今月4回目の檜枝岐からの入山で台倉高山を目指す。強風に泣いたが花の季節の感触が得られた。

2016年10月27日(木) 強風 今にも降りそうな曇り空、ときどき晴れ間のぞく

馬坂峠(09:20)~P2033三段田代(10:13)~台倉高山(11:10/11:20)~昼食(11:30/11:45)~馬坂峠(13:10)

今月4回目となる福島県檜枝岐村からの入山だ。
今日は降った雨を太平洋と日本海に分ける分水嶺にある山、3座目の台倉高山を目指すことにした。

今月7日、馬坂峠から帝釈山に登る際に同じ場所に台倉高山の登山口があることがわかり、ではせっかくの分水嶺の山だから10月中に登っておこうと思った。
なぜ10月中でなければならないかといえば、登山口がある檜枝岐は豪雪地帯ゆえに11月になるといつ雪が降ってもおかしくないからだ。山は2時間で登れるから11月の雪なら備えさえしていれば問題はないが、登山口まで自宅から車で3時間半もかかるから、路面に雪が積もればこれが2・3割り増しとなり、登山どころではなくなってしまう。
それでなくても登山に4時間、車での移動に7時間というのは尋常ではない。登山よりも運転に疲れるような過酷なことは避けたいところだが、分水嶺にある山という魅力にあらがうことができず、運転による疲れを覚悟の上で臨むのである。

7日に登った帝釈山は山頂からの眺めが素晴らしかった。ほぼ360度の展望があり我が日光連山が一望できたし、百名山・会津駒ヶ岳に2週続けて登るきっかけを作ってくれた。この辺のところは7日のブログに詳しく→こちら

7日に帝釈山に登った以後は12日に会津駒ヶ岳、19日も会津駒ヶ岳そして今日は台倉高山と、今月は4週続けて檜枝岐からの登山になるわけだが、なにしろ自宅からの移動距離130キロ、3時間半もかかるからこういう場合は気力が萎えないうちに一気呵成にやるに限る。

その台倉高山ってどんな山なんだろう。
ガイドブックを読むと「台倉高山山頂は10数名が休める広さで、360度の大展望が広がる。白根山など日光方面の山や、燧ヶ岳、会津駒ヶ岳など会津の山々が見渡せる」(随想社・栃木の山150より)とある。それに檜枝岐に登山口を持つ帝釈山や田代山、会津駒ヶ岳と同じように、湿原もあると書いてある。大いに期待できそうである。

なお、今日の台倉高山をもってとりあえず檜枝岐遠征は終わりとし、来年の花の季節になったら再開しようと考えている。


8:13
自宅から2時間53分、117キロメートル。檜枝岐村内を走る国道352号線に馬坂峠へ向かう林道の入口がある。
馬坂峠へ向かってしばらくの間は旅館や民宿が立ち並ぶ道を走るがそれもすぐ終わる。


林道は3キロほどでオフロードに変わりここから12キロ弱、砂利道を走る。
アスファルト道路であれば15分ほどで馬坂峠に到着するところだが、この案内にある所要時間は前回7日に走ったときに概ね正しいことを確認している。なんてったって20キロ以上の速度を出せないんだから。


ここはわだちもなく走りやすい方。そのうち段差が出てくるわ、大小の石は転がっているわ、片側が谷になるわ、落石の跡があるわでその手の走りがお好きな人向き(^^)



8:58
上に紹介した動画のように走ってきて馬坂峠に着いた。車のトリップメーターは自宅から131キロメートルを示している。檜枝岐からここまで、同乗者がいれば車酔いを起こしたかもしれない。
20台ほどのスペースに先着車は1台もない。
それもそうだよな、花はとっくに終わっているし紅葉も終わっている。晴れてはいるが風が強いので登山向きの天候ではないもの。
中央に見える建物はチップ制のトイレだが入口は閉ざされ使えない。7日に帝釈山に登ったときは開いていた。このことからもこの時期はすでにシーズンが終わっていると思った方がいいようだ。
ちなみにここまでの道は雪が降っても除雪されないので、冬から雪解けまでの間の交通手段はない。これは実に怖いことだ。
もしも登山中に天気が急変して短時間に20センチもの雪が降ったりすれば(山ではよくあること)この道は走行困難になる。人は歩いて檜枝岐まで行けばいい(といっても15キロもあるが)が車は雪解けまで数ヶ月もの間、雪に埋もれたままとなる。
そんな目に遭わないためにも馬坂峠からの登山は10月で終わらせるべきだ。


こちらは帝釈山の登山口。ここから1時間もかからずに登れる。
入山者数を調査するカウンターが設置されている。


9:20
こちらがこれから目指す台倉高山の登山口。昭文社「山と高原地図」によると山頂まで2時間とある。
帝釈山側から見ると案内板もないし柱は1本だけとずいぶんと地味だ。それに暗い。魔界の道へ誘われているような錯覚を起こす。
が、それはもちろん、光の当たり具合のせい(^^)
でわでわ、出発しましょう。


初めから階段が敷設された急傾斜。シラビソの樹林帯を登る。


おっ、水場だ。
きれいな沢水が流れ落ちている。といってもここで湧いているのではなく、沢の途中に岩の段差があり、あたかも湧いてるように見えるだけ。


9:52
「ぬた場」というのは見たことがあるが「休み場」というのは初めて聞く。
見回したがぬた場はないし、う~ん、なんなんだろう?


急傾斜はまだ続く。今度はシラビソの根が露出していて滑りやすい。
ガイドブックによればこの辺り一面、6月はオサバグサという植物が開花して見事だそうだ。


草地に変わり湿原が近いことを思わせる。


10:13
「三段田代」に到着。
田代とは湿原のことで、それが段々畑のように三段になっているらしい。が、滑りそうな木道に気をとられ、確かめる余裕はなかった。
ちなみに地理院地図に三段田代という表記はなく、同じ場所が2033Mのピークになっている。


視界が開けた。あれが山頂だな。
ここからだと標高で50メートルくらい登るのだろうか。


藪にはなっていないがかなりこみ入った笹の間を歩く。傾斜は緩んでいる。


11:11
歩き始めて1時間50分、休憩しながらも山と高原地図に記載の所要時間とほぼ同じ時間で山頂に着いた。
気温は5度くらいだろうか、ここまで中間着の上に保温用のジャケットを着て歩いたが風が強かったため、汗はかかなかった。
なんども書いてくどいようだが、ここが栃木県(ちなみに日光市)と福島県の県境で、降った雨を太平洋と日本海に分ける分水嶺になっている。山名を示す柱より手前に降った雨は太平洋に、柱の向こう側に降った雨は日本海に流れていく。なんとも壮大でロマンがある。
そういう意識をもって山を登るのも楽しくていいのではないだろうか。


山頂が雲に被われているがおそらく燧ヶ岳。


白根山に、、、


女峰山。


これは会津駒ヶ岳であろう。
左のすそ野がキリンテで平坦な部分が大津岐峠から駒ノ小屋に続く稜線。中央に見えるピークが山頂、その右は大戸沢岳に続く稜線だと思う。
風が強いので山頂での昼食は諦めて下山することにした。どこか途中で風を避けられる場所があればそこで食べよう。


昼食の場所が見つかったので腹を満たした後、6ミリ径の麻縄を靴に巻いた。
濡れた木道や落ち葉が堆積した下りの道を歩く際の滑り止めにするために用意してきた。
チェーンスパイクは木道を傷つけるので使えない。


12:22
三段田代を通過。


台倉高山の階段はステップの幅が広いし土がえぐられていないので歩きやすい。


木道や階段から開放され、ひと安心。間もなく登山口に着くはず。


登りでは気がつかなかったがゴゼンタチバナの群落。いい色に染まっている。


木々の切れ間から帝釈山が見える。


馬坂峠のトイレが見えてきた。


13:10
登り始めて3時間50分で下山。
天候が良ければもっとゆっくりしたいところだが今回は花の季節の下見と考えてこれで良しとする。
車は朝と同じく管理人だけ。


同じ登山口から別方面にふたつの山を登れる。
余裕があったら台倉高山と帝釈山へ、とガイドブックにはあったが、帰りも3時間半の運転をすることを思うととてもそんな気持ちになれないというのが正直なところだ。


コースの断面を見ると傾斜は三段田代までで、そこから山頂までは緩やかなアップダウンはあるものの、ほぼ平坦といっていい。この地形を遠方から見ると台形に見えることから山名が付いたのではないかと推測するが、管理人が全体像を見たのは会津駒ヶ岳からの下りでであった。たしかに踏み台のように見えたから管理人の推測は間違いではないだろう。

それにしても疲れたなぁ、家に帰ったらぐったりだった。
いや、登山で疲れたわけではなく、車の運転で。
日帰りで往復7時間の運転はやはり無理がある。もう若くないんだし、こんな登山をしていたら自ら寿命を縮めるようなものだ。お花畑の中を写真を撮りながらノンビリ歩くのが管理人が本当に求めているスタイルなんだが、管理人にそういう日は訪れることがあるんだろうか?