山はすっかり秋模様。霧降高原丸山そして赤薙山で秋の花を堪能。

2016年8月10日(水) 晴れのち曇り

霧降滝駐車場(6:25)~徒歩~キスゲ平(8:10/8:20)~八平ヶ原(8:49/8:55)~丸山(9:10/9:20)~丸山分岐(9:37)~焼石金剛(9:58/10:05)~赤薙山(9:19/9:30)~小丸山(11:05)~階段700段目(11:15)~キスゲ平(11:33/11:50)~徒歩~霧降滝駐車場(13:14)

※所要時間:6時間49分
※歩行距離:24キロ(うち、車道歩きが16キロ)

かつてに比べて売り上げが落ちたとはいえ、8月はやはり忙しい。
レジャー業界に身を置いているとお客さんなくしては経営が成り立たないわけだが、8月の忙しさが他の季節に分散してくれればいつもの月のように山歩きが楽しめるのに仕事の性格上、こればかりは管理人にはどうすることもできない。
お客さんからの電話も多いから常に携帯の圏内にいて、家人から電話で呼び出されたらその場で山歩きを中断して帰らなくてはならない。
だから8月は、ほんの少しのすき間時間を利用して、計画したとおりに事が運ぶような山歩きとなる。当然だが藪に阻まれてにっちもさっちもいかなくなってしまうような山は避けるし、滑落して身動きが取れなくなったら数日から数週間、発見されないというような山も避ける。努めて健全な山歩きを行うようにしている。

明日からまた数日間、本業で家を空けられないから、今週は今日しか機会がない。
危険のない安全な山でなおかつ、遭難しても発見されやすい山へ行って、明日からの仕事でバテない身体を作ろう。でも5キロや10キロでは物足りない。最低でも15キロいや、できればもっと長い距離を歩いて体力をつけたいと思う。

携帯圏内で、家人から呼び出しがあったらすぐに帰れて、安全で、遭難しても発見者がいてくれて、その上15キロ以上歩ける山、、、、う~ん、ちょっと思いあたらない。それは自分で言うのもなんだが、これまでの管理人の山歩きのスタイルを覆すような条件だ(^^)
寝床で地図を広げて考えたのはいつものように登山口から歩き始めて15キロ以上の山となるとやはり奥日光になってしまうから、上に書いた条件には合致しない。
そこで閃いたのが、登山口に達するまでの道のりで距離を稼いでしまおうという、我ながら目から鱗のアイデアだ(^^)
いつもなら登山口まで車で行くところを、ずっと手前に車を置いて歩き出せばいい。よしっ、これで15キロは確実だ。

場所は霧降高原の丸山にしよう。
登山口から北斜面へ回り込んで山頂に達し、小丸山を経て天空回廊をキスゲ平に降りることにしよう。キスゲ平は今頃、秋の植物で賑やかだろうから写真を撮りながら散策気分で歩こう。
さて、車をどこへ置こうかということになるわけだが自宅から丸山の登山口まで歩くことももちろん可ではあるが、より距離を延ばすためには駐車地を登山口からより離して霧降滝の駐車場を利用した。
霧降滝とキスゲ平間は路線バスが走っているから家人から呼び出しがあってもバスで駐車地まで戻れる。

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オヤマリンドウ(左)、ウメバチソウ(右)


6:32
霧降高原道路の霧降滝付近。
いつもなら車で通過するところを今日は歩く距離を稼ぐため、この道路を歩いてキスゲ平へ向かう。初めての体験なのでドキドキ(^^)


いい天気だ。
日光連山のうち、もっとも北西にある赤薙山(雲のかかった中央の山)と小丸山からのなだらかな稜線そして、丸山(右)が見える。
今日はあの丸山を裏側から登って手前の稜線へ降り、小丸山を経て登山口のキスゲ平に降りる予定だ。


霧降高原道路の両側は深い沢になっていて斜面にいろんな植物が生育している、ということが歩いて初めてわかる。
これはタマアジサイ。
手前に見える球形が蕾でこのひとつの玉の中に花の集合体が収まっている。なんだかとても神秘的。


シモツケ
シモツケという名のつくのは他にシモツケソウ、ホザキシモツケ、オニシモツケなどがあるが、「シモツケ」とは下野=栃木県のこと。すなわち、栃木県特有の花であるとか栃木県で最初に見つかった花であるという意味であり、同じ種類の植物というわけではない。


赤薙山がグンと近づいた(中央の雲がかかった山)。
日光ではもっとも低い2千メートル峰で楽に登れる。また、積雪期でも登りやすいので雪山入門の山としてうってつけだ。
冬の赤薙山へ登る。


8:10
歩き始めて1時間40分で丸山(1669M)、小丸山(1601M)、赤薙山(2010M)、女峰山(2483M)の登山口となるキスゲ平に到着。ここまで1時間40分かかったが当初の予定では2時間だった。
正面に見える小高い丘のようなのが小丸山でその右が丸山。小丸山はここからだと標高差が260メートルしかないが、1445段もの階段を昇る必要があるので管理人がもっとも苦手とするところ。
むしろ登山道を使って丸山に登ってから小丸山に降りる方が楽(^^)


まず丸山に登るのでここを右へ入る。
ハイキングコースとなっているが、厳しさから言って立派な登山コースです(^^)


笹がきれいに刈られていて路幅は広く、歩き易い。
笹は年に一度刈られるだけなのでグッドタイミング。


ニガナ、ハナニガナかな?微妙なところ。


ここで登山道は分岐する。直進すると天空回廊と並行して小丸山に達するが道は笹が伸び放題で荒れている。
丸山へはここを右に折れる。
なお、道標は丸山と赤薙山が同じ向きを指しているが上に書いたように荒れて廃道寸前。


丸山の北登山口となる八平ヶ原への道も笹が刈られて歩きやすい。


8:49
一面、笹におおわれて気持ちのいい八平ヶ原。
樹木のほとんどはダケカンバで新緑の頃はとてもきれいだ。
空気が澄んだ冬は遠く筑波山、高原山がよく見える。
これから写真に写っている丸山へと向かう。


オトギリソウ
昔、仲の良い兄弟がこの植物を使って秘伝薬を作っていた。製法は門外不出としていたが、金に目のくらんだ弟がノウハウを持ち出そうとした。それに怒った兄が弟を切り倒してしまったことから名がついたそうだ。と、本からの受け売りw


赤い実をつけたオオカメノキ


丸山の北斜面は傾斜が厳しい。
そのため、このような階段が2箇所、他に丸太を組んだ階段もある。


山頂近くから北東を眺める。
天気がよければ高原山が一望できるがご覧の通り、上空は灰色の雲が垂れこめている。


丸山山頂に到着。
濃霧。誰もいない。


9:15
今日の管理人の出で立ちは短パンに半袖、トレラン用の小型ザックに靴はランニングニューズという軽装。昼食は持たずお腹が空いたら行動食を食べながら歩くといった、長距離向きのスタイルにした。
やはり荷物の軽量化は身軽に動けるし機動力がまったく違ってくる。
女峰山などもこの身軽さで登れば時間は大幅に短縮できるのにねぇ。


丸山山頂ではすでに葉を赤く染めたヤシオツツジが見られた。
これはシロヤシオでしょう。この夏は短いのかも?


オヤマリンドウ


小丸山と赤薙山を結ぶ稜線に出てこれから天空回廊で降りることに、、、、


と思って時計を見ると、まだこんな時間か。
ここで帰ってしまうのもなんだなぁ、悔いが残りそう(^^)


魅力的な稜線が手招きしている(笑)


シロバナニガナ


このガレ場、管理人がどこへ向かっているのか赤薙山や女峰山に登ったことがある方にはこの光景を見て思い当たると思う(^^)


9:58
とうとう焼石金剛まで来てしまった。
ここまで来れば往復20キロは稼げるはずだが、赤薙山がすぐ目の前に迫っている。30分で行ける距離だ。
赤薙山が管理人を呼んでいる(笑)


おぉ、信じられないことにこんな場所にウメバチソウが。本来、戦場ヶ原のような湿地帯に生育する植物なのだがウメバチソウに間違いないと思う。


やせ尾根には濃いガスがかかり前方が見えない。


山頂直下の岩場を這い上がって、、、


10:19
とうとうここまで来てしまった。
では次は女峰山へ?
いや、そこまで欲張ってはだめだ。事故の元だ、と冷静さを失わない管理人なのである。いつもそうだと良いのだが(^^)


アキノキリンソウ


それにしてもオヤマリンドウが多い。
至る処で目につく。


シラネニンジンでしょう、きっと。


11:05
小丸山に降り、これからあの回転扉の向こうへ。さあ、今度はなにが待っているのか?


ヤマハハコ


ノハラアザミ


天空回廊の近くまで来てようやく前方の景色が見えるようになった。中央に見えるのは大山。


11:08
天空回廊の最上段。
ここから急降下して700段目から園地の散策路を歩く予定だ。


天空回廊は700段目まで一直線に続いている。
下からぞろぞろとハイカーや観光客が上ってくる。すれ違うにはまだ時間があるからランニングシューズの身軽さで駆け下りよう。


シロヨメナ


11:15
700段目に立てられている避難小屋が見えてきた。
この手前から園地内の散策路に入れるので、これから先は花を眺めながらゆっくり歩くことにする。


ヨツバヒヨドリだがほぼ咲き終わっている。


ドクゼリかな?


オカトラノオだと思う。


ツリガネニンジンも至る処で見られた。可愛いねぇ。


コバギボウシ


11:51
天空回廊を降り振り返ると、朝とは違って小丸山と丸山に黒い雲が。間もなく降り出すかも?
さてと、ここまで無事に来れたので駐車地までバスに乗ることもない。
道は下りなので走ったり歩いたりしながら戻ることにしよう。


1リットル持参したスポーツドリンクは200ミリほど残った。8月にしては異例のことだと思う。
曇天で気温が上がらなかったのと適度な風でダラダラと流れ落ちるほどの大汗をかくことがなかったからだが、これが長距離を歩くのに幸いしたようだ。なんとか24キロを歩ききることができた。

自宅に戻ったら風呂に入ってその後、ビールをグビッとやろうと考えていたのだが、いざ入浴を済ませるとビールではなく冷たい水が無性に飲みたくなった。
生暖かいスポーツドリンクは残したけれど身体はきっと、もっと多くの水分を欲していたのだろうと思う。
汗はかいたものの気温が上がらなかったので喉の渇きを感じることがなく、それで少量のスポーツドリンクで済んだのだが、実際には現場でもっと多くのスポーツドリンクを飲んでおくべきケースだったのかもしれない。
まあでも、熱中症になったわけではなく、帰りの車道は走って駐車地まで行けたので問題なしとしよう。

高山植物が足下で見られる絶好の場所、小田代ケ原や戦場ヶ原へは今年はまだ一度も行っていない。
この季節でも高原を吹き抜ける風は涼しいし開放的な景色が好きでよく通ったものだが、行くとかならず小学生の団体と遭遇して、すれ違いや追い越しに苦労する。
小田代ケ原と戦場ヶ原は5月から始まる体験学習や夏の林間学校の定番になっているからこの季節は賑やかだ。その点、霧降高原は静かな環境でゆっくりと花を見るのに適している。
我が家から近くに位置し、散策やハイキング、赤薙山や女峰山への登山にも便利だ。冬はパウダースノーの中、スノーシューを楽しめるという、万能性がある。ここに小学生の団体は似合わない。