4月の女峰山は厳しく遠かった。残雪の女峰山をチェーンスパイクで登ってアイゼンで下る。

2016年4月6日(水) 快晴 気温:2~6度
06:26/キスゲ平レストハウス~07:10/小丸山~07:44/焼石金剛~08:26/赤薙山~09:45/赤薙神社奥社(P2203)~10:14/P2209~10:58/一里ヶ曽根(P2295)~11:41/P2318~13:02/女峰山(P2483)~14:30/P2318~15:09/一里ヶ曽根~P2209~16:28/奥社~17:15/赤薙山~17:36/焼石金剛~小丸山~18:40/キスゲ平

女峰山山頂からの眺め。手前から帝釈山、小真名子山、大真名子山、男体山(2016/04/06)。

昨年の5月、残雪の女峰山に2度、登った。
1回目は6日に単独で、2回目は2週後の20日に常連のWさんとの2人パーティーで登った。
管理人がイメージしている残雪の山は雪解けを惜しみつつ、雪景色を眺めながら普段通りのんびり歩く。もちろん、滑落して谷底へ落ちる心配はない。そんなイメージなので経験上、時期は5月が最適だ。

ところが今年は、暖冬小雪ということもあって5月まで待っていたら雪の上をのんびり歩くどころか、雪景色さえ見ることができない状況になっている。
それはいけないとばかり、3月になって赤薙山、山王帽子山、外山、前白根山、白根山、月山、釈迦ヶ岳、鶏頂山など残雪が楽しめそうな山を登ってきた。
次に狙ったのが冒頭に書いた女峰山だ。

どうして女峰山が後回しになったのかというと理由は簡単で、その名前とは裏腹に他の山に比べて手強いからだ。登山口と山頂との標高差は約1100メートル、距離同16キロなので、管理人が先月8日に訪れた白根山とほぼ同じだが、危険箇所がたくさんある。
片側が谷に向かって切れ落ちている幅30センチくらいしかない道やロープで登らなくてはならない岩場、下りの急なガレ場など緊張を強いられる箇所がいくつもある。
そしてこれらは無雪期の話だ。

厳冬期だと様相はガラッと変わる、と容易に想像できる。幅30センチの道に雪が厚く積もったら、そこは谷へ切れ込む斜面と化す。岩場も雪の斜面と化すであろう。厳冬期の本格的な冬山など経験したことがない管理人には手も足も出ないといって過言ではない。
そんなところを独りで歩いてごらんなさい。ロープで確保してくれるパートナーがいるわけではないので、ほんの少しでも足を滑らせたら谷底へまっしぐらということになってしまう。
したがって女峰山は残雪後期それも、例年なら5月と決めていた。それが今年は雪が少ないとみて、1ヶ月前倒ししたのである。
ところがである、、、、思わぬ苦戦を強いられる結果となった。

参考
2015年5月20日・・・キスゲ平から行者堂へ
2015年5月06日・・・キスゲ平からピストン


★気分を変えて画像のサイズを大きくしてみました(笑)。クリックするとさらに大きくなります。

06:16
4時半に目覚めた割に自宅の出発が遅くなり登山口に到着したのは6時10分。6時から歩き始めるつもりだったので30分遅れか?


さあ、これから1445段の天空回廊を昇って小丸山に達し、小丸山から赤薙山へ。女峰山は赤薙山から5座目に位置する。


06:37
避難小屋のある700段目。
この階段は元スキー場のリフト跡に設置されていて、ここから先がスキー場でいう上級者コースとなる。したがって傾斜が急に厳しくなる。100段昇ったら息を整えるの繰り返し。


振り返ると関東平野が一望できる、、、はずなのだが霞がかかったように乳白色の空気に包まれている。


07:10
小丸山の分岐点。直進すると赤薙山を経由して女峰山、右へ行くと丸山に行く。
手前の白いのは長さ3センチほどの霜柱。気温は3度。このままの天気、このままの気温で推移してくれれば快適な登山となるのだが。
ちなみに女峰山は中央に見える赤薙山から5座目。ここからは見えない。


焼石金剛の手前にさしかかると大小様々な石だらけとなり、歩きにくくなる。浮き石が多いので不用意に乗ったりするとぐらっと来て、足首が曲がったりするので要注意。


07:44
焼石金剛。
歩き始めて1時間15分、今のところ順調に来ている。
空気の澄んだ冬など、ここから眺める景色はサイコー。


今日の持ち物はスポーツドリンク500ミリを2本。お湯を500ミリ。菓子パンと行動食多数。バナナ2本。この他に定番品としてGPS、救急セットやツェルト、薄手のダウン、圏外であるため無線機も。
雪山装備の10本爪アイゼン、チェーンスパイク、ピッケルはここまで使うことなく来た。


焼石金剛まで来れば赤薙山へは30分で登れるがここから先、雪の斜面となるためチェーンスパイクを装着した。あわよくば女峰山頂までチェーンスパイクで歩いてみようと考えている。


07:54
登山道に雪が現れた。
この先がやせ尾根。


やせ尾根から南斜面を見下ろす。
一面の笹なので一度、転げると止まらず、300メートル下の谷底まで一気に落ちる。


08:14
ここで赤薙山と女峰山とを分ける分岐となるが、女峰山へ行くにはどちらでもかまわない。
ただし、数年前の記憶だが道が崩落しているところがあるので、この分岐を赤薙山へと行った方がいい。赤薙山のすぐ先で交わる。


08:20
道標を赤薙山へ進むともう1カ所、分岐があるが画像はその道標に指示がない方。
正規の道よりも少し短縮できる代わりに傾斜が急なのと木の枝をまたいだりくぐらなくてはならない。


08:26
歩き始めて2時間で赤薙山山頂に着いた。
木々に囲まれて眺めは良くないが葉の落ちたこの時期だけ、目指す女峰山や男体山が覗ける。
さあ、これからが女峰山へ向けて本番。
これから先、ピークを4つ乗り越えて5つ目が女峰山だ。
赤薙山までが全行程の1/3、女峰山までまだまだ遠いからバテないように、意識してゆっくり歩かなくてはならない。
まずは標高2203メートルの赤薙神社奥社まで距離900メートル、標高差200メートルを乗り切る必要がある。やせ尾根のアップダウンが続いている。


やせ尾根の上り。いやらしい部分だが雪がないのがラッキーであった。


雪の下は確か、木の根が露出した大きな段差ではなかっただろうか。


傾斜が緩くなり間もなく奥社に到着と思う。


09:45
ふ~、赤薙神社奥社跡。第一難関を乗り切った。
これからピーク2295の一里ヶ曽根までは緩やかな稜線歩きとなる。


その前に、あのピークへ。
奥社の2203メートルに対して2209メートルだから、標高で6メートルしか違わない。
しかし、そこへ行くには48メートル下って54メートル上るという疲れる仕事をしなくてはならない。


下り上りとも樹林帯の広い斜面なので、道が雪で覆われていると意図しない方向へ行ってしまう。そこで、念のためコンパスをセットする。
コンパスの矢印が示すとおり磁北線からほんの少し東が標高2209ピークなのだが、実際にはその方向に道はなく、道は磁北すなわち、コンパスの赤い針に向かっている。見渡すと木の枝に新しい赤いテープがつけられているので、それにしたがって忠実に歩く方がいいかも。


10:14
無事にピーク2209の稜線に乗った。
画像の60メートル右が最高点。


樹林帯から抜け出し、これから女峰山に向かって眺めのいい稜線歩きが始まると思うとようやく、気持ちに余裕が生まれた。中央やや右に見えるのが女峰山。

10:18
標高2200メートルを超えさすがに雪は深い。
多くの部分では雪が締まって歩きやすいが時折、膝もっと深いところでは太腿まで踏み抜くことがある。
締まっているのは雪の表面だけで内部は柔らかいためだ。


この稜線上はシャクナゲの群落となっていてすでに花芽をつけているものがある。ただし、開花は7月。


10:58
歩き始めて4時間半。標高2295メートルの一里ヶ曽根に着いた。
行程の2/3を少し過ぎ、女峰山がぐっと近づいた。
あとは一歩一歩、着実に向かうのみ。これで女峰山登頂は確実であろう。とはいえ、難関はまだある。ここから急なガレ場を下って次にピーク2318に登り返さなくてはならない。その先はずっと上りが続いている。
この辺りから北風が強くなってきた。ここまでアンダーシャツとミドルウエアという二枚構成で歩いてきたが、あまりの風にウインドブレーカーを着て保温に努めることにした。ただ、下半身はタイツと雨具という軽装なので風で冷やされ、その冷えが全身に回ってくる。気温はプラス2度だった。


11:41
標高2318メートル直下。
赤薙山から先、4座目だ。女峰山まで残すところ1000メートルまで近づいたが、これから先は上り一方となる。この部分、草地だからか雪は早く解け地面が露出している。歩く感覚が雪の上と違うことにあらためて気づいた。
なお、赤薙山から先、西へ向かって歩いてきたがここから南南西に転じる。


ピーク2318から女峰山に向かって急上昇するが、これなどその一部。登りはまだ続く。


ここも厳しかったなぁ。
5メートルくらいの岩場に雪が乗り、足がかりというものがない。このロープがなくては登れなかった。


山頂が目の前に迫ってきた。
ここまで来れた安心感で疲れがどっと出たのか、足がふらついている。
あ~、早く山頂に着いて足を投げ出して座りたい。


13:02
歩き始めて6時間36分。ようやく念願の女峰山に立てた。
残雪期の女峰山はこれで4回目だが4月は初めて。深く、距離の長い雪道で手こずったが、無事に登頂することができた。それにしても苦しかった。
逆光で表情はわからないが、たぶんこのとき、あまりの疲れで顔は歪んでいたのではないかと思う。ちゃんと帰れるのだろうか(^^)


山頂のコメツガ(たぶん)に海老の尻尾が見られた。


振り返るとここまで歩いてきた稜線が見える。それにしても長い。
帰りはあの稜線の右端まで歩かなくてはならない。


13:32
時間は13時半を過ぎた。あまりゆっくりもしていられない。
帰りもアップダウンを繰り返さなくてはならないし、危険箇所がいくつもあるから時間は上りとそれほど変わりはない。日没は覚悟しておこう。
女峰山山頂まで、やせ尾根など危険箇所はいくつかあったが、チェーンスパイクで登ってきた。これはチェーンスパイクの可能性を確かめるために管理人がおこなっていることであり、お勧めできるものではない。本来なら10本爪以上のアイゼンを使うべきであろう。
今日の目的のひとつであるチェーンスパイクによる女峰山登頂は終わったので、下りは安全を第一優先にアイゼンに履き替えた。


今日の気温は高いときでプラス6度になった。日差しも強かったので雪は午前中に比べて柔らかくなり、それに伴って踏み抜きが多くなった。
雪が深いところだと太腿までズボッ。雪面に突き刺したピッケルで身体を支えて足を抜き、体勢を整えて歩き出すとまたズボッ。午前中に比べるとその繰り返しとなった。
一度、左足で踏み抜いた際に雪の上に残っていた右足を捻ってしまい、膝に電気が走るような痛みをくらった。痛みの部位と強さを確かめるために少し休憩して点検に努めたが、歩けないほどではないことがわかった。念のため、鎮痛剤を服用して歩きを再開した。


16:49
赤薙神社奥社を過ぎたあたりから、一時止んでいた風がまた吹き出すとともに霧に包まれた。


18:15
赤薙山を過ぎ小丸山を過ぎ、ようやく天空回廊の終段に着いた。
階段のステップはまだ見えるが早めにヘッドランプを装着して来たるべき闇に備えることにした。


18:26
急な階段を踏み外さないよう足下をヘッドランプで照らしながら避難小屋まで下りたところで視線を遠くにやると、市内の灯りが見えた。天空回廊から見る初めての夜景だ。なんかホッとする。
歩き始めて12時間になった。疲れ切っている。いつもならこのへんでグラスに注いだビールが頭に浮かぶのだが、それはなかった。なんとか無事に帰って来れたこと、それだけしか頭にない。
駐車場に着いたのはこの10分後だった。

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