2018年3月23日(金) 雪質悪い、天候目まぐるしく変化
レストハウス(9:00)~小丸山(10:00)~焼石金剛(11:26)~赤薙山(12:45/13:30)~焼石金剛(14:15)~小丸山(14:53)~レストハウス(15:38)
※歩行:6.6キロメートル
21日、春分の日に降った雪は市街地で10センチ、山沿いで20センチほどの積雪となったが、これを”季節外れの雪”とは日光ではいわない。
ウグイスの声を聞く4月半ばになっても雪が降ることがあるくらいで、それほど珍しいことではないのである。
したがって3月になったからといってスタッドレスタイヤを夏タイヤに替えるようなあわてん坊は日光にはいない(はず)。
ちなみに管理人は宿泊客の送迎に車を使っていることから、万一の降雪に備えて夏タイヤに替えるのは、もう絶対に雪が降ることはないというゴールデンウィーク明けになってからだ。夏タイヤを半年、冬タイヤも半年というローテーションである。
タイヤはまだ冬用のままだが、管理人の商売道具であるスノーシューは7日に最後のお務めを終えて納戸にしまった。桜の便りが届くこの時期、フィールドに雪はあってもスノーシューで山を歩きたいという奇特な人などいないことを過去の経験でわかっているからだ。
この時期、仮にスノーシューのガイドを依頼されてもフィールドの状況を詳しく説明してアイゼンかチェーンスパイクで歩くことを承知してもらっている。
今日の依頼主は宇都宮市のTさんである。
Tさんは今から3年前、管理人が主催する「クリーンハイキング」に参加してくれた後、毎年、数回ツアーに参加するようになった常連さんである。
Tさんは昨年、通勤中に交通事故に遭い現在、病院通いの身である。Tさんが交通事故で負ったのは神経系の痛みであるため治療が難しく、それがTさんの心に堪えていることがメールのやり取りでわかる。
まだ回復途上のTさんにはいくつかの候補地をピックアップして事前に教えてあった。その中からTさんが選んだのが赤薙山であった。
赤薙山は一昨年、無雪期に管理人と登ったことがあり勝手がわかっていること、Tさんにとって初めての2千メートル超えの冬山であることが選んだ理由だそうだ。
赤薙山は現在の身体状況を確認するためにも最適なようだ。そして今日、赤薙山に登って痛みが出なければ次は山王帽子山(2077メートル)、その次に白根山(2578メートル)に挑戦したいと意欲を見せるTさんに、最大限の協力をしてあげたい。
ちなみにTさんとは今日で7回目のツアーとなる。
雪が降る前、すなわち20日であったなら階段もゲレンデも雪などなかったはずだが21日の降雪で再び雪に被われた。
ここから先は階段の傾斜が厳しくまた、階段上の雪が凍っているため安全対策としてチェーンスパイクを装着した。
雪が分厚く堆積していない階段をチェーンスパイクやアイゼン、スノーシューで歩くとステップを傷つけることになるのでご注意ください。
階段トップから少し上がると標高1601メートルの小丸山である。
赤薙山への快適な稜線はここから始まる。
それほど急いでなければ、ときどき振り返って雄大な景色を見ながら歩くといい。
日光市と塩谷町、矢板市にまたがる高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)が美しい。
丸山(右下)より100メートルほど高く、視界はさらに広がる。
丸山で小休止の後、赤薙山山頂へと向かうが、ここで注意することがある。
このヤセ尾根である。
尾根の南側が急斜面の沢になっていて傾斜は40度以上ある。
ヤセ尾根で足を滑らすと沢の最深部まで一気に滑り落ちる。
山頂直下のふたつの大きな岩を回り込むと鳥居が見えてくる。
標高2010メートルの赤薙山山頂である。
Tさんにとって初の冬の2千メートル超え。
回復途上のTさんにとって夢が叶ったようだ。とても嬉しそう。
鳥居の奥に1箇所だけ、展望が得られる場所があって女峰山と男体山が望める。
中央が女峰山。
昼食を食べ終えたので帰ることにするが、下りは安全を考慮してチェーンスパイクからアイゼンに替えた。
靴はスカルパ、アイゼンはブラックダイアモンド製と、装備にはお金をかけてしっかりしたものを選ぶのがTさんの山にたいする心構えだ。
ここは尾根が広くてどこへでも行けそうな感じがするのだが、来たルートを外してしまうとその先は急傾斜、さらに崖へと行ってしまうので怖い。
ヤセ尾根を見下ろす地点。
画像の手前(下側)が注意すべきヤセ尾根である。
朝、Tさんと歩いた跡がまだそのまま残っている。
今日は他に誰もここまで来ていない。
クラストした雪は歩きにくく、10センチから深いところで20センチくらい潜る。そこから足を抜くにも体力を消耗するわけで、所要時間は計画よりも1時間半ほど余計にかかった。
参考(当初の計画)
9:00/レストハウス~9:50/小丸山~10:50/焼石金剛~12:00/赤薙山(食事)~13:15/焼石金剛~13:45/小丸山~14:15/レストハウス