前白根をあきらめ外山にしたが、深い雪と急傾斜に大いに満足する。

2016年3月2日(水) 強風
湯元スキー場からリフト~白根山登山口~外山鞍部~外山往復~外山鞍部~白根山登山口~スキー場

予報によると29日は大荒れになるが低気圧が過ぎた1日以後はしばらくの間、好天が続くとあった。ならばさっそく登ってみたい山がある。前白根山だ。
無雪期はなんどか登ったことがあるが登山口から時間がかかるので、冬は手が届かない山としてこれまで敬遠していたのだが今年のように雪が少ない冬なら、頑張れば行けるんじゃないか、そんな思いがあった。
その日を昨日、3月1日に設定して出かけたのだが波立つ中禅寺湖を見て、外は強風だということがわかった。
さらに進んで戦場ヶ原まで来てみると地吹雪となっていて、車内からでもその風の強さが一目瞭然であった。
さて、どうしたものか。
この分だと標高を上げるにつれて風はもっと強いはずだし、時間短縮のために考えていた湯元スキー場のリフトは運行していないのではないだろうか。
それに地吹雪で視界数メートルしかない国道を湯元へ向かうには強い勇気が必要だ。思考はマイナスに向かってどんどん進んでいく。
こんな危険を冒してまで山に登る意味はない、この先短い命、身体を大切にしようではないか。などといつになく弱気になっているのは他に理由があって、それでめげているのだ。

昨年秋頃から左上腕の裏から脇腹にかけて痺れるような痛みが恒常的に発生していて、それが昨日になって肩胛骨下の肋骨辺りに明確な痛みとして表れてしまった。息を吸い込んだり顔を洗うのに背中を丸めるような動作をすると痛みが激しい。寝返りをしたときなど痛みで目が覚めてしまう。
心臓か肺、いやまてよ、管理人の場合は飲み過ぎの傾向があるからもしかすると肝臓の疾患なのかと思うと気が重く、その上にこの地吹雪ときている。気力こそが体力を十分に引き出してくれる重要な要素と考えている管理人にとって、萎えた気持ちは山登りの大敵となる。なにか重大な事故に結びつくのは必至だ。

そんなことを思いながらこの道を走り出したら、視界が悪い中、途中でUターンというわけにもいかず結局、光徳牧場まで行って駐車場で折り返して再度、地吹雪の中へ。
2千メートル峰から吹き下ろす風によって戦場ヶ原に積もった雪が西から東へ吹き飛ぶ地吹雪、冬の風物詩となっているのだが暖冬の今年、見られるとは思ってもいなかっただけになんだか得した気分(笑)
さあ、寄り道しないで帰って、病院に駆け込もう。

明けて今日、2日。病院で処方された痛み止めとこわばった筋肉をほぐすという薬が効いたのか、痛みはやや治まり、身体を無理にねじ曲げようとすると痛むが息を吸い込んだくらいでは大丈夫になった。これなら山を歩くには差し支えないであろう。
なにしろ予報は昨日に続いて晴れだ。スノーシューツアーは終了宣言してしまったし、これからは自分の自由時間だ。山の天候はどうかわからないが、まあ行ってみて考えることにしよう。



暖冬で雪が少ないといってもそこは2千メートルを超える冬山である。30度もある急傾斜だとスノーシューは役に立たないので雪が深い稜線を歩くためのサブツールとしてザックにくくり付け、斜面はアイゼンとピッケルで登るのが普通である。


9:20
前白根山に行くには30度の急傾斜を登らなければならない。その取り付き口までがじつに長い。
そこで湯元温泉スキー場からリフトを利用することにする。
ただし、リフトの運行開始は9時からと遅い。リフトは2本乗り継ぐのだが歩く時間が短縮できたといっても冬山に登るのに9時行動開始というのはあまりにも遅すぎる。
目標とする前白根山は早くもおぼつかなくなった。


2本目のリフトの降り口。
無雪期の登山道はスキー場内に敷かれた管理用道路を使うのだがこの時期、道路は雪に埋もれて見えないのと滑降しているスキーヤーと衝突しないようにゲレンデの脇に沿って登っていくのが無難。
ちなみにリフトの係員に昨日の運行について尋ねると案の定、吹雪のため運休していたとのことだ。
昨日、強行しないでよかった。


リフトを降りて土手を上ると白根山への道標がある。いよいよここから急登が始まる。


登山道はこんな感じ。
常緑樹(おそらくコメツガとシラビソ)の樹林帯の中を黙々と登っていく。雪は薄いのでアイゼンが潜ってしまうことはない。


斜面の所々に氷の膜に覆われた石がある。地面からしみ出た水が石の表面で凍りつきさらに、その上に雪が覆い被さっている。
氷は硬くアイゼンでさえグリップが利かないから、雪面がどこかおかしく見えるようだったらそこを避けて通るのが無難。


シャクナゲ
すでに花芽をつけている。
しかし咲くのはじっくりと栄養を蓄えた6月下旬から7月にかけてと遅い。いや今年は暖かいのでもっと早いかも。


前白根山への道標。
この辺りから雪が深くなってきたがかまわず、チェーンスパイクのままで登る。


まだ前白根山に至っていないのにお次は白根山の道標だ。
順序を書くとまず、外山(とやま)麓の鞍部→天狗平→前白根山→白根山となる。
ここで昨夜、五色沼避難小屋に泊まったという単独の男性と出会う。白根山にアタックしようとしたが猛吹雪で断念したとのことだ。


木々の向こうに空が見えるようになり、間もなく外山鞍部に着くことを知る。


11:45
外山鞍部に着いた。ここで道は右へ直角に曲がり、天狗平を経由して前白根山に至る。


道は尾根を少し北に外れてついていて、天狗平へはこの樹林帯の中を行く。
前白根山まで1.3キロ、雪のない時期であれば1時間程度だ。これで稜線の感触はつかめた。


これが地図にある尾根。なぜここを登山道にしないのかわからないが、おそらく滑落の危険が大きいために自然と巻道がつくられたのであろうと思う。


外山鞍部で左を見るとゆるやかな尾根になっていて、この上が外山だ。地図には道が描かれていないし前白根山や白根山に行くのにふつう、外山は経由しないから登る人もいない。
外山鞍部まで来て目標とする前白根山はなんとか射程圏内に入ったので今日は昨日ほどではないが風が強いので、外山山頂を往復して下山することにした。


やはり稜線上とあって雪が深く、膝まで潜る。それにシャクナゲの藪だ。


12:13
悪戦苦闘して山頂に到達。
南東の方角に男体山が聳えているのだが、見えない?


ほらっ、管理人が指さす方向に見えるでしょ?


外山山頂から北東に向かってじつに魅力的な稜線が見える。湯ノ湖へ続く稜線だが地図に道はない。それにしてもなんと美しいラインだ!


気温はマイナス5度だから寒くはないはずなのだが絶えず強風が吹きまくっているため体感はマイナス10度くらい。
管理人の冬のウエアはアンダーシャツ、中間着、フリース、ジャケットという4枚構成で多くの場合、暑くて途中でフリースを脱ぐのだが今日は4枚のままで汗もかかない。


外山鞍部を後に下山開始。
登りが厳しければ当然だが下りも厳しい。30度の斜面をどうすれば滑落しないで下りられるのか、工夫が必要だ。
即ち、アイゼンを利かすためにお尻をぐっと下げて重心を低くするとともに身体は斜めに構え、たとえば右足を前に出したら左足は右足よりも前には出さない、つねに半歩ずつ足を運ぶ。そして、後ろ足と同じ側の手はピッケルを雪面に突き刺して3本足で身体を安定させて歩く。


斜面の中腹まで来ると風もやや弱くなったので外山鞍部で食べ損なったパンに食らいつく。
管理人の山での食事はいたって簡素で、必要カロリーさえ採れればそれでいいという考えだ。
菓子パンだとカロリーは高いしなんといっても、片手に持ち、立って食べられるのが良い。食べる場所も選ばない。


湯元スキー場の今は使われていないリフト降り場。
乗り継いだ2本目のリフトよりも300メートルほど外山鞍部に近いので、もしもこれが運行されていればずいぶん楽になるのにね。


標高を下げ、スキー場が見えてきた。
規模は小さいながらパウダースノーのスキー場として知られている。斜面は緩やかなので一般スキーヤーよりも小学校の体験授業として県外から訪れる客が多い。


下りはリフトを利用することができないので、リフト脇の静かな林間を歩く。


林間の雪は昨日の吹雪で新雪が30センチほどあり、アイゼンだと膝まで潜るほどだ。
麓に降りてようやくスノーシューで遊べた。


14:22
夏だとスキー場内の作業道を歩いて白根山の登山口まで達する。


外山鞍部から前白根山まで1.3キロ。雪道だから時速1キロと見積もって片道90分というところか。
今日の行程はリフト乗車と休憩、外山往復を含めて5時間だった。外山を差し引けば4時間だから、前白根山往復3時間をプラスして総時間は7時間と見積もればいい。
リフト運行開始の9時に乗れば16時には戻れる計算。無雪期の経験でいえば外山鞍部から前白根山への稜線は緩やかなので、ほぼ計算した時間通りに行くはず、と皮算用する。
さあ、本番はいつ?

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