古賀志山のトレランコース、21キロを歩いてみた(前半)。

2023年4月24日(月) 晴/爽やかな一日

古賀志山山域を舞台にトレイルランニングレース(以下、トレラン)がおこなわれるようになったのは2010年のことだから、最新の開催(2022年10月)で12回目(2020年は開催なし)になる。
正式名は宇都宮トレイルランというそうだが、12回も開催されていればすでに地元に定着したレースといって差し支えはないだろう。

区分はロングでも36kmと短く、ミドルが21kmそして、4kmというビギナーの部まであってご当地レースであることを物語っている。

古賀志山山域は1辺が4キロという狭い山域であることから、他のエリアで開催されているような数十キロ、100マイルといったコース設定はほぼ不可能だ。
それゆえ、ロングでも36kmという設定にせざるを得ないのであろうがそれでさえ、狭い山域をどう利用するか主催者が考えて考え抜いた努力の賜であるように管理人には思える。
ランナーは本部前をスタートし、本部前を2回通過し、最後に本部前にゴールするというコース設定(ミドルの場合)に主催者の工夫が見てとれる。
狭い山域を利用する苦肉の策と言えなくもない(笑)

古賀志山山域にはルートが100本以上もあるとされている。
管理人は100本のルートすべてを歩くことを目標に2015年から取り組んできて、現在は歩き尽くしたと思っているが、その100本のルートをどのように組み合わせれば主催者発表の距離になるのか、かねてから興味を持っていた。
その中に、管理人がまだ歩いたことのないルートが含まれているかも知れない。

いつかは挑戦してみたい。
36kmは無理だから21kmに。
それと管理人の体力で山の中を走るのは無理だから、歩いてというのが前提だ。
はたして管理人が興味の対象とする未踏ルートは21kmのコースの中に見つかるのだろうか。

主催者発表のコースは本大会の前に入手できる(下図)。
また、スマホで見る場合は地図アプリにダウンロードするためのGPXファイルも提供されている。→GPXファイル(ミドル)
管理人もそれをダウンロードしてスマホの地図アプリに表示させるようにした。
管理人の見る限り、それは過去に歩いたことのあるルートばかりのように思えた。
が、見落としがあるかもわからないので過去に歩いた経験は忘れて初心をもって歩臨んだ。

主催者発表のコース図

メモ(GPSはGeographicaを使用した)
・歩行距離:10.0キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:2時間57分(写真撮影を含む)
・累積標高:806メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

トレランコースといっても、走るつもりでやって来たわけではない。
どんなコース設定になっているのだろう、21キロという長いコース設定であればどこかに管理人がまだ歩いたことのないルートがあるのではないか、そんな興味というか、まっ、古賀志山山域をとことん知り尽くしたいという管理人の物好きの性格がここに足を運ばせたというわけである。

21キロもの距離になるとそれなりの時間がかかる。
時速3キロで歩いても7時間はかかる。
まして管理人の場合は、花を見つけたらカメラを構えて数枚撮るというのを花の数だけ繰り返すから、花の盛りとなるこの季節は計算通りの時間では終わらない。

車は門限のある大駐車場の外、車道脇に駐めた。
ここなら万が一、戻ってくるのが遅くなっても大丈夫だ。


駐車場前の道(細野林道)を北上すると赤川ダムがある。
林道から外れて赤川ダムの堰堤を進んで行くとサイクルステーションがあって、そこがトレランのスタート地点になる。


堰堤の奥まで来て身体の向きを変え、ここからトレラン用に設定されたコースを歩き始めることにする。


コースは主催者がGPXファイルとして提供しているのでそれをダウンロードし、スマホの地図アプリで見られるようにした。
それを見ると順路は違うもののすべて管理人が歩いたことのあるルートだ。
未踏ルートに出合うことを期待しているのだが。


この分岐を左へ行くと古賀志山の登山口、トレランコースは右へ行く。


林道脇にナルコユリが咲いていた。


檜の伐採が終わって明るくなった細野林道。
コースはこの先を左に折れてP540で北主稜線と合流し、次ぎに北尾根で長倉山へと行くようになっている。
その長倉山は右の斜面の最上部だ。


この分岐を左へ折れる。
トレランのコースはスタート地点からアスファルトの林道が続いている。
しかし、林道は緩やかながら傾斜が長く続いているため体力を消耗するはずだ。
ランナーには厳しいだろう。


二枚岩への分岐を左に見ながら通過する。


二枚岩分岐の先に林道の分岐があるので左へ。


ほう、シャガだ!
花は大きいが派手さはなく、楚々としている。
斜面に群落をつくっていた。


林道はここで終わって幅1メートルほどの山道に変わる。


ここを道なりに進むとコースアウトする。
見落とす恐れがあるがここは分岐になっていてP540へは鋭角に右に入る。


新緑が鮮やかなヤマツツジ。
今が盛りだ。
P540直下は傾斜がきつい。
走って登るのは辛いだろう。


トウゴクミツバツツジ


古賀志山山域に広く分布しているヒメイワカガミ。
日光にこの花はない。


北主稜線のP540に着いた。
左へ行くとP559を経て古賀志山に行く。
トレランのコース設定はここを右へ行く。


P540からは日光連山の眺めがいい。
春霞のせいでややボケてはいるが男体山から女峰山、赤薙山、赤薙尾根まではっきり見える。
男体山のすぐ左にはまだ雪をかぶっている白根山が、そのさらに左には錫ヶ岳と皇海山が見える。


古賀志山山頂から北に延びる北主稜線は、植生が豊かなのと明るいので管理人好みのルートである。
P540に数多いアブラツツジの中でひとつだけ、花が咲いている房があった。


P540を下りたところで見つけたヒメイワカガミ。


深紅のヤマツツジが目を惹いた。


手岡分岐(ちょうかぶんき)と管理人が呼んでいる、馬蹄形ルートの入口手前に差しかかる。
分岐はこの少し先だが道標に登山者がいたので写真を撮るのを遠慮した。


手岡峠を素早く通過する。
この前後にアップダウンがあるが距離が短いので体力のあるランナーであれば走ることができるだろう。


新緑の中の明るい路につい走りたくなる衝動に駆られたが距離21キロのここはまだ半分なのだ。
21キロを歩ききるためにもスタミナを温存しておかなければならない。


直進と左へ入る分岐に出た。
北主稜線はここで終わり(というのが管理人の認識)、直進路はここで北尾根と名前を変える。
トレランコースは直進し先ほどの細野林道へ向かう。
左へのルートは鞍掛山へ行く、管理人が言う鞍掛ルートである。


マルバアオダモ
このルートに多い植物だが今年はあまり見ない。


北尾根からの眺めはいい。
鞍掛ルートにある山がよく見える。
左はシゲト山、右は鞍掛山だ。


北尾根はここで細野林道を横断し、向かいの斜面(10:10の画像)に続いている。


蕾をつけたコアジサイ。
1週間後には咲いているかもしれない。


倒木の状態になって数十年は経つであろう、原形を留めないなにかの樹。
これがやがて土となる。


オトコヨウゾメ


ヒノキを伐採した後には幼樹を植えて次の伐採まで成長を待つ。
それは10年なのか20年なのか、素人の管理人にはわからないが、世代を超えて見守るという昔からの手法によって森林が再生されていく。


長倉山に到着。
北主稜線が北尾根に変わってから、管理人は走った。
走ってここまで来た。


長倉山からトレランのスタート地点に戻る桧林の緩やかな下り。
こんな素晴らしい道を歩いたのではもったいない。
これまで数十回もこの道を歩いたのに走らなかったのは単に走る装備をしていなかったから。
ザックは30Lの中型、靴こそローカットのアプローチシューズだがズボンは登山用。それで走るのは身体に負担がかかりすぎる。


今年になってトレランのランナーに定評のあるALTRAのローンピーク(バージョン7)を入手した。
軽快な歩きを追求して登山靴からアプローチシューズへ、アプローチシューズからトレランシューズへと靴の軽量化を図ってきた。
ズボンは登山用からオリエンテーリング用の細身にして、脚の曲げ伸ばしを楽にした。
ザックは後ほど紹介するが11Lと小容量ながら機能の多いものにした。
走るのを念頭に装備を充実させていったわけだ。

冒頭の書き出しと矛盾するようだがお許しいただきたい。
今日は走る目的で来たのではないと断言しながら、実際には走ったのである。
その方が気持ちが楽。だって走ると断言しておいて走れなかったら恥だもの。


長倉山からの下山ルートはここで終わる。
トレランコースのスタート地点が始まる赤川ダム脇の細野林道である。
前半はここまで走った。
ただし、と書き加えるならば、歩く速度で走ったと書くのが正しい。


細野林道に降り立ち、赤川ダムへと向かう。
他に人がいないのを確認してここも走る。


息を切らせながらスタート地点に戻って来た。


階段を上がったサイクルステーション前の広場がレースの本部兼エイドステーションになる。
ここでレース前半が終了する。


前半の距離はちょうど10キロメートルだった。
走ったのはそのうち半分ほどで所要時間は2時間57分。
花を見つけたら立ち止まって写真を撮ったり、展望を眺めてうっとりしながらここまで戻って来たが、もしもこれがレース本番だったら遅すぎてタイムアウトになるだろう。
本番では、いや、本番に出場するつもりはないが、レース規定の時間である5時間半(全行程で)には収まるよう、工夫が必要だ。


ここが本部兼エイドステーションになる広場(の端っこ)。
テーブルとベンチがあり赤川ダムを見渡せる。
小さな子どもを自由にさせてもなんの不安もない。


前半が終わったところでセブンで買ってきた抹茶の蒸しパンと缶コーヒーで昼メシにした。
あっ、レースは前半も後半もなく連続したものになるので念のため。
先ほど装備の紹介でザックがまだだったが、これである。
メーカーはPaaGoWORKS(パーゴワークス)というガレージメーカーで、ユニークな商品を出すことでファンは増えているようだ。

たしか7・8年くらい前だったろうか、このメーカーの初期の製品でパスファインダーというお遍路バッグを購入し、しばらく登山で愛用していた。
たくさんのポケットが内蔵されていて、そこへ何でもかんでも入れるものだから重くなり、ウルトラライトを追求する近年、使うのをやめた。

それ以来、同社の製品を所有することもなく今日に至ったが、トレラン系のYouTubeを観ていたら「RUSH」という製品名で登山やレース用に数種類のザックを発売していることがわかった。
管理人が購入したのは「RUSH 11R」という名前のまんま、レース用11リットルの小型ザックである。
別の25Lのザックの中味すべてを入れるのは困難だったが雨具上下にウインドブレーカー、レスキューキット、行動食、水1.5L、ヘッドライト、モバイルバッテリなど小物を入れることができた。
それとRUSHだけでは容量が足りないのでRUSHシリーズのヒップバッグ(ザックの右)も身につけた。スマホは出し入れが楽なようにこちらに入れた。行動食のうち、数点はヒップバッグに入れた。
買ったからには使わなくては意味がない。
これらのおかげで走る動機が得られたというわけだ。

蛇足になるが山を疲れずに歩くことを目標に、管理人は長年の間、昼食や飲料水、行動食などを試行錯誤してきた。
昼食はモノによっては重いため、山行に費やす時間に応じて使い分けている。
5~6時間の山行であればコンビニ弁当(いなり寿司や巻物)を好んで食べる。
丸一日かかる山行の場合は荷物を軽量化する意味で菓子パンがいい(今日は抹茶蒸しパン)。
1袋で500kcalもあれば昼食としては十分であるし2袋持参すれば非常食としても役に立つ。
ちなみに、火を使って調理するのをここ数年、したことがない。
昔は山頂で湯を沸かしてカップラーメンを食べたりコーヒーを淹れたりしたが、軽量化のためザックから外した。また、その時間が惜しい。

飲料水に関しては、最近では塩分さえ含まれていればいいやという考えに落ち着いた。この1・2年、TOP SPEED ULTRA MINERAL TABLETという粒をペットボトルに解かして飲んでいる。食塩水でもいいのかもしれない。
行動食は安価で高カロリーかつ小さくて軽いものがベスト。味の良いものであれば昼食の代わりに食べることがよくある。
最近は柿の種なんかを食べている。
ジェル類はとにかく重いので携行することはない。

アミノ酸系サプリがもてはやされる今日だが、山行の前後で使うことはまずない。
アミノ酸の効果は実証されているようだが、市販の量では絶対に足りないはずだ。
翌日の筋肉痛を軽減してくれるって本当か、と思う。
アミノ酸は日常的に体内に取り入れて、血液の中に一定濃度の量を保っていないと効果がないという意見もある。

管理人が常用しているサプリは普段の食事ではなかなか補うことのできないビタミンDとミネラル系のカルシウムとマグネシウムである。
これらは筋肉の収縮と伸展すなわち、管理人の持病とも言える腸脛靭帯炎と筋肉の痙攣を防いでくれる、と信じて普段から飲んでいる。

さあ、後半の部といこう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です