60代男二人、花を愛でに会津駒ヶ岳へ。極上の展望と多くの花に出会えた。

2018年6月25日(月)~26日(火) 両日共に晴れ 行程表  

会津駒ヶ岳は一昨年10月の初登以来、その登りやすさや展望の良さ、どこまでも続く湿原、その湿原に咲く花に魅せられ昨年までで5回も通った。
気に入った山であれば短期間になんども訪れる傾向、というか性癖のある管理人である。
今年になって5月の残雪期そして今回と、勢いは止まらない。
会津駒ヶ岳の魅力を余すところ無くブログに書くため、このブログのタイトルである「春夏秋冬、日光を歩こう!」の主旨から外れてしまうほどだ。

管理人が経営しているペンションの宿泊客(アウトドアを楽しむ人が多い)のひとり、常連のWさんにはことあるごとに会津駒ヶ岳の魅力を語るためか最近になって興味を示すようになった。Wさん、花好きで知識欲旺盛なことにかけては管理人に勝るから、日光にはない花が会津駒ヶ岳で観られるなら行ってみようかということになった。

今年の開花はどの地域でも早い。
昨年は7月9日に管理人単独で訪れて残雪歩きと花を堪能したが、昨年は3月の気温が低くて花は遅め。今年は反対に早いとのことなので2週前倒しの予定を組んだ。
解決すべき問題は東京住まいのWさんとどこで何時に待ち合わせるかということだ。
ペンションに前泊し翌早朝に出発して8時頃から歩き始め、その日は山小屋に泊まって次の日も山歩きを楽しんで、夕方帰途につくようにすれば会津駒ヶ岳をくまなく歩ける。
しかし、ここに大きな問題が浮上する。せっかく二日も歩くのに、下山後に帰ってしまっては反省会というか打ち上げを開く機会がないのだ(^^;)

Wさんが当ペンションに泊まる場合は必ずといっていいほど、管理人と夕食を共にする。もちろん、ふたりの共通の嗜好であるアルコールもだ。
それを計画のどこに盛り込んだら問題は解決するのか?
山小屋でそれを可能にしようとすれば他の登山者の迷惑になる。なにしろ消灯は8時だし、みなさん朝が早いのだ。

Wさんからの提案は一日目は浅草から東武線、野岩鉄道と乗り継いで(実際には乗り換えなしの直通)会津駒ヶ岳にもっとも近い鉄道の駅「会津高原駅」で待ち合わせてその後、会津駒ヶ岳に向かうというものだ。
浅草駅6:22発だから東京住まいのWさんには無理のない時間だし、日光から向かう管理人は7時過ぎに出発すればいいので楽だ。
登山開始は11時と遅くなるが山小屋に泊まる計画であればまったく差し支えない時間である。

でわでわ出発といきましょう。


行程表
1日目
滝沢登山口(11:05)~水場(12:41/12:55)~駒ノ小屋(14:33/14:40)~会津駒ケ
岳(15:06/15:20)~駒ノ小屋(16:00/泊まり)
※当初、中門岳まで行く計画だったが思いの外、花が多く、観察に時間がかかったので諦めた。
※歩行距離:7.5キロ

2日目
駒ノ小屋(5:49)~中門岳(6:40/6:50)~駒ノ小屋(8:05)~大津岐峠(10:17/11:05)~キリンテ(12:44)~バス(13:17)~会津駒登山口で下車して車を回収
※4時に起床後、ご来光を期待したが雲が厚くて拝めず。
※歩行距離:14キロ


会津高原駅東京在住のWさんは浅草から特急に乗り、9時22分着の野岩鉄道でやってくる。
それまで少し時間があるので構内の売店を覗いたりトイレに入って時間を費やす。


Wさんと無事に合流し、9時25分に会津高原駅を出発。
途中で腹ごしらえを済ませてここ登山口手前の駐車場に着いた。
計画では11時ちょうどに登山開始だったのでほぼ予定通り。
会津駒ヶ岳に登るのはこれで7回目だが計画の精度がだいぶ良くなってきた。
20台ほどの駐車場だが時間が時間だけに空いてはいないだろうと思っていたが、運良く登山口にもっとも近い特等席に駐めることができた。
会津駒ヶ岳は30日になって山開きとなるのでまだ数日は駐めやすいのかも?


登山計画書をポストに登山計画書をポストに入れていざ出発!
どんな花が観られるのだろうか、楽しみである。


ヤマツツジ最後の最後まで粘るヤマツツジ。


ハナニガナハナニガナ


会津駒ヶ岳の登山道は山頂近くになってようやく展望が開ける。
それまで右左から木々が迫る樹林帯を歩く。が、決して見通しが悪いわけではないし暗いわけでもない。


ウラジロコヨウラクウラジロヨウラク


ハウチワカエデの実ハウチワカエデの実。
翼を持ち、熟すと風の勢いで回転しながら飛んでいく。


ブナの木管理人が登った福島の山はブナの木が多い。
ブナは樹高が高くまた、葉が小さいためか日差しをよく通し明るい。

クモイイカリソウクモイイカリソウかと一時は思ったが、帰って調べてみると葉の付き方がまったく違っていた。
「トンボソウ」で調べたらコバノトンボソウが候補に挙がったが、距が跳ね上がるという特徴がこの花にはない。
調べを進めていたら距が下がっていることと花の色が淡黄色であることからホソバノキソチドリの可能性が濃厚。
さらに調べを進めるとマイサギソウというのも見つかった。ただし、距は下に折れ曲がるのと花が白っぽいという点でこれとは異なる。
結論はやっぱりホソバノキソチドリなんでしょうね(自信なし)。


ギンリョウソウギンリョウソウ
まだ生えたばかりなのかとてもきれい。


ナナカマドナナカマド


ヤマトユキザサユキザサ
尾瀨広域には3種類のユキザサがあるそうで、これはヤマトユキザサのようだ。


ハウチワカエデの実これもハウチワカエデの実。
熟しているのか赤っぽい。


カラスシキミカラスシキミ


駒ノ水場歩き始めて1時間35分で水場に到着。
急傾斜を下りた大きな岩から水が流れ落ちている。
Wさんはここで水筒に水を満たしに下りていったが管理人は必要量を持参したので補給せず、Wさんが戻るまで体を休めることにした。


40リットルのザック布団付きの山小屋に泊まるとは言え、自炊道具と食料はそれなりに必要である。
今夜の夕食と明日の朝食、昼食それに酒のつまみ、水3リットルで40リットルのザックは満杯になった。


マイヅルソウマイヅルソウは全行程で見られた。


ムラサキヤシオムラサキヤシオ


大戸沢岳進行右(北)に会津駒ヶ岳から続く稜線がよく見える。
中央は5月に行った大戸沢岳。


ゴゼンタチバナゴゼンタチバナ


オオカメノキオオカメノキ


ノウゴウイチゴノウゴウイチゴ(能郷苺)
なんでも岐阜県能郷に由来した名前らしい。


ツマトリソウツマトリソウ


イワナシイワナシ


コミヤマカタバミ開いたばかりのコミヤマカタバミ


ハクサンシャクナゲハクサンシャクナゲ
この色合いを見るとアズマシャクナゲかとも思うが、ここは標高が2千メートル近いことからハクサンシャクナゲに間違いないと思う。


コヨウラクツツジコヨウラクツツジ


ハクサンシャクナゲハクサンシャクナゲ
実に美しい。


木々の間から今夜の宿泊場所、駒ノ小屋が見えてきた。


ハクサンコザクラ今回の目的であるハクサンコザクラと出会えた。会津駒ヶ岳を代表する花だ。


ワタスゲの花ワタスゲの花
真っ白な穂になるのはまだ数日、先になりそう。


傾斜湿原樹林帯を抜けると目の前に傾斜湿原が広がり、その先に駒ノ小屋が構えている。


ショウジョウバカマショウジョウバカマ


駒ノ小屋歩き始めて3時間28分で駒ノ小屋に到着。
残雪の時期でさえ3時間で来るのに30分も余計にかかった。
そのはずでここに来るまでの間に写真を200枚も撮っているのだ。


駒ノ小屋からこれから登る会津駒ヶ岳を眺める。
駒ノ大池はまだ半分、雪に覆われている。


ミツバノバイカオウレンミツバノバイカオウレン
図鑑で調べるとこの花は至仏山にしか生育していないらしいので管理人が第一発見者か(笑)


駒ノ小屋と中門岳との分岐駒ノ小屋から中門岳に向かうと分岐するので会津駒ヶ岳はここを右へ入る。


ベニサラサドウダンベニサラサドウダン


ショウジョウバカマショウジョウバカマ


キヌガサソウキヌガサソウ


会津駒ヶ岳登~頂~!
歩き始めてちょうど4時間。管理人7回目の会津駒ヶ岳である。


サンカヨウ咲いたばかりのサンカヨウ


ツバメオモトWさんがとても貴重な花を見つけた。
ツバメオモトだ。
日光では非常に珍しい植物だがここでは普通に咲いているのが驚き。


エンレイソウエンレイソウ
直径30センチはあろうかという大きな葉の上に地味で小さな花を咲かせる(画像は実になった状態)。


ツマトリソウツマトリソウ


駒ノ小屋駒ノ小屋に戻ってきた。
今夜はここにお世話になる。


ハクサンコザクラ小屋近くのハクサンコザクラ


まだ早い?
いいえ、山小屋の消灯は8時。
その前に夕食を済ませておかないといけない。
小屋前のテーブルでWさんと向き合い今日、出会った花たちに感謝をこめてまずは乾杯。
そして明日、出会うであろう花たちに敬意をこめてもう1本、さらに1本。


今夜の宿泊客はわれわれをいれて8名と少ない。
他の登山者が夕食を終え寝室へと移動したのを見計らい、気温が下がった屋外からわれわれも自炊室へ。


大戸沢岳の向こうが橙色に染まってきた小屋番(管理人)さんによると日の出は4時18分とのこと。
朝日を拝むため4時に起きて外で待機すること20分。
大戸沢岳の向こうが橙色に染まってきたが雲に覆われて残念ながら陽は上らず。
とはいえ、このような光景を拝めたので良しとする。
さあ、今日はこれから中門岳まで足を延ばし、それから大津岐峠を経由してキリンテに下る予定だ。どんな花が観られるか楽しみ。


会津駒ヶ岳に向かう自炊室で朝食を済ませ、半分雪に覆われた駒ノ大池の上を歩いて会津駒ヶ岳に向かう。


シャクナゲのつぼみシャクナゲのつぼみ


昨年は雪解け時期になっても気温が上がらず、7月でも厚い残雪に覆われていた。それより10日も早いが今年はだいぶ少ない。


ショウジョウバカマショウジョウバカマ


イワナシイワナシ


早朝の中門池早朝の中門池。


最後の池塘木道の終わり、最後の池塘である。
地図ではここがもっとも標高が高く、実質的な中門岳となっている。


ミツバオウレンミツバオウレン


イワカガミこれから咲こうとするイワカガミ


ワタスゲワタスゲ


大津岐峠への稜線振り返ってこれから向かう大津岐峠への稜線を眺める。
ほれぼれする。


駒ノ小屋に戻り軽量化のためにデポしておいた荷物を受け取り、これから花を探しながら大津岐峠へ。


イワカガミイワカガミ


ゴゼンタチバナツマトリソウ


アカモノアカモノ


ミツバオウレンミツバオウレン


シラネアオイ今回の花旅の目的、シラネアオイ。
名前の由来となった日光の白根山ではシカの食害にあって柵で保護しているというのに、ここでは道ばたで見られる。


イワウチワイワウチワ


ハクサンチドリハクサンチドリも多い。


ムラサキヤシオムラサキヤシオ


ジョウエツキバナノコマノツメジョウエツキバナノコマノツメ
「上越黄花の駒の爪」と書くそうだが説明するのが大変ななんとも凄い名前である。


シラネニンジンシラネニンジン(たぶん)


コケモモコケモモ


大津岐峠へのハシゴ大津岐峠への稜線は、緩やかな湿原が続く中門岳への稜線と正反対で岩場が多い。なかにはこのようなハシゴで岩場をクリアしなくてはならない。


シラネアオイシラネアオイ


イワイチョウイワイチョウ


う~ん、わからない。
花や葉っぱの特徴をもっとよく見るべきであった。


ミツバオウレンミツバオウレン


オオカメノキオオカメノキ


ベニバナイチゴベニバナイチゴ


遠方に燧ヶ岳遠方に燧ヶ岳が見える。


ミヤマエンレイソウ花が終わって実になっているが、萼片が緑色なのでもしかするとミヤマエンレイソウ?


ハクサンコザクラハクサンコザクラ
ここでは小群落になっていた。


大津岐峠大津岐峠に到着。
昭文社「山と高原地図」に記載されている時間だと90分だが2時間を超えた。
今朝は5時前の朝食だったのでここで昼メシとする。
管理人はコンビニで買ったランチパックとバナナ、Wさんは袋麺。
さて、これからの行程について考える。
ここから駒ノ小屋に引き返して滝沢登山口に下れば車に乗って帰ることができるが、御池またはキリンテに下山すると路線バスで戻らなくてはならない。路線バスの本数は少なく、乗り遅れると次のバスまで2時間も待つことになる。
昭文社「山と高原地図」によれば御池までは3時間半、キリンテへは2時間20分。ここを11時に発つとして、今から間に合うバスは御池だと14:40発、キリンテだと13:17発なので、標準時間で歩けばどちらも間に合う。
下山したら日光に戻ってWさんと打ち上げを予定しているので帰宅は早いほうがいい。
よっし、13:17のバスに乗ろう。


コバイケイソウキリンテに2時間20分で下山するためには写真を撮る時間を惜しまなくてはならない。
昨日から今日にかけて観た花は割愛してどんどん進もう。
とはいうものの、花が目につくとどうしても撮らずにいられない(笑)
もうすぐ咲きそうなコバイケイソウ。


マイヅルソウマイヅルソウの群落


キリンテへの道キリンテへの道はなだらかで歩きやすい。


ヤグルマソウヤグルマソウ


バスに間に合うよう時間を気にしながらの歩きだったので登山道を歩くには早足だった。
キリンテまで30分という表示を見つけ、バスには十分間に合うことがわかったら急に気が抜けて失速。いつものペースでのんびり歩くことにした。
俊足のWさんはおそらくキリンテに着いていることだろう。


キリンテ沢苔むした岩の間を流れるキリンテ沢


車道が見えてきたらこのルートも終わる。


キリンテ登山口ほどなくキリンテに到着。


滝沢登山口までバスで戻るバス停は「白樺キャンプ場」の前。
ここでバスに乗り「会津駒ヶ岳登山口」で降りるわけだが、車はさらに20分歩いた駐車場に置いてある。