奥日光・最新花情報(7月15日)

6月にあれだけ賑わっていた湯ノ湖周辺の花は7月になるとすっかりおとなしくなり、わずか1キロしか離れていない小田代ケ原や戦場ヶ原と植生を異にしていて、おもしろいところです。
この日、私は湯ノ湖の山側から湯滝へ出、次に湯滝に沿って階段を下り、滝壺から湯川沿いを歩きさらに北戦場を歩いて国道の光徳入口へと、いつもとは異なるルートを歩いてみました。

 

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コフタバラン
名前の通り2枚葉のラン科の植物で長い茎の上に小さい花を数個つけます。
パークボランティアの記録によると先週もつぼみの状態だったのですが、この日もまだつぼみのままでした。
それにしてもこのような茎の長い植物は写真を撮るのに焦点が合わず、いまだに気いった写真が撮れません。

 

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ツルアジサイ
巨木の周囲と右側に白い花がたくさん見えますが、ここには見分けのつけにくい2種類の花が混在して咲いています。
巨木の周囲に咲いているのはツルアジサイ、その右に別の木として見えるのがノリウツギで、どちらもアジサイ科だから写真だと見分けがつかないのが当然です。
両種はアジサイ科の特徴である本花と装飾花をもち、白い大きな花に見えるのが装飾花でここには雄しべも雌しべもありません。では何のためのものかというと、空中からでもよく目立つ装飾花によって昆虫に発見してもらい、本花に誘導するのを目的としています。植物とは良くできたものです。

 

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コメツツジ
5枚の葉の上にちょこんと乗って咲いているのがなんとも可憐でかわいらしいですね。
ツツジの仲間でもっとも遅く咲く種類です。

 

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キツリフネ
奥日光全域で見られるツリフネソウ科の花で、文字通り長い花柄につり下がって咲き、その姿が舟形に似ていることから名がついています。

 

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ダイコンソウ
咲き始めたばかりなので花の形がはっきりしませんが、完全に咲くと5枚の花弁は隙間が空いて並び、花弁の中央にたくさんの雄しべをつけます。
ダイコンソウの由来は根生葉が大根に似ているからだそうだ。

 

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ダイコンソウの実
花が咲き終わるとこのような丸い実となります。雄しべの先端に注目するとカギ型に曲がっているのに気がつくと思いますが、これがダイコンソウの特徴です。
ダイコンソウに花も実も似た花にキツネノボタンがありますが、実がダイコンソウと違ってイチゴ状になることで見分けがつきます。

 

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サワギク
林内の薄暗い場所に生え、花は明らかに菊。葉は長さ10センチほどで深い切れ込みがあります。この切れ込みがぼろぼろになった布切れみたい見えるので、別名ボロギクとも。

 

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カニコウモリ
カニの甲羅を思わせるような2枚の向かい合った葉の間から30センチほどの高さに小さな花の集まりをつけます。
コウモリとはその名の通り蝙蝠のことで、コウモリの翼に似た葉をもつコウモリソウ属の植物です。

 

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ショウキラン
キノコ類と同じ腐生植物で葉もなく、根もありません。
ショウキとはあの鍾馗様の姿形に似ているからだそうな。

 

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アカショウマ
あっ、チダケサシだ! と一時は判断したのですが、葉の形が微妙に違うのと葉に毛がないので考え込んでしまった。ユキノシタ科チダケサシ属の仲間はどれもよく似ているので細かい特徴を覚えていないと見分けが難しく、これもあとで図鑑を調べてアカショウマとしました。

 

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クルマバツクバネソウ
8枚の葉が輪のように付き(輪生)、その葉の中央から10センチくらいの高さに4枚の萼と花を付ける、ちょっと変わった植物です(写真では花は終わっています)。場所は湯川沿いの小田代橋分岐付近ですが、ここにクルマバツクバネソウがあるとは今まで気がつきませんでした。

 

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サギスゲ?
北戦場も小田代ケ原に負けない植物の宝庫。ここ数年、シカの食害から守られていろんな植物が復活してきました。
写真は時期から判断してサギスゲだと思いますが、同じ仲間のワタスゲもへたれるとこんな姿になるので特定が難しいところ。

 

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ツルコケモモ
地面に張り付くようにして薄ピンクの小さな花を咲かすツルコケモモ。
ここは立ち入り禁止区域であるため木道の上から望遠で撮るしかなく、花の特徴を述べるには厳しい限り。でもとにかくかわいらしい花です。

 

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ノアザミ
まだつぼみが多い中で一輪だけ咲いていたノアザミ。これこそ夏の高原の花といった雰囲気を醸し出しています。
薄紫の花のすぐ下にある緑の部分を総苞(そうほう)といい、この部分を触ると粘りけを感じます。
同じ時期に咲くアザミにニッコウアザミがありますが、ノアザミと違って総苞に粘りけがないのと、茎が幾本かに分岐し花を複数個付けることで見分けがつきます。

 

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ホザキシモツケ
これも奥日光を代表する夏の花。写真は背丈50センチほどですが、多くは揃って1メートルくらいに成長するから見た目が壮観そのものといった感じです。
花が咲き終わるとドライフラワーとなり翌年の春までそのまま残ります。

 

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ハナニガナ
先端が角張り小さなギザギザがある独特な形をした花で、花弁の数が7~12枚と不定なのが特徴です。5弁のがニガナと見分けます。

 

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オオヤマフスマ
6月半ばからかれこれ1ヶ月も咲く、実に息の長い花で小田代ケ原と戦場ヶ原、ここ北戦場全域で見られます。

 

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クルマバナ
小さな花をたくさん付けるシソ科の花はどれも同じように見えてしまい私には見分けが難しいのですが、この花は茎の回りを巻く(車輪)ように花を付けるので割と見分けやすいと言えます。