2015年のスノーシューツアーをグラフを駆使して(^^)、総括する。

雪がなくては始まらないスノーシューツアーなので毎年のことながら、年末になると気象の状況に一喜一憂する。12月を迎えると、山を眺めてはもっと白くなっておくれ、そんな日々を送るのが年末の習わしとなっている。
昨年末は例年になく早くまた、たっぷり降ってくれて当面の心配はなくなったので気も楽になり、納戸からスノーシューを取りだして車に積み込み、あとは予約の電話を待つだけとなった。

スタートは12月28日と年明け前であった。雪の量は十分であったがなにしろ積もっている雪のすべてが新雪であり、嬉しくもあり辛い幕開けでもあった。
スノーシューで快適に歩ける雪の量、雪質を説明するとまず、地面上の岩や倒木、木の枝を雪が隠しさらに、それら隠れた障害物に足を取られて転倒しないくらいの量が必要だ。そのためには前に降った雪が自重で締まり、それが何層にも重なった上に新雪が載っているのがベストである。
辛い幕開けと書いたのは質は新雪なので申し分ないのだが層がまだ形成されていないため、注意しながら歩いていても隠れた岩や倒木のすき間に腰から下がズボッとはまり込んでしまったりする。
実際、29日のツアーではガイド役の管理人も含めて3人がそれぞれ別の場所で下半身が雪に埋もれてしまい、脱出にもがいた経験をしている。管理人を先頭にして歩いているにもかかわらず、後続の参加者がなぜ、雪に埋もれてしまうのか、これはスノーシューを置くほんのわずかな位置の違いである。10センチ違っただけで岩や倒木を逸れる場合があるしすき間に踏み入れてしまうことだってある。
だから降り始めの雪でのスノーシューはとても気を遣う。ただし、それも時間が解決してくれるので問題はないのだが。

ところでガイドを務める管理人のスノーシューツアーは参加者の経験や脚力に応じていくつかのコースを用意しているが、昨年から使い始めた霧降高原の丸山登山が全日程の半数を占めるに至った。日光駅からのアクセスがいいので移動に時間を割く必要がなく、本業に影響を与えないという理由の他に奥日光のコースでは望めないほど雄大な景色に恵まれ、登山というからには参加者に厳しい登りを強いてしまうけれどそれを上回る満足感と達成感が得られるので現在はメインのコースとして位置づけている。

参加者は20代から60代までと幅広く、これはスノーシューツアーを始めた17年前とそれほど変化はないが、かつてのように帽子や手袋、雨具まで貸し与えなくてはならないといったことはなくなった。また、スニーカーで来る人もいなくなった。
その理由として、他のエリアですでにスノーシューを経験したり山登りやハイキングの経験を積んでいる人が増えているからだ。かつてのように雪への憧れといった単純な動機の人から、冬でもアウトドアを楽しみたいというニーズの人が増えているのであろう。

管理人がスノーシューツアーに取り組んですでに17年になるが当時、スノーシューができるフィールドそして、ツアーをおこなう事業者は全国でも日光しかなく、そのためにいろいろな動機の人が管理人のツアーを利用してくれたものと思うが、今では雪のあるフィールドであればほとんどすべてのエリアがスノーシューツアーに積極的に取り組むようになったことからツアーの希望者は各エリアに分散し、日光に集中することはなくなった。
それを象徴することがある。管理人のツアーに参加した人に尋ねてみると、日光のような近場でスノーシューができるとは思ってもいなかったと、意外なことを言われる。穴場でした、などと喜びの感想を言われることもあるほど、日光とスノーシューは結びついていないことがうかがわれる。日光はスノーシューの商業ツアー発祥の地だというのに(^^)
それに他のエリアでは経験できない、厳しいコースが日光には多いのに。
日光イコール世界遺産、日光イコール東照宮というイメージが先行しすぎているのが理由でしょうね。

まあ、それはどうでもいいとしてスノーシューの経験者や無雪期登山をたしなむ人が増えたことは、参加者のレベルの均質化につながり管理人としては歓迎すべきことである。管理人が主催するスノーシューツアーのコースはWebサイトで詳しく説明してあるが、その中の「小田代ケ原コースは」名前を載せているだけで今シーズンの実績はゼロである。コース全体が平坦であるため面白みがないというのがその理由であり、希望者にもその旨を伝えてコースを変えてもらっている。来シーズンは紹介すらやめてしまおうと思っていて、その代わり、もっと歩き甲斐のあるコースはないものかと日々、地図を眺めながら先のことを考えている。
参加者のレベルの均質化と向上はガイド人生の終盤を迎えた管理人をやる気にさせてくれるのだww


今シーズンの参加申し込みを人数別に見るとやはり、2名での申し込みが半数を超える。次が1名での申し込みだ。意外に思われるかもしれないが管理人が主催するスノーシューツアーは1名での申し込みが、2名での申し込みに次いで多い。
これは既婚、未婚にかかわらず、ひとりで歩きたいというニーズがいかに多いかを表している。相方と休みが合わないためひとりで申し込んだという例も少なくない。相方とは趣味が異なるからという例もある。
実際に平日などひとりだけのツアーがあり、割増料金で対応しているが効率が良いとは言えない。しかし、要望があれば実施するのが管理人の考えなので、1名でのツアーはこれからも続けるつもりである。
2名での申し込みは夫婦やカップルが52パーセントのうち6割を占めるが、同性の友人同士が多いというのも特徴だ。

※団体は上記に含めていない


次にコース別の開催日数を見ると、昨年からコースに組み込んだ丸山が半数近くを占めた。昨年は40パーセントだったので7ポイント増加し、それまでの定番であった金精沢を大きく引き離した。丸山への管理人の熱の入れかたが知れるというものだww。来シーズンはもっと力を入れるのでさらに増えると思う。

カスタムツアーはWebサイトのコース紹介にはなく、管理人でさえ行ったことのない場所にチャレンジする常連専用のメニューである。今シーズンは赤薙山登山、三岳登山、山王帽子山登山(撤退)があった。
いずれも管理人が脚力を熟知する常連さん相手なので、一見さんとのツアーはおこなっていない。
ちなみに、常連さんには管理人の遊び相手になっていただいたり(笑)、ツアーへの忌憚のない意見をいただくなど多大な貢献をしていただいているので、そのお礼の意味を含んでいるのがカスタムツアーである。

以後、湯元から刈込湖を経由して光徳をゴールとするハードなコースが5パーセント、氷瀑ツアーと新規コースである「おとぎの森」が3パーセント、フラットな小田代ケ原は実績なしと続いている。冒頭にも書いたように小田代ケ原は魅力あるコースとはいえなくなってしまったので、来シーズンの取り扱いが課題である。
コースグラフ


管理人が主催するスノーシューツアーの際だった傾向として前回いつ来たのかは問わず、リピーターの割合が多いことを挙げてもいいと思う。これもコース設定の多い、管理人主催のツアーの特徴であろう。

10年前から毎年、スノーシューだけで2回、他の季節を含めると年に4・5回、来てくれるリピーターの中でも常連さんといえる人がいるし、今冬初めてにもかかわらず6回も来てくれた人もいる。
数年ぶりなのにさも昨日も会っているかのごとく、時間を超えた話ができるなど、リピーターさんとの再会は楽しいものである。リピーターのありがたさをしみじみ感じる。

とはいってもリピーターだけで経営が成り立つはずはなく、やはり一見さんの獲得は大切でそのためにも新しいコースを開拓したり、既定のコースに変化をつけるために単独で歩いては新しいルートを探すといった苦労が伴う。
それらの苦労あるいは努力をしてこそリピーターになってくれるわけだから、リピーターと一見さんを差別してはならないと肝に銘じている。
余談だが、数年前にツアーに参加したお客さん同士がその後、付き合うようになりめでたくゴールインしたということが実際にあり今冬、挨拶がてらツアーに参加してくれたときなどガイドをやっていて良かったとつくづく思ったものだ。
リピーター

※1泊で2日間、ツアーに参加したのは除いているがそれを含めるとリピーターの割合はもっと多くなる。


冬のフィールドを歩くにはそれなりのリスクがついて回る。そのリスクを回避したり軽減するのはガイドとしての大きな役割だと考えるが、今シーズンはガイドの判断ミスで参加者にふたつの大きなリスクを与えてしまったことを大いに反省している。

ひとつは2月9日におこなった刈込湖~山王峠越ツアーで、結氷した刈込湖を歩いて最後に岸に上がる際に薄氷を踏んでお客さまの下半身が水没してしまうという事故であった。管理人が先に岸に上がったので問題はないと思ったのだが、それによってすでに氷に亀裂が生じたのかもわからない。
管理人の指示に基づいて歩いたにもかかわらず、足下の氷が割れて水没したのは明らかな事実であり、管理人の手落ちであって弁解の余地はない。このミスを今後のツアーに生かすのみである。

もうひとつは2月8日の出来事である。
丸山からの下山中にお客さまが足を滑らせて、斜面を50メートルほど滑落してしまうという事故があった。詳しくはそのときのブログ記事を読んでいただきたいが管理人の配慮が裏目に出た結果となり、大いにショックをうけた。
申込者の中にはどうしても管理人主催のツアーに参加したくて経験を過大に申告する人も中にはいて、この場合もアウトドア経験豊富と聞いていたのに歩き始めて1/4の行程で早くもバテぎみ。なんとか登頂したものの下山に必要な体力はすでに使い果たし、管理人がマンツーマンでフォローする中、滑落するという最悪の結果となった。
ひとりの参加者のために管理人の機能が集中し、別グループの参加者には管理人不在で下山していただくなど、不自由をかけてしまったことが心苦しい。

仲間うちの事故であればたとえリーダーであっても責任は回避されるという判例があるが、これが安全を担保する立場にある学校や、管理人のような職業ガイドであった場合、その責任は重い。申し込みを受ける際、これまで以上に参加者の経験を事細かに尋ねて記録するようになったのは言うまでもないが、それで責任が回避されることはなく、もっと根源的な対応が必要であると考えている。
が、そんなことを考えると頭が痛くなるばかりなのでいっそのこと、脚力を熟知している常連さんだけを相手にするツアーに方針転換しようかなどと、そんな飛躍したことを考えるようになったのも歳をとってツアーに精神的安定を求めるようになったからなのかもわからない。身体はまだ酷使に耐えると自負していますがw
来シーズンは67歳の老ガイドが皆さまをご案内することになりますが、どうかお手柔らかに(^^)


この記事は思いついたことがあれば随時、追加していきます。