろう。
木道はここを一周して折りかえすようになっている。
今日はもう少し先にある1988三角点が最終目標である。


会津駒ヶ岳からの稜線上はクラックができやすい。
雪の割れ目部分は雪庇となっていて、下から支えるものがないから自重で崩れ落ちる。
クラックはその前兆を示表している。
それを知らずに雪の上に乗ってしまうと大変なことになる。


1988三角点に到着。
管理人は三角点ハンターではないので、これまで中門岳で折りかえしていたのを、少しだけ長い距離歩いたというだけで別になんの意味もない。
ちなみにこれから先、尾根は3本にわかれるがどれも急峻な下りで、最後は沢に落ち込む。


中門池まで戻り燧ヶ岳をバックに1枚。
ちなみに、往きはここから三角点まで20分、戻りは35分かかった。


長い、長すぎる。
いくら歩いても雪稜は途切れることなく続く。
会津駒ヶ岳と中門岳を結ぶ稜線はそんなものなのである。
雪不足の日光に物足りなさを感じていたが今日はウンザリするくらい雪の上を歩いた(笑)


帰りのルートだと崩れかかっている雪庇がよく見える。


本日二度目の会津駒ヶ岳山頂。
これから駒ノ小屋まで行って下山となる。


下から見上げる駒ノ小屋もいいが、ここから見るのも絵になる。
雪がなくなって湿原が現れると駒ノ小屋はもっと映える。


駒ノ小屋をあとに下り初めて20分たった。
往きには気がつかなかったが樹林帯の中に大きな鳥の巣が落ちているのを見た。
枯れ葉やなにかの繊維で家が造られ、その周りは細い木の枝で囲まれている。
雨の侵入と外敵からヒナを守る最強の造りになっている。


樹林帯に突入する前の最後の展望。


雪はこの辺から断片的となったのでアイゼンを外してチェーンスパイクに替えた。


ここはちょっと注意を必要としたところ。


雪は気温の上昇とともに緩んでぐしゃぐしゃになっている。


カエデの花と新緑。


階段が見えた。
これでもうなにも心配することはない。
駐車場に戻ったら今夜開催される檜枝岐歌舞伎の前に身体を清め、腹を満たそう。


ショットカット道を下ってアスファルトの林道に出た。
このまま下っていけば国道に出て、左折してテニスコートだ。


なんの面白みもない軌跡となってしまった。これがピストン山行の宿命。
小屋泊まりをすると周回コースを歩けるのでちょっとご紹介。
1日目に中門岳まで行って折り返し、駒ノ小屋に宿泊。
2日目は富士見林道で大津岐峠まで行く。
そこから御池まで下り路線バスでテニスコートまで戻る。あるいは大津岐峠からキリンテに下って路線バスで戻るという方法がある。その方が断然面白い。
富士見林道も花の多さでは負けずシラネアオイやハクサンコザクラ、テガタチドリなど、たくさん観ることができる。
ただし、バスの本数は少ないので1時間待ちを覚悟しておく必要がある。
2日目も泊まるという贅沢な方法もありますね。
そうすれば3日目は三岩岳に登れる。って、これじゃきりがないな(笑)


オマケの画像
2017年5月の会津駒ヶ岳の登山のときに、その日は麓の檜枝岐村で歌舞伎が上演されることを知って観賞した。
270年以上も前から受け継がれている檜枝岐村の伝統行事ので、村民30名による演出、演技だそうだ。「檜枝岐歌舞伎」という県指定の重要無形民俗文化財になっている。

屋外の舞台なので音声が聞き取りにくいが、上演前の解説を頭に入れて、解説を思い出しながら今の場面を観るとストーリーがわかってくる。
そんな方法で観賞して今年で三回目となる。

檜枝岐歌舞伎が上演される舞台への参道。


その昔、お伊勢参りに行った村人が歌舞伎をみて、これを村で上演できれば村人が喜ぶであろうと始め、270年以上も受け継がれている伝統芸能である。以来、村の娯楽として、年に3回上演される。
演出と演技は村民および村民OBによるものだそうだ。県指定の重要無形民俗文化財になっている。


今年は、右大臣の命令でふたりの娘のうち、どちらかを差し出さなくてならない母親の苦悩を演じるものであった。