奥日光・最新花情報(6月3日)

約1年ぶりとなる奥日光の花の情報をお届けできる季節となりました。
今年は寒さが長引いて全体的に開花が遅れ気味で、本格的には6月末から7月にかけてが見頃になりそう。
この日は小田代ケ原展望台から歩き始め、戦場ヶ原を抜けて赤沼へ戻るコース(本記事では奥日光と総称します)を歩きました。

ここで紹介している花が咲いている場所をグーグルマップで見ることができます。
https://ippo.jp/nature/flower/100603odashiro/100603odashiro.htm

ツボスミレ
ツボスミレ
奥日光でよく見られる背丈10センチほどの小さなスミレで唇弁に薄紫の筋状の模様があります。

ワチガイソウ
ワチガイソウ
5枚の星形に並んだ花弁が特徴。

ズダヤクシュ
ズダヤクシュ
和名だと喘息薬種と書く、喘息に効く薬草だそうです。花期が長いので6月いっぱい見られそうです。

セントウソウ
セントウソウ
ニンジンに似た葉の先に柄を伸ばし、小さな花をたくさんつけます。

クリンユキフデ
クリンユキフデ
九輪雪筆という華麗な和名を持つこの花は、葉に抱かれるようにして柄を伸ばし、その先端に筆先のような穂状の花をつけます。

タチツボスミレ
タチツボスミレ
奥日光はスミレの仲間がたくさんありますが、ツボスミレにたいしてこれはタチツボスミレ。
立坪菫(だったかな?)と書き、建築で使う墨坪を立てたような形に似ていることが語源となっているそうです。

ミヤマウグイスカグラ
ミヤマウグイスカグラ
深山鶯神楽という和名をもち、薄赤いラッパ状の花を咲かします。群生することはありませんが、コース状に10数カ所見られます。
さて、和名から想像してこの花の語源は?

フデリンドウ
フデリンドウ
背丈5センチほどの細い柄に2・3ヶのラッパ状の花をつけます。
その花が筆先に似ているからこの名がついたものと思いますが、その色といい小ささといい、可憐で飽きない花です。

キジムシロ
キジムシロ
地に這うようにして広がる葉を、雉が座る筵にたとえて名がついたそうです。
やや光沢を帯びた5弁からなる黄色の花は、やはり似た葉をもつミツバツチグリと見分けがつきませんが、葉の数と葉の広がり方で違いがわかります。

コミヤマカタバミ
コミヤマカタバミ
葉だけ見るとクローバーに似ていますが、まさか標高1400メートルの高原に野原に咲くクローバーなどあるはずがありません。そういえば葉の形がきれいなハート型をしているし、花もまったく違ってクローバーのように野性味はなく、可憐そのもの。

ズミ
ズミ
奥日光の乾燥化に拍車をかけているという評価をうけているのがこのズミ。乾燥化に伴ってズミが増えてきているのか、その因果関係ははっきりしませんが、たしかに全体の景観を損ねているのは間違いないし、花の美しさを除けばあまり好きな植物ではない、というのが個人的な評価です。

ワタスゲ
ワタスゲ
戦場ヶ原の木道の東側に広がる草原一面に直径1センチほどの白い綿状のものが風に揺れているのを見ることがあります。この数年で数が増え、白い絨毯を敷き詰めたように見えるほどになりました。

クロミノウグイスカグラ
クロミノウグイスカグラ
上で紹介したミヤマウグイスカグラが赤い実をつけるのにたいして、こちらは黒い実をつけることから名がつきましたが、別名ハスカップですが、奥日光の高原で咲く花としてはハスカップよりはクロミノウグイスカグラの方がよく似合います。
4・5年前にはこの花が咲いているだけで話題になったものですが、シカによる食害から守られたおかげで数はぐんと増え、いまでは木道に沿って見られるまでになりました。

谷地坊主
谷地坊主
花が咲いているわけではありませんが、話題のネタとして提供。
河童が池から頭だけのぞかしたようなこの奇妙なものはスゲの集まりなのです。なぜこのような形を作るのかはわかりませんが、この時期は新しい芽が出て古いスゲが帽子をかぶったようになります。
写真は戦場ヶ原の谷地坊主ですが、光徳沼にもたくさんあります。

さて来週はどんな花が見られるか、楽しみです。