磐梯山初日は猪苗代から登って翁島へ下るロングルートで。

2018年9月12日(水) 晴れ/曇り 行程表  

ついに磐梯山なのである(^^;)

この夏から秋にかけての課題だった、日光から日帰りでは行けない福島県の山、例を挙げると7月18日と19日に吾妻連峰、8月20日と21日に安達太良山と登ってきて、残ったのが磐梯山である(磐梯山は先月27日に登山口まで行きながら激しい雨で諦めた)。
福島県には他にもたくさんの魅力的な山があるが、とりあえず年内にこれらの山を登っておき他の山は順次、時間をかけて登る予定でいる。

福島県の山はこれまで栃木県との県境あるいは県境に近い山つまり、日光からの移動時間が短い山として田代山、帝釈山、会津駒ヶ岳、台倉高山、三岩岳、那須連峰(三本槍岳、須立山)、燧ヶ岳と登ってきた。いずれも管理人の期待に違わず、いい山であった。
これらの山には水があるという共通点がある。
具体的には沢や池、沼、湿原である。ことさら水と戯れたくて選んだというわけではないが、山を歩いていて水と出合うと気持ちが落ち着くし印象が違ってくる。

日光から近い福島県の山はこの2年の間に、上に書いたように延べ10数座、歩いた。ここらでそろそろもっと遠くの山に登ってみたいと思うようになったのはそれまでの経験上、ごく普通の気持ちであろう。
栃木県から遠い場所、そこには吾妻連峰や安達太良山、磐梯山といった福島県を代表する山がある。これらの山を年内に登ろうという目標を組み、実行に移したのは冒頭に書いたとおりである。

今日は先月の安達太良山に続いて深田久弥、日本百名山の磐梯山だ。
磐梯山には六つの登山口がある。
どれも魅力的なのですべての登山口から登ってみたいのだが、それには6回、通わなくてはならず、効率的とは言えない。
地図を子細に眺めると登山口と下山口を別にできそうなルートが見つかった。猪苗代登山口とその西にある翁島登山口を結ぶ周回ルートである。もちろん、他の登山口と下山口という組合せにしてもいいわけだが、下山後、車を置いた場所へ戻るのに電車やバスの便はないし、タクシーを利用するのも絶望的だ。
頼りになるのは自分の足だけである。
猪苗代登山口と翁島登山口との距離をグーグルマップで計測すると4キロと出た。これなら重い登山靴で歩速は遅くても1時間ちょっとあればいい。次に近いのは猪苗代登山口の東に位置する渋谷登山口だが、距離が6.7キロとかなり離れてしまう。2時間以上かかるだろうからあまり現実的とは言えない。他は計算するまでもない。

今日は初めての磐梯山ということもあるので欲張らず、猪苗代登山口から登って翁島登山口へ降りるという周回ルートの行程を組んで歩き始めた。
さあ、結果はどうなるんでしょう?


行程表
猪苗代登山口(6:30)~天の庭(7:54)~赤埴山(8:32/8:40)~裏磐梯分岐(9:39/9:50)~弘法清水(9:56/10:20)~磐梯山(10:53/11:12)~ロープウェイ山頂駅(12:58/13:15)~翁島登山口(13:59)~猪苗代登山口(15:46)
※翁島登山口から猪苗代登山口へは「昭和の森」経由で4.9キロだった。
距離:17.1キロ(猪苗代登山口まで)
時間:9時間16分(同)
累積:1497メートル


猪苗代町から見る磐梯山福島県を象徴する名山、磐梯山はここ猪苗代町からよく見える。
雄大でどっしりした山容は古来から県民に親しまれ、愛されてきた。
管理人は今日、初めて磐梯山に登る。
快く迎えてくれるのか、それとも跳ね返されてしまうのか。どちらにしても真摯な気持ちで臨むことにしよう。


猪苗代スキー場猪苗代スキー場
先月27日はここまで来ながら雨で中止を余儀なくされたが、今日はとてもいい天気に恵まれた。


登山届けの場所道を挟んで2棟の建物があり、登山届けは左側の建物に備え付けられたポストに投函する。


始めはゲレンデの中を進む登山道はスキー場の管理道路と兼ねていて、始めはゲレンデの中を進む。


ここも管理道路ここも管理道路のようだ。
だからといって歩きやすくはない。
デコボコしているし下草が茂っているためときに足を取られることがある。


ススキが生い茂ったゲレンデススキが生い茂り秋の風情を感じさせるゲレンデ。


山栗があちこちに落ちている山栗があちこちに落ちていて秋らしさを感じさせる。
これを集めて今夜の酒の肴に、とも思ったが帰りはここを通らない。往きに集めようとしたらザックが重くなる。


景色に変化のない斜面が続くスキー場のゲレンデというのはどこもそうだが、景色に変化のない斜面が続く。
だからなのか山の登りよりも気分的に疲れる。
あぁ、早くゲレンデ歩きから開放されたい。


振り返ると南に猪苗代湖振り返ると南に猪苗代湖が見渡せる。
日光でいえば男体山から眺める中禅寺湖といったところ。


登山道らしくなったゲレンデ歩きはここで終わりなのか、登山道らしくなった。


てんのにわてんのにわ、と読むそうだ。
昭文社「山と高原地図」にはここからの展望良しとなっているが、ススキが茂って眺めは悪い。


なかなか歩きやすい道。


ホツツジホツツジ


アキノキリンソウアキノキリンソウ


シラタマノキシラタマノキ


ミズナラほう、ミズナラじゃないか、、、
ということは熊も生息?
この読みは当たった。


赤埴山へと分岐道はここで赤埴山へと分岐する。
せっかく来たのだから登っておきたい。


火山礫の堆積道は火山礫の堆積に変わった。


イワインチンイワインチン
「岩茵蔯」と書き、高山の岩場や砂礫に成育するそうだ。


赤埴山赤埴山(1430M)山頂。
山名板はない。
ここまで来る間、木々の枝が道にせり出していて葉についた朝露で下半身びっしょり。


赤埴山から見る磐梯山赤埴山から見る磐梯山は実にいい形をしている。
山頂に向かっている稜線がよく見える。
手前が赤埴山からの続き。その奥が裏磐梯へのルートで左の急斜面は翁島へ降りる稜線であろう。
山頂の右が落ち込んでいるがあそこが噴火によって吹っ飛んだ小磐梯山。山全体が消滅し、火口になっているところ。


ウスユキソウウスユキソウ


鏡池鏡池なんでしょうね。
地図で見ると鏡池は縦に細長い形をしているのだが、渇水のためにこのように円形になっているのかもわからない。


ウメバチソウウメバチソウ


ナナカマド真っ赤な実をつけたナナカマド


熊の糞を発見道は平坦になった。
鏡池のすぐ近くを歩いているようだ。鏡池は見ることができない。
ここで先ほどのミズナラ→熊という連想があたり、熊の糞を発見。
写真を撮ってあるが掲載するのは遠慮しておく。


渋谷登山口への分岐猪苗代登山口の東に位置する渋谷登山口への分岐。


磐梯山の荒々しさが際立ってきた磐梯山の荒々しさが際立ってきた。


その先に櫛ヶ峰右(東)に目をやると細尾根が続き、その先に櫛ヶ峰がそびえている。


尾根の上に人の姿がその櫛ヶ峰。
ん~、地図に道は描かれていないし踏跡もないのに尾根の上に人の姿が見えるぞ。


道標の奥に見えるのは天狗岩噴火口を左に見ながら裏磐梯へ下るルートとの分岐。
道標の奥に見えるのは天狗岩と呼ばれる奇岩。
ただし、あそこを通るわけではない。


裏磐梯が一望同じ場所から北を見ると裏磐梯が一望できる。
あの大きな湖は桧原湖でその手前は明日、歩く予定の銅沼(あかぬま)。


それにしても荒々しい山だなぁ、磐梯山って!


黄金清水歩いていると草むらの中からサワサワという水音が聞こえていたのだが、その流れをパイプで引いて飲めるようにしている。
昭文社「山と高原地図」には黄金清水という立派な名前が与えられている。
水を手ですくってみるととても冷たく、身体は熱いのに手がかじかんだ。味は文句なしだ。


八方台ルートへの分岐から磐梯山を眺める。
山頂まであと30分ほどだ。


弘法清水小屋ほどなく山頂直下の広場に建つ2棟の小屋の前に着いた。
弘法清水小屋とその右に岡部小屋があり、飲食ができるのと登山のちょっとした小物を売っている。弘法清水小屋にはトイレブース(トイレではない)があるので、携帯トイレを持参あるいはここで購入すれば用を足して処分できる。
なお、岡部小屋は週末だけの営業だそうだ。


名物のなめこ汁弘法清水小屋名物のなめこ汁をいただいた(400円)。
今日は暑くて汗が噴き出したが紅葉盛りの季節であればありがたいだろう。


岡部小屋こちらが岡部小屋。


弘法清水岡部小屋の前、山頂へ行く道のすぐ脇には弘法清水が流れている。
沢はないので伏流水だと思う。


傾斜は急山頂に近づくにつれて傾斜は急になり、清水で冷ました身体から再び汗が噴き出す。


傾斜が少し緩くなった。
もうすぐ山頂かな?


大小の石が堆積した山頂道は途中で分岐するが道なりに歩いて行ったところ、大小の石が堆積した山頂に着いた。
展望は素晴らしくいい。
やや霞がかかってしまったが360度、見渡せる。2千メートルに満たない山頂とは思えない眺めなのである。文句なしだ。


三等三角点山頂には磐梯神社の祠があり、そのすぐ脇には三等三角点の石柱があった。


磐梯山の山頂山頂から一段降りたところに山名板がある。
大きな板に刻まれた文字は風化して判読が難しいが、標高が示すとおりここは紛れもなく磐梯山の山頂だ。


翁島への下山ルート昨日、スーパーで購入した菓子パンを食べ終え、ここから見える翁島への下山ルートに向かった。
このルートは中腹まで30度という急斜面が続くから足を踏み外して転倒、滑落ということにならないよう気をつけなくてはならない。


エゾリンドウエゾリンドウを多く見かけた。


笹がきちんと刈ってある笹がきちんと刈ってあり、とても歩きやすい。


下山中ずっと猪苗代湖が見えるこのルートの良さはなんといっても下山中ずっと猪苗代湖が見えることだろう。
今日は薄曇りの天気だったが晴れていたら最高だと思う。


ウメバチソウウメバチソウも随所に


ミズナラミズナラ
ミズナラは10メートルにも達する高木のはずだが、ここのは1メートルと小さい。
積雪の期間が長いことや風が強いといった自然の理由で大きく育たないのかもわからない。


ヤマハハコヤマハハコ


先ほどの急傾斜はなくなってずいぶん歩きやすくなった。


ヒロハツリバナヒロハツリバナ


近づく猪苗代湖標高が下がるにつれてぐんぐん近づく猪苗代湖


オヤマボクチオヤマボクチ


オオカメノキオオカメノキ


翁島登山口に近づくと猪苗代リゾ-トスキー場が見えてくる。
地図で確認するとあのゲレンデの左側に降りるようだ。


ドングリ熊が好んで食べるドングリ(ミズナラの実)。


ホオノキの熟した実ホオノキの熟した実


翁島登山口は間もなくスキー場(ここは猪苗代リゾート)の管理道路に出ると翁島登山口は間もなく。


無事に下山なんとか無事に下山。
歩き始めて7時間半はまずまずといったところ。


アスファルト道路を歩いて猪苗代登山口までさあ、これからが大変だ。
登山靴でアスファルト道路を歩き車を置いた猪苗代登山口まで行かなくてはならない。
覚悟を決めてのんびり歩くことにしよう。
ちなみにあのゲートの先は昭和の森。


タマゴタケの親子タマゴタケの親子を見つけた。
食用になるらしい。


ここから眺める磐梯山もいい形をしている。


昭和の森で植物観察したり休憩したりで、猪苗代登山口へは1時間40分もかかった。

今日歩いたルート図水色の区間は登山口を結ぶ最短ルートで、4.9キロ。
天鏡台と描かれた辺りは昭和の森という広大な広場になっていて、南に猪苗代湖が見渡せるとても贅沢なロケーションだ。他は別荘地が占める山林。
別荘地で出合ったのは猪苗代町の名前が入った車1台のみ。
熊と出くわしてもおかしくないような別荘地に、どうして人が、、、と町の職員はきっとそう思ったに違いない。

さて今回、管理人はなぜ猪苗代登山口から上って翁島登山口に降りるルート設定をしたのでしょうか?
管理人、どちらかといえば事前の計画を綿密におこなうタイプである。山というものは登る前、登っているとき、下山したときそれぞれ楽しみがあると思うのだ。
事前の計画とは登る前のルート設定のことで、具体的には距離や所要時間、高低差を調べたり、登山口へのアクセスや駐車場の場所と広さ、日帰り温泉があるかどうかといったことを地図やガイドブック、ネットの情報(ただし、他人の山行記録を見ることはほとんどない)から引き出し、計画としてまとめておく。
登っているときは計画通りの時間で歩けているかどうか、傾斜や地形がイメージしたものと合っているかどうかなどを確認しながら歩くことで、その山への印象の深さが違ってくる。
下山したらブログの作成に着手。
またいつか同じ山に登るためにもブログはできるだけ詳しく書く。そのためには写真を数百枚も撮っておく必要がある。行程表に書いたポイントを通過する際には、カメラで腕時計の時間を撮っておくようにする。GPSのログは歩いたルートを地図上に再現(上の図)できるから、ルート上のどこにどんな岩があったとか、眺めのよかった場所はどこだったとか、苦労したところ快適だったところを思い出すのにとても役に立つ。
山頂に達する喜びだけを希求するならこんな面倒なことをしなくてもいいと思うのだが、ひとつの山を縦から横から斜めから、多角的に追求したい気持ちがあるのだろう。

話が横道に逸れてしまったので軌道修正して、スタートを猪苗代登山口にするか翁島登山口にするかといった問題。答は単純で下山後は翁島登山口から猪苗代登山口へ向かって歩くほうが楽、ということに計画段階で気がついたわけね。
山に登るのならどんな急登も厭わないが、下山後のアスファルト道路歩きはできれば避けたいし、避けられなければ楽をしたい。
翁島登山口の標高は805メートル、猪苗代登山口は693メートルなので標高差は112メートルある。これを上るか下るかの選択を迫られたら管理人は即、「下る」を選ぶ。
まっ、でも今日のルートの面白さを思い出したら逆ルートも良、かもしれないなと、いま書いたことを簡単に翻す管理人なのである。きっとやるでしょう、近いうちに。