栃木県県民の森からツツジ咲くミツモチ山へ

2018年5月1日(火) 晴れ

県民の森キャンプ場(6:50)~第一展望台(7:26)~第二展望台(7:56)~ミツモチ山(8:53)~見晴ピーク(9:10)~休憩地で昼食(9:24)~分岐(9:49)~軽車道出合い(10:41)~トチノキ園(10:51)~キャンプ場(11:08)~キャンプ場内散策
※距離:9.8キロメートル(散策は含まず)
※時間:4時間18分(同)

大型連休まっただなかとはいえ、暦では平日だし、宣伝もしない我がペンションに宿泊客はいない。3日と4日はちょっと忙しくなるのでその前にお務めでもしようと考え、昨年訪れたことがある管理人向きの緩やかな歩きが楽しめるミツモチ山に行くことにした。

昨年は6月になってようやく近場の山にいけるようになり、レンゲツツジの群落で名高い大間々(栃木県矢板市)へ出かけた。しかしそれだけだと観光になってしまうので大間々からもっとも近いミツモチ山に登った次第だ。
ところがだ、、、、登るつもりできたのに実際には下って下ってようやくミツモチ山の山頂に立つという、実に貴重な経験をした。そのときの様子→ちら
だから次は、上りながら山頂に立ってみたい(笑)という思いが今回の山行に結びついたわけだ。

地理院地図を見るとミツモチ山へ上るルートはミツモチ山の南からしか実現しないようだ。
そこで随想社「栃木の山150」の大ざっぱな説明文を参考にルートを組んでみた。
ところがこのエリアは登山道(黒い点線)と軽車道(黒い細線/幅3メートル未満の道路)とが入り交じってとても複雑だ。
マーカー(青い線)でなぞってみると登山道だけではミツモチ山へは行けなくて、軽車道も歩くらしい。
軽車道→工事用林道→大小の砂利とわだち→歩きにくい→石につまずく→顔から転倒→顔面血だらけ、という情報が管理人の頭にインプットされているため、できることなら軽車道=林道は歩きたくないのだが。
※縦と横の線は緯度経度線、赤の斜線は磁北線でこれらはカシミール3Dのオプション設定で描いたもの。


スタートは県民の森キャンプ場にした。


駐車場内にミツモチ山へ導く道標があるので車道を進んでいく。


車道を数分歩くと右にミツモチ山の登山口があったので丸太を組んだ階段を登ると、、


林間に入った。
なかなか快適そうである。

登山道に入ったところなのでまずは全体の地形を地図で確認しておこう。
と、いつもなら現在地や次の目標、目的地などを地図と照合しながら歩くのが管理人の登山スタイルなのだがどうしたわけか地図を入れたサコッシュを身につけていないことに気がついた。
今なら車に戻るのも遅くはない、取りに行こう。そうしないとこれから先が不安だ。

数メートル戻ったところで、なんかおかしいなとふと思う。
そうだ、サコッシュは自室のフックにかけてあるのをそのままにして、ザックひとつ持って車に乗り込んだのを思い出した。サコッシュには地図のほかにコンパスや行動食、筆記具をセットにしてある。それらすべてを忘れてきたのだ。

このところ充電していないカメラを持ってきたり、手首に目をやっても時計をしていなかったりドアをロックしないで車から離れたり、眼鏡をかけないまま歩き始めたりと管理人の身に尋常ならざる事態が起こっている。いったい、なにがそうさせているのか、不可解である。
あぁ、もしかするとあれなのかなぁ、原因は。
そのうちザックも持たず、サンダルのまま山を彷徨う姿が現実のものになるのかと思うと、愕然とする管理人なのである。


山を歩くのに地図がなくてはどうしようもない。
そこで今日はスマホの地図アプリ「Geographica」を起動して紙の地図の代わりとした。地理院地図でいう1/25000と1/12500が表示できるので不自由はない。
管理人、この手のアプリは好きで他にYamaNaviやYAMAP、山レコ地図なども使ったことがある。しかし、地図機能の使いやすさはGeographicaが圧倒している。紙地図の代用として十分なのである。
紙地図と異なるのは陽があたる場所だと視認性が悪いことだ。それと紙一枚と異なり、それなりの重さがあるし手から滑り落ちてスマホを壊してしまう心配がある。スマホのスリープから復帰するのにも数秒かかる。
もっとも、それらはGeographicaに限ったことではなく、スマホ用の地図アプリすべてに言えることなのでどのような場面で利用するかで十分な性能を発揮するというものだ。
管理人は紙地図とともにGARMIN社のGPSとHOLUX社のGPSロガーを携行しているが、用途はGPSに表示される緯度経度を紙地図に投影して現在地を知ることにある。そのため紙地図がなくてはお手上げである。その点、Geographicaはスマホの5インチ画面に地理院地図と現在地が表示されるので心強い。高価なGARMINよりも使い勝手はいい。
※Geographicaについて詳しく書いたブログがあるのでご覧ください→こちら
※Geographica作者による詳しい説明→こちら


事前の調べではコース上にふたつの展望台があり、見晴らしがいいそうだ。
道はここで分岐するが第一展望台へはどちらの道でも行けることになっている。
だたし直進路は現在、通行できないらしく、左へ迂回する。


ツクバキンモンソウだと思う。古賀志山山域で見るのは葉脈の色が紫なのでそこが異なるが、、、


道はかなり細かくジグザグにつけられている。
その理由はこの傾斜にありそうだ。推定20度くらいあるので直登は厳しい。道は画像の右から来てわずかに上りながら左へ向かっている。数十メートル進むと今度は右に鋭角に曲がって同じように緩やかに上っていく。それを繰り返しながら脚に負担がかからないように山頂へ導いてくれるのである。
ここは栃木県営の園地なので歩きやすい設計にしているのであろう。


歩いているとカタクリが目につく。
道の両側にも斜面にも、とにかく多い。
来年はカタクリが咲く4月半ばに来てみたい。
いや、ちょっと待てよ。カタクリは花が終わると花柄の先に大きな実が成るはずだ。それらしきものは見あたらない。それに葉はずいぶん若い。
ということは花はこれからか? しかし、時期的にいってそんなはずはないよな。近々もう一度、見に来なくてはならないかもね。


鮮やかな新緑を背景にヤマツツジの朱色が美しい。


標高800メートル付近ではヤマツツジの他にトウゴクミツバツツジが見られた。ほぼ終わりかけているが標高が上がればトウゴクミツバツツジが期待できそうだ。


木製の構造物が現れた。
第一展望台でしょう。


展望台の上に立つとなるほど好展望である。
矢板市や塩谷町が見渡せる。標高は860メートル。


第一展望台のすぐ脇に、第二展望台そしてミツモチ山へ導く道標があり迷うことがない。
ではこれからあの新緑の中へ。


このように道標があちこちにあるのがいい。


あっ、シロヤシオだ。
ここは標高920メートル付近、期待通りである。


アカヤシオは終わっているようだが今日はこのシロヤシオと出会えただけでも幸せだ。


ここまで上がってくるとヤマツツジはまだ蕾。


おぉ、すごい!
盛りのトウゴクミツバツツジにヤマツツジ、その向こうにはシロヤシオ。


トウゴクミツバツツジをアップで。


次はヤマツツジ


圧巻はなんといってもこのシロヤシオ。


きれいだ!
アカヤシオとともにツツジ界の女王と称せられるシロヤシオ様なのである。


振り返ってもう一度、眺める。


第二展望台に到着した。
造りは第一展望台よりもしっかりしている。1階と2階という2層構造になっている。
ここからはどんな景色が見られるのだろうか?


ありゃ~、老朽化していて上ってはいけないらしい。
見ると20センチはあろうかという支柱が腐っている。そればかりか、あちこち朽ちて痛んでいる。


第二展望台から先は地図にある軽車道になっていて、まずは送電線の下をくぐる。


軽車道はまだ続いているが登山道は軽車道のカーブ部分をショートカットするようについている。


ここもショートカット。
初めはショートカットがいくつあるかを数えていたのだが、あまりの数の多さに諦めた。
ちなみに直進しているのが軽車道=林道で、いくつものカーブを描きながら緩やかに上がっている。登山道は軽車道を歩いたり軽車道をショートカットしながら山頂へと向かっている。
軽車道は当初、心配していたように歩きづらいことはない。快適に歩ける。


スミレの中ではごく一般的なタチツボスミレ。


リンドウ


山頂直下の休憩地に出た。
昨年はたしか、この向こうからやって来たはずだ。
ここまでの間、軽車道をずいぶん歩いたがつまずくほどの砂利道ではなく、車のわだちもなくとても歩きやすかった。


「見晴ピーク100M」と書かれた木の柱がある。
昨年はパスしたので今日は後ほど行ってみたい。


ミツモチ山山頂の展望台。


この上に立ち景色を見ながら10分ほど過ごす。


もやがかかってクリヤとは言えないが好展望。
休憩していると中高年の夫婦と出合い、ご婦人から、八海山にいきたいのだがどうすればいいのかと尋ねられた。
ここから八海山へは釈迦ヶ岳登山の起点となる大間々の近くまで戻って西へ向かうのが一般的なのだが、そうしなくても行けるコースがあるはずだとご婦人は主張する。
う~ん、紙地図の代わりにGeographicaで見てもご婦人主張のコースは見あたらない。もしも地図にあるコース外を歩くとすれば八海山に向かって急峻な沢を遡行しなくてはならないと読める。やはり大間々の近くまで戻ってからでないと八海山へは行けないはずだ。
ご婦人からの主張は二度あったがおそらく思い込みに違いない。管理人はそれ以上、なにも言わなかった。


展望台で休憩の後、先ほどの見晴ピークへ行ってみた。
木の柱があって「ミツモチ山頂」となっているがここの標高は1230メートルなので地図にある山頂、1248メートルとは違う。


ここからの眺めもいい。


休憩地まで戻るとさっきは気がつかなかったがアカヤシオ発見。
この木も終わりかけている。


朝食は5時前だったので腹が減っている。
まだ9時台だが早めの昼食と行こう。


長めの休憩をとった後、下山することにした。
それにしてもまだ10時前だ。
他の山だとこの時間は大汗をかきながらせっせと登っている頃だ。
こんな時間に下山してしまっていいのだろうか(笑)


先ほどのリンドウは花弁が欠けていたのでもう少しまともな写真を撮りたいと思って探したところ、3輪のが見つかった。


ここで下山路が分岐することを上って来るときに確かめてあった。
事前の計画では帰りは異なる道を歩くつもりだったので、ここは右へ進む。


あまり利用されていないのか道は荒れている。
が、苦になるほどではない。
見上げるとブナの新緑の間を日差しが通過している。


トウゴクミツバツツジ


ブナの新緑


アブラツツジ


やがて広大な桧の林に入った。
踏跡はあるのだがコースに指定されるほど明確ではない。
事前の計画だとこの辺りは軽車道を歩くことになっている。どこで間違えたのかはわからない。


ナガバノタチツボスミレ ヒナスミレ


やがて軽車道に合流。
ここからはトチノキ園→緑の広場を経由してスタート地点のキャンプ場に戻ることになっているので、左へ折れることにする。


ここにもミツモチ山への登山道がある。
往路にとった登山道の西のコースだ。


ミツモチ山入口の反対側はトチノキ園


名前の通り、トチノキが多く生育しているエリアだ。


いやぁ、これだけ同じ種の木が集まると凄いものだ。
ちなみにトチノキは栃木県の県木に指定されている。


道はキャンプ場に向かって南下していくが整備されていてとても歩きやすい。


キャンプ場の前を通る車道と合流。ここも左へ。


往路で使ったミツモチ山登山口の前を通過。
とりあえずこれで今日の行動は終わり。


時間は十分すぎるほどあるのでキャンプ場の中を散策してみた。
画像のコテージの他に高床式常設テントサイト、持ち込みテントサイトもある。
静かな林間にテントを設営して過ごすのもいいなぁと思いきや、爆音が近づいてきた。車が少ないのをいいことに、バイクが猛スピードで走り抜けていった。


帰りに桧の林間に入り込んだがその他は一応、計画通り。
このエリアは那須に行く途中にあるので当然ながら那須よりも移動時間が短い。奥日光・湯元に行くよりは少し時間がかかるがそれを十二分に補うほどの魅力を持つことが、今回の山行で理解できた。ミツモチ山は1248メートルなので決して高いとは言えない。だが山頂へ行くまでの展望がとてもいい。道も整備が行き届いていて歩きやすい。両側から木の枝がせり出しているようなことがないので見通しが良く、開放感たっぷりである。

管理人のように年とって山を厳しいと感じるようになると、今日のように10キロ前後歩けてしかも疲れない山は大歓迎。他にもルートが数本あるようなので、女峰山や古賀志山を登る合間の息抜きとして楽しめそうだ。