里は花盛り

ツツジの開花を前に、足下に目を移すと、背丈がほんの数センチほどの小さな花があちこちに咲いているのを見つけます。
市内を流れる大谷川の土手は歩行者専用の歩道になっていて、私はウォーキングによく利用するのですが、盛り上がった土手の路肩部分には、土中から目覚めた野生の植物群が春の陽を浴びながら競いあって成長しているのがよくわか
ります。
派手な花ではありませんが、今までが殺風景だっただけに、見つけると歩く足を止め魅入ってしまいます。
この時期でいうと、淡い紫色をしたタチツボスミレ、草に隠れていてもその鮮やかな朱色が目立つクサボケ、フデリンドウなどが見られます。

 rimg0016.jpg  クサボケ
咲き始めのクサボケは、遠くからでもひと目でそれとわかるほど、鮮やかな朱色をしています。淡い色が多い里の花で、この朱色は文字通り異色の存在です。
 rimg0021.jpg  タチツボスミレ
日光全域で見られる、ごく一般的なスミレで、花期も長く、場所によって6月くらいまで咲いていることがあります。 タチツボのツボは、「壷」と書きますが、この壷というのは大工さんが使う墨壷の形に由来するそうです。
 rimg0031.jpg  フデリンドウ
これもお馴染みのフデリンドウ。背丈5センチほどの小さな花ですが、枯れ葉の隙間を突き破るように成長し、数個の花を咲かせます。
 rimg0037.jpg  カキドオシ(だと思います)
奥日光でも見ますが、15センチほどの長い茎にスミレに似た花を数個付けます。この奇妙な名を漢字に直すと「垣通し」となります。花が終わると茎が伸び、垣根の間をすり抜けるというのが由来らしいですね。おそらく、昔は人家の敷地に多く生育していたのでしょう。