古賀志山最大、落差8メートルの滝岩で懸垂下降。

2015年11月17日(火) 天候:重たい雲

先週の木曜日(11日)に苦労して滝岩を探し当て、ものは試しにとばかりトップから中間辺りまで下り反対に、地上から中間まで上ってみたのだが、これまで古賀志山山域で経験した岩場としてはもっとも厳しい岩であることを実感した。

難しいと感じたのは第一にその傾斜のきつさである。垂直とまでは言えないけれど、“垂直に近い”とは言える。上から覗き込むと地面が真下に見える。これだけ垂直に近いとロープをしっかり握っていても重力がまともにかかる。それに抗するのが両足だが他の岩のように足を置く凹凸がない。したがって、設置されているロープしかも、作業用のトラロープを両手で思いっきり握って落下をくい止めなくてはならないのだが、それには相応の腕力を必要とする。
管理人、腕相撲で勝てる相手などいないと思っているほど非力なのでこの作業はじつに厳しかった。

第二に岩の大きさ、というか落差である。11日は上から覗き下から見上げ、落差を推定5メートルくらいと判断したのだが今日、持参したロープを垂らして長さを測ったところ8メートルはあった。前回、目測で5メートルと考えたがネットの情報とおり、8メートルが正しい。
これまで古賀志山で経験した岩場は複数の岩が数段になって、10メートルくらいの大きさのはある。そういう場合、岩のつなぎ目が踊り場のようになっているので不安なく立てるしそれぞれの岩の傾斜も異なるから大きな困難はない。
しかし、滝岩のようにひとつの岩の大きさが8メートルもあるというのは、フリークライミングで利用するゲレンデを除いて唯一、古賀志山山域でここだけではないだろうか。
そう、滝岩はロープを伝って上り下りする岩というよりもフリークライミングの岩のように、高度な技術を必要とする岩に思える。管理人のような細腕にはくそ度胸だけでは通用しそうにない。

11日は怖じ気づいてしまい下り、上りとも半分で諦めてしまったので今日は再挑戦の意味を込め、安全のためにロープと墜落防止のための諸器具を持参して訪れることにした。


DSCF5244いつもの通り、赤川ダムに沿った道を北コース入口へ向かう。

DSCF5251今にも降りそうな曇天の下、北コースを歩く。梅雨時のような湿度でここまでまだ30分と歩いていないのに汗だく。

DSCF5253北コース入口から5分ほど歩き、次に分岐を北への斜面に入る。

DSCF5259滝岩に到着したが今日もさまよったという感じだ。
茶色の岩とやや緑がかった岩が合わさってひとつの巨大な岩に見える。
で、滝岩とは茶色の岩を指しているのかそれとも、緑の岩を指しているのか、判然としない。
したがって合体しているように見えるふたつの岩を便宜上、滝岩と呼びたい。
そしてロープは2箇所に設置されている。1本はこの岩の左にもう1本はふたつの岩が合わさっている部分だ。

DSCF5263岩が合わさって直角になっている部分にロープが下がっている。
前回、諦めた岩がこれ。ホールドが少なくまた、小さいので腕力勝負になると判断したからだ。豪腕を自認する方あるいは、フリークライミング技術をお持ちの方にはお勧めかも(^^)
今日はここに持参のロープを垂らして確保器を使って懸垂下降してみようと思う。ロープも用具もいざというときのために事前に入手しておいたものだが、実践で使うのは今日が初めて。
まさかこんな日がくるとは思ってもいなかった(^^)

MAH00201(9)ザックから必要な用具を取りだして点検。これだけで2キロはあるからザックの重さは14キロに達するのではないだろうか。ここまで距離が短いのでなんとか持ち堪えたが肩が凝った。
用具の内訳は8ミリ径で30メートルのロープ、ハーネス、PETZL社の確保器、ロープから手を離しても墜落しないようにプルージップ用の細引き、10ミリ幅120センチのスリング、カラビナ3ヶというもの。
もっと簡素化、軽量化するにはロープの他に確保器、20ミリ幅120センチのスリング、カラビナは1ヶでいいのだが、下降中に握力が弱まりロープを握る手が開いてしてしまうと墜落は確実。

MAH00199(4)滝岩のトップからロープを垂らすために、用具を担いで隣の岩を登り始めた管理人。
この岩にはロープがかかっているが一部を除いてフリーで上れる。
しかしねぇ、滝岩のトップへ行くのにもっと楽な岩そして、迂回ルートがあるというのに、どうしても滝岩を上り下りしてみたい、そんな情熱が管理人を突き動かした(^^)

MAH00201(10)落差8メートルの岩の上に立ち、立木にロープをくくり付けて支点にし、確保器を操作しながら恐る恐る下ってみた。
頭の中は絶えず、もしもロープが切れたら大の字の体勢で地面に叩きつけられるのだろうな、きっと痛いよな、いや痛いなどと感じる余裕もなくあの世行きだな、そんなことばかり考えながら下っていくものだから体は緊張感でガチガチである。
これを二回繰り返す。
しかし、鹿沼市の岩山で猿岩という30メートルほどの鎖場を下ったことがあるが、そのときよりも恐怖感が大きいのはなぜなんだろう?
猿岩は確かに長い鎖場だし鎖を使わなくては降りられないほどの急傾斜だが、太くて頑丈な鎖という安心感があったし、両足を同じ岩の面につけられるので安定感があった。
それに対して滝岩は猿岩よりもさらに傾斜が急だし、鎖はなくロープ、しかも作業用のトラロープだ。これだけで怖じ気づいてしまう。今日はクライミング用のロープを持参してトラロープの代わりとしたが不慣れなためか、切れるのではないかという不安はぬぐえなかった。足の置き場は写真の通り、ふたつの岩を跨ぐように置くため不安定だ。
そんなこんなで恐る恐るとあいなったわけだが、ただしクライミング用のロープと確保器という正式装備を利用したことでトラロープに比べれば安心感は格段に高い。あと数回、実践してみればこの装備を信頼できるようになると思う。
ちなみに、このシステムだと下りは楽だが上りはできない仕様なので、登りは今後の課題として取り組みたいと思う。それとロープなどを持参することによるザックの重量化は大きな問題だ。
なお、このあと一度、元々あるトラロープを使って地面から滝岩トップまで登ってみたがやはり厳しかった。技術不足を痛感した。

MAH00209(1)終わってみてロープやハーネス、確保器は、設置してあるロープを使うよりも腕力を必要とせずまた、安全だし安心して下れるのだなという確信をもった。
滝岩は見つけにくい場所にあるので訪れる人はなく、長時間独占しても迷惑にならない。管理人のような素人が練習するにはもってこいの場所だ。近いうちにまた利用しよう。
緊張が解かれて空腹を感じた。古賀志山で初めての自炊をする(^^)

DSCF5267集中力はそう長くは続かないからケガをしないうちに終わらせて帰路につくことにした。
来た道と違うルートがあったので迷わず進む。

DSCF5273古賀志山山域には洞窟がたくさんあって祠が祀られていることが珍しくない。祠の正面に奉納と刻まれているが、いつのものかはわからない。

DSCF5278祠の右には小さな不動明王像がある。
順序として、不動明王像の奥に祠が位置するはずだから、管理人がこれから進もうとしている道はおそらく参道なのであろう。

DSCF5281傾斜といい足場といい、参道にしてはかなり厳しい。

DSCF5282北コースに出てこれから赤川ダムに戻る。

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