トリカブトを探しに古賀志山を徘徊するも成果なく、出直しとなった。

2021年10月26日(火) 晴れのち曇り
画像は2014年10月27日に「広場」で見たトリカブト。

昨夜から降り出した強い雨は明け方まで続いた。
安普請の我が建物は雨脚が強いと屋根を打つ雨の音が室内に侵入し、深夜に起こされることがよくある。その雨も起床時には止み、窓から差し込む光りがまぶしいくらいだった。

ここ数日、頭の中の暦と実際とに、ズレが生じていて修正できずにいた。
深夜目覚めたとき、今日は来客のある水曜日だと思い込んでいた。
夕食に出す料理の材料を注文しなくてはならないな、クレジットカードの引き落としはたしか今日だったななどと寝ぼけた頭で考えていた。

寝床から抜け出してPCの画面に映るスケジュール表(今日の日付のところに色がつく)を見てようやく、今日は何も予定が入っていない日であることに気づき、得した気分になった。
クレジットカードの引き落としは明日だったのか、と妙に安心した。
口座に残高はあるのだが引き落とされたあとの残金の少なさに毎月のように落胆するが、その落胆を一日先延ばしできる安堵感。これはコロナ禍で苦しむ零細事業者にしか理解できないであろう。

まっ、そんな内輪の話はともかく、頭の中の予定が一日ズレて得した今日、この快晴日をうまく利用しないと罰があたりそうだ。
前回18日のブログに、毎年10月は古賀志山記念日と決め、古賀志山を訪れるようにしていると書いた。
古賀志山に初めて訪れた2014年10月27日、古賀志山のスタンダードコースとも言える北コースを歩いているときに思いがけなく、「広場」といわれている場所でトリカブトを見た。
その後、広場で見なくなったがそれは翌年、広場を襲った土石流によって流がされてしまったのであろうと考え、あまり意識することはなくなった。

先週18日にコウヤボウキを探しに古賀志山に行って気づいたのは、春に比べて種類は圧倒的に少ないが、それでも花が観られるのだなということだった。
そのとき思い出したのが秋に花が咲くトリカブトだ。
広場にあったのだから山域のどこか、同じような環境のところを探せばあるのではないか、18日はそんな思いが残った。

「当て」となるのは水分を多く含んだ土壌でなおかつ、日当たりが良く、さらには標高が低い場所。
そんな大雑把な当てを頼りに探しに行くことにしたが、これまで山域を100回以上、歩き回っているのにトリカブトは2015年以後、見たことはない。
そう簡単に見つかるものではないことは承知の上で、秋の爽やかな空に誘われて出かけていった。

結果(GPSはiPhone7を使用した)
・歩行距離:7.4キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:3時間14分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:575メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

昨夜から朝にかけてかなりの雨量だったこともあって駐車場は空いていた。
こんなに晴れているのになぜ、という疑問は当然起こるだろう。
古賀志山を訪れる登山者の多くは地元の人でなおかつ、ベテランである。
雨後の古賀志山の危険性をよく知っているのだ。


駐車場を出て赤川ダムに向かうとすぐ、砂糖を焦がしたようなほの甘い香りが漂ってきた。
道のすぐ脇の広場にカツラの木があった。
カツラが紅葉(黄葉)すると葉の中に含まれているマルトールという成分が香りを発するようになるそうだ。
甘く飽きない香りにいつまでもここにいたい気持ちになるが先へ進んだ。


いつもの場所で、いつものアングルで、でんと構えた古賀志山をパチリ。


今日は赤川ダムを右回りに半周歩いて林に入っていった。


コウヤボウキ


宿題としておこう。


森林公園の散策路を抜けて林道に出、山頂への道を辿る。
ただし、今日は山頂へは行かない。
トリカブトにはトリカブトに適した生育環境があり、標高の高い乾燥した土壌は適していない。


ツルリンドウの大きな株を見つけた。
かつては目を皿のようにして探し歩いたツルリンドウだが、古賀志山山域にはとても多く生育していることがわかったのはつい最近のことだ。
古賀志山山域は多様な植物の生育に適した素晴らしい環境を備えているのだ。


センブリ


画像左の林から抜け出て東南稜の上に立った。
トリカブトは水分を多く含んだ土壌を好むのでこれ以上の標高には生育していない。
東南稜を横断して一旦標高を下げ、さらに東稜を横断した。


ミヤマシキミ


四本桜を左に見ながら通過。


次は五本桜の4差路を西へ、古賀志山北コース(スタンダードコース)へ向かっていく。


古賀志山北コースと合流。
直進すると富士見峠を経て古賀志山に行くが、ここもこれ以上標高を上げるとトリカブトはない。
ここまで歩いてトリカブトが見つからないと今日のところは諦めて帰るしかない。
この北コースを右へ、広場、水場へと向かう。


地元の人の間で「広場」という名称で通じる場所まで来た。
実はここにトリカブトが、、、あった。
管理人が初めて古賀志山を訪れた2014年10月、ひと休みしようとしたとき、色も鮮やかなトリカブトを数株、ここで見つけ、古賀志山の植生の豊かさに驚いたものだった。
しかしいま、トリカブトは同じ場所にない。
2015年9月の豪雨によって古賀志山山域は大きなダメージを受けた。
ここ広場は、周りから大量の土石流が押し寄せて環境が一変した。
トリカブトはその土石流に根こそぎすくわれて消滅したのではないかと思っているが、残っていて欲しかった。


伏流水が吹き出る水場。


ノハラアザミ


わずか2時間40分という短い時間だったがトリカブト探しは不発に終わった。
もっとも、ネットにも情報がない花の探索などこんなものであることは承知の上で歩いたので、こんなんで諦めるような管理人ではない。
粘着質で執念深い、いやらしい性格の男なのである、管理人は。いつか必ず見つけてやるぞ、トリカブト君(笑)


さて、帰宅するには早すぎる時間だ。
こんな時間に家に帰ったら、どこか具合が悪くて帰ってきたのではないかと家人に疑われる。
腹もへったので赤川ダム畔のベンチで昼飯にした。