古賀志山。モアイ像の下に念願の岩を発見した。

2015年10月20日(火) 晴れ
赤川ダム~林道古賀志線~岩下道~モアイ像(対面岩)~岩発見~猪落~古賀志山~P559~P496~中尾根回避ルート~細野ダム~赤川ダム

道が複雑な古賀志山山域を歩くには管理人個人の力では足りないのでいろいろな情報に頼る。
NPO法人「古賀志山を守ろう会」がウェブサイトで公開している諸情報とくに、「めぐり図」は概略図ながら大いに役に立つ。概略図なので全体の位置関係がわかる程度なのだが、古賀志山をそこそこ歩いていればその位置関係から察しておおよその見当がつく。

宇都宮に住み古賀志山に50回以上も訪れているOさんにはこれまでカタクリ、ヒカゲツツジ、ヒメイワカガミ、モアイ像(対面岩)、二枚岩、シュウカイドウなど貴重な花や岩の写真を送っていただいている。
ただし多くの場合、簡単なヒントのみで正確な場所まで教えてくれているわけではない。いってみれば、古賀志山に精通したいのであれば場所は自分で努力して探しなさい、そのようなメッセージにとれる。
それは管理人にとって苦痛にはならない。

写真に写っている対象物とその周りの光景から、それが地図のどこに相当するのかを地図から読み取るわけだが、どれほど長い時間、地図と向かい合っていても飽きることがない管理人にはその作業は苦にならない。むしろ楽しい。病院に長期入院しても地図1枚あれば退屈しない、という安上がりな性格が幸いしているらしい(^^)

さて、3月に送ってもらったにもかかわらず、見つからずモヤモヤ感が解消できないままの岩場がある。ヒントを参考にそれらしい場所を探してはいるのだが見つからずかれこれ半年、まるでエジプトの砂漠に眠る秘宝を探している気分だ。
このへんで本腰を入れて探さないと年が明けてしまいそうだ。
とはいっても生き死にの問題ではないので急ぐこともないのだが今回のことはなにか重要な見落としがあるように思えて、気持ちが落ち着かない。なんとか早めに探し終えて半年もの間、消えなかったモヤモヤを解消しよう、そんな意気込みで臨んだ。

20150329_110455問題の岩場は以前にもブログで紹介したこれ。

写真に添えられたヒントは、「場所は獅子落としの下でヒカリゴケのあるところ。獅子落としと大明神の間、そこを登り右を見上げるとモアイ像が見られる」というもの。
管理人、このヒントがまったくわからなかった。なぜなら獅子落としもヒカリゴケも大明神もモアイ像も当時、初めて聞く言葉だったから(^^)

それから半年後、まがりなりにも古賀志山にまつわる地名や岩場の名前を覚え、それらと地図とが結びつくようになった現在、Oさんからいただいたヒントが俄然、光をおびてきた。
まずはヒントのヒカリゴケへ行くことにした。

DSCF3879宇都宮森林公園の紅葉を眺めながらヒントの場所へ向かう。第1番目はヒカリゴケのある場所だ。
全国の主要な山域であれば昭文社「山と高原地図」を参考にできるが古賀志山は主要山域と見なされていないので山と高原地図はない。自分の努力で探すしかない。
それは古賀志山で出会った地元のハイカーに教えを請うたりネットで検索する方法があるが、それでも見つからない場合は地図とコンパスを手に、丹念に探すしかない。時間はかかるけれどその方が将来的に見て良い結果を生む。
冒頭で紹介した古賀志山を守ろう会の「めぐり図」を利用するのもいい。場所の発見と読図力向上に役に立つ。

DSCF3883公園管理棟の裏へ回って丸太で組まれた階段を上っていく。

DSCF3888林道古賀志線に合流する少し前の散策コースが深くえぐられている。スコップで掘った跡ではない。
きっとイノシシの仕業でしょう。

DSCF3890ここで林道古賀志線と合流するがここは18日に自転車のロードレースがおこなわれたアスファルトの林道。

DSCF3896林道を西へ進んで再びハイキングコースに入って古賀志山へと進んでいく。

DSCF3898階段の途中から岩下道へと別れ桧林の中の細い道を進む。
ただし、上の階段から分岐するところに案内板はない。地図を読まないとわからない。

DSCF3903岩下道を歩き始めて10分ほどでヒカリゴケが見られる洞窟に着く。
この洞窟そして周囲は巨大な岩で構成されていて洞窟の上部がモアイ像(正式には対面岩)だ。
モアイ像が見られる場所へ行くには洞窟を右に見ながら北へガレ場を上っていく。

DSCF3909立木からロープが下がっている場所まで来たら振り向くとこのような光景が目に入る。
モアイ像(対面岩)だ。考えに耽る岩が別の岩と向き合っている。それが対面岩の由来になっているようだ。
次はヒントにある大明神、正式には古賀志山大神(こがしさんおおかみ)だ。
ロープを伝って1メートルほどの落差を乗り越え、さらに岩場を乗り越えていく。

DSCF3918これがその岩場。
んっ、まてよ。管理人の胸に何かが反応した。どこかで見たことがあるような岩だ。岩を見上げてしばし考え込む。傍から見れば、管理人自身が対面岩になってしまったかのように見えたであろう、きっと。
もしかするとこれがOさんの写真にあった岩かもしれない。
Oさんの写真(冒頭の写真)は縦長だが岩の構成が一致する。ためしに管理人もスマホを縦にして写真を撮り、Oさんが送ってくれた写真と見比べてみた。

2015-10-20 11.05.20アングルが若干異なるが間違いない、これだ!

灯台もと暗し。
この岩はこれまで二度、歩いている。ただし、下りでだ。上りは今日が初めてなので、過去二度の経験は役に立たなかったようだ。
いずれにしてもOさんからの宿題に、半年かかって答えを見つけた格好だ。
気持ちが楽になった。

DSCF3925Oさんからの宿題が終わり気持ちが楽になったので今日のもうひとつの目的である未踏ルートを探し歩くことにした。中尾根の岩場を回避するためのバリエーションルートだ。
その前にモアイ像を見下ろす場所から東側の猪落へ行けそうな斜面を見つけたので辿ることにした。
が、落ち葉が堆積した部分が周りに比べて茶色に見えたのでそれを踏み跡と間違えたらしい。とてもではないが二度と歩きたくないというほどの恐怖を体験して猪落の下部(写真)に到達した。
もともとルートではないところを歩いてしまったのでこれは目的外として扱うことにする。

猪落は岩下道から御嶽山へ続く露岩の尾根で、それなりに怖い。が、古賀志山の他の岩場に比べれば傾斜が緩いので注意しながら歩けば怖さを楽しさに変えることができる。それにここからの眺めは最高!

DSCF3927猪落から南東の方角を眺める。天気が良ければ筑波山が望める。

DSCF3933赤岩山を飛び立ったパラグライダーが実に気持ちよさそうに旋回している。

DSCF3850猪落が終わり古賀志山と御嶽山を結ぶ稜線に出たので古賀志山に来てみた。ここから未踏ルートへ進むためである。

山頂には古賀志山を守ろう会により方向案内板が設置されている(写真は今月18日のもの)。
案内板を男性ハイカーが数名で囲んでいて、中に守ろう会のメンバーのHさんの姿を見た。

DSCF3934金属でつくられた案内板のエッジにゴム製のプロテクターを取り付けていた。なんらかの理由で案内板に触れてもケガをしないようにとの配慮であった。
石につまずいてケガをしたのであれば本人の責任の範疇になるが、人が設置した案内板に触れてケガをした場合は設置者の管理責任が問われる。
利用者の安全はこのような地道な努力の上に成り立っていることを我々は理解する必要があると思った。

DSCF3937今日これからの予定だが、赤川ダムに隣接する細野ダムから西へ、通称「中尾根」という厳しい岩場がある。その岩場を回避して歩くルートがあるらしいと聞いたので、それを探して歩くことにする。
まずは古賀志山から富士見峠を経て伐採地(写真)と呼ばれている斜面を通り抜けてピーク559に向かう。

DSCF3947ここがピーク559。地理院地図に描かれているピークだ。北と南の展望が良く、地元のハイカーが好んで利用している。

DSCF3953ピーク559から細野ダムへはいくつかのアップダウンを繰り返す。アップダウンの傾斜はそれほど厳しくはないのでハイキングの感覚で歩ける、、、途中までは。
写真は名のない鞍部だがこの先、怖い思いをしたくなければここから正規のコースへ脱出する必要がある。

DSCF3958ピーク496は岩の間に1本の枯木のあるきわめて特徴的な形をしているので、いい目印になる。
で、ここまで来てしまうと待っているのは中尾根の岩場だ。言っておくけど怖いよ(^^)
その怖い岩場を避けるようなエスケープルートもちろん、正式なルートではないがあるらしいので探すことにした。
地図で見るとこの先で尾根がふたつに分岐し片方が中尾根の岩場、もう片方がエスケープルートに見える。

DSCF3959分岐からエスケープルートへ入る。しっかりした踏み跡があるので下っていく。

DSCF3962ん、なんか怪しげな雰囲気が漂ってきたぞ。
踏み跡はない。道を間違ったかな?

DSCF3964うへっ、地図の通りに尾根を歩いているのだが行く手は藪だ。

DSCF3966背丈を超える笹と足下にはつる性の植物、トゲトゲの植物に行く手を阻まれる。遠回りになるが藪の薄い部分を探しながら歩くしかない。

DSCF3967奇跡の生還を果たした(^^)
このようなルートと知っていれば始めから通らなかった。
もしかするとエスケープルートというのは管理人の聞き違えだったかもしれない。

DSCF3970赤川ダムの北に位置する細野ダム。赤川ダムは森林公園の中核を成し、散策やサイクリングの好適地だが細野ダムはなにも手が加えられてないので歩くには向いていない。が、人がいないだけにこの手の景観を楽しみたい人にはいいかも。

DSCF3972細野ダム脇の道を歩くと古賀志山北コースの入口、先月の豪雨で橋が流された赤川と出合う。
危険防止のためにフェンスが張り巡らされ、いまは渡れないため流れに沿って芝山橋まで行く。

DSCF3979赤川ダムでは午後のひととき、釣りを楽しむ人がいた。

DSCF3874車を置いた赤川ダムに着いた。
湖畔の木々はうっすらと色をつけ、間もなく訪れるであろう紅葉の見ごろを予告していた。