エブリイ車中泊仕様改造日誌(サブバッテリシステム構築)

2022年5月26日~6月9日

2021年の秋(9月)、晩秋(11月~12月)と季節を変えてエブリイによる北陸の旅をなに不自由なく楽しんできたが、今年5月(つまり季節は春)の北陸旅行では不具合が生じた。

今回は9月より2泊、11月より1泊多い5泊6日の旅となったわけだが不具合とは、冷蔵庫の冷えがイマイチだったのである。
幸い、最後の5泊目までは冷たいビールが飲めたのだが、もう1泊あるいは2泊していればぬるいビールを味気なく飲む羽目になったであろうという軽微いや、管理人にとっては車中泊の楽しみを奪われる大きな不具合が生じたのである。

原因はハッキリしている。
その日のドライブが終わると冷蔵庫への電源供給をシガーソケットからポータブル電源に切り替えるわけだが、一晩経つとポータブル電源の残量は減る。
そこで次の日の朝から走ることによってシガーソケットからポータブル電源への充電と冷蔵庫への電源供給をおこなうのだが、MAX120Wの供給能力しかないシガーソケットでは必要とする電力を供給できず、ポータブル電源の残量が日に日に減り、5泊目には底をつくといった結果になったのである。
最後の晩、幸いにしてビールは冷たい状態を保っていたがもう1泊しようとすればそれは叶わなかったはずだ。

日本海に沈む夕陽を感傷に浸りながら眺めるには缶ビールは欠かせない(缶酎ハイでもいいのだが)。
将来的に10泊、15泊、20泊と長期旅行を目指すのにわずか5泊でその楽しみが失せるというのは耐えられない。
早急な対応を迫られた。
ポータブル電源を常に満充電にしておけるとともに、冷蔵庫への安定的な電力の供給が可能なシステムの構築である。

今から30年ほど前、管理人がキャンピングカーを所有していたころ、12V・120Ahの鉛電池を2台積んでいた(並列接続)。
回路は単純でメインバッテリとサブバッテリの間にスイッチを噛ませ、走行中はメインとサブを並列に接続して両者に充電、キャンプ場に着いたら切り離すという誰もが思いつく実に単純な方法だった。
しかし、この方法だとサブバッテリは充電されず使い切ったら終わり。帰宅したら次のために充電器でサブバッテリを充電するという繰り返しだった。

インターネットで情報が容易に入手できるようになった現在、上に書いた方法ではサブバッテリに充電するのは困難であることを知り、当時の管理人がいかに無知であったかを反省した次第だ。

オルタネーターで発電された電気は本来、メインバッテリの充電に使われる。
発電量(電圧と電流)はオルタネーターの仕様で決まると思うが、エンジンの回転数に比例してオルタネーターの回転も上がるはずだから発電量は変動するのかもしれない(あくまでも推測)。
また、エブリイのような充電制御車はメインバッテリが満タンになっているときやエンジンに大きな負荷のかかる状況たとえば、坂道走行時や加速時にオルタネーターの回転を止めてエンジンへの負荷を軽減するようになっているらしい(これも推測)。
早い話がオルタネーターはサブバッテリのことなど考慮せず、車の設計に基づいて回転しているわけである。

キャンピングカー(非充電制御車)のサブバッテリシステムで失敗(充電できない)したのは、これも推測だが、メインバッテリとサブバッテリ計3台を接続したことでオルタネーターの発電能力を超えてしまい、メインバッテリよりも容量の大きいサブバッテリへは供給されにくい状況にあったのではないかと思っている。

さらにはバッテリへの充電は今の電圧よりも高い電圧を印加しなければならない(これは周知の事実)が、バッテリを3つ並列に接続したことで電圧降下が起こり充電に必要な電圧を発生することができなかったのかもわからない。

以上のことを反省材料とし、あれから30年後の今、あらためてサブバッテリシステムの構築に取り組んでみた。

なお、この記事につけたタイトル、「サブバッテリシステム構築」はサブバッテリへの充電、そしてサブバッテリからのAC電源取り出しを含めた全体を指している。

必要な機器や部材
・サブバッテリ
ACDelco ディープサイクルバッテリー Voyager M31MF(115Ah)
・走行充電器
New Era 昇圧機能付走行充電器 SBC-004
・インバーター
BESTEK 正弦波インバーター 出力500W(瞬間出力580W)
・板ヒューズ 2ヶ
Heschen 60A ANLヒューズとヒューズホルダー
・ケーブル(太さ8sq)
・機器への接続丸型端子(大きさ8sq)
・機器を固定するビス(設置環境で異なる)
・インバーターのファンをオンオフするスイッチ

工具類(必須なもの)
・圧着器(ケーブルに端子を接続するのに必要。8sq以上を圧着できるもの)
・ケーブルを機器に接続する丸端子
・ニッパー(ケーブルを切断するのに必要)
・カッター(ケーブルの被覆を剥くのに必要)
・その他(設置環境で異なる)


サブバッテリ用のACDelco ディープサイクルバッテリーは大きい。
ベッド下の収納庫(この画像)には入らないし、居住空間には置きたくない。


そこでサブバッテリ用の収納スペースを確保するために後席を取り外すことにした。
現状でも折りたたんでその上に床板を載せているので後席は使っていない。
どうせ使えないのであればいっそのこと撤去してしまえ。
ただし、後席を撤去することで定員が現行の4名から2名に減少するので構造変更届が必要になる。そのタイミングは今ではなく、車検(今年12月)のときが望ましい。
画像は右スライドドアから見たところ。


後席の上に載せていた床板を戻してみた。
後席を撤去したことでかなり大きな空間が生まれた。
ここならサブバッテリが置けそう。
画像は左スライドドアから見たところ。


後席を撤去して空間ができた場所にサブバッテリを置いてみた。
サブバッテリはアイソレーターやインバータとの結線が必要なのでこの上に被せる床板にひと工夫する必要がある。
ちなみにサブバッテリの奥の空間(右スライドドア側)は靴脱ぎ場とするつもり。


配線作業をやりやすいように床板をサブバッテリの大きさにくり抜くことにした。


くり抜いた床板から現れたサブバッテリ。
床板の上に少し出っ張るが収納スペースを圧迫するほどではない。
さあ、これからアイソレーターやインバータを設置して配線をおこなおう。


インバーター(左)とアイソレーター(右)は稼働中に発熱するはずなので放熱が効率的におこなわれるように収納庫の外に設置した。

アイソレーターへの結線は単純で4つの端子のうち2つをメインバッテリと、2つをサブバッテリとつなぐ。インバーターはサブバッテリと接続する。

アイソレーターは走行中、電源スイッチをオンにしておくことで内部の回路がメインバッテリとサブバッテリを接続し、サブバッテリへの充電が成される。
停止中は電源スイッチをオフにしてメインバッテリとサブバッテリを回路的に切り離す。
そうしないとエンジン停止中でもメインバッテリからサブバッテリに電気が流れてメインバッテリが空になる恐れがある。

その電源スイッチの操作が面倒であれば車のACC電源をアイソレーターに引き込むことで電源スイッチのオンオフを自動でおこなうことができる。
エンジンがかかっているときすなわち、ACCの電圧がアイソレーターに印加されているときは電源スイッチがオンになり、エンジンを切ってACCの電圧が断たれるとオフになるような設定である。
もちろんその方が電源スイッチを手動でオンオフするより簡単だし、電源スイッチの切り忘れがない

ちなみにこのアイソレーター(SBC-004)は昇圧タイプといって、オルタネーターの発生電圧をディープサイクルバッテリの充電に必要な15V近くに昇圧する回路を内蔵している。


配線には8sqのケーブル(許容60A)を使った。
機器と機器の間を接続するにはケーブルの両端に機器の端子の大きさに見合った丸型端子を使った。
丸型端子はケーブルの太さと機器の端子の大きさとの組合せによって3種類必要だった。


メインバッテリからアイソレーターに行くケーブルは途中に60Aの板ヒューズ(下)を介した。
また、サブバッテリからインバーターに行くケーブルの途中にも60Aの板ヒューズ(上)を取り付けた。
ちなみにベッドの木枠に開けた3つの穴は上からアイソレーターのメインバッテリ側への配線、インバーターへの配線、アイソレーターのサブバッテリ側への配線となっている。
板ヒューズの右下に空いている穴から出ているケーブルはメインバッテリからのもの。


ベッドの木枠に取り付けたインバーターとアイソレーター。
スライドドアを開くと最初に目に入ってくる。
この後、ACC電源からのリード線をアイソレーターに引き込んだ。


配線の最後はアイソレーターとメインバッテリ間の結線。
アイソレーターのプラス側へ行くケーブルはメインバッテリのプラスターミナルに直接接続した。


アイソレーターのマイナス線もプラス線と同じようにメインバッテリのマイナスターミナルに接続したが、その後の調べでこの方法は間違いであることがわかり、やり直した。

エブリイは充電制御(詳しいことはググってみてください)がおこなわれていてバッテリのマイナス側に戻ってくる電流値をセンサーが測定し、それを元にオルタネーター(発電機)を回転させたり停止させたりしているらしい。
マイナスターミナルの左に見える黒い箱がそのセンサーで、マイナス端子を挟み込むように取り付けられている。
センサーから細いケーブルが出ていてどこか(おそらく制御装置)へ行っている。

仮に走行中、ヘッドライトやエアコン、ワイパー、ナビ、オーディオなどでメインバッテリから20A、240W消費しているならそれに見合った発電をオルタネーターがしてくれるわけだが、自分で機器を追加して消費電力が300Wになった場合、センサーを通さない接続(この画像)をしてしまうとオルタネーターの発電はそれまでと同じ240Wの消費に見合った発電しかしないため、追加した60W分が足りないつまり、発電量が消費電力よりも少ないためサブバッテリはもちろんのこと、メインバッテリへの充電もされないということになる。

ではアイソレーターのマイナス端子に接続するこのマイナス線をセンサーの前に移動するにはどうすればいいか?


そういう場合はまず、ホームセンターに行き、部品売り場の前をウロウロしながら考えるのがいい。
こんな部品が目にとまった。
2本の金属ワイヤー同士をつなぐのに用いられる部品だがこれを利用してみた。


メインバッテリのマイナスターミナルに固定されている大きな端子にこれを噛ませ、固定するボルトの片側にアイソレーターのマイナスケーブルをナットで止めた。
かなり荒っぽいやり方だとは思うがこれで標準の機器の他に追加した機器の電流検知も正しくおこなってくれるはずだ。


センサーの前に追加で接続したケーブルとバッテリターミナル間の導通をチェックしたが抵抗値はゼロを示し結線上、問題はない。

さて、メインバッテリに接続した2本のコードはこの画像でわかるとおりバッテリボックスの上から引き出している。
こうすると元々ついているカバーをセットすることができない。
車の下に潜って車体のどこかに空いているかもしれない穴からケーブルを引き出すのがベターだと思うが、今そんなことをしている余裕はない。
カバーはセットせず、この上に厚手のビニールシートを被せて誤魔化した。


もう一度配線が正しくおこなわれていることを確認してエンジンをかけてみた。
アイソレーターを通してサブバッテリにかかる電圧は14.5V。
ディープサイクルバッテリの充電には15V必要とされているが14.5Vであれば問題はないであろう。
なお、アイソレーターからの出力電圧は一定ではなく、走行中にメインバッテリにかかるオルタネーターの電圧やメインバッテリとサブバッテリとの電圧差によって通常モードと昇圧モードが交互に切り替わるらしい(取説からはそのように読める)。
テスターが示している14.49という値はおそらく昇圧後の電圧であろうと思う。

取説によるとメインバッテリの電圧(おそらく充電時の電圧)が14V未満でなおかつメインバッテリとサブバッテリとの電圧差が0.5V以下すなわち、サブバッテリが充電されないような状況の時、アイソレーターは通常モードから昇圧モードに切り替わり、メインバッテリへの充電電圧よりも高い電圧をサブバッテリに印加させるとある。
ただし、それでもディープサイクルバッテリの充電には足りないらしいが、、、


次にインバーターの出力を測ってみると106Vと、これも問題ない。
それにしても稼働中のインバーターはもの凄い音を発する。
インバーター内で発生する熱を逃がすための排気ファンの回転音である。
インバーターの電源が入っている間、排気ファンは回転し続ける。
走行中ならまだしも車中泊するのにこの音は絶えられそうにない。


ということでインバーターの中味をケースから取り出して構造を見てみると直径5センチほどの小さなファンが付いているのを確認。


ファンに給電しているコネクタを基板から外して発熱の具合を調べることにした。
発熱するのは基板上にある2つの小さい放熱板と下にある大きな放熱板からであろう。


インバーターにIHクッキングヒーターを接続し、定格出力である500Wの負荷をかけてみた。
5分ほど経過して放熱板を手で触れるとかなり熱くなっている。
60度くらいあるだろうか、手で触れると火傷しそうなくらい熱い。
さあ、どうする?
うるさい音を我慢しながらインバーターを使うかそれともインバーターの寿命が短くなるのを覚悟の上でファンの回転を止めてしまうか?
その場合は発火の危険も考えないといけない。

後者を選んだ。
理由はこうだ。
管理人がインバーターを使う目的は冷蔵庫(44W)への通電と2台のポータブル電源(計128W)の充電をおこなうためだ。
最大で172W、ポータブル電源が満充電になれば稼働するのは冷蔵庫だけなので消費電力はIHクッキングヒーターの1/10となり発熱も低下するはずである。
それとインバーターの筐体は薄手のアルミ板なのでそれ自体、放熱効果があるはずだ。

というわけで当面はファンレスインバーターとして使うことにした。
折を見て筐体にスイッチを取り付けて寝るときだけファンを止めるといった工夫をしよう。


アマゾンに注文していたスイッチが届いた(6月9日)のでインバーターに取り付けることにした。
インバーターの電源がオンの時に回転する排気ファンを停止させるためのスイッチである。


取り付ける場所は操作しやすいように電源スイッチが付いているパネルにした。
パネルの通気口をスイッチの大きさに合わせてニッパーで切り取り、ヤスリで成形した。


パネルにスイッチを組み込んだところ。


排気ファンのプラス線を切断し、それをスイッチからの線と接続するのだが、スイッチに付属しているリード線は短くて使えないため工具箱に入っていたリード線(画像の緑色の線)を適当な長さに切ってスイッチとファンのプラス線に接続した。
ここでの問題はリード線が放熱板のすぐ脇を通るため熱の影響で溶けてしまわないかという心配がある。
そこで熱収縮チューブを被せて熱対策とした。
それでも心配なので後日、ガラス繊維でできた耐熱、耐火チューブに変更するつもりだ。
購入したばかりのインバーターに手を加えたことで万一、故障した場合、メーカーの保証は効かないでしょうな。


スイッチの取り付けが終わり元の場所に収まったインバーター。
走行中は排気ファンを回し、車中泊するときはうるさいファンを停止できる。


鉛バッテリーは充電時に有毒な硫化水素を発生する。
比重は空気よりも重いので車体に空いている穴から外に排出するものと思うが、念のためガスが室内に上がって来ないよう収納庫内(床板)にビニールシートを敷いて安全策とした(画像は敷く前)。


収納庫に元々積んでいた雑貨類を戻して作業終了。


インバーターは電源のオンオフが必要なのと、発熱があるため室内側(ベッド下収納庫の外)に取り付けた。
アイソレーターは昇圧した電圧をサブバッテリに送っているかどうかをLEDで確認したいのでインバーターと同じく室内側に取り付けた。
できることなら窓から丸見えなので隠しておきたい。

サブバッテリシステムを構築する前は2台のポータブル電源を用途で使い分けていた。
出力の小さい方(左:BALDR330)は主に室内照明とUSB機器への給電。大きい方(右:BLUETTI EB55)は冷蔵庫とノートPCへの給電に使っている。
サブバッテリシステムの完成でこれらが不要になれば室内はもっと広く使えそうだ(なにしろ大きな冷蔵庫も積むので)が、サブバッテリシステムの信頼性を確かめていないので今はまだ撤去するのは不安だ。

余談だがEB55について、ポータブル電源全般にいえることなのかそれとも、EB55だけの現象なのかはわからないが、出力スイッチがオンの状態だと外部機器を接続していなくてもEB55の内部では出力を発生させるように回路が働き、電力が消費されるようだ。

それは決して小さいものではなく、満充電したのに翌日には残量ゼロということを何度も経験している。
電力の消費を防ぐにはAC出力のスイッチ、USB出力のスイッチ、DC12V出力のスイッチをそれぞれ切る必要があるのだが、スイッチがオンなのかオフなのかを示すLEDの視認性が極めて悪く、見落とすことがよくある。

BALDR330もEB55と同じようにAC出力、USB出力、DC12V出力のスイッチがあるが、他にメインスイッチがあるため外部機器を使い終えたらメインスイッチを切ればそれより下位のスイッチも同時に切れる。
したがってEB55のような切り忘れという間違いは起こらない。
管理人、2つのメーカーのポータブル電源しか知らないが、他のメーカーのポータブル電源はどうなのか興味を持ってネットの情報を探っている。
だが残念ながら今のところ類する情報は見つからない。
外部機器を外すと自動的にスイッチが切れる回路を組み込んだポータブル電源は存在しないのだろうか?