改造日誌(換気扇取り付け)

2021年1月26日

管理人が初めて車中泊を経験したのは半世紀も前のことだ。
ただし、当時はまだ車中泊などという言葉はなかった。車中泊が市民権を得るようになったのは近年になってからだ。
当時、旅行といえば旅館に泊まることを指していた頃なので、車の中で寝るなどというのは常軌を逸していたのではないか、そんな気がしている。
若く、無知だったのがそうさせたのであろう。

で、管理人の初車中泊だが、管理人が初めて購入した軽自動車の中でだった。
当時、第一次軽自動車ブームが到来し、街には軽自動車が溢れんばかりに走っていた。
管理人が購入したのはスズキフロンテSSという、360cc 3気筒エンジンに3つのキャブレターを装着したスポーツタイプで、当時は高馬力競争の時代だったから、各社しのぎを削って馬力のある車を開発した。
中でもスズキフロンテSSはトップクラスの馬力を誇り、東名高速を120キロで走ることが可能だった(なにしろ20代前半の若さだったもので・笑)。

いや、別にかっ飛ばすことを目的に購入したのではなく、高校生時代からバイクツーリングを趣味にしていたことから、4輪にすれば雨を気にすることなくより遠くへ旅することができるだろうというのが本心だった。
で、車を購入して初めての旅が正月休みを利用した東北旅行だった。
後輪駆動だったから後2輪のみ冬用タイヤ(当時はたしかスノータイヤと呼んでいた)に替え、後席を取り外し、狭いのをものともせず、薄っぺらの寝袋にくるまって寝たわけだが、防寒対策は抜かりなかった。

スズキフロンテSSは空冷2サイクル、リヤ置きエンジンのため暖房が効かないから、走行中はカセットボンベ式のガスコンロの火で暖をとり、就寝中は寝袋の中に入れた豆炭あんかで暖をとった。
旅行初日にたどり着いたのは新潟県の弥彦神社だった。
当時、管理人は都内に住んでいたが新潟へ行くには一般道しかなかったから到着は日没になった。
そのためすぐに寝る支度に取りかかった。

豆炭に着火してあんかにセットして、それを入れた寝袋に潜り込んだわけだが、あまりの寒さに寝袋を頭まですっぽり被ったのがいけなかった。
明け方になって猛烈な頭痛で目が覚めた。
当時はまだ一酸化炭素中毒という知識などなく、きっと風邪をひいたのだろうと思って近くにあった薬局で風邪薬を買って飲み、そのまま旅を続けることにしたが、そのときもしも頭痛で目覚めることなく寝入っていたら、今、管理人はこの世にいない。

だから車中泊するときの換気はとても大切だよ、というのがオチとなる。

それと、これは余談というか車中泊で死なないための知恵というか、そんなことを記しておきたい。
スズキフロンテSSでの車中泊で死にかけたにもかかわらず、豆炭あんかを寝袋に入れて寝たことがその後も何度かあった。
さすがに寝袋の中に頭を突っ込んで寝るようなことはしなかったが、頭痛で目覚めることはなかったし身体がだるくなることもなかった。
それはナゼかをあれこれ考えてみたのだが、結論は次のようなことだった。
もちろん、管理人独自の推測であり、科学的に正しいかどうかまったく分からない。

豆炭が燃焼するためには空気が必要であり、空気は時間とともに薄くなる。
空気が薄くなると豆炭は不完全燃焼となって一酸化炭素を発生するようになる。
豆炭あんかを寝袋の中に入れるというのは空気の量が少ないところに閉じ込めることなので、一酸化炭素は必ず発生する。
寝袋を頭から被ってしまうと豆炭が発生する一酸化炭素を吸い込む込むことになるため、それだと確実に一酸化炭素中毒(濃度200ppmくらいからと言われている)になる。

では寝袋(この場合、首元が絞れるマミー型を想定)から頭を出して寝る場合はどうかを考えてみよう。
一酸化炭素は寝袋内に充満しその後、寝袋の中綿に浸入する。
その中綿の中の一酸化炭素が飽和状態になると行き場のなくなった一酸化炭素は、今度は空中すなわち車内に放出されることになる。

問題は寝袋内の一酸化炭素が車内に放出されるまでに要する時間だ。
車内に初めに放出されるまで仮に3時間とか4時間かかる(実際には不明)とすれば、車内の一酸化炭素の濃度はそれから上昇していくので、中毒になる濃度になるのはそれからの時間の経過次第ということになる。
また、それは寝袋の中綿の量によっても車内の広さによっても異なってくるはずだ。

管理人がその後も豆炭あんかを使い、一酸化炭素中毒にならずにこうして生きていられるのはおそらく、朝目覚めるまでの経過時間内に、車内の一酸化炭素が中毒になるほどの濃度に達していなかったという、上に書いた推測が成り立つからではないだろうか、そのように思っている。
それとも50年前に経験した一酸化炭素中毒によって、身体が受け入れる一酸化炭素の許容量が他の人より高いのかも知れない(そんな馬鹿な・笑)。

2年ほど前、一酸化炭素チェッカーなるものをアマゾンで手に入れたが、まだあまり使う機会がない。
上に書いた推測が成り立つのかどうか、近々エブリイ内で豆炭あんかを使って実験しようと思っているところだ。

話が逸れた。
この換気扇の作り方もYouTubeそのままである。
YouTubeは情報の宝の山として大いに活用した方がいい。

荷室の窓埋めで使ったプラダンの余りを利用することにした。
換気扇となるファンはUSBで駆動するタイプで、アマゾンで購入した。
2つがセットになっていて2本のコードが途中で一緒になり、そこに強弱を調節するスイッチがついている。
スイッチの先がUSBコネクタになっていて、モバイルバッテリやポータブル電源に接続する。
画像は2つのファンの裏と表を映している。
プラダンは前に作った荷室の窓埋めプラダンと同じ形にカットするだけなので苦労せずに済んだ。
ただし、エブリイの荷室の窓は半分しか開かないから、プラダンも窓埋めに使ったものも半分の大きさにする。

と簡単に書いたが少し工夫が要る。
換気扇用のプラダンは窓埋めに使ったプラダンと違って横幅を窓ガラスと同じ大きさにカットして、窓ガラスが上下にスライドする溝にぴったり填まるようにするのがポイントである。
プラダンの縦幅は窓を目一杯開けたとき、開けた窓の上面との間に数センチ、すき間が空く長さにカットする。
そうすれば窓ハンドルを回してすき間をなくすとプラダンを下から支えることになり、プラダンが固定できる。
実を言うとエブリイを購入する際に貨物(PAというグレード)を選んだのは窓の開閉を手動でおこなうタイプだからだ。電動だとうまくいかないのではないかと思った(この記事を読み進めていくうちにおわかりになると思う)。

次にプラダンにファン(羽根)の大きさの穴を空けるわけだが、YouTubeでいろいろな方法を探したところ、これがもっと簡単かつ合理的と思えるのがあったのでマネをした。
本体についている丸い金物(指が入らないようにするもの)を取り外し、プラダンの適当な位置に置く。
次に一番外側の針金の内側に沿ってマジックインクでなぞる。
それがファンの大きさということになる。


穴はカッターナイフの先端をプラダンに突き刺すようにして小刻みに動かしていくと上手に空くようだ。
ここでのポイントはプラダンの下にカッターマットか紙の段ボールを重ねて敷くといい。
カッターナイフを突き刺したときに、ナイフの先端がプラダンを突き抜けるようにするためだ(もちろん、その下のテーブルや机に傷を付けないためにも)。


プラダンに穴を空けたら虫などが入り込まないよう、網を貼るといい(お好みで)。
網の四隅に小さい穴が空いているのわかると思うが、これは換気扇をプラダンに固定する穴なのであらかじめキリや千枚通し、タコ焼きをひっくり返すときに使う道具などで空けておくといい。
次に換気扇本体を網の上にあてがって、先ほど外しておいた丸い金物をプラダンの裏からネジで取り付けて完成(次の画像)。
商品説明をよく読まずに買ってしまう管理人、2枚1セットになっているのを確かめず、2セット、失敗したときに備えてもう1セット、買った。
作り直すときのために取っておこう。


完成した換気扇を窓に取り付けた図(荷室右側の窓)。
窓ガラスを閉めるとプラダンを下から支えることになる。
したがって窓ガラスの開閉はハンドルをグルグル回して手動でおこなう方が微妙な調整ができていい。
メッシュのポケットはジムニーから取り外した小物入れで、ここにモバイルバッテリを入れて換気扇とつなぐ。
人が乗り降りする場合、このままの状態でスライドドアを開けることになるが、プラダンが窓ガラスの溝にぴったり填まっていれば外れて落ちることはない。
ただし、ここでもひと工夫。
プラダンの下面は窓ガラスで支えられているわけだが、柔らかいためたわんで窓ガラスとの間にどうしてもすき間が空いてしまう。
そこで余ったプラダンを5センチくらいの幅で窓枠の長さにカットしてプラダンの下部を裏と表から両面テープを使って補強してあげるといい(つぎはぎでもかまわない)。
そのとき、補強用のプラダンが窓ガラスにかぶさるよう、換気扇側のプラダンよりも1~2センチほど長くすると窓がその中に入り込んでビクともしなくなる。
ちなみにこの状態で大雨に当たったが、雨が浸入することはなかった(サンバイザーのおかげ?)。
余談だが、ファンを裏表反対にしたものを作って向かい側の窓に取り付ければ吸気用の換気扇ができる。
吸気と排気を同時に行えば夏の暑さ対策として効果的ではないだろうか?

最後にこれも注意点だが、取り付けてある換気扇は車外から簡単に壊すことができる(壊さずに取り外すのは無理)。
すると20センチほどのすき間が空くため、車を長時間留守にするのはとても危険だ。
駐車場に着いて車内を換気する必要があるときだけ取り付けるといった方法をお勧めしたい。


アマゾンで購入した8センチ角のUSBファン。
1月4日時点で1599円だった。