ツユの最中でも奥日光は青空。太平洋から移動してくる湿った空気は標高2千メートル以上の山々に遮られるため、下界が雨でもいろは坂を上ってみるとカラッと晴れ渡っている日が多く、これが奥日光のいいところ(雨でダメもと)。そしてさわやかな陽光の下、小田代ケ原や戦場ヶ原を歩くとこれから紹介する初夏の花たちに出合うことができます。
ただし漠然と歩いていてはお目当ての花はなかなか見つからないもので、心の中で○○○と念じながら歩くのをお勧めします。
赤沼から小田代ケ原まで約40分の林間歩きです。 |
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小田代ケ原のシンボルとして人気がある「貴婦人」。樹齢は70年以上というからシラカンバとしては長寿です。といっても樹医さんのお世話になっているその効果もあるんですが。 この原の中に100種類以上もの花が生育していて、8月いっぱいまでなんらかの花が必ず咲いています。 |
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レンゲツツジ 草原の緑の中にあって、オレンジ色の花が点在していたら間違いなくこの花です。 ここ数年でずいぶん増えました。 |
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ミヤマカラマツ 針状になった白い一本一本が花。これをカラマツの葉に見立ててカラマツソウという名が付いたのですが、カラマツソウにもいろんな種類があって、それぞれ微妙に違うんですね。 写真はミヤマカラマツといい、花(一本の)は付け根から上に向かって太くなっているのが特徴。もうひとつは構成パーツのひとつである托葉がないことで見分けます。 |
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ハクサンフウロ 小田代ケ原と戦場ヶ原に広く分布していますが決して群れることはなく、孤高の花といった感じ。 |
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アヤメ 気品のある色、形から小田代ケ原の女王といっても決して褒めすぎではない、小田代ケ原を代表する初夏の花です。 |
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イブキトラノオ イブキとは滋賀県と岐阜県境にある伊吹山のこと。トラノオは虎の尾と書きます。 小さな花がたくさん集まって穂状になりますが、これを虎の尾に見立てたのでしょうね。風に吹かれてゆらゆらと揺れ動く花はなるほど虎が自分の尾を振るのに似ています。 |
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ウマノアシガタなどと奇妙な名前がついていますが、別名のキンポウゲといったほうがわかりやすいか。 黄色い花がたくさんある中で、これは背丈20~30センチと高く、花に強い光沢があるので目立ちます。 |
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バイカモ 梅花藻と書きます。水中でゆらゆら揺れながら道行く人を楽しませてくれます。 青木橋の下を流れる湯川で見られますが、この時期は水が澄んでいるのですぐに見つかります。 |
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カンボク ガクアジサイと同じように小さな花を囲むようにして雌しべも雄しべもない5弁の花(装飾花)が先に開き、やや間を置いてから本花を咲かせます。 本花は小さくて目立たないため、大きな装飾花によって虫に見つけてもらうようにしているんですね。これも生活の知恵? |
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ミヤマウツボグサ ウツボと聞くと海に生息しているあの不気味な魚を想像してしまいますが、和名は「靫草」。靫とは弓矢を入れるために背中に背負う筒のことを指しますが、イメージ沸きますか? |
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サワフタギ 1センチほどの小さな目立たない花ですが秋になるとルビーのようなきれいな実をつけます。楽しみ楽しみ。 |
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サギスゲ ワタスゲと入れ替わるようにして実をつけますが、遠くからでは見分けがつかないほどよく似ています。 スゲの仲間なんだから当たり前といえば当たり前ですね。 |
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ユリ科のアマドコロ 花が葉の下に付くため急いでいるときなど気がつかないまま通りすぎでしまいます。その上、全体的に数が少ないので注意深く探さないと見つかりません。 |
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この景色。ゆったり流れる湯川を眺めていると時が経つのを忘れるくらい気持ちが安らぎます。 川のあちこちに枯れ木が横たわっていますが、人の通行の妨げにならない限り自然のままにしておくのが国立公園のルールとなっていて、それもまたいい感じ。 |
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湯元温泉で見つけたショウキラン。 県によっては絶滅危惧種に指定されている貴重な植物です。根を持たない腐生植物なので採取するとその場で死んでしまいます。盗掘されないことを祈るばかり。 |
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これも湯元温泉で見つけたヤマオダマキ。 7月になると小田代ケ原でよく見るのですが、湯元は小田代ケ原よりも標高が高いのに咲くのが早いというのは温泉地という場所柄なんでしょうかね。 なにかこう、うつむいて咲いているで心配してつい覗き込みたくなるような花です。 |
ここに紹介した花は全体のごく一部です。5月から8月まで300種類もの花が次々に咲くので、いつ訪れても必ず見ることができます。