車中泊しながら冬季の暖房と換気について考える。


車中泊の旅、第2回。北陸4泊5日・2日目

2021年11月28日(日) 走行距離:272KM
道の駅「国上」~直江津~糸魚川~道の駅「名立」~道の駅「氷見」

道の駅「国上」の清潔なトイレ

ウオロクで買っておいた塩パンと茹で玉子のサラダ、れんこんサラダ、フリーズドライの野菜スープで朝食とし、歯磨き後、トイレを済ませて道の駅「国上」を出発したのは7時50分だった。


寺泊港のフェリー乗り場(現在、ここの発着便はないそうだ)。

記録のために膨大な数の写真を撮るのは山歩きの時と同じで、山歩きの時だと一度の山行で200枚以上、ドライブでも一日100枚前後は撮る。
そのため管理人のドライブは走行距離の割に時間がかかる。高速道路やバイパスを使っても一日の平均速度は30キロ程度と、街中を走っているときとあまり変わりがない。
したがって一日に300キロメートル走るとすれば10時間ほど見ておく必要がありその間、いい景色と出会えたりすると車を駐めて写真を撮るを繰り返すのが管理人の走り方である。

この時間に出発して10時間後、どこまで行けるのだろう?
今日の最終目的地は能登半島の入口に位置する道の駅「氷見=ひみ」である。果たしてそこまで行き着くことができるのだろうか?
道の駅「氷見」はガイドブックに温泉併設とあるから是非立ち寄って温泉に浸かって一日の疲れを取り、美味いものを食ってから車中泊したい。

能登半島へ行くには北陸自動車道を走るのが一般的だが、管理人は自動車専用道路が好きではない。
時速80キロという猛スピードで走らなくてはいけない道路は心身共に疲れるし景色を眺める楽しみが奪われるし記録のための写真も撮ることが出来ない。
そもそも今回の車中泊の目的はできるだけ海岸線を走ってその景色を楽しむことにある。

道の駅「国上」を出た管理人は北陸自動車道と並行する国道8号線をのんびり(車が多くてそうでもなかったが)走ることにした。


国道402号線、寺泊漁港近くの観光市場を通り抜け、出雲崎にある道の駅「出雲崎・天領の里」まで来たので立ち寄った。


駐車場に大きな看板が立っているのが目に入った。
津波の際の避難場所を説明したものだった。
日本海に沿って走る国道402号線(ここで352号線に変わる)は海面との標高差が数メートルしかなく、万が一大津波が発生したとすれば間違いなく水を被る。
国道の反対側は山になっているから地震発生後すぐ山に逃げ込めば難を逃れるはずだが、その道がわからないとどうすることもできない。
地元の人であればいざ知らず、通りすがりの観光客にもわかるこの案内板はとても親切であるように思えた。


ぶらぶら歩いていたら海に向かって延びている長さ50メートルくらいの橋が見えた。展望台のようにも釣り桟橋のようにも見える。
突端まで行けばなににもじゃまされずに海が見えるのではないかと思って行ってみることにした。


「夕凪の橋」と名付けられた橋は海に突き出ていて日本海を一望できた。
欄干のあちこちに鎖が取り付けられていて興味をそそられた。


なるほど、こういうことね。
夕陽が沈む日本海を眺めながらふたりで鎖を取り付け、その鎖が外れないよう鍵で止めたんだろうな、実に微笑ましい。
管理人にはこういう経験はなかったなぁ(笑)。


道の駅を境に402号線から352号線に変わった国道はやがて高浜辺りで海から離れ、国道116号線に近づく。
そこで異様な光景を目にした。
国道に沿って数キロメートルにわたって金属のフェンスとその上に有刺鉄線が張り巡らされ、外部からの人の進入を頑なに阻んでいる様子だ。
ゴルフ場にしては敷地が大きすぎるし、いくらなんでもこれほど厳重な柵は設けないであろう。
道路脇に車を停めて写真を撮り、ついでにカーナビとGoogleマップでフェンスの内側の正体を確認したが、両地図とも施設名はおろか建物すら描かれていない(※)。
が、答は間もなくわかった。
「刈羽」と書かれた道路標識、東京電力の建物を示すゲートから、ここは東京電力・刈羽柏崎原発なのであった。
厳重なフェンスと地図に名称や建物が表示されていないのは、テロ対策としてその存在を知らせないとするものであることが想像できた。
※国土地理院地図には描かれている。


原発の広大な敷地は柏崎市に入ってようやく尽き、国道は8号線と名称を変えて再び海岸線を走るようになった。
途中、たたきつけるような雨に見舞われたが、道の駅「うみてらす名立=なだち」にたどり着いたときは止んだ。
ここは観光市場の様相を呈し、人も多かった。
人が多い場所を好む管理人ではないのだが、ここは温泉が併設されているということもあって立ち寄ったのだ。
入口を入ってすぐの通路の両側が観光市場で、買い物ができるようになっている。
温泉は市場を通り抜け、さらに食堂を通り抜けた建物の一番奥まったところにあった。
下駄箱の鍵と引き換えに更衣ロッカーの鍵を渡されて浴室に入っていった。
今夜は氷見で温泉併設の道の駅で車中泊するつもりなので都合2回、温泉に入るわけだが、これも昨夜入り損なった分を取り戻そうという管理人の貧乏根性がそうさせている。
入浴料700円はごく一般的だが、それは泉質や施設の良し悪しによって価値が決まる。
ここは大浴場の他にマッサージ風呂、階上に海の見える露天風呂(寒かった)があって楽しめた。なによりも入浴客が少ないのがありがたかった。


施設の裏側すなわち海側に行ってみた。
広大な敷地に芝生が敷かれ、整備が行き届いた公園風になっている。
こういう設えは他の道の駅でも見られ、観光客が多くいても分散されてくつろげる。
雨が上がったとはいえ空に厚い雲がかかり、海は荒れていた。


次に立ち寄ったのは北陸自動車道・親不知インター近くの道の駅「親不知ピアパーク」だった。昼食の場として利用するつもりだった。
ここに来るまでの間、道の駅「能生=のう」は通り過ぎてしまったのだが、理由は9月に車中泊した場所であるのと今回も帰りに利用する予定だからだ。

「親不知ピアパーク」は北陸自動車道の高架下を利用して売店や食堂、トイレがあって広大な駐車場を備えている。
ここには9月の車中泊の帰りに立ち寄り、食堂で昼食を頼んで食べたことがある。
「たら汁定食」という、鱈の切り身を骨付きのまま潮汁にしたもので、他に3種類の刺身が付いて1350円と、この食堂でもっとも高額なメニューを注文した。
しかし、管理人の味覚には合わなかった。
管理人は決してグルメではないが、宿泊客に食を提供するのを生業とする立場として、不味い料理は出せない。
味覚は磨いているつもりなのである。


 

今日は9月の経験から食堂に入ることはしないで途中、夕飯の調達も兼ねて糸魚川市のコンビニで買ってきたドリアを車内で食べた。
普段ならこれほどこってりした食べ物を口にすることはしないが、他に昼食として選べる品物がなかったのである。チーズの量が多かったのとその下にハンバーグが隠れて見えなかったが、管理人の許容量をはるかに超えるボリュームだった

ちなみにコンビニで調達する弁当の類に管理人は味を求めない。
腹が満たされればそれでいいと割り切っている。


ゲップが出るほど満腹の胃は走行中のエブリイの振動を苦しく感じてしまうほどだった。
速度を抑えて走り、次に立ち寄ったのは道の駅「越後市振の関」。
小ぶりな道の駅で、国交省の除雪ステーションを兼ねている。
特に見るべきものがないので早々に立ち去った。


富山県に入ると富山湾に沿って国道8号線は南下する。
前方に海の景色から一転し、真っ白な雪をいただいた山脈が見える。
地肌が見えないほどの雪の量から察してあれらはすべて2千メートル級、3千メートル級の山々であることがわかる。
地図を見る余裕などないが、ここから間近に見える山並であれば立山連峰に違いない、そう確信した。
いやぁ、それにしても見事な白さだ。


今夜の宿泊地、道の駅「氷見」にはほぼ予定通り、17時ごろ着いた。
管理人がこれまで見たことのないほど大きな規模の道の駅だ。
駐車場の広さは福島県の道の駅「猪苗代」と同等だが、際立った違いは建物の中に十数軒(もっと多いかも)もの飲食店が連なって来訪者に食を提供していることだ。
今夜はこれから温泉に浸かるため飲食店の利用はできないが次回、もっと早い時間に着いたら是非利用したい(アルコールを提供していればなお良し)。


ここに温泉が併設されていることは事前に調べておいた。
まずは一日の疲れをここで洗い流そう。
「総湯」という名称に接したのは石川県の和倉温泉でだが、共同浴場とか日帰り温泉という意味だそうだ。
入浴料は750円。
大浴場も露天も混んでいて人気のほどがうかがえた。
が、管理人としてはもっと落ち着ける場であってほしかった。
しかしよく考えると今日は日曜日なのだ。
ここは氷見市街からほんのわずかな場所にあり、地元の人の利用が多いのである。


入浴を済ませて車に戻ると車内はすっかり冷え込んでいた。
湯冷めしないようすぐ、イワタニのファンヒーター「風暖」に点火して室温を20度に上げた。


車内では暖をとるのに「風暖」を使い、湯を沸かしたり調理をしたりするのに卓上コンロを使う。
「風暖」が発生する一酸化炭素は微量だがコンロが発生する一酸化炭素は多めだ。
したがって換気はこまめにおこなう必要がある。
エブリイの改造の一環として制作したのが画像の換気扇(※)である。
USB電源で駆動する省電力ファンなのでモバイルバッテリ(画像左の白いもの)で十分に機能を発揮する。
この近くにチェッカーを置いて一酸化炭素の濃度を見ているが、換気扇にはシャッターがないことからファンを回さなくても空気の交換がされているのであろう、人体に症状として現れる200ppmに至ることはこれまでない。

換気扇の作り方はこちら

ちなみに換気扇の右に見えるファンは扇風機兼サーキュレーターで、中のリチウム電池で動く。回転数は3段階+1(変速回転)。
「風暖」から出る風をさらにこいつで対流させるのが目的である。



換気扇を車外から見たところ。
荷室右側の窓ガラスが上下する溝に填め込み、下から窓ガラスで支える仕組みである。
初日の夜にセットしたまま帰宅するまで走行中でも外れることはなかった。
横殴りの雨に見舞われたりもしたがドアバイザーのおかげで雨が浸入することはなかった。
就寝時はこの下にもう一枚プラダン(プラスチック製の段ボールのこと)を填め込んで断熱兼目隠しにする。


乱雑な寝床の画像で申し訳ない。
これが今回の旅における「就寝時の暖」の取り方である。
DoDというブランドで売られているフトンキャンパー(早い話が布団カバー)に化繊綿の厚めの掛け布団を入れ、ふたつに折ってファスナーを閉めれば封筒型寝袋になる。
その中にベルーナが扱っている「らくだ毛布」を入れて二重の寒さ対策とした。
寝袋は夏用と春秋用の数種類、所有しているが、いずれもファスナーが右開き(規格なのか?)のマミー型となっていて、ベッドの構造上、寝袋の左側から出入りするには不自由である。

その点、封筒型であれば上下をひっくり返すことで右開き左開きのどちらでも使えるので都合がよろしい。
「らくだ毛布」はファスナーがセンターに付いているのでこれも出入りが「らく」だ。


今夜は冷え込みそうな予感がするのでさらなる暖として、蓄熱式の湯たんぽを用意した。
密閉された袋の中に液体と電熱棒が封入されていて、専用のプラグを差し込んでAC電源につなぐと15分前後で60度に温まり、時間の経過とともに温度は低下するものの一晩くらいはぬくもりが得られる(自宅で実験済み)。
消費電力が300Wなので500W出力のポータブル電源であれば車内でも使える。
昔ながらのブリキ製湯たんぽも車内にあるので、ポータブル電源に十分な残量があれば蓄熱式の湯たんぽを、300W15分の供給量がなければブリキ製をコンロにかけて熱するという使い分けが望ましい。
あるいは外気温に応じて使い分けるというのも効果的かもしれない。
なにしろブリキ製なら90度以上の熱が得られるのである。
最高温度60度の蓄熱式と比べたら雲泥の差がある。


またまた汚らしい画像で申し訳ない。
車中泊の旅に出る直前、新装なったカインズホーム日光店で見つけたウレタン製の保温靴下の使い勝手がよかった。
暖かい車内とはいえ素足だと下半身が冷える。
といってせっかく温泉に浸かって開放感を味わっているというのに靴下を履いたらリビングでくつろいでいる気分になれない。
この保温靴下は素足でいるような感じなのに保温性が高く、快適だった。
トイレに行く場合はこのままサンダルを履いて外に出ることが可能だ。
さあ、アルコールもたっぷり入ったことだし、そろそろ寝ることにしましょうか。